FXニュース:米利下げ予想と日仏政治

2025年9月09日
今日2025年9月9日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円43銭付近から、円の高値でドルの安値の146円82銭付近の値幅約61銭で、...

 

東西FXニュース – 2025年09月09日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米消費者調査の雇用懸念
  • 米雇用統計年次改定警戒
  • 米長期金利低下株価上昇
  • 自民党総裁選10月4日案
  • 日経平均最高値から反落
  • 日銀年内利上げ観測報道

今日2025年9月9日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円43銭付近から、円の高値でドルの安値の146円82銭付近の値幅約61銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円23銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円50銭付近の前東京終値比で約27銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、米国失業率増加を受けた米国利下げ予想と昨夜の欧州ユーロ圏のフランスの内閣信任投票を控えたフランソワ・バイル仏首相退陣観測の安全資産の欧米国債買いの影響などで、時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、債券利回りの金利差トレードの主要通貨へのドル売りの影響により、昨夜17時5分頃にドルは円相場で一時147円46銭付近に下落したが、欧州株式市場では欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-index / German stock index) が反発上昇し、欧州株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りと日本政府の石破茂首相辞任表明後の自民党総裁選に向けた政治不透明感による円売りも入ったことでは、欧州ユーロの他にもリスクオンで買われやすい英国ポンドや豪ドルが対円で上昇した外貨影響が対ドル円相場に波及し、昨夜19時15分頃にドルは円相場で一時147円88銭付近に反発上昇していた。

その影響から、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円78銭付近の始値で、昨夜21時24分頃と昨夜23時44分頃にもドルは円相場で一時147円88銭付近に再上昇し、昨夜の米国市場における円の安値でドルの高値を記録したが、米国ニューヨーク債券市場でも米国利下げ予想の影響を受けて米国長期金利が昨夜23時台には一時4.048%付近に低下していたことでは、ドルは円相場で二度目の高値を上抜けできず、テクニカル分析的なダブルトップの毛抜き天井を打って反落した。

また、昨夜に米国ニューヨーク連邦準備銀行 (連銀) が発表した8月米国消費者調査では、米国雇用市場軟化についての警戒感が見られ、失業時に3カ月以内に再就職ができると予想する割合が、前月の平均50.7%から平均44.9%に低下して2013年6月の調査開始以来の最低値になり、この先1年以内に失業する見通しの平均も14.5%と過去12ヶ月平均の14%以上と、先週の米国雇用統計の失業率の増加で高まった米国利下げ予想に影響を与えた。

さらに、同市場からは翌市場にあたる今夜この後の米国市場では、米国雇用統計の年次改定暫定値の発表が予定されていたことなどでも、先週の米国雇用統計後の警戒感が燻った。

その一方で、同ニューヨーク連銀の8月米国消費者調査では、1年先の米国インフレ期待は前月の3.1%から3.2%の穏やかな上昇率となり、3年先の米国インフレ期待は前回と同じ3%の横ばいで、5年先の米国インフレ期待も前回と同じ2.9%の横ばいであったことから、世界市場では今週9月11日木曜日の最新米国重要インフレ指標の8月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えた様子見もあったものの、米国市場では米国における雇用最大化と物価安定の二大責務を掲げる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の追加利下げ予想が高まっていた。

ニュースでは、米国関税上乗せ分のコストを企業が価格転嫁前にカバーするために、自主退職者の空席ポストに再雇用をしない形で経営効率化を図った企業などの話題なども出ていた。

金利先物市場のデータを基に米国政策金利誘導目標のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ・ツール (CME FedWatch Tool) では、来週9月16~17日開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における0.5%の米国大幅利下げ予想値が昨夕の一時9.9%付近から先週末の一時11%台付近に向けて再上昇しており、0.25%の米国小幅利下げ予想値は89%付近と市場で確定値と考えられている70%を超える優勢さを見せており、日本の政局が不安定な中では日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の追加利上げ予想は後退していたが、米国側の追加利下げの可能性が意識されていた。

一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国長期金利の低下を受けた金利警戒感の緩和により、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) が反発上昇し、米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) は揃ってプラス圏で推移し、中でも世界的なハイテク企業の比率が高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ) はおよそ1ヶ月ぶりに史上最高値を更新するなど、欧米主要株価上昇時のリスク選好のリスクオンによる低リスク通貨の円売りは抵抗になったが、時差先行の欧州株式市場が高値引けをした後にはその勢いはやや穏やかなものになった。

欧州ユーロ圏のフランスでは、昨夜の仏国民議会下院の内閣信任投票の結果が発表され、市場予想通りに過半数を大幅に超えた364人が仏内閣不信任票を投じたため、フランソワ・バイル仏首相はわずか194人の支持票で敗北し、フランソワ・バイル仏内閣総辞職の見通しなどの観測報道が世界市場でも話題になったが、すでに市場予想で織り込み済みの部分が多かったことでは、逆にその後の欧州ユーロの買い戻しが対ドルなどで入り、世界的に流動性が高いドル下落の外貨影響が対ドル円相場にも波及した。

午前4時には最新米国経済指標の7月米国消費者信用残高の前月比が発表され、前回の73.7億ドルが96.1億ドルに上方修正された上で、市場予想の100.0億ドルを上回る160.1億ドルに上振れし、雇用警戒や高金利の中で米国消費者のクレジットカードやローンなどの利用急増が観測されており、家計におけるローン負担増加などへの警戒感も燻った。

午前5時前には米国株式市場で米国主要株価三指数の高値引けが確定してきて株価影響の円売りが弱まった一方で、米国長期金利は午前4時50分頃に一時4.046%付近に低下していたため、債券利回りの米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りが為替相場に影響を及ぼしており、午前4時51分頃に対ドル円相場は一時147円34銭付近と、今朝早朝までの米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

なお、来週9月16~17日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) のイベントを控え、投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官達は、今週は発言自粛期間のブラックアウト (Blackout) に入っているため、事前収録のインタビューの後日掲載などを除き、新規発言影響はなかったものの、米国市場終盤には利益確定や持ち高調整の抵抗もあったことでは、ドルは円相場で147円台中盤付近に下げ幅を縮小した。

また、米国利下げ要求の政治圧を続けている米国政府のドナルド・トランプ大統領が米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) で空席となった理事ポストに指名したスティーブン・ミラン大統領経済諮問委員会 (CEA / Council of Economic Advisers) 委員長について、本人は指名が承認された場合の任期となる来年2026年1月31日まではCEA委員長の休職申請を希望しており、来年1月31日以降もFRB理事を務めることになった場合にのみCEA委員長を辞任するなどと述べていたが、民主党議員達はFRB理事への指名にあたり承認手続きを進める前に、FRBの独立性を守るためにCEA委員長を辞任する確約を求めており、米国上院銀行委員会が明日9月10日にでも採決すると報じられた。

ただし、米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が午前5時50分頃に一時4.043%付近に低下していたことでは、買い戻し幅は限られた。

このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の147円88銭付近から、円の高値でドルの安値の147円34銭付近の値幅約54銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円50銭付近と、前営業日同時刻の147円43銭付近の前ニューヨーク終値比では約7銭の小幅な円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間には、日本の自民党が石破茂首相の後任を決定する総裁選を国会議員と党員と党友が投票する「フルスペック方式」で実施し、「9月22日告示で10月4日の投開票案が有力」という朝のニュースがあり、昨日早朝の同じ頃に日本の政治不透明感の警戒で売られた円の買い戻しが入り、今朝8時22分頃に対ドルの円相場は一時147円22銭付近に反発上昇した。

その影響から、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円38銭付近の始値であったが、今朝の東京株式市場で今日の日経平均株価が続伸して始まり、今朝9時台に一時4万4千円台の史上最高値の更新に向けた株価影響のリスク選好のリスクオンでは低リスク通貨の円売りの抵抗があったため、今朝9時3分頃にドルは円相場で一時147円43銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今朝9時台にも時間外の米国債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.045%付近に低下しており、債券利回りの金利差トレードの主要通貨に対するドル売りの影響があったほか、今朝9時55分頃に一時4万4185円73銭付近の史上最高値を記録後の日経平均株価には海外投資が多かった影響もあり、早期の利益確定売りや持ち高調整が入り始めて反落し、午前の部で上昇幅を大幅に縮小したほか、午後の部ではマイナス圏に転じた株価影響による日経平均株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円買いが入ったことでは、対ドルの円相場は抵抗後には更なる上昇を見せており、午後15時頃には対ドル円相場は一時146円82銭付近と、146円台の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

午後15時30分には、今日の日経平均株価は4万3459円29銭の終値をつけ、前日比184円52銭安の-0.42%で大引けしたが、午後からの欧州市場の参入と夕方から英国ロンドン外国為替市場では、今日の午後の時間外の米国債券取引では安全資産の米国債売りも入っており、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は今夜17時頃の一時4.076%付近に向けて下げ幅を縮小していたことでは債券利回りの金利差トレードによるドルの買い戻しも入り、ドルも円相場で夕方16時47分頃には一時147円32銭付近と147円台に下げ幅を縮小した。

このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円23銭付近で、昨夜17時の147円50銭付近の前東京終値比で約27銭の円高ドル安になった。

なお、今日の夕方17時過ぎのニュースでは、米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) が、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の事情に詳しい関係者上昇として、「日銀は石破茂首相の退陣表明を受けて国内政治情勢が混乱する中でも、年内利上げの可能性を排除しない姿勢」であることを報じたことから、一時後退していた今年年内の日銀追加利上げ予想が再燃した円買いが起き、対ドルの円相場は再び146円台に上昇している。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に米国雇用統計の年次改訂暫定値の発表と、26時に米国3年債入札を控えている。

また、世界の株式市場と債券市場と金 (ゴールド) や原油先物価格などを含むコモディティ市場などの為替相場への影響と、ウクライナや中東などの世界情勢や日仏を含む世界の政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共にFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は173円3銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の173円11銭付近の前東京終値比では約8銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、日仏共に政治不透明感はあるものの今日の日経平均株価の史上最高値後の反落を受けた国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しの影響があったほか、 基軸通貨でもあるドルへの今日の円高ドル安の外貨影響がユーロ円相場にも波及していた。

ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1753ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1737ドル付近の前東京終値比で約0.16セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、米国利下げ予想の影響などによる米国長期金利低下による主要通貨に対するドル売りがあったほか、今夜この後の米国雇用統計の年次改訂暫定値を控える中で、昨夜の市場予想通りのフランスの内閣不信任投票のイベントの後の欧州ユーロの買い戻しなども為替相場に影響を与えていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円73銭付近で、昨日の夜17時の199円41銭付近の前東京終値比では約32銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、昨夜23時49分頃にも英ポンドは円相場で一時200円15銭付近と200円台に買われていた時間があり、その後は円相場で反落して上昇幅を縮小したが、今日の東京終値時点ではまだ円安ポンド高の範囲であった。

ただし、今日の夕方17時台の先述の日銀の年内利上げの可能性維持の報道を受けては、今夜その後の18時台の英国市場では一時198円台の円安ポンド高への市場反転も見せており、欧州ユーロも今夜20時台には一時172円台の円高ユーロ安になっている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年9月9日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時14分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時14分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。

通貨ペア JST 20:14の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比
ドル/円 146.55 〜 146.57 −0.95 (円高)
ユーロ/円 172.23 〜 172.25 −0.88 (円高)
ユーロ/ドル 1.1751 〜 1.1753 +0.0014 (ドル安)
英ポンド/円 198.92 〜 198.98 −0.49 (円高)
スイスフラン/円 184.60 〜 184.66 −0.83 (円高)
豪ドル/円 96.88 〜 96.92 −0.27 (円高)

注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。