FXニュース:米長期金利上昇時の日米金利差拡大の円安ドル高の影響

2022年8月22日
FXニュース:米長期金利上昇時の日米金利差拡大の円安ドル高の影響

 

東西FXニュース – 2022年8月22日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • FRB高官リッチモンド連銀バーキン総裁発言等で米利上げ継続予想が優勢
  • 日経株価下落時のリスク回避の低リスク通貨の円買いでは一時抵抗も
  • 史上最悪の独生産者物価指数上昇率で欧州景気懸念のユーロ売りドル買いが

今日2022年8月22日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が137円44銭前後から高値136円78銭前後の値動き幅約66銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は136円83〜84銭前後で、先週末金曜17時の前営業日の東京終値の136円71〜72銭前後と比較すると、約13銭の円安ドル高であった。

原因はまず、先週末の米国ニューヨーク外国為替市場で、日米金利差拡大での円安ドル高が進行し、約3週間ぶりと言われる137円台の円の安値を記録した時の影響があった。

先週金曜の東京市場終了後、米国時間で同日の講演で米連邦準備理事会(FRB)メンバーの米リッチモンド連銀のバーキン総裁が、「米国インフレ率を目標の2%に戻すためには、あらゆる手段を取る」と強気の発言し、積極的な米利上げ継続予想が強まった。それまでには7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨発表後に米利上げ減速予想も一時浮上していたが、ここ最近の米連邦準備理事会(FRB)関係者の相次ぐ米利上げ継続発言により、米債券市場では米長期金利が一時2.99%に上昇し、約1カ月ぶりの高水準をつけたことで、日米金利差拡大と拡大予想でのドル買い円売りが優勢になった。

また、前回の東西FXニュースでもお知らせした通り、先週金曜の午後に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新の経済指標の7月の生産者物価指数(PPI)が前月比で前回と市場予想の0.6%を遥かに超える5.3%上昇し、前年同月比で37.2%も上昇していた件が、ドイツ史上最悪のインフレ上昇率であることが欧米のニュースで話題入りし、ロシアからドイツへの天然ガス供給不足の欧州エネルギー問題などで、更なる欧州インフレ悪化の景気懸念が強まり、世界的に流動性が高くまた最近の米経済指標の堅調さから安全資産のドル買いのユーロ売りや英ポンド売りが優勢で、主要外貨に対するドル上昇も円相場に波及し、円安ドル高が進行した。

そのため、先週末の日本時間で土曜の朝の米国ニューヨーク外国為替市場では、ドル円相場が一時137円22銭付近の7月27日以来の円安ドル高の水準を記録し、安値での円買い抵抗もやや入ったものの、136円95銭~137円5銭の前日同時刻比で約1円10銭の大幅な円安ドル高で終値をつけ、4営業日連続での対ドル円相場の続落の円安ドル高になっていた。

今週、そのトレンドを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場と、同じ時間帯の世界市場でも、今週7月25〜27日の国際経済シンポジウムのジャクソンホール会議で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も、他の関係者に続き利上げ継続姿勢を取るという予想が強まっており、今朝は日米金利差拡大予測のドル買い円売りが優勢であった。

また、同時間帯のアジア市場では、先週末に日本の岸田首相が新型コロナに感染したというニュースを受けて、日本の政治の先行き不安による円売りもあった。

今朝は日本市場でも、米国のインフレ上昇率が以前の9.1%から8.5%付近に高止まりをしてきたとはいえ、記録的な米国インフレが米連邦準備理事会(FRB)の目標とする2%に達するにはまだ時間がかかるという予測から、来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での積極的な米利上げ継続予想が優勢になり、米長期金利が更に上昇し、一時3.0%の高水準を記録したことから、日米金利差拡大予想の円売りドル買いの強まりで、今朝11時過ぎに一時137円44銭付近の今日の東京市場でのドルの高値で円の安値を記録した。

しかし、日本市場と時間帯の近いアジア市場では、最近の米中関係の悪化から、世界的な安全資産の米ドルよりも低リスク通貨の円買い傾向があった中国中央銀行の人民銀行が、中国経済回復のために今日利下げを発表し、安値になった円がリスク回避や持ち高調整等でやや買われ始めた。

また、今日の日本市場の午後には、日経平均株価が下落し、28,794円50銭で前営業日比135円83銭安になったことから、日本株安時のリスク回避で、安値になっていた低リスク通貨の円が買われての大きな円安抵抗が起きた。

加えて、午前中には一時3%台に上昇していた米長期金利も、日本時間の午後の取引で2.9%台後半に高止まりをしてやや下げたことから、日米金利差縮小時の安値の円買いと高値のドルの利益確定売りなどの抵抗が更に強まり、午後にドルは今日の上昇幅を下げていった。

日本市場の午後に時差で朝の欧州英国市場が参入すると、米長期金利上昇幅の低下により、それまでのユーロ売りのドル買いも弱まり、高値でのドルの利益確定売りの抵抗が入った。

また今週は前述のジャクソンホール会議での注目のパウエル議長の発言の他にも、明日火曜の夜に最新の米国購買担当者景気指数(PMI)や8月リッチモンド連銀製造業指数、木曜の夜に米国の4〜6月期四半期実質国内総生産(GDP)などの発表も予定されているために、持ち高調整も入っている。

ユーロは、前述の欧州エネルギー問題や史上最悪のドイツの7月生産者物価指(PPI)上昇率の記録等から、欧州インフレ悪化による景気懸念のユーロ売りの安全資産のドル買いが先週末の欧州英国市場や米国ニューヨーク市場で優勢で、大幅なドル高ユーロ安であった。

その一方で、高インフレによる欧州中央銀行(ECB)の利上げ予想では欧州債利回りが上昇していたことから、金利抑制の日本銀行(日銀)との金融政策の方向性の違いから、日欧金利差拡大予想での円売りユーロ買いが入っており、前週末の米国ニューヨーク市場の終値では円安ドル高の影響もあり、ユーロの円相場は137円40~50銭付近で、前日同時刻比で約35銭の円安ユーロ高であった。

しかし、今日の午後の日本市場では、リスク通貨のユーロ売りの低リスク通貨の円の買い戻しなども入っており、対ユーロの円相場は午後から大きく上昇し、17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場は136円84~86銭で、先週末金曜17時の前東京終値比では約1円5銭の大幅な円高ユーロ安に市場反転した。

ただし、今日は日本市場でもユーロドルは、欧州景気懸念の安全資産のドル買いが継続し、一時7月14日以来の1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)割れの、1ユーロ=0.9995ドルを記録し、今夜17時の東京外国為替市場の終値も1.0000~1.0001ドルの等価付近で、前営業日同時刻の東京終値比で約0.9セントのドル高ユーロ安であった。

英ポンドも先週金曜に発表された最新の英国経済指標の8月消費者信頼感指数が前月比で低下しており、既に10%超えの西欧最悪の英国のインフレ率が、今年の春に続いて今秋予定の再度の電気代大幅値上げの英エナジーショック第2弾で悪化する英国のリセッション(景気減退)懸念が強まっており、リスク回避で英ポンド売りの安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いで欧州通貨同様に下げており、今夜17時の東京外国為替市場の英ポンドの円相場は161円34〜40銭付近で、前営業日同時刻の東京終値比で約50銭の円高ポンド安で今日の終値をつけた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月22日の日本時間(JST)19時5分(英国夏時間(GMT+1)11時5分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:05の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.79 〜 136.81 +0.13(円安)
ユーロ/円 136.88 〜 136.90 -1.01(円高)
ユーロ/ドル 1.0005 〜 1.0007 -0.0085(ドル高)
英ポンド/円 161.46 〜 161.52 -0.38(円高)
スイスフラン/円 142.60 〜 142.66 -0.16(円高)
豪ドル/円 94.53 〜 94.57 +0.41(円安)


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