信託保全


FX(外国為替証拠金取引)の信託保全とは、FX業者が、顧客から預託された保証金を保全するために金銭信託することです。顧客から預託された保証金は、「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」によって、全額を金銭信託することが義務化されています。

信託保全により、FX業者が破綻した場合でも顧客の資産は守られ、返還請求ができます。信託保全の仕組みは次の通りです。

FX業者は、証拠金として顧客から入金されたお金を受益者代理人(弁護士)のチェックを受けた上で銀行、信託銀行などへ預け入れます。入金額が10万円ならば、10万円を銀行、信託銀行などへ預け入れます。

取引などによって顧客の資産が変動した場合には、受益者代理人(弁護士)のチェックを受けた上でその金額分が銀行、信託銀行などへ預け入れられます。例えば、顧客が取引によって1万円の利益を出して、スワップポイントで2,000円を受け取った場合には、銀行、信託銀行の残高が11万2,000円になります。

もし、FX業者が破綻した場合には、顧客は受益者代理人に対して返還請求を行います。受益者代理人は、銀行、信託銀行から顧客の資産を受け取り、顧客へ返還します。顧客が直接、銀行、信託銀行へ請求することはできません。

なお、返還額は100%ではありません。返還額は、銀行、信託銀行に保管された金額から経費を差し引いた金額を按分したものになります。

また、一般的には顧客の資産は2営業日後に反映されるため、利益が出たその日にFX業者が破綻した場合には、その利益分は返還対象にはなりません。