FXニュース:米長期金利が一時3.60%台に上昇し日米金利差拡大の円安に

2022年9月21日
FXニュース:米長期金利が一時3.60%台に上昇し日米金利差拡大の円安に

 

東西FXニュース – 2022年9月21日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米国時間21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の新政策金利が発表
  • 米連邦準備理事会(FRB)の0.75%〜1%の大幅利上げ継続の市場予想
  • 今日の日本銀行の金利抑制の指し値オペで日米金利差拡大予想が強まる
  • ロシアのウクライナ侵攻継続のリスク回避で安全資産のドルと円買いも

今日2022年9月21日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が144円8銭前後から高値143円35銭前後の値動き幅約73銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は143円74〜76銭前後で、前日同時刻の前東京終値比で約28銭の円安ドル高であった。

市場トレンドの流れと値動きの原因はまず、昨夜の欧州英国市場と米国ニューヨーク外国為替市場で、米国現地時間21日の時差で今夜この後の日本時間の明朝3時の米連邦公開市場委員会(FOMC)の新政策金利と米経済見通しなどの発表イベントを控え、米連邦準備理事会(FRB)が0.75%の大幅利上げ継続の金融引き締めを長期化させる市場予想が優勢で、更に大幅な1%のタカ派の利上げ予想も一部で出てきていたため、債券市場で米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時3.60%付近に上昇し、日米金利差拡大によるドル買いの円売りが起き、円相場でドルが上昇した。

米長期金利が一時3.60%の2011年4月以来の約11年ぶりの高水準を記録したことに加えて、米金融政策の影響を受けやすいと考えられている米2年債の利回りも一時4%を目前にした3.99%付近の2007年10月以来の高水準を記録したことで、大幅利上げ継続予想の米国と金利抑制の日本銀行(日銀)との金融政策の方向性の違いが改めて意識され、日銀は今日と明日の会合でも大規模緩和の金融政策を継続する市場予想が優勢で、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大によるドル買い円売りが強まった。

また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の新政策金利の発表に加えて、委員会メンバーの政策金利見通しのドットチャートや、明朝3時半から定例記者会見で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言が予定されており、前回のパウエル議長のインフレ宣戦布告のタカ派発言では大きくドル円が値動きしたために、米インフレ抑制のためのタカ派発言連続コンボの継続に備えたドル買い円売りや、イベント前の持ち高調整の抵抗なども加わった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、対ドルの円相場の安値143円92銭付近から高値143円51銭付近の値動きをし、今朝6時の米ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は143円65~75銭付近で、前日同時刻比で約50銭の円安ドル高であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げを継続する市場予想が優勢で、米長期金利上昇もあり、日米金利差拡大による円売りドル買いが朝から優勢であった。

今朝10時前の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需による円売りドル買いも加わった。

また、日本銀行(日銀)は今日も、日本国債の利回りの金利を抑制するための公開市場操作の臨時国債買入れの指し値オペを午前中から通知したことで、金利抑制の日銀と大幅利上げ予想の米国の日米の金融政策の方向性の違いが改めて意識され、日本国内からも円売りドル買いが起きて朝から円相場が下落し、14時頃には今日の日本市場のドルの高値で円の安値の144円8銭付近を記録した。

一方で、今日の世界ニュースでは、ロシアのプーチン大統領が国営テレビの演説で、ロシアのウクライナ侵攻の戦闘継続のための部分的な動員令に署名したことを発表し、ウクライナ情勢悪化懸念で安全資産のドルに加えて、低リスク通貨の円も買われていたことが大幅な円安への抵抗になった。

加えて、今日は日経平均株価が大幅に下落しており、午後15時台に27,313円13銭の前日比375円29銭安で大引けしたことから、日本株安時のリスク回避で低リスク通貨の円が買われたことが円安抵抗となり、15時から16時の間の円相場は一時反発上昇し、16時過ぎに今日の日本市場の円の高値でドルの安値の143円35銭付近を記録した。

しかし、大きな流れとしての日米金利差拡大予想のドル買い円売りは継続しており、また時差で午後から参入の欧州英国市場も参入していたため、ウクライナ情勢悪化懸念の地政学的リスク回避では再び世界的に流動性の高いドルが安全資産で買われて上昇し、16時頃の下げ幅を縮めた。

今夜この後の米ドルの大イベントが近づくにつれ、持ち高調整後の様子見や、実際の結果が分かるまでの買い控えなどの抵抗もあるものの、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場のドル円相場の終値は143円74〜76銭付近で、前日同時刻の前東京終値比で約28銭の円安ドル高であった。

今夜この後から明日にかけての米国ニューヨーク市場では、最新の米国経済指標などの発表も予定されており、日本時間20時に米MBA住宅ローン申請指数、23時に8月の米中古住宅販売件数、23時半に週間米原油在庫が公表される。

そして、その後の27時から世界のFX投資家達が注目するイベントの米連邦公開市場委員会(FOMC)の米新政策金利の発表と、米経済と金利見通しの発表があり、27時半から米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の定例記者会見がある。

また、明日22日には、日本銀行(日銀)金融政策決定会合の発表とイベント続きで、急速に進んだ円安対策の新政策や為替介入などがあるのかどうか、値動きへの影響が注視されている。

市場では0.75%の大幅利上げ予想が優勢で円安ドル高が進行してきたが、一部で出ているタカ派利上げ予想の1%の市場予想以上の大幅利上げになった場合や、ドットチャートが来年以降の長期化も示す場合には、ドル円が145円付近と考えられ始めている日銀の為替介入の警戒ゾーンに入る可能性もあることも指摘されており、タカ派のドル買いと為替介入に備えた持ち高調整の円買いなどの持ち高調整もあった。

今週は米国だけでなく、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)やスイス国立銀行も利上げ予想が優勢で、マイナス金利が日銀だけになると、ドル以外の通貨に対しても円安が更に進みやすくなる円の一人負け予測から、日銀が大規模緩和の金融政策からの新政策を打ち立てないと円安継続懸念があり、日銀の発表も注目されている。

一方、今日のユーロの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は142円49~52銭付近で、前日同時刻比で約1円48銭の大幅な円高ユーロ安であった。

原因は、前述のロシアのプーチン大統領の署名発表を受けて、ロシアのウクライナ侵攻の長期化と悪化の懸念で、ウクライナと地理的に近くロシアとのエネルギー問題もある欧州の地政学的リスク回避のユーロ売りで、安全資産のドル買いと低リスク通貨の円買いが起きた影響が強く、対ユーロの円相場は今日の日本市場で一時141円96銭付近の約2週間ぶりの高値をつけた。

同様にユーロドルも、ウクライナ戦争継続のユーロリスク売りで世界的に流動性の高い安全資産のドルが買われた影響などで、今夜17時の東京外国為替市場のユーロドルの終値は、再びパリティ(等価)割れの0.9911~0.9912ドルで、前日同時刻比で約1.24セントの大幅なユーロ安ドル高であった。

また、昨夜の欧州英国市場では大幅利上げ継続予想の米ドルに対して、米長期金利上昇時の米欧金利差拡大でもユーロ売りのドル買いが入った影響も観測された。

今日の英ポンドの円相場は、今夜17時の東京外国為替市場の終値は162円94銭〜163円0銭付近で、前日同時刻比で約64銭の円高ポンド安であった。今日の午後に、低リスク通貨の円が大きく買われた影響が波及したほか、大幅利上げ予想の安全資産のドルに対しても大きくポンドが下落した影響などが出ていた。

英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)も今日から明日が英中銀金融政策委員会(MPC)で、明日に新政策金利などの発表が予定されており、利上げ継続予想はあるものの、加えて発表される英国経済の先行きの見通しが英国景気懸念でリセッション(景気後退)の予想であるために、イベントリスクのポンドの持ち高調整や買い控えなども観測された。

今日の豪ドルの円相場は、今夜17時の東京外国為替市場の終値は95円88〜92銭付近で、前日同時刻比で約24銭の円高豪ドル安であった。

原因は、ウクライナ情勢悪化への懸念からリスク回避市場になり、低リスク通貨の円と比較してリスクに弱いと考えられている豪ドル売りが影響した。

スイスフランも明日の新金利に前回の0.25%の倍の0.5%の大幅利上げ予想が優勢で買いが入っていたものの、今日のロシアのウクライナ侵攻の長期化と悪化懸念の地政学リスクで、欧州に近いスイスフランに対してもリスク回避の安全資産のドルや低リスク通貨の円が買われた影響で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は148円57〜63銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約24銭の円高スイスフラン高であった。

ただし、その後の欧州英国市場では、明日の新政策金利の発表に向けて、スイスの利上げ予想の日瑞金利差拡大予想が再び強まり、19時台までには市場反転して前東京終値比で円安スイスフラン高に転じていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月21日の日本時間(JST)19時17分(英国夏時間(GMT+1)11時17分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:17の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 143.93 〜 143.94 +0.47(円安)
ユーロ/円 142.87 〜 142.89 -1.10(円高)
ユーロ/ドル 0.9923 〜 0.9925 -0.0112(ドル高)
英ポンド/円 163.25 〜 163.31 -0.33(円高)
スイスフラン/円 149.28 〜 149.34 +0.23(円安)
豪ドル/円 96.06 〜 96.10 -0.06(円高)


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