FXニュース:米パウエル議長雇用警戒
2025年8月25日
東西FXニュース – 2025年08月25日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米9月利下げ予想値再燃
- 米長期金利急落4.2%台
- 米ダウ工業株最高値更新
- 米主要株価三指数大幅高
- 日銀総裁賃金上昇圧発言
- 新発10年債利回り1.62%
- 日経平均株価上昇幅縮小
今日2025年8月25日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円53銭付近から、円の高値でドルの安値の147円10銭付近の値幅約43銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円30銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の148円61銭付近の前東京終値比で約1円31銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、8月21日から8月23日にかけての米国ワイオミング州のジャクソンホールで米国カンザスシティー地区連邦準備銀主催の年次経済政策シンポジウムのジャクソンホール会議のイベントにおける先週金曜日の夜23時頃からの米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の講演による要人発言イベントが世界的な注目を集める中で、前日の8月米国総合購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 速報値が前回の55.1と市場予想の53.5を上回る8カ月ぶりの高水準の55.4に上振れしたことや他のFRB高官達が米国利下げに慎重なタカ派寄りの発言をしたことが報じられており、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が先週金曜日の夜19時2分頃に一時4.341%付近に上昇していたため、先週金曜日の夜20時56〜57分頃にドルも円相場で一時148円74銭付近に上昇していた。
この理由として、この時間には英国ロンドン外国為替市場では、米国金利先物市場のデータを基に米国政策金利の市場予想値を算出するフェドウオッチ (FedWatch) において、次回9月16〜17日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での0.25%の米国小幅利下げ予想値が先週金曜日の夜20時台には一時69.3%付近と市場で確定値と考えられている70%を下回る推移を見せていた時間があり、その後には再び市場で確定値と考えられている70%超えに向け始めたものの、先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時148円71銭付近の始値で、先週金曜日の夜21時5分頃と22時頃にドルは円相場で一時148円72銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。
米国ニューヨーク債券市場では、イベントリスクの高まりによる安全資産の米国債の買い戻しが入り始めており、米国債券価格上昇に伴う利回り低下の影響があり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は先週金曜日の夜22時57分頃には一時4.312%付近に上昇幅を縮小し、先週金曜日の夜23時頃からの米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジャクソンホール会議でのジェローム・パウエル議長発言のイベント直前の先週金曜日の夜22時59分頃のドルも円相場で一時148円63銭付近となっていた。
先週金曜日の夜23時頃には、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジャクソンホール会議でのジェローム・パウエル議長発言が始まり、「パンデミックから4年半が経過し、経済的混乱のピーク期は過ぎつつある。インフレは大幅に低下し、労働市場も過熱状態から脱して現在はパンデミック前よりも緩和されてきている。供給制約も正常化し、我々の二大責務に対するリスクバランスも変化を迎えつつある。目標は、堅調な米国労働市場を維持しながら物価の安定を回復させること、そしてインフレ期待が十分に定着されていなかった過去のデフレ時代のような急激な失業率の上昇を避けること」と、雇用最大化と物価安定 (Maximum employment and price stability) の二大責務 (Dual mandates) のリスクバランスにおける米国雇用への警戒感を示し、「リスクバランスの変化を踏まえると、政策スタンスの調整が正当化される可能性がある」と米国利下げの可能性を示唆したため、先日の米国雇用統計の大幅下方修正と下振れ後に前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の後の利下げに慎重だったスピーチの時よりもハト派寄りと市場で受け止められた。
これを受けて、次回の米国利下げ予想値が急上昇し、フェドウオッチ (FedWatch) で次回9月16〜17日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での0.25%の米国小幅利下げ予想値が発言を受けて一時90%台付近にまで上昇し、ドルは円相場で先週金曜日の夜23時0分の1分間の値動きの中だけでも一時148円61銭付近から147円69銭付近と、一時148円台から147円台へと1分間で1円近く急落した。
米国ニューヨーク債券市場では、米国利下げ予想の再燃を受けて、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.3%台から4.2%台に向けて急落し、先週金曜日の深夜24時27分頃には米国長期金利が一時4.247%付近にまで低下したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りと米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りの外貨影響も対ドル円相場に波及し、この深夜24時27分頃にはドルも円相場で一時146円57銭付近と146円台に下落し、先週末の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、ドル円だけでなく、欧州ユーロや英国ポンドなどを含めた主要通貨全般に対するドルインデックス (ドル指数) も、一時97.56付近に向けて急落した。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、ジャクソンホール会議におけるジェローム・パウエル議長のハト派寄りの発言を受けた金利警戒感緩和により米国主要株価三指数が急伸し、金利に特に敏感な米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) は史上最高値を更新し、米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) も大幅に上昇した終値に向けた株価影響では、米国債券価格上昇後の安全資産の米国債売りや市場高値後の低リスク通貨の円売りの抵抗が混ざったが、米国利下げ予想を受けては米国長期金利の反発幅は限定的で一時4.264%付近までとなり、ドルも円相場で一時146円台中盤付近から146円台後半までは下げ幅を縮小したものの146円台に留まり、ジェローム・パウエル議長発言前の一時148円台後半のドルの高値付近からは一時は2円以上も円相場で大幅に下落していた。
また、米国政府のドナルド・トランプ大統領が先週土曜日未明に米国ホワイトハウスで、「ウクライナとロシアの和平交渉が進展するかどうか、2週間以内に方向性が分かるだろう」とした上で、ロシアに大規模な追加制裁を科すかどうかを早期に判断することや、交渉長期化への関与を縮小する可能性を示唆したニュース報道を受けては、米国利下げ予想を受けた米国長期金利低下時のドル売りでは欧州ユーロも対ドルで急伸して先週土曜日の午前2時38分頃に一時1.1743ドル付近と欧州ユーロの対ドルの高値を記録していたが、地政学リスクの燻りもあってドルの買い戻しの抵抗が入り始めた外貨影響も対ドル円相場に波及していた。
このため、先週金曜日の夜21時頃から先週土曜日の朝5時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円72銭付近から、円の高値でドルの安値の146円57銭付近の値幅約2円15銭で、先週土曜日の朝5時55分頃のニューヨーク終値は146円94銭付近と、前営業同時刻の148円37銭付近の前ニューヨーク終値比で約1円43銭の大幅な円高ドル安をつけて週末を迎えていた。
週末のニュースでは、8月23日までの世界的な経済シンポジウムの米国ジャクソンホール会議には、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁や欧州中央銀行 (ECB / European Central) のクリスティーヌ・ラガルド総裁などの他の中央銀行トップも出席して発言していたため、23日の日銀の植田和男総裁の討論会での発言が話題になり、日本の労働市場に「賃金上昇圧力がかかり続ける」と、賃金上昇を伴う2%の国内インフレ目標に向けた日銀の追加利上げ方向維持の継続予想が高まったことも、米国利下げ予想に対する日本の利上げ予想の日米金利差縮小予想による円買いが入り、週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝6時31分頃に対ドルの円相場が一時146円76銭付近に上昇していた。
ただし、今朝の日本市場に向けては、先週末の米国主要株価の大幅上昇を受けて、今日の日経平均株価に上昇予想が出ており、日経平均株価上昇時には低リスク通貨の円が売られやすくなることや、今日は25日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10がつく日の「五十日(ごとおび / ゴトーび)」であることもあり、日本市場に向けた円売りドル買いが入り始めたことでは、今朝8時41分頃にはドルは円相場で一時147円30銭付近と147円台に反発して、先週末の下げ幅をやや縮小していた。
その影響から、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円27銭付近の始値で、今朝の東京株式市場で今日の日経平均株価が市場予想通りに上昇して始まり、今朝9時台に一時4万3201円42銭付近の市場高値をつけて前営業日終値比で一時568円13銭高の大幅高になった株価影響によるリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りと日本企業の輸入実需の円売りドル買いなどがあり、今朝9時31分頃にドルは円相場で下落幅を縮小し、一時147円53銭付近と今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、月末を控えた五十日であったことでは、日本企業の輸入実需に続いては、国内輸出企業の円買いドル売りも入り対ドルの円相場が反発を始めたほか、日銀の追加利上げ予想を受けて今日の国内債券市場では新発10年物日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が一時1.62%付近に向けて上昇するなど国内金利警戒感を受けては、今朝の市場高値後の日経平均株価は利益確定売りや持ち高調整の抵抗により上昇幅を縮小しており、午後15時30分に今日の日経平均株価は4万2807円82銭の終値と前営業日比174円53銭高の+0.41%で大引けしたため、今朝の一時の大幅上昇時のリスクオンで売られていた国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しが入り、欧州市場参入後の午後15時45分頃に対ドル円相場は一時147円10銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
夕方の世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場は、今日は8月最終月曜日の英国のサマーバンクホリデー (Summer bank holiday) の祝日連休で休場であったため世界市場全体の流動性が減少していたが、週末の英国ロイター (Reuters) 通信のインタビューでは、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国セントルイス地区連邦準備銀行のアルベルト・ムサレム総裁が、「米国インフレ率は、2%よりも3%に近い。これは現実だ。そして基本シナリオではないものの、インフレがある程度持続する可能性もある」と指摘し、「これが、労働市場の悪化という、まだ現実には起こっていないリスクに対する一つのリスク」と、「次回の米国利下げを支持するかどうかの決定前に、さらなるデータが必要だ」と慎重なタカ派寄りの発言をしていた影響などがあり、今日のフェドウオッチ (FedWatch) では、次回の米国利下げ予想値は一時90%付近から一時70%台への反落後に80%台になっており、時間外の米国債券市場では米国長期金利が下落幅を縮小し始めており、市場安値後のドルの買い戻しも入り始めた。
また、先週金曜日のジェローム・パウエル議長の発言における「金融政策は引き締め的な領域にあり、ベースラインの見通しとリスクバランスの変化を踏まえると、政策スタンスの調整が正当化される可能性がある」との発言が話題になったことについてもアルベルト・ムサレム総裁は、「重要なのは、『可能性』という言葉だろう」と指摘し、「前もって決まったルートはない」とデータ重視の中道的な発言もしていたこともあり、今夜の次回の米国利下げ予想値は一時85.2%付近に一時の上昇幅を縮小し、その後の追加利下げについても見解が分かれていたことから、世界市場の時間外の米国債券市場では今夜19時台の一時4.280%付近に向けて米国長期金利が下げ幅を縮小し、市場安値後のドルは円相場で下げ幅をやや縮小し始めていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円30銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の夜の148円61銭付近の前東京終値比では約1円31銭の大幅な円高ドル安になったが、先週末のニューヨーク終値の146円94銭付近からは下げ幅を縮小していた。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に7月米国新築住宅販売件数の発表などを控えている。
また、世界の株式市場と債券市場と原油先物価格などを含むコモディティ市場などの為替相場への影響と、ウクライナや中東などの世界情勢や政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動きの予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は172円35銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の172円30銭付近の前東京終値比では約5銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日経平均株価上昇時のリスク選好のリスクオンによる低リスク通貨の円売りでは欧州ユーロが買われたが、ロシアの時間稼ぎ回避のために米国が追加の経済制裁の可能性を示唆するなど地政学リスク懸念が燻った欧州ユーロ売りはやや抵抗になっていた。
ただし、今夜17時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の8月独IFO (Information and Forschung) 企業景況感指数が前回の88.6と市場予想の88.8を上回る89.0に上振れしたことでは、欧州ユーロ買いが入った。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1701ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.1594ドル付近の前東京終値比で約1.07セントの大幅なユーロ高ドル安だった。
主な要因は、米国利下げ予想再燃により、先週末の米国市場で米国長期金利急落時の大幅なドル安が主要通貨に対して起きていた影響が残っていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は198円94銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の199円20銭付近の前東京終値比では約26銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、米国利下げ予想の再燃に対し、日銀利上げ予想が続いたため、ドル円で大幅な円高ドル安が進行した外貨影響が波及したほか、先週金曜日の米国債の利回り急落後に連れて英国債の利回りも低下しており、また今日の英国市場は祝日連休で英国ポンドの現地実需が減少していたことなども為替相場に影響を与えていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年8月25日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時18分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時18分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:18の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
ドル/円 | 147.37 〜 147.38 | −1.24 (円高) |
ユーロ/円 | 172.33 〜 172.34 | +0.03 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1692 〜 1.1694 | +0.0098 (ドル安) |
英ポンド/円 | 198.94 〜 199.00 | −0.26 (円高) |
スイスフラン/円 | 183.66 〜 183.72 | +0.08 (円安) |
豪ドル/円 | 95.68 〜 95.72 | +0.22 (円安) |
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