FXニュース:米JOLTS求人数予想以下
2025年9月04日
東西FXニュース – 2025年09月04日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米FRBウォラー理事発言
- 米ベージュブックの物価
- 欧米国債買い利回り低下
- 赤沢経済再生担当相発言
- 日経平均株価上昇大幅高
- 明日の米雇用統計を控え
今日2025年9月4日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の147円79銭付近から、円の安値でドルの高値の148円41銭付近の値幅約62銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円40銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の148円71銭付近の前東京終値比で約31銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場では国内政治先行き懸念が燻っていたほか、午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入後の時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.3%台に上昇したことを受けた債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いも入り、昨夕16時23分頃にドルは円相場で一時149円14銭付近と149円台に上昇したが、その後は米国長期金利が一時4.2%台に上昇幅を縮小したためドルも円相場で148円台に反落し、昨夜17時の日本市場終了後の欧州英国市場では昨夜18時43分頃に対ドル円相場は一時148円43銭付近と、前東京終値時点よりも円高ドル安に転じ始めていた。
ただし、欧州市場では欧州ユーロ圏のフランスの政治先行き懸念による欧州ユーロ売りに対する世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルの買いの抵抗があり、また世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場でも深夜24 時のロンドン・フィキシングを控えた主要取引通貨のドルの買い戻しが入り、昨夜19時50分頃にはドルは円相場で一時148円74銭付近に反発していたため、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時148円62銭付近の始値であった。
米国市場でも債券利回りの金利差トレードの影響があり、昨夜21時15分頃に一時4.270%付近に低下した米国長期金利が、昨夜21時45分頃に一時一時4.281%付近に反発し、昨夜21時51分頃の一時4.284%付近に向けていた昨夜21時49分頃にはドルは円相場で一時148円80銭付近と、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、昨夜の米国市場では今週金曜日の米国雇用統計のイベントを前にした米国雇用関連の最新米国経済指標の発表を控えていたほか、米国経済チャンネルのCNBCテレビのインタビューに次回9月16〜17日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のクリストファー・ウォラー理事が出演し、「米国労働市場が悪化するのを待ってから米国政策金利を引き下げるべきではない」とし、「次回のFOMCで米国利下げを開始する必要があると思う」と予想通りのハト派発言をし、「その後は決まった手順で進める必要はない」、「人々は依然として関税インフレを懸念しているため、事態の先行きを見極めながら判断することができる」とやや慎重な姿勢も見せたものの、「現在の米国政策金利の4.25〜4.50%を中立金利の推定値である3%に向けて複数回の利下げを始めるべき」と再びハト派寄りの発言をしたことから、ペースはデータ次第ではあるが今後3〜6カ月で複数回の米国利下げの可能性があるとの市場予想が高まったことも米国長期金利の低下につながり、昨夜22時57分頃には米国長期金利は一時4.251%付近に低下した。
昨夜22時頃からは、同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国セントルイス連邦準備銀行 (連銀) のアルベルト・ムサレム総裁の発言も始まっており、「データを考慮すると、現在の引き締め政策は適切」とし、「米国関税はインフレの持続的な上昇を引き起こすリスクがある」とタカ派寄りの発言はあったものの、その一方で「米国労働市場は冷え込み、労働部門には下振れリスクがあると予想」とややハト派寄りの見解もあったことでは、利下げ要求の政治圧を続けているドナルド・トランプ米国大統領のハト派寄りの次期FRB議長候補の一人であると考えられている前述のクリストファー・ウォラー理事の発言への市場リアクションの方が米国ニューヨーク債券市場では大きかった。
昨夜23時には、今週金曜日の米国雇用統計のイベントを控えて注目が高まっていた米国雇用関連の最新米国経済指標の7月米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数の発表があり、前回の743.7万件が735.7万件に下方修正された上で、市場予想の737.8万件を下回る718.1万件に下振れし、2024年9月以来の低水準であったため、ドルは円相場だけでなく主要通貨全般に対しても一時全面安に向けた急落を見せ始めたほか、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利が更なる低下に向けており、午前2時10分頃に米国長期金利が一時4.207%付近に低下したほか、瞬時に4.19%台付近にも触れるなど、債券利回りの米国長期金利低下時のドル売りと日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響が強まっていた午前2時20分頃に、ドルは円相場で一時147円88銭付近と147円台の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
なお、昨夜23時に同時発表されていた米国景気関連の最新経済指標の7月米国製造業新規受注の前月比も、前回の−4.8%と市場予想の−1.4%に対し−1.3%と、前回よりも改善されたものの市場予想に届かなかった。
ただし、今朝未明の午前3時には米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国地区連銀経済報告のベージュブック (Beige Book) の公開を控えていたことでは、物価関連のデータなどへの警戒感や様子見で市場高値後の円や外貨の利益確定や持ち高調整と市場安値後のドルの買い戻しの抵抗も入り始めた。
午前3時には、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) がPDF文書などで米国地区連銀経済報告のベージュブック (Beige Book) を公開し、内容は「米国経済活動は大半の地区が前回に比べて、ほとんど、もしくは全く変化しなかった」と総括されていたが、市場の注目の物価については、「10地区が緩やか、または控えめに上昇した」とあり、「ほぼ全ての地区で米国関税関連の価格上昇が見られ、多くの地区で関税が特に価格に影響を与えている」と報告されており、その一方で、多くの家計で物価上昇ほどの賃金上昇がなくなり、「消費は横ばい、または減少」と指摘されており、関税による追加コスト調整の可能性などから米国企業におけるレイオフ (Lay-off / 一時解雇) の増加や人員削減なども指摘されたことで、米国関税政策影響によるインフレ警戒に加えて、経済や雇用の減速への警戒感が燻り、雇用最大化と物価安定の二大責務を掲げるFRBのリスクバランスが意識されたことでは、米国関税インフレ警戒によるドルの買い戻しが入る中でも上値は重いものとなっていた。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国長期金利低下を受けた金利警戒感の緩和により、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) が反落後の下げ幅を小幅域に縮小し、米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) の二指数は前日比で高値の終値をつけた株価影響では、米国市場終盤の利益確定や持ち高調整も相まって低リスク通貨の円売りとドルの買い戻しも入ったことでは、ドルは円相場で下げ幅を縮小し、米国株式市場終了後の今朝5時1分頃には一時148円16銭付近と148円台に反発した。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円80銭付近から、円の高値でドルの安値の147円88銭付近の値幅約92銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は148円10銭付近と、前日同時刻の148円36銭付近の前ニューヨーク終値相当時間比で約26銭の円高ドル安をつけた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今週金曜日の米国雇用統計を控える中で昨夜の米国雇用関連の経済指標が下振れしたことを受けたドル売りが入り、今朝8時17分頃にドルは円相場で一時147円95銭付近と再び147円台に下落したため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場も一時147円98銭付近と147円台の始値になった。
日本市場では、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があったため、今朝9時44分頃にドルは円相場で一時148円17銭付近と148円台に反発したが、続いては輸出企業の円買いドル売りも入り始めたことでは、昨夜の米国経済指標の影響もあってドルは円相場で反落した。
今朝10時29分頃には、来週9月8日午後3時に総裁選挙管理委員会に自民党総裁選の前倒し要求の締め切り要求の提出締め切りとなる日本の政治不透明感を高めていることに対して、赤沢亮正経済再生担当相が、物価上昇を上回る賃上げ、防災庁設置・日米関税合意の履行について、「いずれも石破政権が責任を持って確実に成し遂げるべき課題だ。引き続き責任をもってやっていきたい」と強調し、「臨時総裁選の前倒しは必要ない」と発言したニュースが話題になった日本の政治先行き不透明感がやや緩和された円の買い戻しも入り始めた。
日本市場時間の今日の時間外の米国債券取引でも、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.2%台に低下後の推移を続けており、今朝10時36分頃の米国長期金利は一時4.215%付近であった影響もあり、今朝10時36分頃にドルは円相場で一時147円79銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値をつけた。
しかし、今日の東京株式市場では、朝から日経平均株価がプラス圏で始まり、その後の上昇幅を拡大した株価影響による株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) では、国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りは抵抗要因となり、市場安値後のドルは円相場で反発して下げ幅を縮小し、午後15時30分に今日の日経平均株価は4万2580円27銭の終値をつけて前日比641円38銭高の+1.53%の大幅高で大引けした。
また、財務省が今日実施していた30年物の日本国債の入札結果を受けた円売りもあったほか、午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場参入があり、欧州ユーロ圏のフランスの政治懸念や英国財政懸念などの影響による世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルの買い戻しの影響もあって、夕方16時56分頃にドルは円相場で一時148円41銭付近と148円台前半に反発し、今日の日本市場における円の安値でドルの高値を記録したが、同時に世界的な安全資産でもある米国債も買われたことでは米国長期金利の低下がドルの上値を抑えており、148円台後半だった前東京終値比では円高ドル安の今日の東京終値に向けたほか、その後の欧州英国市場では今夜18時34分頃の一時4.199%付近と4.1%台方向に向けて米国長期金利が低下している。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円40銭付近で、昨夜17時の148円71銭付近の前東京終値比では約31銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時15分に注目度が高い8月米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計と、今夜21時30分に前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数と、7月米国貿易収支、4〜6月第2四半期米国非農業部門労働生産性と米国単位労働費用の改定値が同時発表される予定で、続いて今夜22時45分には8月米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と8月米国総合購買担当者景気指数の改定値、そして、今夜23時に重要景気指標の8月米国ISM (Institute for Supply Management / 全米サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数と、同じ頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定を控えている。
また、時間は未定であるが、8月8日に辞任したアドリアナ・クグラー元FRB理事の後任として先日にドナルド・トランプ大統領がFRB理事に指名したスティーブン・ミラン大統領経済諮問委員会 (CEA / Council of Economic Advisers) 委員長の公聴会も予定されている。
加えて、世界の株式市場と債券市場と金 (ゴールド) や原油先物価格などを含むコモディティ市場などの為替相場への影響と、ウクライナや中東などの世界情勢や政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共にFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は172円90銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の173円6銭付近の前東京終値比では約16銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、欧州ユーロ圏で主要国ドイツに並ぶ地位にあるフランスにおける政治懸念や財政警戒による欧州ユーロ売りの影響が燻っていたほか、安全資産の国債買いによりドイツ連邦10年債の利回りが指標となる欧州長期金利が、今夜の一時2.70%付近に向けて低下していた影響も観測された。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1652ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1638ドル付近の前東京終値比では約0.14セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、昨夜の米国経済指標や複数回の米国利下げ予想を受けた米国長期金利低下による主要通貨に対するドル売りの影響が残っていたほか、安全資産の欧米国債買いでは欧州長期金利だけでなく米国長期金利も低下している。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円27銭付近で、昨夜17時の198円84銭付近の前東京終値比では約43銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、昨夜に英国政府のレイチェル・リーブス財務相が英国秋季予算案を11月26日に提示することなどの詳細を発表したことから、市場で高まっていた英国財政懸念や国債需給の警戒感がやや緩和された英国ポンドの買い戻しが入った。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年9月4日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時13分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時13分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:13の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
ドル/円 | 148.32 〜 148.33 | −0.39 (円高) |
ユーロ/円 | 172.71 〜 172.73 | −0.35 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1642 〜 1.1644 | +0.0004 (ドル安) |
英ポンド/円 | 199.34 〜 199.40 | +0.50 (円安) |
スイスフラン/円 | 184.11 〜 184.17 | −0.59 (円高) |
豪ドル/円 | 96.66 〜 96.70 | −0.34 (円高) |
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