FXニュース:米利下げ圧と日利上げ圧
2025年8月14日
東西FXニュース – 2025年08月14日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米財務長官金利水準発言
- 米主要株価二指数最高値
- 日経平均下落リスク回避
- 米FRB高官は慎重姿勢も
今日2025年8月14日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円13銭付近から、円の高値でドルの安値の146円21銭付近の値幅約92銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円59銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円50銭付近の前東京終値比で約91銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-index) が上昇し、欧州株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で買われやすい欧州ユーロや英国ポンドが世界的に流動性が高いドルに対して上昇した外貨影響が波及したことに加えて、時間外の米国債券取引では米国利下げ予想を受けて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜18時20分頃の一時4.259%付近に向けて低下していたことから債券利回りの日米金利差トレードによる円買いドル売りも入り、昨夜18時17〜18分頃にかけてドルは円相場で一時147円18銭付近に下落していた。
ただし、日欧株価上昇時には低リスク通貨の円売りも入りやすかったことでは、先週の英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の後に次回の英国金利据え置き予想が上昇して円安ポンド高が進行していた英国ポンドが、昨夜20時37分頃にポンド円相場で一時200円28銭付近と昨年2024年以来の今年最大の円安ポンド高を更新した外貨影響の対ドル円相場への波及では、昨夜20時37分頃にドルは円相場で一時147円57銭付近に反発しており、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円28銭付近の始値であった。
米国市場では、米国経済チャンネルのブルームバーグ (Bloomberg) テレビのインタビューに出演した米国政府のスコット・ベッセント財務長官の発言が話題になり、「9月に0.5%の米国利下げを開始して追加利下げを実施することができるのではないか」という大幅利下げ要求のハト派発言に続き、「米国政策金利は今よりも1.50〜1.75%低くあるべきだ」との追加利下げ要求のハト派発言もあり、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) へのドナルド・トランプ米国大統領の米国利下げ要求の政治圧を強める発言があったことに続き、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁と話したことを明らかにした上で、 「日本はインフレ問題を抑制する必要がある」と発言したことから、米国利下げ圧と日本利上げ圧が市場で意識され、日米金利差縮小予想の円買いドル売りが起きたほか、米国ニューヨーク債券市場では米国利下げ予想を受けた米国長期金利が更に低下して深夜24時9分頃の一時4.230%付近に向けて急落し、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りも入ったため、深夜24時8分頃にドルは円相場で一時147円9銭付近と、昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国ニューヨーク株式市場では、金利先物市場のデータを基に米国政策金利の市場予想値を算出するフェドウオッチ (FedWatch) で90%台に再上昇した次回9月の米国利下げ予想値を受けた金利警戒感緩和の影響などで米国主要株価三指数が続伸し、米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って前日比で高値の終値に向けており、米国S&P500種株価指数と米国ナスダック総合株価指数の二指数が連日で最高値の更新に向けるなど、日欧米株価上昇時のリスク選好のリスクオンの株価影響では低リスク通貨の円売りの抵抗も入ったことでは、米国市場の高値後の円は対ドルの上昇幅を縮小した。
また、午前2時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁の講演での発言があり、「米国関税政策がインフレに及ぼす衝撃が一時的と想定することに不安を感じており、利下げが正当化されるかどうかを判断する前に一段のデータを見極めたい」と早期の利下げに慎重なタカ派寄りの発言があり、物価安定目標のための影響の見極めにより利下げ時期の判断には苦慮していることから「今後の会合は『ライブ』になる」という中道的な見解も示しており、雇用最大化のために「労働市場に明確な悪化が見られれば、9月のFOMCでの利下げは当然あり得る」というハト派を否定しないオープンな姿勢も示していたが、物価安定化については、「FRBの2%のインフレ目標に向けた軌道に乗っていると確信するためには、数カ月分の良好なインフレ指標を確認する必要がある」と慎重な姿勢を示し、「そうした軌道にあると考えるなら、1回は利下げできるかもしれない。しかし、もしそれに反するようなデータが入り始めたら、利下げをやめるか別の道を歩むことになる」とタカ派寄りの発言が多めだったことでは、米国長期金利が午前3時10分頃に一時4.244%付近に下げ幅を縮小してドルの買い戻しも入り、午前3時17分頃にドルは円相場で一時147円51銭付近と、昨夜から今朝までの米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
とはいえ、米国ニューヨーク債券市場では、先ほどの米国政府のスコット・ベッセント財務長官の発言に続き、ドナルド・トランプ大統領も「米国政策金利は1%であるべき」と政治圧の発言を続けており、次回9月16〜17日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における0.25%の米国小幅利下げ予想値が90%台に再上昇後に、次回の金利据え置き予想値の後退と共に、わずかではあるが0.5%の米国大幅利下げ予想値が浮上し始めたことでは、米国主要株価三指数の高値引けを受けた安全資産の米国債売りによる抵抗はあったものの、今朝6時前頃の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は米国利下げ予想の影響を受けて一時4.237%付近に反落しており、日米双方の政治圧による日米金利差縮小予想による円買いドル売りの影響が優勢で、前ニューヨーク終値比で円高ドル安のニューヨーク終値に向けていた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円9銭付近から、円の安値でドルの高値の147円51銭付近の値幅約42銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円38銭付近と、前営業同時刻の147円84銭付近の前ニューヨーク終値比で約46銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも、昨夜の米国政府のスコット・ベッセント財務長官の米国利下げ圧と日銀利上げ圧の発言が世界的な話題になり、日米金利差縮小予想の円買いドル売りが先行したため、今朝8時59分頃には対ドルの円相場は一時147円11銭付近に再び上昇しており、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円12銭付近の始値で、今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録していた一時147 円13銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、その後には対ドルの円相場が上昇を続けた。
日本市場では、日本企業の多くが昨日から週末にかけてのお盆休みの夏季休暇シーズンに入り、今朝9時55分の仲値決済に向けた円売りドル買いの市場抵抗が少なかった影響もあり、今朝の東京株式市場では日銀利上げ圧が意識された国内金利警戒感による日本株売りと、前日までの日経平均株価の史上最高値続伸後の利益確定や持ち高調整の日本株売りに加えて、海外投資系が以前の円安時に買った日本株を円高時に利益確定して為替差益で利益を拡大する日本株売りが今朝の円高ドル安のトレンドを受けて入り始めたため、今朝の日経平均株価が前日比のマイナス圏から始まり大幅な下落を見せると、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) により国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが入り、対ドルの円相場が急伸し、今朝10時52分頃に対ドル円相場は一時146円37銭付近と146円台前半になった。
日本市場時間の時間外の米国債券取引でも、米国利下げ予想の影響により米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が今朝10時台に一時4.229%付近に低下しており、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りの為替相場への影響があったが、正午12 時台には一時4.241%付近に向けて反発する時間もあったことでは正午12時6分頃のドルは円相場で一時146円75銭付近と146円台後半に反発したが、国内債券市場では日銀の利上げ予想を受けて新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利も上昇しており、国内金利警戒感が続く日経平均株価は前日比の大幅な下落幅を拡大後にマイナス圏の推移を続けており、午後15時30分の終値前にも大幅安であった日本株価影響では低リスク通貨の円買いが勢いを増し、午後からの欧州市場の参入でも日米金利差縮小予想の円買いドル売りが先行したため、午後15時26分頃に対ドル円相場は一時146円21銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、欧州周辺では、午後15時に発表された最新英国重要経済指標の4〜6月第2四半期英国国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の速報値が、前期比は前回の0.7%と市場予想の0.1%に対し0.3%と市場予想ほど悪化せず、前年同期比は前回の1.3%と市場予想の1.0%に対し1.2%といずれも市場予想以上であった上で、6月の英国月次国内総生産 (GDP) の前月比が前回マイナス圏だった-0.1%と市場予想の0.1%を上回るプラス圏の0.4%に上振れしたことを受けて、夕方からの英国ロンドン外国為替参入を控えた欧州ユーロからの英国ポンド買いが入った外貨影響の波及もあり、欧州ユーロからのドルの買い戻しも入ったことでは、市場安値後のドルは円相場で反発して下げ幅を縮小し始めた。
午後15時30分には、今日の日経平均株価は4万2649円26銭の終値をつけ、前日比625円41銭安の-1.45%の大幅安で大引けした。
時差で今夜この後が米国現地の朝となるが、米国経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ / Wall Street Journal) のインタビュー記事によると、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国サンフランシスコ連邦準備銀行のメアリー・デイリー総裁が、「来月9月の米国大幅利下げは適切とは考えない」と発言し、「0.5%の米国大幅利下げは、不必要な緊急性のシグナルを送ることになる」と、米国大幅利下げに否定的な慎重な発言をしており、今朝までに一時は5.3%付近に浮上して以来、数%付近で推移していた次回の米国大幅利下げ予想値が今夜の英国市場での一時0.2%付近に向けて後退を始めた影響によるドルの買い戻しも入り、ドルは円相場で146円台後半に下げ幅を縮小した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円59銭付近で、昨夜17時の147円50銭付近の前東京終値比で約91銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、米国の物価と雇用関連の最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に7月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) と、前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数が同時発表され、続いて今夜23時頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国セントルイス連邦準備銀行のアルベルト・ムサレム総裁の発言予定などを控えている。
また、世界の株式市場と債券市場と原油先物価格などを含むコモディティ市場などの為替相場への影響や、世界情勢や政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動きの予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は171円21銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の172円70銭付近の前東京終値比では約1円49銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、前日までは史上最高値を続伸していた日経平均株価が、今日は米国財務長官の発言を受けた日銀利上げ圧による国内金利警戒感などの日本株売りの影響により下落し、大幅安となったことから日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が買われて主要通貨に対して上昇し、欧州ユーロや昨夜には一時は今年最大の円安ポンド高を更新し、その後の利益確定売りも入っていた英国ポンドに対しても円高の東京終値になった。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は198円98銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の199円79銭付近の前東京終値比では約81銭の円高ポンド安であった。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1680ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1708ドル付近の前東京終値比で約0.28セントのユーロ安ドル高になった。
主な要因は、今日の日経平均株価下落を受けたリスク回避のリスクオフでは低リスク通貨の円買いに対してリスク市場で売られやすい欧州ユーロが売られて大幅に下落した外貨影響がユーロドル相場にも波及したほか、欧州市場でも今夜この後の米国市場での7月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) の発表を控えた関税インフレ警戒の持ち高調整のドルの買い戻しなどが入っていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年8月14日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時16分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時16分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:16の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
ドル/円 | 146.46 〜 146.47 | −1.04 (円高) |
ユーロ/円 | 171.26 〜 171.28 | −1.44 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1692 〜 1.1694 | −0.0016 (ドル高) |
英ポンド/円 | 198.89 〜 198.95 | −0.90 (円高) |
スイスフラン/円 | 181.79 〜 181.85 | −1.77 (円高) |
豪ドル/円 | 95.61 〜 95.65 | −1.00 (円高) |
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