FXニュース:日銀氷見野副総裁の発言

2025年9月02日
今日2025年9月2日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の147円9銭付近から、円の安値でドルの高値の148円74銭付近の値幅約1円65銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円62銭付近と、...

 

東西FXニュース – 2025年09月02日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 仏政治と財政先行き予想
  • 日銀早期利上げ予想後退
  • 日国債入札で利回り低下
  • 日首相「来るべき時に決断」
  • 日経平均株価上昇時の円
  • 米長期金利上昇で金利差
  • 欧ECB専務理事の発言も

今日2025年9月2日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の147円9銭付近から、円の安値でドルの高値の148円74銭付近の値幅約1円65銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円62銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円6銭付近の前東京終値比で約1円56銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁が欧州ユーロ圏のフランスの政治先行き懸念の中でも、「現時点では国際通貨基金 (MF / International Monetary Fund) の支援を必要とするほどではない」と発言したため、仏財政への懸念が一時緩和された欧州ユーロの買い戻しと共に欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-index) が上昇し、リスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られて昨夜17時9分頃にドルは円相場で一時147円20銭付近に上昇した。

一方、昨夜17時には最新欧州経済指標の発表があり、昨夕16時50分と55分に先行して発表されたフランスとドイツでは強弱混合していた8月製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値が、欧州ユーロ圏総合では前回速報値と市場予想の50.5を上回る50.7に上方修正されたことが影響し、昨夜21時からの米国市場が米国祝日のレイバーデー (Labor Day / 労働者の日) の休場予定で米国市場を控えたドル実需が減少したことに対し、ユーロドルの外貨影響が対ドル円相場に波及したことでは、昨夜18時1分頃にはドルは円相場で一時146円94銭付近に一時反落した。

ただし、昨夜18時には7月欧州失業率の発表もあり、市場予想通りの6.2%ではあったものの、前回の6.2%が前回6.3%に悪化方向の修正がされたことを受けては、ユーロドルで欧州ユーロの利益確定売りや持ち高調整が入り始めて反落を始めたことに対し、世界的に流動性が高いドルには一時146円台からはショートカバーによるドルの買い戻しが入りやすくなり、ドルは円相場で147円台に反発し、昨夜の米国ニューヨーク外国為替市場は米国祝日連休で休場ではあったものの、市場後半が同時進行中だった欧州英国市場や時間帯が近い世界FX市場の対ドル円相場では昨夜21時頃のニューヨーク始値相当時間の対ドル円相場は一時147円16銭付近となっていた。

昨夜の米国ニューヨーク外国為替市場相当時間には、米国市場休場につき世界市場全体の流動性が低下する中でも、午前2時頃まで同時進行していた世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場の影響下で、最近の最高値続伸で人気の世界的な安全資産でもある金価格値決め時間の深夜24時の月初めのロンドン・フィキシング (London Fixing) の主要取引通貨のドル需要があった影響では、深夜24時23分頃にドルは円相場で一時147円31銭付近と、昨夜の米国市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、米国市場と時間帯が近い世界市場では、米国政府のドナルド・トランプ大統領による利下げ要求の政治圧による米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の独立性懸念やドル信認低下への警戒感が燻っており、昨日の日本市場で記録していたドルの東京高値の147円38銭付近がレジスタンスラインとなり、日通し高値付近を前にしたドルの利益確定売りや持ち高調整が入り始めて市場高値後のドルは円相場で上昇幅を縮小した。

また、欧州ドイツのフランクフルト証券取引所で欧州主要株式指数の独DAXが高値引けし、英国ロンドン証券取引所でも英国主要株価指数のFTSE 100も小幅高で引けており、株価上昇時のリスク選好のリスクオンによる低リスク通貨の円売りの株価影響が終わったことでも欧州英国市場終了後の世界市場で円相場が下げ幅を縮小し、午前5時6分頃には対ドル円相場は一時147円14銭付近と、米国市場休場につき小幅な値幅ながらもこの日の米国市場相当時間の円の高値でドルの安値をつけていた。

このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場相当時間の世界FX市場での対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の147円31銭付近から、円の高値でドルの安値の147円14銭付近の値幅約17銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値相当時間は147円18銭付近と、米国市場の連休前の前営業同時刻の147円5銭付近の前ニューヨーク終値比で約13銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝6時5分頃にドルは円相場で一時147円23銭付近に反発上昇したが、今朝8時30分頃にアジアのシンガポール取引所 (SGX / Singapore Exchange) で日経225先物取引 (Nikkei 225 Futures) が大阪夜間終値比で小幅なマイナス圏から始まったことを受けては低リスク通貨の円買いが先行したため、今朝8時50分には対ドルの円相場で一時147円5銭付近に反発し、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円9銭付近の始値となり、これが今日の日本市場における円の高値でドルの安値となった。

日本市場では、本日連休明けの今夜の米国市場に向けた日本企業の円売りドル買いが入り始めてドルは円相場で上昇したほか、今朝の東京株式市場が始まると今日の日経平均株価が昨日の安値引けから反発上昇してプラス圏で上昇した株価上昇時のリスク選好のリスクオンによる国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りの影響もあり、今朝9時55分の仲値決済後の今朝10時頃にはドルは円相場で一時147円40銭付近に上昇していた。

今朝10時30分頃から、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の氷見野良三副総裁の発言のニュースが話題になり、北海道釧路市での道東地域金融経済懇談会における挨拶の「最近の金融経済情勢と金融政策運営」の講演で、「経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適切だ」と従来通りの追加利上げ方向は維持していたものの、追加利上げ時期については市場が期待していた様な今年年内の早期の追加利上げを示唆する様なタカ派発言はなく、米国関税政策の影響がこれから出てくる可能性や世界経済の不確実性により経済と物価に上下双方向のリスクが考えられるとの警戒感を示し、「メイン・シナリオが本当に実現していくかどうかについては、予断を持たずに見ていきたい」と早期の追加利上げにやや慎重な姿勢を見せたため、市場で高まっていた今年年内の早期の日銀追加利上げ予想がやや後退した円売りが起き、挨拶講演の全文が日銀のホームページで全国に公開された直後の今朝10時32分頃に対ドルの円相場は一時147円54銭付近と147円台後半に向けた。

なお、日銀の氷見野良三副総裁は午後の記者会見で、今朝の挨拶講演の全文で言及した日本銀行のバランスシート上の資産で昨年3月に新規購入を終了した上場投資信託 (ETF) やジェイリート (J-REIT) の今後の処分検討についても、「特に時期を示唆する考えはない」と発言していた。

今日の日経平均株価は、当面の間の国内金利警戒感緩和の影響もあって一時反落後も反発上昇し、午後15時30分に4万2310円49銭の終値をつけ、前日比121円70銭高の+0.29%で大引けし、株価影響の低リスク通貨の円売りの影響が残っていた。

一方、日銀の追加利上げ方向の維持を受けては、財務省が今日実施した10年物国債入札では平均落札利回りが1.612%で最高落札利回りが1.619%と、2008年7月以来の高利回りとなっていたことなどから国債入札が好調で、日本国債買いによる債券価格上昇時の利回り低下の影響が波及し、新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が低下していたことも円売りに繋がり、それに対して午後からの欧州市場の参入に続いて夕方から世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場が参入すると、時間外の米国債券取引で米国債売りの影響で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、債券利回りの日米金利差拡大を受けた円売りドル買いが勢いを増し、日銀の早期の追加利上げ予想の後退による円売りの影響もあってドルは円相場で148円台に上抜けたほか、夕方16時40分頃には米国長期金利が一時4.280%付近と更なる上昇を見せたため、夕方16時56分頃にドルは円相場で一時148円74銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

また、今日は日本政府の石破茂首相が午後の両院議員総会の挨拶で、7月の参院選の大敗について、「総裁たる私の責任」と発言し、「来るべき時にきちんとした決断をする」としたことから石破茂首相退陣観測報道が燻ったことや、自民党の森山裕幹事長が7月の参議院選挙総括を終えた後に、「大敗した責任を取る」と辞意を表明したことや小野寺五典政調会長や鈴木俊一総務会長も辞任する意向だと報じられたことなどを受けて、日本の政局不透明感による主要通貨に対する円売りも起きていた。

このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円62銭付近で、昨夜17時の147円6銭付近の前東京終値比で約1円56銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後の米国連休明けの米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時45分に8月米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値、今夜23時に重要景気指標の8月米国ISM (Institute for Supply Management  / 全米サプライマネジメント協会) 製造業景況指数と、同時刻に7月米国建設支出などが発表される予定である。

また、世界の株式市場と債券市場と最近の米国信認懸念のドル売りなどで最高値を続伸している安全資産の金 (ゴールド) 国際価格や原油先物価格などを含むコモディティ市場などの為替相場への影響と、ウクライナや中東などの世界情勢や政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共にFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は173円9銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の172円42銭付近の前東京終値比では約67銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、今日の午後に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のイザベル・シュナーベル専務理事が、「欧州ユーロ圏の経済は米国関税にも持ちこたえており、欧州インフレ率はなお予想を上回る可能性がある」として、「これ以上の欧州利下げをする理由は見当たらない」と、欧州政策金利据え置き予想を高める発言をしており、それに対して今日の今年年内の早期の日銀追加利上げ予想の後退や日本国債入札を受けた国内長期金利低下と日本の政治不透明感の円売りに加えての日経平均株価上昇時の低リスク通貨の円売りの影響により、欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対しても円相場が下落していたため、欧州ユーロ圏のフランスの政治懸念による欧州ユーロ売りは対ドルでは燻るユーロ安ドル高であったものの対円では円安ユーロ高の東京終値になっていた。

そのため、ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1647ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1725ドル付近の前東京終値比では約0.78セントのユーロ安ドル高であった。

なお、その後の今夜18時に欧州市場で発表された最新欧州重要経済指標の8月欧州消費者物価指数 (HICP / Harmonised Index of Consumer Prices) 速報値は、前年同月比が前回と市場予想の2.0%を上回る2.1%に上振れし、同月の欧州HICPコア指数の速報値も前年同月比が市場予想の2.2%を上回る前回横ばいの2.3%と、前述のECBのイザベル・シュナーベル専務理事のインフレ予想を裏付けるものとなったことから、次回の欧州金利据え置き予想が上昇した。

英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円25銭付近で、昨夜17時の198円97銭付近の前東京終値比で約28銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、今日は前述の円売りに対して英国10年債の利回りも一時4.8%台に上昇し、債券利回りを受けた日英金利差拡大による円売りポンド買いが為替相場に影響を与え、今日の英国ポンド円は一時200円27銭付近に上昇していた時間があったが、今日の夕方には英国30年債利回りが1998年5月以来の高水準である5.69%台に急上昇したことなどを受けた警戒感による英国ポンド売りが対ドルなどで入っていた影響では小幅域の東京終値に上昇幅を縮小した形となっており、その後の今夜20時台の英国市場では小幅な円高ポンド安への市場反転も見せている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年9月2日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時25分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時25分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。

通貨ペア JST 20:25の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比
ドル/円 148.59 〜 148.60 +1.53 (円安)
ユーロ/円 172.89 〜 172.90 +0.47 (円安)
ユーロ/ドル 1.1634 〜 1.1636 −0.0091 (ドル高)
英ポンド/円 198.87 〜 198.93 −0.10 (円高)
スイスフラン/円 184.61 〜 184.67 +0.54 (円安)
豪ドル/円 96.72 〜 96.76 +0.44 (円安)

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