FXニュース:株安時の安全資産の米国債買いで米長期金利一時低下しドル売りが

2022年5月10日
FXニュース:日米金利差拡大で今日131円35銭の今年の円安ドル高記録を更新


東西FXニュース – 2022年5月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 昨日3.2%の米長期金利が今日一時3%以下に下落し今日の円安一時抵抗要因に
  • 今夜バイデン米大統領インフレ対策と明日4月米消費者物価指数(CPI)発表を控え
  • 日本銀行は今日の内田理事発言でも金利抑制の大規模緩和継続

今日2022年5月10日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは、9時から17時までの東京外為取引時間の円の安値が130円58銭前後から高値129円80銭前後の値動き幅78銭程で、今日17時の東京市場終値は130円34〜36銭で前日比では約86銭の円高ドル安だった。昨日の一時131円34.4銭で131円35銭に近い記録的な円安ドル高からの、一時抵抗が今日は見られた。

原因は、昨日には一時3.2%付近まで上昇して日米金利差拡大による円安ドル高要因となっていた米長期金利が、今朝未明の米国ニューヨーク市場で米インフレや世界景気不安からの米株安時のリスク回避の安全資産としての米国債買いなどで一時低下しており、今朝の日本時間10日午前の取引では一時は3%を下回り、日米欧金利差拡大幅の縮小から、対円や多通貨に対してドルが売られて下落していたことがまず影響した。

今朝の閣議後会見では、鈴木俊一財務相が、再び「最近の急速な円安は望ましくない」と、発言しており、持ち高調整などでの安値での円買いを助長したほか、今朝は米株安の影響で日経平均株価も一時下落しており、投資家のリスク回避で低リスク通貨の円買いも起きていた。今朝10時頃の仲値決済でも、今日は日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10の付く「五十日」の10日にあたり、多少の輸入実需はあったものの、大手輸出企業などから高値圏でドルが売られて円が買われる動きや、先述の持ち高調整の影響が出ており、今朝10時過ぎには、今日の円の高値の129円80銭付近まで円が買われていた。

しかし、今日の参院財政金融委員会では、日本銀行(日銀)の内田真一理事が、「長短金利操作のイールドカーブ・コントロール(YCC)の長期金利変動幅の拡大は、事実上の利上げとなり日本経済に望ましくない。長期金利ゼロから0.25%の日銀の金利誘導目標を変更することは考えていない」等と発言し、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の継続姿勢が再認識されたことは、再び円安ドル高方向の動きを助長する影響を及ぼしていた。

また、今日のその後は米10年債利回りが2.97%台から午後には3.04%台まで回復したことを受けて、11時過ぎには130円47銭付近にまで反発し、14時半頃にも今日の円の安値の130円58銭付近までドルが買い戻されたが、前日ほどの米長期金利上昇にはまだ至っていなかったため、今日の東京市場の終値は前日比では円高となったが、大きな流れとしては円安ドル高が進んでおり、今日の終値は一時抵抗と見る専門家も多い。

昨夜から今朝未明の米国ニューヨーク市場では、米連邦準備理事会(FRB)関係者のミネアポリス連銀のカシュカリ総裁やアトランタ連銀のボスティック総裁の昨夜の発言で、FRBや米政府がインフレ抑制のために積極的な金融引き締めを進めるという予想が強まり、ドル買いも入ったものの、今朝早朝に2018年以来の記録的な高水準に達していた米長期金利が下げると、ドルが売られて円や外貨が買い戻された影響を今日は引き継いでいた。

しかし、米国現地時間で今日この後(日本時間では時差で今夜深夜過ぎ0時半)から、バイデン米大統領の米インフレ対策に関する政策発表が予定されており、イベントリスクからそれまでは派手な売買を控える慎重な米投資家の動きも見られた。

ユーロも、昨日の上昇の抵抗と今日は長期化するロシアのウクライナ侵攻の影響でG7共同声明後のロシア産原油輸入禁輸へのエネルギー問題などのリスク回避売りなどが入り、ドイツ長期金利一時上昇時には買いも入ったが、今日発表の欧州やドイツの5月ZEW景況感調査(期待指数)などの景気指標も前回や予想ほどのマイナスではなかったがマイナスだったので、今日の東京終値17時は、137円64〜65銭で前日比では27銭の円高ユーロ安であった。

英ポンドも、今日発表された英国の景気経済指標の4月英小売連合(BRC)小売売上高調査(前年同月比)が、前回の-0.4%に比べて今回-1.7%で、英インフレ悪化の英景気先行き不安感から、低リスク通貨の日本円でリスクオフする動きもあり、今日の東京市場終値17時は、160円56〜62銭で前日比11銭の円高ポンド安だった。

オーストラリアドルは、今日公表された4月NAB企業景況感指数が前回18(修正15)に対して20で一時上昇していた時間帯もあったが、先日の利上げ時に上昇してから新規材料不足で下げていた分や、今日の持ち高調整の円買いの影響で、前日終値とレンジに近い90円53〜57銭の前日比わずか1銭差の円高豪ドル安で、今夜17時の東京外国為替市場終値を迎えていた。

尚、日本時間で明日の夜21時半にも米国では重要な景気経済指標の4月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、明日の夕方17時にも欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁の発言なども予定されているので、今後も最新のFXニュースによる値動きの影響には注意が必要である。

今日の東西F Xニュース執筆終了時の2022年5月10日の日本時間(JST)19時19分(英国夏時間(GMT+1)11時19分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:19の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 130.10 〜 130.11 -1.10(円高)
ユーロ/円 137.20 〜 137.22 -0.71(円高)
ユーロ/ドル 1.0545 〜 1.0546 +0.0034(ドル安)
英ポンド/円 160.36 〜 160.42 -0.31(円高)
スイスフラン/円 130.48 〜 130.54 -0.63(円高)
豪ドル/円 90.44 〜 90.48 -0.10(円高)


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