FXニュース:米卸売物価指数予想以上
2025年8月15日
東西FXニュース – 2025年08月15日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 新規失業保険申請数改善
- 米財務長官発言フォロー
- 米長期金利一時4.29%台
- 日本GDP市場予想上振れ
- 日経平均株価最高値更新
- 今夜米小売売上高を控え
今日2025年8月15日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円73銭付近から、円の高値でドルの安値の146円94銭付近の値幅約79銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円95銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円59銭付近の前東京終値比で約36銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、前日の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁の関税インフレ警戒による利下げペースに慎重な発言に続き、昨夜の米国経済紙では米国サンフランシスコ連邦準備銀行のメアリー・デイリー総裁が、「来月9月の米国大幅利下げは適切とは考えない」、「0.5%の米国大幅利下げは不必要な緊急性のシグナルを送ることになる」と大幅利下げに否定的な発言の影響により、次回9月16〜17日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の市場予想値で小幅利下げは依然として優勢であったが、一時浮上した大幅利下げ予想値は後退を始めたため、ドルの買い戻しが入り、昨夜19時2分頃にドルは円相場で146円67銭付近に下げ幅を縮小していた。
時間外の米国債券取引では昨夜19時台には一時4.219%付近に反発していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、最新米国経済指標発表を控えたイベントリスクの影響もあり、昨夜20時56分頃に一時4.207%付近に反落した影響では、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円49銭付近の始値で、昨夜21時26分頃にも米国長期金利は一時4.208%付近へと再び低下したため、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りにより、昨夜21時25分頃にドルは円相場で一時146円43銭付近と、昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国市場で昨夜21時30分に発表された米国インフレ関連の最新米国経済指標の7月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) は、前月比が前回の0.0%と市場予想の0.2%を上回る0.9%に上振れし、前年同月比も前回の2.3%と市場予想の2.5%を超える3.3%に上昇し、価格変動が激しい食品とエネルギーを除く基調物価の7月米国PPIコア指数も、前月比が前回の0.0%と市場予想の0.2%を上回る0.9%に上昇し、前年同月比も前回の2.6%と市場予想の2.9%を上回る3.7%といずれも市場予想以上に上振れしており、米国関税インフレ懸念が再燃した。
また、同時発表だった米国雇用関連の最新米国経済指標の前週分米国新規失業保険申請件数が、前回の22.6万件と前回修正の22.7万件と市場予想の22.8万件よりも堅調な22.4万件に改善されており、前週分米国失業保険継続受給者数も前回の197.4万人と前回修正の196.8万人と市場予想の196.4万人よりも堅調な195.3万人であったことから、米国雇用市場軟化への警戒感が緩和され、米国における雇用最大化と物価安定 (Maximum employment and price stability) の二大責務 (Dual mandate) を掲げる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の次回9月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国大幅利下げ予想値の消失と共に、米国金利据え置き予想値が再浮上し、今日の時点での一時7.4%付近に向けたことから、次回の米国小幅利下げ予想値は依然として90%台の優勢さを保っていたものの、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利が反発上昇すると共に、昨夜21時30分の発表時の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時147円10銭付近に急伸した。
また、これまでは「米国関税政策の影響によるインフレがデータに見られない」などの発言をしてきた米国政府側では、前日の米国ブルームバーグ (Bloomberg) テレビでの「米国政策金利は今よりも1.50〜1.75%低くあるべきだ」という米国利下げ圧の発言が市場で話題になったスコット・ベッセント財務長官の発言フォローがあり、この日の米国FOXビジネスのインタビューでは、「私は米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) に一連の米国利下げを要求した訳ではない。予測モデルが示す中立水準が現行金利よりも低いということを指摘しただけだ。金利を中立水準にするにはその程度の引き下げになるというもので、特に指図したわけではない」と説明し、「特定の金利水準にする要求はしていない」と発言内容についての補足説明や修正とも取れる発言をしたことから、同じく日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) についての「日本はインフレ問題を抑制する必要がある」の発言についても、日本への利上げ圧を意図していないとの受け止めがあったことも円売りドル買いに繋がった。
昨夜23時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国セントルイス連邦準備銀行のアルベルト・ムサレム総裁の発言があり、次回9月のFOMCについて、「どういった政策を支持できるかを正確に述べるのには、時期尚早」と、早期の利下げ判断に慎重なタカ派寄りの姿勢を見せたほか、米国大幅利下げの可能性については「経済の現状や見通しを踏まえれば支持されない」と否定的で、米国における雇用最大化と物価安定のリスクバランスについて、「データはより持続的なインフレの可能性があるかどうかを示し始めている」と米国インフレへの警戒感を示した一方で、「米国関税政策に伴う企業の利益率圧迫により、これまで堅調だった労働市場が脅かされる恐れがある」と、米国労働市場における下振れリスクへの警戒感も見せ、「FRBの二大責務の間に緊張が見られる場合には、バランスが取れたアプローチで臨む必要がある」と慎重な発言をしており、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利の上昇が続き、午前1時8分頃には米国長期金利は一時4.299%付近に上昇し、午前3時7分頃にも一時4.297%付近と高止まりを見せていたため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いの影響により、午前3時9分頃にドルは円相場で一時147円96銭付近と米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、欧州ユーロなどの他の主要通貨全般に対するドル指数 (U.S. Dollar Index / ドルインデックス) も一時98.32付近に上昇したため、外貨影響の対ドル円相場への波及もあった。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、前日には金利警戒感緩和の影響などで上昇していた米国主要株価三指数が、米国関税インフレ懸念の再燃を受けて反落し、米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が前日比で小幅安の終値に向けており、米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) は反発して小幅高の最高値の続伸に向けたが、米国主要株価三指数中の二指数の小幅安を受けては、株価影響による低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗も入り、米国株式市場終了後の午前5時46分頃には安全資産の米国債にも買い戻しが混じり、高止まり後の上昇幅を一時4.290%付近に縮小していたため、ドルも円相場で一時147 円72銭付近に上昇幅を縮小した。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の146円43銭付近から、円の安値でドルの高値の147円96銭付近の値幅約1円53銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円76銭付近と、前営業同時刻の147円38銭付近の前ニューヨーク終値比で約38銭の円安ドル高をつけていた。
なお、米国政府のドナルド・トランプ大統領は、今夜この後の8月15日付けのアラスカでのロシア政府のウラジーミル・プーチン大統領とのウクライナ停戦問題の米露首脳会談について「合意を望んでいる」と表明したが、ウクライナ和平合意に至るかどうかは、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を交えた「2回目の首脳会談が重要になる」と発言していた。
今朝8時50分のアジア・オセアニア市場時間には、今日の日本の内閣府の日本の最新重要経済指標の発表があり、4〜6月第2四半期日本実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の速報値は、前期比が前回の0.0%と前回上方修正と市場予想の0.1%を上回る0.3%に上昇し、年率換算も前回マイナス圏だった−0.2%がプラス圏の0.6%に上方修正された上で、市場予想の0.4%を上回る1.0%に上振れしたことでは、市場予想以上に好調なプラス成長の日本経済が意識された円買いが入り始めたことでは、今朝8時52分頃に対ドルの円相場が一時147円66銭付近に反発したため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円69銭付近の始値であった。
今朝の東京株式市場では、市場予想以上に良好な日本の実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の速報値を受けて、今日の日経平均株価がプラス圏に上昇して始まった株価影響では、日経平均株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りが入った影響では、今朝9時4分頃に対ドル円相場は一時147円73銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今週は日本がお盆休みシーズンということもあり、日本市場時間の日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要などは減っていた一方で、今朝の日本の重要経済指標の実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) が市場予想を上振れしたことを受けて、日銀の追加利上げ予想が上昇して新発10年物の日本国債利回りが指標となる国内長期金利が夕方の一時1.575%付近に向けて上昇した一方で、今日の日本市場時間の時間外の米国債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は午後15時7分頃の一時4.272%付近に向けて上昇幅を縮小していたため、債券利回りを受けて世界市場からの円買いが世界的な流動性が高い基軸通貨のドルから入り、対ドルの円相場は今朝までの下げ幅を縮小した。
一方、日本実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の上振れを受けた日本経済と景気の好感では、午後15時30分に今日の日経平均株価はプラス圏で推移を続けたまま4万3378円31銭の終値をつけ、前日比729円5銭高の+1.71%の大幅高で大引けし、史上最高値を再び更新した株価影響による低リスク通貨の円売りはやや抵抗となったが、景気要因のインフレ圧により日銀の追加利上げ予想も同時に上昇した影響では国内長期金利が上昇していたため、午後からの欧州市場に続き、英国ロンドン外国為替市場が参入していた夕方16時33分頃には米国長期金利も一時4.295%付近に反発した時間があったものの、今夜この後の米国市場で米国景気関連の最新米国重要経済指標の発表イベントも控えているため、イベントリスクの影響による安全資産の米国債買いの抵抗も入り、夕方16時59分頃には米国長期金利が一時4.286%付近に上昇幅縮小した日米金利差縮小の影響があり、ドル円は今夜17時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録した一時146円94銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、今夜17時にドルは円相場で一時146円95銭付近の東京終値をつけた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円95銭付近で、昨夜17時の146円59銭付近の前東京終値比で約36銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に重要景気指標の7月米国小売売上高と、 8月米国ニューヨーク連銀製造業景気指数と7月米国輸入物価指数と7月米国輸出物価指数の同時発表のイベント時間があり、続いて今夜22時15分に7月米国鉱工業生産と 7月米国設備稼働率、今夜23時に 8月米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値と、同時刻に6月米国企業在庫、そして29時に6月対米証券投資などの発表を控えている。
また、今夜の米露首脳会合の行方や、世界の株式市場と債券市場と原油先物価格などを含むコモディティ市場などの為替相場への影響と、世界情勢や政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動きの予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は171円70銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の171円21銭付近の前東京終値比では約49銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日は市場予想以上の日本の最新重要経済指標のGDPの上昇を受けて日経平均株価が大幅高になり、過去最高値を再び更新したことなどから、株価影響のリスク選好のリスクオンでは低リスク通貨の円に対して欧州ユーロや英国ポンドが買われやすかった。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円21銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の198円98銭付近の前東京終値比では約23銭の円安ポンド高であった。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1684ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1680ドル付近の前東京終値比で約0.04セントのユーロ高ドル安だった。
主な要因は、昨夜の7月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) の上振れによる米国関税インフレ警戒感では米国長期金利上昇時のドル買いがあったが、今夜この後の米国市場では最新米国重要景気指標の米国小売売上高の発表イベントを控えており、米国関税政策の影響による米国景気警戒感ではイベントリスクのドルの利益確定売りや持ち高調整で欧州ユーロが買い戻されて反発上昇していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年8月15日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時56分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時56分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:56の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
ドル/円 | 146.91 〜 146.92 | +0.32 (円安) |
ユーロ/円 | 171.69 〜 171.70 | +0.48 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1686 〜 1.1688 | +0.0006 (ドル安) |
英ポンド/円 | 199.22 〜 199.28 | +0.24 (円安) |
スイスフラン/円 | 182.32 〜 182.38 | +0.59 (円安) |
豪ドル/円 | 95.65 〜 95.69 | −0.11 (円高) |
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