FX週刊ニュース(8月4週)|米ドル/円:133円台前半で取引を開始した1週間。激しいドル高円安は相場は終了か?

2022年8月22日
FX週刊ニュース(8月4週)|米ドル/円:133円台前半で取引を開始した1週間。激しいドル高円安は相場は終了か?

東西FX週刊ニュース – 2022年8月22日

高田 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米ドル/円:133円台前半で取引を開始した1週間。激しいドル高円安は相場は終了か?
  • ユーロ/米ドル:ユーロの弱さが目立った1週間。来週はパリティ割れか?
  • 英ポンド/米ドル:戻り売りが加速した英ポンド/米ドル。1.20ドルを割り込み1.19ドル台半ばまで下落。
  • 豪ドル/米ドル:底硬い豪ドル。唯一の懸念は中国とアメリカの関係悪化か。
  • 中国とロシアが蜜月な関係か?中国ロシアからエネルギー輸入増加続く。
  • 週末に最安値をつけた金価格。今後は下落トレンドか?

  • 米ドル/円:133円台前半で取引を開始した1週間。激しいドル高円安は相場は終了か?

週明け15日、東京外国為替市場では、米ドル/円は1ドル=133円台前半で推移した。FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げペースの鈍化観測を背景に、朝方はドル売り・円買いが優勢となり、午前中には一時133円を割り込んだ。同水準ではドルを買い戻す動きが強まり、ドル・円は下げ幅を縮小したが、積極的に上値を追うような動きはみられず、午後は133円台前半でもみ合った。

16日の東京外国為替市場では、米ドル/円は昨日の金額そのまま1ドル=133円前後でスタートした。弱い米経済指標が目立ったことが、米景気に対する懸念となった。FRB高官からはインフレを警戒した発言が多く、FRBの積極的な金融引き締め姿勢に変わりはないとの見方がこのような形となったと思われる。

17日の東京外国為替市場では、翌日より若干ではあるが円安ドル高となり、米ドル/円は1ドル=134円台前半でスタートした。また当時夜に発表される、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨の公表を前にポジション調整によるドル売り・円買いが先行。また、NZ中銀が政策金利の引き上げを発表すると、NZドルに対するドル売りが対円にも波及し最終的にドル・円は一時132円近辺まで下落した。その後はほぼ横ばいとなり最終的に再び1ドル=133円前後に戻った。18日の東京外国為替市場は、米ドル/円は2円前後円安ドル高となり1ドル=135円台前半で推移した。FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨での米利上げペースの鈍化観測を受けたドル売り・円買いが先行、午前10時前に一時134円75銭近辺まで下落した。その後、日経平均株価が下げ幅を縮めたことからドル・円も下げ渋ったが、米長期金利の上昇が一服したこともあって積極的な動きはみられず、ドル・円は135円台に乗せるとドル買いの勢いも弱まり、上値の重い展開となった。

19日の東京外国為替市場では、今週初めてとなる1ドル=136円台前半で推移した。取引初めの午前中は、実需のドル買い・円売りが優勢出会ったが徐々にプラス圏で推移していた日経平均株価が利益確定売りでマイナス圏に沈むと、ドル・円の上値も次第に重くなり、方向感の乏しい展開となった。

米ドル/円は先月は140円に迫る勢いであったが、8月に入ると相場は落ち着き、130円前後まで10円近く下落し、多くの専門家は激しい円安ドル高相場は今後落ち着いてくるのではないかとの意見が多く見られる。

  • ユーロ/米ドル:ユーロの弱さが目立った1週間。来週はパリティ割れか?

週明け15日、ロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで下落し、英国時間16時時点は1ユーロ=1.0190~0200ドルと、前週末の同時点に比べ0.0050ドルのユーロ安・ドル高で推移した。エネルギー供給不安によるユーロ圏の景気悪化懸念から、欧州債利回りが低下しており、欧米金利差の拡大を意識したユーロ売り・ドル買いが優勢となっている。同日発表の中国の経済指標が市場予想を下回り、主要な貿易相手国である中国の先行き不透明感が高まったのもユーロ売り・ドル買いを促した。

16日のロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで下落し、英国時間16時時点は1ユーロ=1.0170ドルと、前日の同時点に比べ0.0020ドルのユーロ安・ドル高で推移した。天然ガス価格の上昇基調が続くなかユーロ圏景気の悪化が意識されやすい。16日発表の8月のドイツ景気予測指数が市場予想を下回ったのもユーロ売り・ドル買いを進めやすくした。

17日のロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで下落し、英国時間16時時点は1ユーロ=1.0160ドルと、前日の同時点に比べ0.0010ドルのユーロ安・ドル高で推移した。エネルギー不足への不安が根強いなか、高インフレによるユーロ圏の景気悪化が意識されやすく、ユーロ売り・ドル買いが優勢となった。

18日のロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで下落し、英国時間16時時点は1ユーロ=1.0120ドルと、前日の同時点に比べ0.0040ドルのユーロ安・ドル高で推移している。欧州の主要河川の水位低下が物流停滞を招き、供給制約によるインフレ長期化を見込む声が増えている。インフレが欧州景気を冷やすのを警戒したユーロ売り・ドル買いが優勢となっている。19日のロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで下英国時間16時時点は1ユーロ=1.0040~50ドルと、前日の同時点に比べ0.0080ドルのユーロ安・ドル高で推移したが、エネルギー価格の高騰がユーロ圏の景気を冷やすとの見方が根強く、ユーロ売り・ドル買いが優勢となった形である。

ユーロ圏経済の先行き不透明感から、ユーロ・ドルは1.01ドルを割り込み、米金利高に振れればユーロは一段安の可能性も十分に考えられる。再びユーロの弱さが目立つユーロ/米ドル相場。今週末には再びパリティ割れになるとの予測をしている専門家も多く見られる。

  • 英ポンド/米ドル:戻り売りが加速した英ポンド/米ドル。1.20ドルを割り込み1.19ドル台半ばまで下落。

週明け15日、ロンドン外国為替市場では英ポンドは対ドルで下落し、英国時間16時時点は1ポンド=1.2070~80ドルと前週末の同時点に比べ0.0040ドルのポンド安・ドル高で推移した。

16日、ロンドン外国為替市場では英ポンドは対ドルで上昇し、英国時間16時時点は1ポンド=1.2090~2100ドルと前日の同時点に比べ0.0020ドルのポンド高・ドル安で推移した。16日発表の英雇用関連指標は、労働需給の引き締まりが続いていることを示す内容だった。イングランド銀行(英中央銀行)が9月も大幅な利上げを続けるとの見方が強まり、ポンド買い・ドル売りが優勢となった形である。

17日早朝のロンドン外国為替市場では、英ポンドは対ドルで上昇して、英国時間7時時点では、1ポンド=1.2125~35ドルと前日の同16時時点と比べて0.0035ドルのポンド高・ドル安で推移している。一時は1.2139ドル近辺まで上昇した。

18日、ロンドン外国為替市場で英ポンドは対ドルで上昇に転じ、英国時間11時半時点は1ポンド=1.2060~70ドルと、前日の同16時時点と比べ0.0020ドルのポンド高・ドル安で推移した。英国のインフレ上振れでイングランド銀行(英中央銀行)による大幅な利上げが続くとの見方が強まるなか、英国債利回りが上昇し、ポンド買い・ドル売りが優勢となった。

19日、NY為替市場ではドル買いが強まる中、ポンドドルは戻り売りが加速し、重要な節目の1.20ドルを再び割り込んだ。ストップを巻き込んで1.19ドル台半ばまで下落した。

英中銀は先日の英中銀金融政策委員会(MPC)で量的引き締め(QT)を宣言したが、9月19日から週平均2億ポンドのペースで保有社債の売却を開始すると発表した。ペースは季節や市場の状況によって変動し、売却が進むにつれて調整される可能性があるとしている。

  • 豪ドル/米ドル:底硬い豪ドル。唯一の懸念は中国とアメリカの関係悪化か。

今週も先週に引き続き底固さを見せた豪ドル。1AUD=0.69USD前後で取引を終えた。

米国のインフレがピークアウトしたとの思惑が強まっていることで、米ドルの独歩高という状況は収まった。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)高官からは、大幅利上げ継続を示唆する発言が続いていることから、利上げ継続への期待が米ドルを支える一因となっている。国内経済が堅調な豪州は「RBAの大幅利上げにも耐えられる」との思惑が根強い。

そのため、豪ドルは対米ドルで「下げにくいが、大きく買われるほどの材料もない」状況となっている。豪ドル/米ドル、そして豪トドル/円相場は方向感が見出しづらく、次の材料を待っている状態だ。

今週は豪州にて注目経済指標の発表はされなかった。交易関係の強い中国では、7月小売売上高と同鉱工業生産が発表される。これらの指標の結果に豪ドル/円相場の方向感を決めるほどのインパクトはないが、短期的には結果の良し悪しに豪ドル/円は反応しそうだ。

現時点で豪ドル/米ドル唯一の懸念は、米国の議員団が台湾に到着し中国への圧力をかけていることだろう。これまでは米議員の訪台に対して、中国が強く反発することは少なかった。そのため、今回も過剰な反応はないことが予想される。しかし先日、ペロシ米下院議長が台湾を訪問した際には台湾近海で大規模な軍事演習を行うなど、激しく反発した。ペロシ下院議長の訪台直後というあまり良いとは言えないタイミングのため、間接的に豪ドル/米ドル相場にも影響を与える可能性は大きい。

  • 中国とロシアが蜜月な関係か?中国ロシアからエネルギー輸入増加続く。

中国が7月、ロシアから輸入した原油の量は、去年の同じ月を7%余り上回り、4か月連続で増加したことが発表された。中国がロシアとの貿易をこれまでどおり続ける考えを示す中で、エネルギーの輸入の増加が続いている。

中国の税関総署が20日に公表した統計によりますと、7月のロシアからの原油の輸入量は714万ドルと、去年の同じ月を7.6%上回っている。増加幅は前の月から僅かに縮小しましたが、4か月連続の増加となりました。また、LNG=液化天然ガスのロシアからの輸入量は40万トン余りと去年の同じ月に比べて20.1%増え、こちらも4か月連続の増加となりました。欧米などがロシアへの経済制裁を強化しているのに対して、中国はこれまでどおり貿易を続ける考えを示す中で、ロシアから中国への輸入額はことし1月から先月までの累計で去年の同じ時期のおよそ1.5倍と、エネルギーを中心に大幅に増加した形である。さらに7月は、輸出額も5か月ぶりにプラスに転じて、両国の貿易が活発になっていると指摘されており、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、中国とロシアの経済面でのつながりの今後の動向が焦点となっている。

  • 週末に最安値をつけた金価格。今後は下落トレンドか?

金価格が19日の取引で3週間ぶりの安値を付けた。足元のドル高と米利上げが継続するとの観測を背景に売られており、週間で5週間ぶりの下落となった。週末時点で金のスポット価格は0.3%安の1オンス=1752.89ドル。一時7月28日以来の安値となる1751.01ドルまで下落し、米国の金先物価格は0.3%安の1766.20ドルまで下落した。

金相場の専門家は「市場は金利がさらに上昇すると予想しており、足元はドル高が明らかに金相場の重しになっている」と指摘し、金相場の先安観から様子見姿勢が広がり、ETF(上場投資信託)にも解約売りが出ているとした。今後当分の間は、ドル高が続き、米金利のさらなる低下が限られる場合は、金が上昇していくのはより難しくなるものと考えられる。

今週の経済指標カレンダー
時間 経済指標(イベント) 通貨 重要度
月曜日 – 2022年8月22日
10:15 PBoC ローンプライムレート CNY
21:30 新築住宅価格指数 (前月比) (7月) CAD
火曜日 – 2022年8月23日
16:15 製造業購買担当者景気指数 (8月) EUR
16:15 サービス業購買担当者景気指数 (8月) EUR
16:30 造業購買部協会景気指数 (8月) EUR
16:30 サービス業購買部協会景気指数 (8月) EUR
17:00 製造業購買担当者景気指数 (8月) EUR
17:00 マーケット総合PMI (8月) EUR
17:00 サービス業購買部協会景気指数 (8月) EUR
17:30 総合PMI GBP
17:30 製造業購買部協会景気指数 GBP
17:30 サービス業購買部協会景気指数 GBP
19:00 CBI製造業受注指数 (8月) GBP
22:45 製造業購買管理者指数 (8月) USD
22:45 マーケット総合PMI (8月) USD
22:45 サービス業購買部協会景気指数 (8月) USD
23:00 新築住宅販売戸数 (7月) USD
23:00 新築住宅販売 (前月比) (7月) USD
水曜日 – 2022年8月24日
02:00 2年物中期米国債入札 USD
05:30 米国石油協会 週間原油在庫 USD
18:30 10年物独国債入札 EUR
21:30 コア耐久財受注 (前月比) (7月) USD
21:30 耐久財受注 (前月比) (7月) USD
21:30 卸売売上高 (前月比) CAD
23:00 中古住宅販売保留 (前月比) (7月) USD
23:30 原油在庫量 USD
23:30 クッシング原油在庫 USD
木曜日 – 2022年8月25日
02:00 5年物中期米国債入札 USD
07:45 小売売上高 (前期比) (Q2) NZD
15:00 国内総生産 (前期比) (Q2) EUR
15:00 国内総生産 (前年比) (Q2) EUR
17:00 景気予測 (8月) EUR
17:00 現況分析 (8月) EUR
17:00 IFO景況指数 (8月) EUR
19:00 フランス合計求職者数 EUR
20:30 ECBは、金融政策の会議のアカウントを発行した。 EUR
21:30 国内総生産 (前期比) (Q2) USD
21:30 GDP物価指数 (前期比) (Q2) USD
21:30 失業保険申請件数 USD
22:00 アメリカ ジャクソンホール シンポジウム USD
金曜日 – 2022年8月26日
02:00 7年物中期米国債入札 USD
08:30 東京都区部コア消費者物価指数(CPI) (前年比) (8月) JPY
08:30 東京都区部のコアコア消費者物価指数(CPI)
(前月比) (8月)
JPY
15:00 GfK独消費者信頼感指数 (9月) EUR
15:30 雇用水準 (Q2) CHF
21:30 コアPCE物価指数 (前月比) (7月) USD
21:30 個人消費支出価格指数コア (前年比) (7月) USD
21:30 良好な貿易収支 (7月) USD
21:30 個人消費支出物価指数 (前年比) (7月) USD
21:30 個人消費支出価格指数 (前月比) (7月) USD
21:30 個人支出 (前月比) (7月) USD
21:30 小売業在庫(自動車を除く) (7月) USD
22:00 アメリカ ジャクソンホール シンポジウム USD
23:00 ミシガン消費者信頼感見込み最終 (8月) USD
23:00 ミシガン大学消費者信頼感指数 (8月) USD
土曜日 – 2022年8月27日
04:30 米国商品先物取引委員会 英ポンド
投機的ネットポジション
GBP
04:30 CFTC原油の投機的なネットポジション USD
04:30 米国商品先物取引委員会 金
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 Nasdaq 100
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 S&P500
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 豪ドル
投機的ネットポジション
AUD
04:30 米国商品先物取引委員会 円
投機的ネットポジション
JPY
04:30 米国商品先物取引委員会 ユーロ
投機的ネットポジション
EUR
22:00 アメリカ ジャクソンホール シンポジウム USD


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