FXニュース:米長期金利が一時3.15%に上昇し日米金利差が拡大

2022年8月31日
FXニュース:米長期金利が一時3.15%に上昇し日米金利差が拡大

 

東西FXニュース – 2022年8月31日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 最新米国経済指標を受けた値動きで主要通貨に対し全面ドル高に
  • 米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化観測
  • 独8月消費者物価指数(CPI)が市場予想以上に上昇

今日2022年8月31日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が138円79銭前後から高値138円28銭前後の値動き幅約51銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は138円60〜61銭前後で、前日同時刻の前東京終値の138円43〜45銭前後と比較すると、約15銭の円安ドル高であった。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場で、米長期金利が一時3.15%付近に上昇し、約2ヶ月ぶりの高利回りに達したことで、日米金利差拡大によるドル買い円売りが優勢だった。

市場の動きとしては、昨夜22時の米国市場で発表された最新米国経済指標の米住宅価格指数や米S&Pケースシラー住宅価格指数は市場予想以下ではあったものの、23時に発表された8月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数が、前回の95.7〜95.3と市場予想の97.9〜97.6に対して103.2に大幅に上昇し、ドル売り要因だった米景気懸念が減退し、主要通貨に対してドルが買われて上昇した。

同日発表された最新の米国雇用指標の7月の雇用動態調査(JOLTS)でも、全米の非農業部門の有効求人数が約4ヶ月ぶりに増加し、好調な米労働市場の逼迫感による賃金値上げで米インフレが高止まりをする可能性から、堅調な米労働市場と米インフレ高止まりと米景気懸念減退が揃うと米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げ継続を実行しやすくなる予測が強まり、日米金利差拡大予想でのドル買い円売りも起きた。

米連邦準備理事会(FRB)関係者達の連続発言による米利上げ継続予想と長期化予測も起きており、この日も米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁や米リッチモンド連銀のバーキン総裁、米アトランタ連銀のボスティック総裁などのタカ派発言が相次いだ。

米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、利上げ継続の金融引き締め金融政策を「来年も続ける」とした上で、米政策金利からインフレ予想率を差し引いた実質金利が「ゼロを上回ることが必要」で「長期的には中立水準よりも高い金利の設定が必要である」と参加したイベントで発言し、先週のパウエル議長同様のインフレ抑制姿勢のタカ派発言に加えて、米利上げ継続が長期化するという予想を強めた。

また、米リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「金融当局が物価抑制に向けた取り組みでひるむことはない」と講演で宣言し、「その過程は円滑にはならない可能性がある。」「インフレ率は目標水準に下がる過程で跳ね返ることが予想される。」としながらも、「我々(FRB)は米国のインフレ率を目標の2%に戻すことを最優先にしており、そのために必要な措置を取る」と発言した。

米アトランタ連銀のボスティック総裁は、経済指標でインフレの明らかな鈍化継続が確認できるまでは、米連邦準備理事会(FRB)は利上げ幅を0.75%から縮小する根拠にはならないことから、連銀ウェブサイトのエッセーに「米金融引き締めが終わったとは考えていない。米インフレ率は依然として高すぎる」と執筆していた。

そのため、米連邦準備理事会(FRB)のインフレ抑制のための金融引き締めの大幅利上げ継続予想と長期化予測が優勢で、米長期金利が一時3.15%と2カ月ぶりの水準に上昇し、金利抑制の日本銀行(日銀)との日米の金融政策の方向性の違いと日米金利差拡大でのドル買い円売りによる円安ドル高要因が強まり、一時139円8銭付近の円安ドル高を記録した。

ただし、米利上げ継続は企業融資ローンなどの金利上昇も示唆するために、米株安時のリスク回避では安全資産の米国債が買われたこともあり、その後に米国債利回りが3.11%を下回ったことや、急速に進んだ円安ドル高で高値のドルの利益確定売りや持ち高調整の安値の円買いの抵抗なども入り、今朝6時までの米国ニューヨーク外国為替市場の終値は、138円75~85銭付近で前日同時刻比では約5銭の円安ドル高となった。

そのトレンドを引き継いで始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今日は月末なので朝から持ち高調整で高値圏のドルの利益確定売りも入ったが、今朝10時前の仲値決済に向けては、日本の輸入企業による輸入実需でのドル買いが入っていた。

今日は日本の最新経済指標の発表もあり、7月の鉱工業生産の速報値は、前年同月比が前回のマイナス2.8%と市場予想のマイナス2.4%に対してマイナス1.8%で、前月比では前回の9.2%と市場予想のマイナス0.5%に対して1.0%に改善されており、また7月の百貨店・スーパー販売額の前年同月比も、前回の1.3%と市場予想の2.6%に対して2.8%に上昇していたことでは、安値圏の円も持ち高調整で買われ、一時は前日比でレンジから小幅な円高ドル安になる時間帯もあった。

14時にも日本の経済指標の8月消費者態度指数(一般世帯)が発表され、前回の30.2と市場予想の29.5に対して32.5であったが、同時発表の8月新設住宅着工戸数の前年同月比は前回のマイナス2.2%と市場予想のマイナス4.1%に対してマイナス5.4%に悪化していた。

一方で、前述の米経済指標や米連邦準備理事会(FRB)関係者達の発言などのFXニュースを受けて、日米金利差拡大予想のドル買い円売りも継続しており、特に午後に時差で朝の欧州英国市場が本格的に参入すると、ドル買い円売りが優勢になり、夕方までには再び前日比で円安ドル高のトレンドに戻していた。

そのため、17時の今日の東京外国為替市場でのドル円相場の終値は、138円60〜61銭付近で、前日同時刻の前東京終値比較で約15銭の円安ドル高であった。

今夜この後にも、21時に米連邦準備理事会(FRB)の米クリーブランド連銀のメスター総裁の発言が予定されているほか、最新米国経済指標の発表予定があり、21時15分に米ADP全米雇用報告、22時45分に米シカゴ購買部協会景気指数、23時に米週間原油在庫などが発表される予定で、世界のFX投資家や専門家達が今後の為替相場の予想のためのファンダメンタル・ニュースとして注目している。

今日のユーロは、今夜17時の東京外国為替市場のユーロ円の終値は138円66~69銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約18銭の円高ユーロ安であった。また、今日のユーロドルは17時には1.0004~1.0005ドル付近で、前日同時刻比で約0.24セントのドル高ユーロ安だった。

市場の流れでは、昨夕の欧州市場では天然ガス価格の低下や、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁やスロベニア中銀のバスレ総裁やエストニア中銀のミュラー総裁などの相次ぐ欧州大幅利上げ予想のタカ派発言でユーロ買いが起きていたが、市場後半に始まった米国ニューヨーク市場で発表された前述の米経済指標の8月消費者信頼感指数が大幅上昇したことや米長期金利の上昇を受けて、主要通貨に対する大幅なドル高となり、ユーロドルは再びパリティ(等価)割れの0.9983付近に一時下落した。

ただし、欧州ユーロ圏の最新経済指標のドイツの8月の消費者物価指数(CPI)は、前月比が前回0.9%と市場予想の0.3%に対して0.3%だったが、前年比が前回の7.5%と市場予想の7.8%に対して7.9%で、市場予想を上回る上昇率であったことでは、欧州中央銀行(ECB)理事会が来月9月に通常の3倍の0.75%の大幅利上げをする予想が優勢で、ユーロ買いも起きていたおり、今朝までの米国ニューヨーク市場では、ユーロ円は日欧金利差拡大予想で円安ユーロ高、ユーロドルもドル安ユーロ高の範囲であった。

今日の午後に発表された欧州経済指標のドイツの7月輸入物価指数、8月失業者と失業率、フランスの8月消費者物価指数、7卸売物価指数、7月消費支出、4〜6月期国内総生産とユーロ圏の8月消費者物価指数などを受けては、前回と予想以下または予想通りのデータもあり、ユーロが一時買われても利益確定売りなどで直後に今朝の日本市場開場時よりも下げており、結果的に安全資産のドルや円に対して前日比ユーロ安で東京終値を迎えた。

その後の18時に今夜の欧州市場で発表された欧州ユーロ圏の重要経済指標の8月の消費者物価指数(HICPコア指数)速報値は、前年同月比が前回の4.0%と市場予想の4.1%よりも悪化の4.3%で、前年同月比でも前回の8.9%と市場予想の9.0%に対して9.1%で、欧州インフレ悪化による利上げ予想のユーロ買いで等価割れを一時脱すると、欧州景気懸念によるユーロ売りで再び等価割れに下げていた。

今日の英ポンドは、今夜17時の東京外国為替市場の円相場の終値は161円34〜40銭で、前日同時刻比で約39銭の円高ポンド安であった。

昨夜の英国ロンドン市場と米国ニューヨーク市場での米長期金利上昇時には、主要通貨に対する全面ドル高の影響で、景気懸念の英ポンドもドルに対して下げており、ポンドドルは一時1.1622ドル付近の2020年3月以来の安値を記録した。その後の今日の日本市場では抵抗も入ったものの、低リスク通貨の円に対しても前日比で円高ポンド安で終値をつけた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月31日の日本時間(JST)19時21分(英国夏時間(GMT+1)11時21分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:21の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 138.77 〜 138.78 +0.32(円安)
ユーロ/円 138.56 〜 138.58 -0.28(円高)
ユーロ/ドル 0.9984 〜 0.9985 -0.0044(ドル高)
英ポンド/円 161.34 〜 161.40 -0.39(円高)
スイスフラン/円 141.80 〜 141.86 -0.62(円高)
豪ドル/円 95.15 〜 95.19 +0.04(円安)


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