FXニュース:公明党連立政権離脱報道
2025年10月10日
東西FXニュース – 2025年10月10日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米NY連銀総裁雇用に警戒
- 日自民党新総裁円安牽制
- 米長期金利一時4.15%台
- 米主要株価三指数が下落
- 日経平均株価も大幅下落
今日2025年10月10日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の153円16銭付近から、円の高値でドルの安値の152円38銭付近の値幅約78銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円88銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の153円4銭付近の前東京終値比で約16銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、昨夕17時39分頃に一時4.138%付近に上昇した債券利回りの金利差トレードの影響ではドルは円相場で一時153円台の高止まりを見せていた時間があった。
しかし、米国紙ニューヨーク・タイムズ (New York Times) のインタビューのニュースが世界市場で話題になり、次回10月28〜29日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国ニューヨーク連邦準備銀行 (連銀) のジョン・ウィリアムズ総裁が、「米国雇用市場の更なる減速リスクに特に注意している」と、雇用最大化と物価安定のFRBの二大責務のリスクバランスにおける雇用リスクにより警戒感を示し、米国インフレ率が約3%に上昇して米国失業率が現在の4.3%をやや上回る水準に上昇するなどの自身の予想通りに米国経済が推移する場合には、「年内の追加利下げを支持するつもりだが、具体的なことについては、今後、見極める必要がある」と発言し、今年年内の追加利下げ支持を示唆したというハト派発言の部分が米国ブルームバーグ (Bloomberg) 通信などでも報じられた影響では、昨夜18時4分頃にドルは円相場で一時152円48銭付近に反落した。
ただし、金利先物市場データを元に米国政策金利の市場予想値を示す米国フェドウオッチ (FedWatch Tool) では、次回の米国小幅利下げ予想は90%台の優勢さを保つなど、市場ではすでに織り込み済みの部分が多かったことでは、米国長期金利が昨夜20時頃に一時4.118%付近まで反落後には反発を始めたため、ドルも円相場で昨夜20時56〜57分頃には一時152円84銭付近に反発し、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時152円80銭付近の始値であった。
昨夜21時30分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の中でも市場への影響力が大きいジェローム・パウエル議長の要人発言が注目されていたが、米国ワシントンD.C. におけるコミュニティバンク会議 (Community Bank Conference) のイベントのオープニングの挨拶だけに留まり、旅行中につき録画済のビデオ・メッセージによる登場となったため、ライブ発言や質疑応答などがなかったことでは発言による市場反応はなかった。
一方、米国債券市場では、昨夜22時3分頃には米国長期金利が一時4.146%付近に反発上昇していたことでは、金利差トレードのドルの買い戻しが続き、昨夜22時3分頃にはドルは円相場で153円87銭付近に買い戻されていた。
しかし、昨夜の日本のテレビ番組に自民党の高市早苗新総裁が出演し、「首相に就任すれば、経済対策をすぐに指示する」と、同番組からは翌日にあたる本日午後の自民党と公明党の連立協議の会談に向けて、「自公連立は基本中の基本」と発言したほか、昨年9月の前自民総裁選の頃の「金利を今上げるのはアホやと思う」などの時の様な日銀の利上げに否定的な発言はせずに、「私の立場で (日銀の) 利上げについて発言すべきではない」と発言を自粛したほか、「行き過ぎた円安を誘発するつもりはない」と円安牽制の発言をしたことが、日本語と英訳付きの世界ニュースでも話題になり、円の買い戻しが入り、昨夜22時11分頃に対ドルの円相場が一時152円11銭付近と、昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、高市早苗新自民党総裁の拡張的な積極財政案による日本の財政赤字拡大への懸念も円売り要因となっていたことに関しては、以前の赤字国債増発容認の観測報道以降の主な財源は示していなかったが、先ほどの円安牽制発言により世界市場で瞬時燻った日本政府と日銀の円買い為替介入警戒が収まる中で、「財政健全化が必要ではないと言ったことは一度もない」とも発言し、財政健全化の目標の基準として「純債務残高」の国内総生産(GDP / Gross Domestic Product) 比を挙げて、現在の水準から「徐々に引き下げていくことになる」などの説明を続けており、円安牽制発言で買われた市場高値後の円が利益確定や持ち高調整などで売られて戻し、円安牽制発言による円の買い戻しはやや一時的なものとなった。
一方、米国ニューヨーク債券市場では、米国長期金利の反発後の上昇が続いており、昨夜22時45分頃には一時4.153%付近に上昇したため、この時間にはドルは円相場ですでに一時152円95銭付近に反発上昇していた。
同時進行中の英国ロンドン外国為替市場でも、世界最大規模の金価格の値決めなどが行われる深夜24時のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けた主要取引通貨のドル需要があり、最近の金価格高騰などの影響もあって、ドルは円相場で153円台に再上昇し、米国債入札を控えた米国債売りなども入っていた影響もあり、米国長期金利上昇が続いていた影響と欧州ユーロ圏の仏政治懸念によるユーロ売りドル買いの外貨影響の対ドル円相場への波及などもあり、深夜24時33分頃にはドルは円相場で一時153円23〜24銭付近と、昨日の日本市場のドルの高値を上抜けした米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、午前2時の米国債入札後の午前3時16分頃に一時4.154%付近に上昇した米国長期金利を受けた金利警戒感の影響や米国政府機関閉鎖が長引く中で、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って反落後のマイナス圏の推移になっていた株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では、安全資産の米国債や低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗も入ったことでは、ドルは円相場で上昇幅を縮小した。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の152円11銭付近から、円の安値でドルの高値の153円24銭付近の値幅約1円13銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は153円7銭付近と、前営業日同時刻の152円69銭付近の前ニューヨーク終値比で約38銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間にあたる今朝8時50分には、今日の日本市場に先行して日本の最新経済指標の9月日本国内企業物価指数が発表され、前月比は前回の−0.2%と市場予想の0.1%を上回る0.3%に上振れし、前年同月比も市場予想の2.5%を超える前回と同じ2.7%の高止まりを見せた影響では、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時153円4銭付近の始値であった。
日本市場では、今日は10日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」にあたることでは、今朝9時55分の仲値決済に向けた円売りドル買いが先行し、今朝9時19分頃に対ドル円相場は一時153円16銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今朝早朝に米国主要株価三指数が揃って前日比の安値引けをしていた影響などもあり、今朝の東京株式市場では今日の日経平均株価も前日比のマイナス圏から始まり、下落幅を大幅域へと拡大した株価下落時のリスク回避のリスクオフでは、国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しが入り始めた影響では、国内輸出企業の円買いドル売りも五十日で市場高値後のドルには入りやすかったためドルは円相場で反落し、152円台に向けた。
今日の日経平均株価は、10月第2月曜日にあたる10月13日のスポーツの日の祝日を含む連休の週末を控えた利益確定売りや持ち高調整の影響もあり、今日の自民党と公明党の連立政権をめぐる協議の会談が行われる警戒感の中で高市トレードの後の利益確定や持ち高調整も入ったため、一時153円台から152円台になった為替影響で円安時に買った日本株を円高時に売る海外投資の為替差益売買も入り、午後15時30分に今日の日経平均株価は4万8088円80銭の終値をつけ、前日比491円64銭安の-1.01%の大幅下落で大引けし、この時間までにドルは円相場で152円台後半に下落していた。
午後15時半過ぎには、NHK (日本放送協会) が「公明党が自民党との連立政権から離脱する方針」と報じたニュースが話題になり、これまでにも支持母体に創価学会の組織票を持つ公明党が自民党に前回の総選挙の敗因となった裏金問題などへのけじめを求める意向を示してきたが、高市早苗自民党総裁も、今日の自民党と公明党の連立協議で「政治資金規正法に対する公明改正案に賛否を求められた」ことや、「公明党から一方的に連立政権離脱を伝えられた」などと発言したため、過半数割れの自民党の高市早苗総裁が日本の新首相に指名されない可能性なども出てきたことなどから、市場では高市トレードの円売りの巻き戻しで円が買い戻されたため、円相場が主要通貨に対して上昇し、午後15時37分頃に対ドル円相場は一時152円38銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、高市早苗自民党総裁は、「来週また協議を開きたい」とも発言しており、 自民党と公明党の連立協議の先行きや、公明党側の連立離脱の際に自民党が過半数を獲得するためには維新と国民民主などとの新たな連立などに向けて臨時国会召集や首相指名が遅れる可能性があるなど、日本の政治不透明への懸念による円売りの影響もあり、市場高値後の円の利益確定売りや持ち高調整も入り始めたことでは、ドルは円相場で 152円台後半に反発して今朝からの下げ幅を縮小したが、153円台に上抜けなかったことでは前東京終値比では小幅な円高ドル安の東京終値に向けた。
このため、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円88銭付近で、昨日17時の153円4銭付近の前東京終値比では約16銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、米国政府機関の一部閉鎖が続くことでは政府系の最新米国経済指標は発表延期であるものの、次回10月28〜29日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定や政府系以外の最新米国経済指標の発表予定があり、今夜22時45分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁の発言予定と、今夜23時に10月米国ミシガン大学消費者信頼感(態度)指数の速報値、26時頃からセントルイス連銀のアルベルト・ムサレム総裁の発言予定などを控えている。
また、世界の株式市場と債券市場と金や原油先物などを含むコモディティ (商品先物) 市場などの為替相場への影響や、ウクライナや中東など世界情勢と日本やフランスなどの世界政治経済のニュースに加えて、米国政府のドナルド・トランプ大統領などを含めた世界の政治・経済の要人発言などのファンダメンタルズニュース分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今日17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は176円99銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の177円69銭付近の前東京終値比で約70銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、今日の日経平均株価下落時のリスク回避のリスクオフによる低リスク通貨の円買いの影響に加えて、公明党の代表が自民党との連立離脱を表明したことから、先日から主要通貨に対する円安の要因となっていた高市トレードの巻き戻しで円相場が反発した。
その影響から、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は203円32銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の204円36銭付近の前東京終値比で約1円4銭の大幅な円高ポンド安になっていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1577ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1611ドル付近の前東京終値比で約0.34セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、欧州ユーロ圏のフランス政府のセバスティアン・ルコルニュ仏首相の先日の辞任表明後に、エマニュエル・マクロン仏大統領が今夜この後の10日付けで新仏首相を指名すると発表しており、仏政治のイベントリスクと警戒感が高まっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025月10月10日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時10分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時10分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されていることには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:10の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
ドル/円 | 152.71 〜 152.73 | −0.33 (円高) |
ユーロ/円 | 176.74 〜 176.76 | −0.95 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1571 〜 1.1573 | −0.0040 (ドル高) |
英ポンド/円 | 202.65 〜 202.71 | −1.71 (円高) |
スイスフラン/円 | 189.50 〜 189.56 | −1.02 (円高) |
豪ドル/円 | 100.06 〜 100.10 | −0.68 (円高) |
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