FXニュース:日韓政府為替介入警戒感
2025年12月24日
東西FXニュース – 2025年12月24日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米第3四半期GDP上振れ
- 米長期金利一時4.2%台
- 日韓政府為替介入警戒感
- 米株続伸も日経平均反落
- クリスマスイブの流動性
今日2025年12月24日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の156円29銭付近から、円の高値でドルの安値の155円56銭付近の値幅約73銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円76銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円7銭付近の前東京終値比で約31銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と市場時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為市場では、先週の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁の追加利上げに慎重な発言を受けて売られた円が、日本政府の片山さつき財務相らの為替介入を示唆する円安牽制発言が欧英市場のクリスマス連休を前にした市場流動性低下の警戒感の中で買い戻されて反発し、昨夜18時7分頃にドルは円相場で一時155円65銭付近に下落し、昨日の日通しの円の高値でドルの安値を記録していた。
また、その後の昨夜の米国市場での米国重要経済指標発表などを控えたドルの持ち高調整による欧州英国通貨の買い戻しに加えて、時間外の米国債券取引で世界的な安全資産の米国債が買われて債券価格上昇時の利回り低下が起きており、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜21時2分頃には一時4.145%付近にまで低下した債券利回りの金利差トレードの影響もドル売りに影響を与えていたが、その後には債券価格上昇後の売り抵抗も入り始めた影響では、昨夜21時56分頃には米国長期金利は一時4.153%付近に下げ幅を縮小したため米国市場に向けたドルの買い戻しなども入り、ドルは円相場で156円台に反発し、昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時156円3銭付近であった。
米国市場では昨夜22時30分に米国重要経済指標発表を控えていたため、イベント直前のイベントリスクの高まりによる持ち高調整のドル売りの影響では、昨夜22時20分にドルは円相場で一時155円95銭付近と、昨夜の米国市場における円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、昨夜22時台前半の米国市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.155%付近と4.15%台で上昇しており、債券利回りの金利差トレードの影響では米国長期金利反発を受けたドルの買い戻しや現地でのドル実需などもあり、先ほどの欧州英国市場よりも底堅さを見せていた。
昨夜22時30分には、米国商務省が先月までの米国政府機関の一部閉鎖の影響で本来は10月末に速報値が出る予定から延期していた初回推計値の速報値の注目の米国重要経済指標の7〜9月第3四半期米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の前期比年率の速報値の発表があり、前回の3.8%と市場予想の3.2%を上回る4.3%に上振れしたほか、同四半期の米国GDP個人消費の前期比年率の速報値も前回の2.5%と市場予想の2.7%を上回る3.5%に上振れし、同四半期の米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures / 個人消費支出) の前期比年率の速報値は前回の2.6%に対し市場予想通りの2.9%であったが、いずれも前回よりも上昇した米国経済指標を受けては、発表時の昨夜22時30分の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時156円21銭付近に上昇した。
米国債券市場でも、米国重要経済指標での景気好感を受けて安全資産の米国債が売られて債券価格低下時の利回り上昇が起きており、昨夜23時33分頃に米国長期金利が一時4.202%付近と4.20%台に上昇したため、債券利回りの金利差トレードのドル買いが入り、昨夜23時36分頃にドルは円相場で一時156円55銭付近に上昇し、昨夜の米国市場における円の安値でドルの高値を記録した。
先程の米国重要経済指標と同時に発表された10月米国耐久財受注の前月比は前回の0.5%が前回0.7%に上方修正された一方で市場予想の−1.5%を下回るマイナス圏の−2.2%に下振れし、同指標の輸送用機器を除くコアの前月比も前回の0.6%は前回0.7%に上方修正されたものの市場予想の0.3%を下回る0.2%に低下していたが、昨夜23時15分に発表された11月米国鉱工業生産の前月比は前回の−0.1%と市場予想の0.1%を上回るプラス圏の0.2%に改善し、11月米国設備稼働率も前回と市場予想の75.9%を上回る76.0%と強弱混合の部分もあったことでは、欧米のクリスマス前の市場流動性の減少が警戒される中で、日本政府と日銀の為替介入警戒感の燻りはドルの上値を抑えていた。
続いて、深夜24時に発表された12月米国リッチモンド連銀製造業指数は前回の−15と市場予想の−10に対し−7に改善されたもののマイナス圏に留まり、同じく深夜24時に発表されたコンファレンス・ボードの12月米国消費者信頼感指数は前回の88.7は前回92.9に上昇修正された一方で市場予想の91.0を下回る89.1に下振れした影響などもあり、米国債券市場では、昨夜23時51分頃には一時4.203%付近にまで上昇していた米国長期金利が上昇幅を縮小し、米国債券市場での午前3時の米国5年債入札に絡む国債買いの影響もあって午前3時52分〜56分頃にかけて一時4.172%付近に低下し、午前4時10分頃にも一時4.174%付近と戻りが鈍かったため、債券利回りの金利差トレードの米国長期金利反落を受けたドル売りが入り、午前4時15分頃にはドルは円相場で一時156円18銭付近に反落していた。
米国ニューヨーク株式市場では、クリスマス・トレードの影響や米国長期金利の反落を受けた金利警戒感緩和の米国株買いが入り、一時反落していた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って反発上昇してプラス圏の堅調推移を見せた株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の安全資産の米国債売りや低リスク通貨の円売りはやや抵抗になったが、クリスマスに向けた市場流動性減少の中で日本政府と日銀の為替介入の警戒感が燻ったことでは円相場も底堅く、米国主要株価三指数が高値の終値をつけて株価影響が弱まった午前5時頃に再び一時156円18銭付近に下押ししたが、ダブルボトムの底堅さでは小幅に反発して下げ幅を縮小した。
しかし、米国債券市場では、今朝6時52分頃に米国長期金利は一時4.168%付近と更なる上昇幅の縮小を見せていた債券利回りの日米金利差縮小時の金利差トレードの影響が為替相場にあったことでは、ドルは円相場で156円台前半に留まり、157円台だった前ニューヨーク終値比では円高ドル安となる今朝7時頃のニューヨーク終値に向けていた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の値動きは、円の高値でドルの安値の155円95銭付近から、円の安値でドルの高値の156円55銭付近の値幅約60銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は156円23銭付近と、前営業日同時刻の157円5銭付近の前ニューヨーク終値比で約82銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のオセアニア市場では、ニュージーランドやオーストラリアがキリスト教圏でクリスマス・イブ (Christmas Eve) の市場流動性の減少により為替相場が小動きになる時間があったが、時間帯が近いアジア市場にはクリスマスが特に国を挙げての祝日ではない他の宗教の国などもあることから、今朝8時11〜12分頃にドルは円相場で一時156円10銭付近に売られた後に、今朝8時44分頃に一時156円28銭付近に買い戻されるなど動意を帯びてきた。
今朝8時50分には、10月29〜30日開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨が公表され、複数の政策委員が利上げについて、長期的視野で見た場合に、「安定した経済・物価の実現につながる」と意見していたほか、金利水準について、「中立金利よりも低い」と指摘し、「適切なタイミングで徐々に政策金利を引き上げていくという基本方針は不変」などの意見もあったことでは円買いも入り、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時156円17銭付近であった。
日本市場ではクリスマスは平日であるが、日本企業の貿易先の海外企業側がクリスマス・ホリデー週にあたることなどから、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要はやや鈍かったものの世界的な取引通貨であるドル需要があったことでは円売りドル買いも入り、今朝9時25分頃にドルは円相場で一時156円29銭付近と、今日の日本市場における円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、為替介入への警戒感もあり市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整の円の買い戻しが入り始めたほか、米国ブルームバーグ (Bloomberg) ニュースが、「外国為替市場は韓国政府の強い決意を近く目にすることになる-韓国当局」と報じたことが話題になり、日本政府の円安牽制の円買いドル売りの為替介入示唆の口先介入に続き、韓国政府も韓国ウォン安牽制の韓国ウォン買いドル売りの為替介入を示唆したことから、世界市場での日韓ドル売りの為替介入への警戒感が高まり、対ドルでの円の買い戻しと共に韓国ウォンも買われた外貨影響が主要通貨や円相場にドル下落圧として波及し、今朝11時11分頃にドルは円相場で一時155円56銭付近と155円台に下落し、今日の日本市場における円の高値でドルの安値を記録した。
今朝156円台から始まったドルは円相場で155円台に下落したことを受けては、安値からのドルの買い戻しの抵抗も混ざり、日本市場における日本企業の営業時間の取引中には円買いの為替介入への警戒感もやや緩和されることもあり、今朝の東京株式市場で今日の日経平均株価が午前の部ではプラス圏で推移していた株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りの影響もあって、昼の13時15分頃にはドルは円相場で一時156円7銭付近へと下げ幅を縮小した時間もあった。
しかし、今日の日経平均株価はランチタイムの後の午後の部が始まると反落を始めてマイナス圏に転じたため、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の国内第一安全資産で低リスク通貨の円買いが入り、午後15時14分と18分頃にもドルは円相場で一時155円66銭付近に下押ししたが、株式市場終盤には日経平均株価はマイナス圏ながらも今日の底値からは下げ幅を縮小したことではダブルボトムからのドルの買い戻し抵抗も混ざり、今日の午後15時30分頃には今日の日経平均株価は5万344円10銭の終値をつけ、前日比68円77銭安の-0.14%の小幅安で大引けした。
夕方からの欧州市場では、欧州ユーロ圏の主要国ドイツでは12月24日のクリスマス・イブはドイツ語でHeiliger Abend (ハイリガー・アーベント / 「聖なる夜」の意味) と呼ばれ、翌日25日のクリスマス当日の様な法律上の国の祝日ではないが、慣例的に多くの企業が半日または終日休暇となるクリスマスの始まりの日として重要視されており、ドイツ市場が休場扱いであったほか、時間帯が近いスイスも同様で欧州連合 (EU / European Union) の中でも早期や長期のホリデーを取る習慣のあるフランスではすでに市場参加者が減少しており、北欧スウェーデンとノルウェーやポーランド市場も実質的に今日は休場扱いのため、欧州市場全体の流動性低下の影響があり、ダブルボトムの二番底の後のドルの買い戻しは鈍かった。
ただし、今夜17時からの世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場では、12月25日のクリスマス・デー (Christmas Day) と翌日26日のボクシング・デー (Boxing Day) が英国の連休であることでは、イブの日までは開いている金融機関などもあり、中東などのオイルマネーが流入している市場でもあることから、時間外の米国債券取引でこの時間の米国長期金利が今夜17時11分頃の一時4.174%付近に向けた上昇を見せていた債券利回りの金利差トレードの影響などがあり、ドルは円相場で下げ幅を縮小した。
このため、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円76銭付近で、昨日17時の156円7銭付近の前東京終値比では約31銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、米国雇用関連の最新米国経済指標の発表予定と米国債の入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数の発表と、25時30分に米国7年債入札などを控えている。
また、世界の株式市場と債券市場と金や原油先物などを含むコモディティ (商品先物) 市場などの為替相場への影響や、ウクライナ情勢や中東などの世界情勢に加えて、世界の政治・経済の最新ニュースやドナルド・トランプ米国大統領や高市早苗首相などを含めた要人発言などのファンダメンタルズ分析は、最新経済指標データやテクニカル分析などと共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今日17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は183円64銭付近と、前営業日同時刻にあたる 昨日17時の183円80銭付近の前東京終値比で約16銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、昨日に続き、欧州市場がクリスマス休暇時期で世界市場全体の流動性低下への警戒感がある中で、日本政府と日銀の為替介入への警戒感が燻っており、直接影響を受けるドルだけでなく、外貨影響が波及する欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対しても円相場が続伸した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は210円49銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の210円65銭付近の前東京終値比で約16銭の円高ポンド安であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1790ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1778ドル付近の前東京終値比で約0.12セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、今日は日本政府と日銀の円買いドル売りの為替介入への警戒感に加えて、韓国政府の通貨当局も韓国ウォン安牽制の韓国ウォン買いドル売りの為替介入を示唆する発言をしたことが話題になり、ドル売り要因があったことから、欧州市場のクリスマス・イブでユーロ実需は減少しているものの外貨影響などもあり、小幅なユーロ高ドル安の東京終値であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025月12月24日の日本時間(JST / Japan Standard Time) の21時11分(チャート画像の時間帯は英国冬時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時11分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も2025年11月2日から米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST-14) になっており、欧米のサマータイム終了後の日本時間との時差調整があったことには注意が必要である。
| 通貨ペア | JST 21:11の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
| ドル/円 | 155.91 〜 155.92 | −0.15 (円高) |
| ユーロ/円 | 183.77 〜 183.78 | −0.02 (円高) |
| ユーロ/ドル | 1.1790 〜 1.1791 | +0.0013 (ドル安) |
| 英ポンド/円 | 210.56 〜 210.62 | −0.03 (円高) |
| スイスフラン/円 | 198.09 〜 198.15 | +0.69 (円安) |
| 豪ドル/円 | 104.60 〜 104.64 | +0.50 (円安) |
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