FXニュース:米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨前の日米金利差拡大予想

FXニュース:米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨前の日米金利差拡大予想

 

東西FXニュース – 2022年8月17日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日銀マイナス金利で米連邦準備理事会(FRB)と金融政策の違いも意識
  • 日本の7月貿易統計が資源高などで12カ月連続の大幅赤字の継続に
  • 英国中央銀行(BoE)利上げ継続予想のポンド買いと景気懸念抵抗も

今日2022年8月17日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が134円85銭前後から高値133円91銭前後の値動き幅約94銭で、今夜17時の東京外国為替市場終値は134円84〜86銭前後で、昨夜17時の前東京終値の133円65〜66銭と比較すると、約1円19銭の大幅な円安ドル高であった。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、米連邦準備理事会(FRB)が前回0.75%の大幅利上げを決定した7月26~27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を米国時間の今日の午後(日本時間では時差で明朝3時)に発表する予定で、関係者の発言等でのタカ派予想での持ち高調整や米株高時の安全資産の米国債売りなどから、米ニューヨーク債券市場で米長期金利が一時2.8%台後半に上昇し、かねてからの円安要因の日米金利差拡大によるドル買いと円売りが優勢になった。

米国市場では、先日の米経済指標を受けて米国インフレのピークアウト感による利上げ減速予想も起きてはいたが、米連邦準備理事会(FRB)の物価目標にはまだほど遠いとの関係者が指摘した発言などから、米連邦準備理事会(FRB)が次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも積極的な利上げ継続を続ける予想が優勢で、金利抑制の大規模緩和金融政策を粘り強く続ける日本銀行(日銀)との日米の金融政策の方向性の違いが意識され、日米金利差拡大予想のドル買い円売りも起きた。

昨夕に日本銀行(日銀)がみずほ銀行の当座預金残高にマイナス金利を適用したニュースが話題入りしていたが、日銀が発表した当座預金残高では7月16日~8月15日に都市銀行が預けていた平均値で約189兆円の当座預金のうち、9030億円にマイナス金利が適用されており、欧州英国市場や米国市場でも海外ニュースになり、世界的な利上げブームの中で、金利抑制の逆方向を行くマイナス金利の日銀の金融政策との違いが改めて意識されていた。

今朝までの米国市場中に発表された最新米国経済指標では、米住宅着工件数は前回の155.9万件(改定159.9万件)と市場予想の154.5万件に対して144.6万件に減っていたが、米住宅建築許可件数は前回の168.5万件(改定169.6万件)と市場予想 の165.5万件に対して167.4万件に増えていた。また、前回マイナス0.2%だった米鉱工業生産指数も、市場予想の0.2%を超える0.6%にプラス転換で伸びたことでは、米景気減退懸念が後退した。

米株式市場では米株価が上昇し、ダウ工業株30種平均は5営業日続伸で、米株高時のリスクオン市場では、低リスク通貨の円売りのドルの買い戻しも円相場下落に影響を与えた。

そのため、今朝までのニューヨーク外国為替市場の円相場は円の安値134円68銭前後から高値134円19銭前後の値動きで、今朝6時のニューヨーク終値が134円20~30銭付近で、前日比で約95銭の円安ドル高であった。

そのトレンドを引き継いで始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、朝10時前の仲値決済に向けては日本企業の輸入実需もあり、ドルが買われて上昇し、9時台に134円43銭付近に達したが、その直後には輸出企業のドル売りや利益確定や持ち高調整のドル売り円買いの抵抗が入り、11時台には一時133円90銭付近の今日のドルの安値を記録したが、再び日米金利差拡大予想や持ち高調整でドルが買われた。

日本の最新の経済指標では、今朝財務省が発表した7月の通関ベースの貿易収支は、前回の−1兆3838億円(改定−1兆3985億円)と市場予想の−1兆3863億円に対して−1兆4368億円の大幅赤字で、季調済も前回の−1兆9289億円(改定−1兆9500億円)と市場予想の−1兆9415億円に対して−2兆1333億円の貿易赤字継続で、資源高などの影響もあり、今回で12カ月連続の赤字であった。しかし、日本の貿易赤字リスク要因の原油価格が最近は下げていたため、発表直後の低リスク通貨の円売り反応は限られていた。

しかし、今日は日経株価も大きく上昇しており、午後15時台に29,222円77銭の前日比353円86銭増で大引けすると、低リスク通貨の円が売られて、同じ頃に時差で朝の欧州英国市場の参入でも日米金利差拡大予想や安全資産でドルが買われたことから、ドルが再び大きく上昇し、15時台の134円台前半から17時までに134円台後半に上昇した。

そのため、今夜17時の東京外国為替市場のドル円相場の今日の終値は134円84〜86銭前後で、前日同時刻の前東京終値比で約1円19銭の大幅な円安ドル高になった。

日本市場でも明日の朝の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の発表を控えての持ち高調整も入っており、今夜この後には米国経済指標のMBA住宅ローン申請指数、7月小売売上高、6月企業在庫の発表も控えており、その後に話題の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が発表されるため、世界の投資家達が最新のFXニュースに注目しており、値動きが予想での持ち高調整が進んでいる。

今日はユーロも円相場で上昇し、17時の今日の東京外国為替市場の終値は137円07~10銭付近の前日同時刻比で約1円29銭の大幅な円安ユーロ高だった。

原因は、日米金利差拡大の円安と同じ頃の昨夜の欧州市場で欧州債利回りも上昇しており、日欧金利差拡大でのユーロ買い円売りが優勢になった。今日のドルに対する円安が波及したことや、日経平均株価上昇時のリスクオンの低リスク通貨の円売りでドルだけでなくユーロも買われたことなども円相場に影響した。

今夜17時の東京外国為替市場の終値ではユーロは対ドルでも反発し、1.0165~1.0166ドル付近で前日同時刻比0.06セントのドル安ユーロ高に市場反転していた。

ただし、昨夜の欧州市場では、欧州エネルギー問題による欧州景気懸念や、欧州経済研究センター(ZEW)発表の8月のドイツの景気予測指数が低下していたことではユーロ売りの安全資産のドル買いが起きて、ドル高ユーロ安であった。

しかし、今日はこの後に発表予定の米国最新経済指標の米小売売上高や米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の米ドルのイベントリスクや持ち高調整で、ユーロの買い戻しが優勢になり、市場反転に繋がった。

今日の日本市場終了後の18時には、朝の欧州市場で欧州ユーロ圏の4〜6月の第2四半期の実質GDPの改定値が発表され、前期比は前回の0.7%と市場予想の0.7%に対し、結果0.6%であった。

英国ポンドは17時の今日の東京外国為替市場の円相場は163円3〜9銭付近で、前日同時刻比では約65銭の円安ポンド高であった。

昨夜の英国ロンドン市場でも、マイナス金利適用で金利抑制の方向の日本銀行(日銀)と比較して、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の利上げ継続予想が優勢で、日英金利差拡大予想での円売りポンド買いが起きていた。

ただし、今日の午後に発表された最新の英国経済指標の7月消費者物価指数(CPI)は、前月比が前回の0.8%と市場予想の0.4%に対して0.6%で、前年比は前回の9.4%と予想の9.8%に対して10.1%で、コア指数の前年比も市場予想以上に悪化しており、既に主要通貨で最悪の英国の物価高インフレが市場予想以上の悪化を示したことで、英国景気懸念からは大幅なポンド高にはならなかった。

同時発表の最新の英国の小売物価指数(RPI)も、前月比が前回の0.9%と市場予想の0.6%に対して0.9%で、前年比は前回と市場予想以上に悪化しており、日英金利差拡大予想でのポンド買いと、英景気懸念のポンド売りの抵抗要因が観測できた。

オーストラリアの豪ドルは、17時の東京終値は94円5〜9銭で、前日比で約26銭の円高豪ドル安であった。中国景気や世界景気懸念では豪ドルは、低リスク通貨の円に対して売られていた。今日はオーストラリアの最新経済指標の4〜6月期の四半期賃金指数が発表されたが、前回と同じ0.7%で市場予想の0.8%には届いていなかった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月17日の日本時間(JST)19時31分(英国夏時間(GMT+1)11時31分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:31の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 134.82 〜 134.83 +1.17(円安)
ユーロ/円 137.16 〜 137.21 +1.38(円安)
ユーロ/ドル 1.0172 〜 1.0174 +0.0013(ドル安)
英ポンド/円 163.13 〜 163.19 +0.75(円安)
スイスフラン/円 141.66 〜 141.72 +0.30(円安)
豪ドル/円 93.79 〜 93.83 -0.52(円高)


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