FXニュース:日銀早期利上げ予想再燃

2025年12月01日

 

東西FXニュース – 2025年12月01日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日銀総裁12月利上げ判断
  • 日経平均株価大幅に反落
  • 日米金利差縮小予想優勢
  • 米12月利下げ予想確定値
  • 欧政策金利据え置き予想

今日2025年12月1日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の156円0銭付近から、円の高値でドルの安値の155円31銭付近の値幅約69銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円37銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の156円32銭付近の前東京終値比で約95銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と市場時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週金曜日の夜の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、夕方16時56分頃の時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.016%付近に反発し、債券利回りの金利差トレードのドル買いが入り、先週金曜日の17時17分頃と19時14分頃にドルは円相場で一時156円39銭付近に上昇していた。

しかし、次回12月9〜10日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) では、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国小幅利下げ予想が市場で確定値と考えられている70%を超えた80%台の優勢さであった市場予想を受けてはその後の米国長期金利が反落し、先週金曜日の夜21時33分頃には一時3.986%付近と4%割れを起こし、それに対して次回12月18〜19日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 金融政策決定会合では日銀の早期利上げ予想が燻っていたこともあって日米金利差縮小予想の円買いドル売りが入り、先週金曜日の夜21時50分頃にドルは円相場で一時156円10銭付近に反落していた。

また、欧州市場では、先週金曜日の夜19時57分頃に欧州ユーロがドルに対する日通し底値を記録した後には欧州市場後半に向けた月末の欧州ユーロの買い戻しがドルで入り始めており、同日発表された欧州経済指標の影響もあって来月12月18日の次回の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会では欧州金利据え置き予想が優勢であった欧米金利差予想の影響があり、前述の先週金曜日の夜21時33分頃の米国長期金利の反落を受けては欧州ユーロも対ドルで反発上昇を見せた外貨影響も対ドル円相場に波及していた。

欧州英国市場の後半にあたる先週金曜日の夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時156円12銭付近であったが、米国感謝祭 (Thanksgiving Day) の翌日のブラック・フライデー (Black Friday) で米国市場では債券・株式・商品市場が一部短縮取引となるホリデームードの市場流動性低下が続き、米国現地時間で前日の祝日の夜頃から米国シカゴ・マーカンタイル取引所(Chicago Mercantile Exchange) グループの電子ブローキングシステム (EBS / Electronic Broking System) でシステム障害が発生したことも世界市場の市場流動性低下に一時影響していたが、先週金曜日の夜22時30分頃には完全復旧したため、月末決算用のドル売りによる各国通貨の買い戻し活発になり、先週金曜日の夜23時10分頃にドルは円相場で一時155円98銭付近と、一時155円台のこの日の米国市場における円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、月末を控えて米国債も売られた影響では米国長期金利が反発上昇し、先週金曜日の夜23時27分頃には一時4.007%付近と4%台を回復した金利差トレードでは円相場でドルの買い戻しも入り、先週金曜日の夜23時31分頃にはドルは円相場で一時156円39銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

また、先週金曜日に日本政府が2025年度補正予算案を閣議決定し、一般会計総額はおよそ18兆3034億円規模にも及ぶという財政警戒感を高める世界的なニュースを受けた円売りもドルの買い戻しの一因となっていた。

ただし、この日が11月の月末最終の取引日となる世界最大規模の英国ロンドン市場では、午前1時のロンドン・フィキシング (London Fixing) に絡む世界的な主要取引通貨のドル売りフロー (Flow / 流れ) が円相場に影響を及ぼし、深夜24時57分頃と1時6分頃にドルは円相場で一時156円0銭付近に反落した。

時差先行の欧州市場が終了して英国市場が終盤に向ける中で、一部短縮取引の米国市場でも月末と週末を控えたドルの買い戻しも入ったほか、また米国債券市場で深夜24時51分頃に一時4.035%付近にまで反発上昇した米国長期金利が、先週土曜日の午前2時27分頃になっても一時4.026%付近と4%台で高止まりしていた債券利回りの金利差トレードの影響などもあり、先週土曜日の午前2時26分頃にはドルは円相場で一時156円27銭付近に下げ渋った時間もあったが、短縮取引の米国債券市場で市場終盤の米国債の買い戻しも混ざった影響では米国長期金利は4.018%付近に反落したため、ドルも円相場で反落した。

このため、先週金曜日の夜22時頃から先週土曜日の朝6時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の値動きは、円の高値でドルの安値の155円98銭付近から、円の安値でドルの高値の156円39銭付近の値幅約41銭で、先週土曜日の朝6時55分頃のニューヨーク終値は156円18銭付近と、世界FX市場の前営業日同時刻の156円30銭付近の前ニューヨーク終値相当時間比で約12銭の円高ドル安をつけて週末を迎えていた。

今朝早朝の週明けのアジア・オセアニア市場では、昨日11月30日日曜日のフジテレビの番組に、日本政府の片山さつき財務相が出演し、為替相場の円安について、「ファンダメンタルズ(Fundamentals / 経済の基礎的諸条件)で動いていないのは明確」と発言していたことが話題になり、日本政府と日銀の円買いドル売りの為替介入に対する警戒感が燻り、今日は日銀の植田和男総裁の発言予定が午前10時5分の名古屋市の金融経済懇談会の挨拶であり、その後に時間未定で記者会見も控えていた警戒感などもあって円買いドル売りが優勢で、ドルは円相場で再び155円台に下落したため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時155円91銭付近であった。

今朝9時台の国内債券市場では、高市早苗政権の国債増発への警戒感や、日銀の植田和男総裁の要人発言を控えた今月12月18〜19日の次回の日銀金融政策決定会合での早期利上げに関するタカ派発言への期待感などがあり、政策を反映しやすい2年物の日本国債の利回りが2008年以来の1%台に上昇した債券利回りの日米金利差縮小による円買いドル売りも入っていた。

ただし、日本市場の今朝9時55分の仲値決済では、今日が12月初日の取引日であることに加えて、今夜から米国市場が先週の米国感謝祭のホリデー明けの本格取引となることから、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入ったことは抵抗となり、今朝10時5分頃にドルは円相場で一時155円99銭〜156円0銭付近にまで反発した。

しかし、今朝10時5分から日銀の植田和男総裁の要人発言が名古屋市の金融経済懇談会の挨拶の講演が始まり、「経済・物価見通しが実現していくとすれば、経済・物価の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げる」という追加利上げ方向の維持について言及し、次回12月18〜19日の日銀金融政策決定会合で、「内外経済・物価情勢や金融資本市場の動向を、様々なデータや情報をもとに点検・議論し、利上げの是非について適切に判断したい」と、今月12月の早期の追加利上げの可能性を示唆するタカ派発言をしたことが話題になり、日銀の早期利上げ予想値が上昇し、日米金利差縮小予想の円買いドル売りが再燃した。

日銀の植田和男総裁は、金融政策運営についても、「緩和度合いの調整が遅れると、米欧のように高いインフレ率になり、混乱を引き起こす」とも述べていたが、その後の記者会見でも、「為替円安、場合によって基調的な物価上昇率に影響をする可能性に注意が必要」などのタカ派発言を続けていたことから、155円台での円買いドル売りが続いた。

今日は東京株式市場でも、次回の日銀利上げ予想の再燃を受けた金利警戒感により、今朝9時頃にはプラス圏付近から始まった今日の日経平均株価が大幅に反落し、午後15時30分に4万9303円28銭の終値をつけ、前営業日比950円63銭安の-1.89%の大幅安で大引けした株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) も国内第一安全資産の低リスク通貨の円買い要因となっていた。

さらに、日本政府の木原誠二官房長官の発言があり、「今後の利上げを含め、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべき」とし、「日銀には、引き続き政府と連携し、物価目標の実現へ適切な政策運営を期待している」と、日本政府側が日銀の利上げを支持したことも155円台での円買いドル売りに影響を与えた。

夕方からの欧州市場の参入後にも、日米金利差縮小予想の影響を受けてドルは円相場で下落していたため、夕方16時49〜50分頃にかけてドルは円相場で一時155円31銭付近と、今日の日本市場における円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、今夜17時の英国ロンドン外国為替市場の参入では、今日の時間外の米国債券取引でも米国債売りが続いた影響により、米国長期金利が今夜17時8分頃の一時4.053%付近に向けた上昇も見せたことでは、市場安値後のドルは円相場で一時下げ幅を縮小した。

このため、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円37銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の156円32銭付近の前東京終値比で約95銭の円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場は先週の米国感謝祭のホリデー明けになるため、最新米国重要経済指標などの発表予定があり、今夜23時45分に11月米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) 改定値と、深夜 24時に最新米国重要経済指標の11月米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会 / 全米供給管理協会) 製造業景況指数を控えていることが注目されている。

また、世界の株式市場と債券市場と金や原油先物などを含むコモディティ (商品先物) 市場などの為替相場への影響や、中東やウクライナ情勢や先週末に米国政府のドナルド・トランプ大統領の発言があった南米ベネズエラ周辺などの世界情勢に加えて、世界政治経済のニュースや要人発言などのファンダメンタルズニュース分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となる。

一方、欧州ユーロは、今日17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は180円32銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の180円93銭付近の前東京終値比で約61銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、先述の日銀の植田和男総裁のタカ派発言を受けた早期利上げ観測報道の影響があり、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの主要る通貨に対しても円買いが入ったほか、今日の日経平均株価下落時の低リスク通貨の円買いも為替相場に影響を与えた。

そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は205円35銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の206円53銭付近の前東京終値比では約1円18銭の大幅な円高ポンド安になった。

主な要因は、日銀の早期利上げ予想の再燃を受けて、今日は新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が一時1.876%付近などに上昇しており、それに対して欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) は欧州金利据え置き予想が優勢であったが、次回の12月18日の英国中央銀行イングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) では英国利下げ予想が燻っていたことなどから、円相場で地理的・経済的にも近い欧州ユーロよりも英国ポンドの方が大幅域になっていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1606ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.1574ドル付近の前東京終値比では約0.32セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の次回の欧州金利据え置き予想に対して、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の次回の米国小幅利下げ予想は優勢で、今夕にも一時87.6%付近と市場で確定値と考えられている70%を超えていた欧米金利差予想ことなどがユーロドルの為替相場に影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2025月12月1日の日本時間(JST / Japan Standard Time) の20時58分(チャート画像の時間帯は英国冬時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時58分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も2025年11月2日から米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST-14) になっており、欧米のサマータイム終了後の日本時間との時差調整があったことには注意が必要である。

通貨ペア JST 20:58の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比
ドル/円 155.11 〜 155.12 −1.20 (円高)
ユーロ/円 180.35 〜 180.37 −0.56 (円高)
ユーロ/ドル 1.1626 〜 1.1628 +0.0054 (ドル安)
英ポンド/円 205.25 〜 205.31 −1.28 (円高)
スイスフラン/円 193.29 〜 193.35 −0.62 (円高)
豪ドル/円 101.65 〜 101.69 −0.28 (円高)

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