FXニュース:米中貿易摩擦警戒感再燃
2025年10月15日
東西FXニュース – 2025年10月15日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 仏内閣不信任案懸念緩和
- 米FRBパウエル議長発言
- 米株ダウと日経平均反発
- 日自民臨時国会招集21日
- 日首相指名選与野党協議
- 米長期金利低下一時4%
今日2025年10月15日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の151円83銭付近から、円の高値でドルの安値の150円90銭付近の値幅約93銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円24銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の151円99銭付近の前東京終値比で約75銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と市場時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夕の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏のフランスでエマニュエル・マクロン仏大統領がセバスチャン・ルコルニュ仏首相を再任命後に、仏予算案についての仏与野党との協議が行われており、結果によっては新仏内閣不信任案の可能性などの仏政治リスクへの警戒感が燻っていた影響では、欧州ユーロ売りで世界的に流動性が高いドルが買われていた外貨影響が対ドル円相場に波及し、昨夜18時14分頃にドルは円相場で一時152円16銭付近と、一時152円台に再上昇していた。
しかし、先週の中国政府のレアアース (Rare-earth) 輸出規制への対抗措置を米国政府のドナルド・トランプ大統領が発表後の米中貿易摩擦警戒後に、今週は米中貿易交渉により緊張感の一時緩和を見せていたが、昨夜にも中国の船舶港湾使用料に対抗して米国も船舶港湾使用料を課し始めるなどの対立が続いており、中国商務省が、「貿易戦争、最後まで戦う」と表現するに至るなどの米中貿易摩擦への警戒感が市場にあったことでは、世界的な安全資産の米国債が買われて米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜19時台には一時4.00%付近に低下し、短時間ではあるが一時3.99%付近の低下に向けるなどの債券利回りの米国長期金利低下時の金利差トレードの円買いドル売りの影響ではドルは円相場で上昇幅を縮小し、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時152円10銭付近であった。
米国市場では、米国政府機関の一部閉鎖の影響により、政府系の統計による最新米国経済指標の発表予定は延期されていたが、次回10月28〜29日開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言が始まった。
昨夜21時45分頃からの米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の中でもハト派への転身で知られるミシェル・ボウマン副議長の発言前の講演原稿への警戒感などがあり、昨夜21時24分頃にドルは円相場で一時151円86銭付近と151円台に反落したが、ミシェル・ボウマン副議長は、「今年年内にあと2回の米国利下げが決定されると見込んでいる」と市場予想通りの発言をした一方で、市場予想ですでに優勢であった米国小幅利下げ予想の想定範囲内の内容に留まり、特に大幅利下げ予想を再浮上させるほどのハト派発言がなかった影響では、その後の午前1時20分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の中でも市場への影響力が大きいジェローム・パウエル議長の要人発言が注目されたことではドルの買い戻しも入ったほか、米国債券市場では低下後の米国長期金利が反発して下げ幅を縮小し、昨夜22時8分頃の一時4.042%付近に向けて上昇していたため、債券利回りの金利差トレードの円売りドル買いも入り、昨夜22時6分頃にドルは円相場で一時152円17銭付近と、昨夜の米国市場における円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、昨夜の米国株式市場が始まると、米中貿易戦争への警戒感の影響などで米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃ってマイナス圏から始まった米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の影響では、安全資産の米国債の買い戻しや低リスク通貨の円買いが入ったため、ドルは円相場で反落して再び151円台に向けており、米国主要株価三指数が揃って市場底値をつけた昨夜22時45分頃のドルは円相場で一時151円82銭付近になった。
また、同時進行中の欧州英国市場では、セバスチャン・ルコルニュ仏首相が仏国民議会の下院の演説で、エマニュエル・マクロン仏大統領による2023年の年金改革で定年が2030年までに62歳から64歳まで段階的に引き上げられる案について、2027年の仏大統領選挙後まで一時停止することを議会に提案し、「今から2028年1月まで年金の定年年齢は引き上げられない」と発言し、「ルコルニュ仏首相が年金改革の2027年まで停止を提案へ」と報じられた影響により、フランス経済への好感により仏主要株価の買い戻しが入ったほか、仏野党左派主張による仏年金改革凍結案を受け入れたことから仏主要野党の中道左派の社会党が仏首相の不信任投票を支持しないと表明して新仏内閣存続への期待感が高まり、安全資産の仏国債や独10年債の利回りが指標となる欧州長期金利が上昇し、欧州ユーロの買い戻しが対ドルで入った外貨影響も対ドル円相場に波及したため、深夜24時40分頃にドルは円相場で一時151円74銭付近に下落していた。
米国ニューヨーク株式市場でも、欧州株式市場の影響の波及により、米国主要株価三指数が市場底値後から反発して揃って下げ幅を縮小しており、米国ニューヨーク債券市場では欧州債に連れる形で安全資産の米国債にも売りが入ったため、米国長期金利は深夜24時55頃には一時4.053%付近にまで上昇していた。
午前1時20分頃からの注目の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の要人発言が始まる直前にはイベントリスクの影響もあって、ドルは円相場で一時151円69銭付近に下げていたが、中道派で知られるジェローム・パウエル議長の発言が慎重さを見せながら始まると、米国長期金利上昇時の影響もあって午前1時23分頃には一時151円94銭付近へのドルの買い戻しが入った。
米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の要人発言では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の二大責務である雇用最大化と物価安定のリスクバランスについて、「米国雇用の下振れリスクが高まったようにみえる」と雇用への警戒感を示した一方で、「政府のインフレ率データに代わる良い指標は少ない」が「性急な対応は、インフレ対策の課題を未完にする可能性」などのインフレへの慎重な警戒感も示したが、それに加えて、米国債を含む保有資産を圧縮する量的引き締め (QT / Quantitative Tightening) について、「準備預金が十分と考えられる水準をやや上回る時点でQT停止する計画であると説明してきたが、今後数カ月でその水準に近づく可能性がある」と指摘し、「今後数カ月でバランスシート縮小を停止する可能性がある」としたことを受けて、市場では米国長期金利が反落を始めたため、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りの影響により、午前1時45分頃にドルは円相場で一時151円67銭付近に下落した。
ただし、米国長期金利低下を受けた金利警戒感緩和では、欧州株式市場の影響もあって下げ幅を縮小していた米国主要株価三指数中の米国ダウがプラス圏に上抜けており、時差先行の欧州英国市場終了後の午前2時20分頃にはドルは円相場で一時151円87銭付近に買い戻されていた。
しかし、米国市場後半の午前4時半過ぎのニュースでは、米国政府のドナルド・トランプ大統領が「中国が米国産大豆を購入しないことは経済的に敵対的」と指摘し、「報復として対中貿易措置を検討中」とし、「食用油をはじめとする中国との貿易取引停止を検討中」などと発言したことなどを受けて、市場では米中貿易摩擦の再燃警戒のドル売りが入り、午前4時38分頃にドルは円相場で一時151円60銭付近と、昨夜から今朝までの米国市場における円の高値でドルの安値を記録した。
米国株式市場では、米国主要株価三指数中でも国内金利に敏感な米国ダウは反発上昇後の小幅高の終値をつけたが、米中貿易戦争への警戒感などにより世界的なハイテク企業株の多い米国ナズダックが安値引けしたほか、S&P500も小幅安の終値をつけたため、今朝5時37分頃の米国長期金利は一時4.035%付近に低下後の小反発を見せてはいたものの、市場安値後の米国市場終盤のドルの買い戻しは限定的であった。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の値動きは、円の安値でドルの高値の152円17銭付近から、円の高値でドルの安値の151円60銭付近の値幅約57銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は151円84銭付近と、前日同時刻の152円28銭付近の前ニューヨーク終値比で約44銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円71銭付近の始値であったが、今日は15日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10がつく日の五十日 (ごとおび / ゴトーび) であったことでは、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが先行し、今朝9時15分と18分頃にドルは円相場で一時151円83銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、日本国内では、昨日に自民党が次期首相指名選挙などを決める臨時国会を今月10月21日に召集する方針を立憲民主党に伝えたが、今日開かれる与野党の協議を受けた国内政治不透明感への警戒感や様子見などで円の買い戻しが入ったため、国内輸出企業の円買いドル売りの影響もあって、対ドルの円相場が反発上昇を始めた。
今日の東京株式市場では、前日に高市トレードの巻き戻しによる日本株売りなど日経平均株価が大幅下落を見せたため、安値後の日本株の買い戻しが入り始めていたことでは、今日の日経平均株価は前日比のプラス圏から始まり上昇したことは低リスク通貨の円売りの抵抗要素はあったものの、前述の米中貿易摩擦の再燃への警戒感によるドル売りに加えて、時間外の米国債券取引でも米国長期金利低下時のドル売りの影響があったことでは、ドルは円相場で反落後に下落を続けており、欧州市場参入後の午後15時15分頃に一時150円90銭付近と、一時150円台の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、今日は財務省が20年物国債入札を実施し、最高落札利回りは2.684%と、1999年7月以来の高水準となっていた。
ただし、午後15時30分には今日の日経平均株価が4万7672円67銭の終値をつけて前日比825円35銭高の+1.76%の大幅高で大引けし、日経平均株価上昇時の低リスク通貨の円売りの抵抗が入ったことでは、ドルは円相場で151円台に戻した。
夕方からの英国ロンドン外国為替市場参入の主要取引通貨のドルの買い戻しの影響もあり、時間外の米国債券取引では米国長期金利が夕方16時半過ぎの一時4.003%付近への低下後の反発を見せ始めて下げ幅を縮小したこともドルの買い戻しに繋がり、円相場での下げ幅を縮小していた。
なお、今日の立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の党首会談は、連立の枠組みや基本政策などで折り合いがつかなかったことから再度の幹事長会談を予定していると報じられた。
そのため、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円24銭付近で、昨日17時の151円99銭付近の前東京終値比で約75銭の円高ドル安になっていた。
今夜この後の米国市場では、米国政府機関の一部閉鎖は続くものの、非政府系の統計や米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) および関連の連邦準備銀行 (連銀) による経済データの発表予定があり、また次回10月28〜29日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つFRB高官達の発言予定も続き、日本時間の経済指標カレンダーの予定は、今夜21時30分に10月米国ニューヨーク連銀製造業景気指数、今夜22時30分と25時30分頃から次回のFOMC投票権を持つハト派で有名なFRBのスティーブン・ミラン理事の発言予定、26時頃から同じく次回FOMC投票権を有するFRBのクリストファー・ウォラー理事の発言予定、27時にF R Bの米地区連銀経済報告のベージュブック (Beige Book) 公開と、27時30分頃から次回のFOMCメンバーの米国カンザスシティ連銀のジェフリー・シュミッド総裁の発言予定などを控えている。
さらに、今週は米国主要企業の決算報告の発表予定なども控えており、世界の株式市場と債券市場と金や原油先物などを含むコモディティ (商品先物) 市場などの為替相場への影響や、米中貿易交渉の行方とウクライナ情勢などの世界情勢や世界政治経済のニュースに加えて、米国政府のドナルド・トランプ大統領などを含む世界の政治・経済の要人発言などのファンダメンタルズニュース分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今日17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は175円98銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の175円50銭付近の前東京終値比で約48銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、日経平均株価の買い戻しを受けた低リスク通貨の円売りに対し、先述の仏政治警戒感話の影響もあって欧州ユーロが買い戻されやすくなっており、欧州ユーロが円相場で反発したほか、地理的にも経済的にも近い英国ポンドも今日の東京終値で連れ高になった。
その影響から英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は201円91銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の201円46銭付近の前東京終値比では約45銭の円安ポンド高になっていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1636ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.1547ドル付近の前東京終値比で約0.89セントのユーロ高ドル安であった。主な要因は、欧州ユーロ圏のフランス政府の仏政治懸念緩和による欧州ユーロの対ドルでの買い戻しに加えて、米中貿易摩擦懸念再燃による米国長期金利低下時のドル売りが影響を与えていた。
なお、昨夜には欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の要人発言もあり、ECB理事会は「データに基づき会合毎に金融政策決定を行っている」とした上で、「欧州経済の見通しに対するリスクはより均衡している」、「不確実性は著しく後退した」としていたが、その一方で「欧州利下げサイクルを完了したとは決して言わない」と、データ重視の中道的な慎重な姿勢も見せていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025月10月15日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時25分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時25分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されていることには注意が必要である。
| 通貨ペア | JST 20:25の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
| ドル/円 | 151.34 〜 151.35 | −0.65 (円高) |
| ユーロ/円 | 176.01 〜 176.03 | +0.51 (円安) |
| ユーロ/ドル | 1.1629 〜 1.1631 | +0.0082 (ドル安) |
| 英ポンド/円 | 202.22 〜 202.28 | +0.76 (円安) |
| スイスフラン/円 | 189.12 〜 189.18 | +0.17 (円安) |
| 豪ドル/円 | 98.67 〜 98.71 | +0.55 (円安) |
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