FXニュース:世界インフレ圧で米長期金利上昇時の日米金利差拡大が影響

2022年8月18日
米小売売上高の市場予想超えの上昇率では米景気懸念が一時減退、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では一時ドル売りも、英消費者物価指数(CPI)10.1%上昇で世界的なインフレ圧懸念が....

 

東西FXニュース – 2022年8月18日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米小売売上高の市場予想超えの上昇率では米景気懸念が一時減退
  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では一時ドル売りも
  • 英消費者物価指数(CPI)10.1%上昇で世界的なインフレ圧懸念が

今日2022年8月18日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が135円42銭前後から高値134円73銭前後の値動き幅約69銭で、今夜17時の東京外国為替市場終値は135円26〜27銭前後で、昨夜17時の前東京終値の134円84〜86銭と比較すると、約43銭の円安ドル高であった。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨日の東西FXニュースでもお知らせした最新の英国経済指標の英国消費者物価指数(CPI)前年同月比7月分の上昇率が市場予想超えの10.1%という約40年ぶりの高インフレであったことから、世界的なインフレ圧が意識され、英国や欧州ユーロ圏ドイツなどの国債利回りが上昇した影響で、米10年債利回りが指標となる米長期金利も一時2.9%台に上昇し、日米金利差拡大でのドル買い円売りが優勢であった。

また、米国市場で発表された最新の米国経済指標の7月の米小売売上高は、季調済の前月比は前回と同じ6828億ドルで横ばいであったが、車社会の米国で買い溜め後の買い控えの需要低下などもあり、米週間石油在庫統計でガソリン在庫減少率が減少していたことでも分かる様に米国での最近のガソリン価格の低下などもあり、コア前月比はマイナス0.1%の市場予想に反してプラス0.4%の上昇率で、米景気懸念が一時後退し、ドル買いも起きた。

ただし、その後に発表された米週間石油在庫統計では原油在庫は減少が目立ち、上昇していた米長期金利が安全資産の国債買いで一時低迷した際には、一時抵抗も混ざった。

今朝未明に発表された米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、物価安定の目標のために過剰な利上げを進めることでのリスクの可能性についても議論され、利上げ効果を検証しながら、どこかの時点で利上げペースを減速することが適切になると合意していたことが判明したことでは、タカ派の積極的な大幅利上げ継続予想による日米金利差拡大予想の一時減退で、発表前に135円台中盤に上昇していたドルは発表後に売られて一時134円79銭付近に急落し、円相場への影響が顕著であった。

しかし、0.75%の大幅米利上げ継続予想は、今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨発表を受けて過半数以下に一時減退したものの、米連邦準備理事会(FRB)関係者の発言などからは、0.5%の利上げ継続予想が過半数超えの優勢で、すぐに市場安値でのドルの買い戻しも入った。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク市場のドル円相場は、円の安値135円50銭付近から高値134円79銭付近の値動きで、135円5~15銭の前日同時刻比で約85銭の円安ドル高で今朝6時頃のニューヨーク終値をつけていた。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の利上げペース減速の可能性を受けて、米長期金利が一時低迷していたことなどから、今朝9時からドルが売られて10時前に今日の日本市場の円相場でのドルの安値の134円73銭付近に一時下げた。また、今朝の仲値決済は、輸入系と輸出系の売買が交錯した。

しかし、日本市場でも0.75%から0.5%の米利上げ幅に市場予想が一時減退したものの、米利上げ継続予想自体は優勢で、今日の安値圏になったドルは再び買われて上昇した。

日本市場の午後には、時差で朝の欧州英国市場の参入もあり、世界的なインフレ圧を受けて米長期金利が再上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いで、135円42銭付近の今日の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今日の日経平均株価は下落しており、午後15時台に28,942円14銭の前日比280円63銭減のマイナスで大引けしたために、安値で日本の株安時のリスク回避の低リスク通貨の円が買われる抵抗も入った。

そのため、17時の今日の東京外国為替市場終値は135円26〜27銭前後で、前日同時刻比で約43銭の円安ドル高になった。

今夜この後に発表予定の米国経済指標は、21時半の8月の米フィラデルフィア連銀製造業景気指数、週刊の前週分米新規失業保険申請数、前週分米失業保険継続受給者数と、23時に7月米中古住宅販売件数、7月米景気先行指標総合指数などで、世界のFX投資家達に注目されている。

今日のユーロの17時の東京外国市場の円相場での終値は137円45~48銭で、前日同時刻比で約42銭の円安ユーロ高であった。

昨夜の欧州市場でも、前述の世界的なインフレ圧を受けた欧州債の利回り上昇で、金利抑制の日本との日欧金利差拡大予想のユーロ買い円売りが起きていたが、今日の日本市場ではご午後の欧州市場の参入までは今日は比較的横ばいに近い値動きであったために欧州トレンドの影響が色濃く出た。また、ドルなどの他の主要外貨に対する今日の円安も波及した。

ユーロ対ドルは、同時刻17時には1.0162~1.0163ドルで、前日比で約0.04セントのドル高ユーロ安だった。

昨夜の欧州市場でも、欧州エネルギー問題に加えて、元EU(ユーロ圏ではなかったが欧州連合)で今でも関係性の強い英国での予想以上のインフレ悪化の影響で、欧州景気懸念のリスク回避でユーロが売られて、安全資産のドルに対して下げていたが、米国市場での米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨発表後にはドル売りユーロ買いの抵抗も入り、米長期金利再上昇時には米欧金利差拡大で再びドルが買われてユーロが買い戻されるなど、横ばいに近い動きも見られた。

また、今夜17時の東京市場の終値の後の18時に、欧州市場で発表された欧州の最新の経済指標の欧州ユーロ圏7月消費者物価指数は前年比8.9%とコア前年比4.0%で、前回と同じで市場予想通りの横ばい値であった。

英国ポンドは、前述の通り、7月の英国消費者物価指数(CPI)上昇率が既に10%超えで、英国のインフレ悪化が市場予想よりも早くやってきたことで、今日の日本市場では英国景気懸念のポンド売りの低リスク通貨の円買いの方が日英金利差拡大予想のポンド買い円売りよりもやや優勢で、17時の今日の東京外国為替の円相場の終値は162円70〜76銭で前日比で約5銭の円高ポンド安であった。

しかし、その後の欧州市場では、高インフレを受けての英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の利上げ予想による日英金利差拡大予想でポンド買い円売りの方が優勢になり、19時までには前日比で円安ポンド高に市場反転している。

オーストラリアの豪ドルは、豪統計局の最新経済指標の7月の新規雇用者数と失業率が今日発表され、雇用者数が市場予想に反して減少していたことで豪ドル売りが起きており、17時の今日の東京外国為替の円相場の終値は93円63〜67銭付近で、前日同時刻比で約4銭の円高豪ドル安であった。しかし、外貨への円安の波及で、豪ドルに対してもその後の欧州市場では19時台には前日比で円安豪ドル高に市場反転していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月18日の日本時間(JST)19時19分(英国夏時間(GMT+1)11時19分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:19の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 135.19 〜 135.20 +0.40(円安)
ユーロ/円 137.49 〜 137.51 +0.46(円安)
ユーロ/ドル 1.0169 〜 1.0171 +0.0003(ドル安)
英ポンド/円 163.12 〜 163.18 +0.37(円安)
スイスフラン/円 141.87 〜 141.93 -0.05(円高)
豪ドル/円 94.09 〜 94.13 +0.42(円安)


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