FXニュース:米国債売りで利回り上昇
2025年8月11日
東西FXニュース – 2025年08月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 自民党総裁選前倒し警戒
- 米露ウクライナ停戦会談
- 米財務長官議長選び兼任
- 米FRB議長候補追加報道
- 米主要株価三指数が上昇
- 米FRB副議長ハト派発言
今日2025年8月11日月曜日の日本の東京外国為替市場は「山の日」で祝日休場だが、今朝9時頃から今夜17時頃までの世界FX市場の日本市場相当時間の対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円74銭付近から、円の高値でドルの安値の147円35銭付近の値幅約39銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は147円40銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の147円32銭付近の前東京終値比で約8銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では先週金曜日の夜17時16分頃にドルは円相場で一時147円16銭付近にまで売られたが、先週金曜日の午後の自民党の両院議員総会後の日本の政治先行きの不透明感を受けた円売りが入り始めた一方で、米国政府のドナルド・トランプ大統領とロシア政府のウラジーミル・プーチン大統領が8月15日に米国アラスカ州でウクライナでの戦闘終結交渉の米露首脳会談予定することから、地政学リスク緩和への期待感が欧州市場で高まり、時間外の米国債券取引で世界的な安全資産の米国債売りが起き、先週金曜日の夜18時台には一時4.249%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が先週金曜日の夜20時台の一時4.262%付近に向けて反発上昇したため、先週金曜日の夜20時24分頃にドルは円相場で一時147円85銭付近に反発上昇していた。
欧州英国市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円82銭付近の始値で、日米相互関税合意内容に基づく修正の見通しを受けて日本の自動車株が買い戻されて大幅高になるなど、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) でタカ派発言後に早期辞任したアドリアナ・クグラー元理事の後任にハト派のスティーブン・ミラン理事がドナルド・トランプ大統領に指名されたことなどを受けた米国利下げ期待でも揃って上昇して始まった米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) がプラス圏で推移していた株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも安全資産の米国債売りとドルの買い戻しが入り、先週金曜日の夜22時55分頃にドルは円相場で一時147円90銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
米国ニューヨーク債券市場では、米国利下げ予想による米国政策金利の先高観の後退の一方で、スティーブン・ミラン氏の過去の論文内容に警戒した米国債売りなども起きており、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は上昇を続けていたが、米国経済紙ウォールストリートジャーナル (WSJ / Wall Street Journal) が、「ドナルド・トランプ米国大統領は、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の次期議長選任のリーダーにスコット・ベッセント米国財務長官を指名した」と報じ、その元で「米国セントルイス地区連邦準備銀行のジェームズ・ブラード元総裁と、ジョージ・W・ブッシュ政権で国家経済会議 (NEC / National Economic Council) 副委員長を務めたマーク・サマーリン氏も、次期FRB議長候補リストに追加した模様である」と伝え、英国ロイター通信 (Reuters) なども同内容を報じた上で、「このほか、ホワイトハウスのNECのケビン・ハセット委員長や、ケビン・ウォーシュ元FRB理事とウォラーFRB理事も引き続き候補に挙がっている」としたことから、来年2026年5月15日までが任期の中道派のジェローム・パウエル議長が退任した後のハト派のFRB議長による米国利下げ予想の影響が高まったことでは、米国株価上昇時のリスク選好のリスクオンの安全資産の米国債売りや低リスク通貨の円売りの中でも日米金利差縮小予想による円買ドル売りの抵抗も入ったことは、市場安値後の円相場の対ドルでの抵抗となり下げ渋った。
ただし、先週金曜日の夜23時20分頃から次回9月16〜17日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官の米国セントルイス連邦準備銀行のアルベルト・ムサレム総裁の発言があり、前回7月29〜30日のFOMCで金利据え置きの決定を支持した理由は、雇用最大化と物価安定 (Maximum employment and price stability) の二大責務 (Dual mandate) において物価安定目標がまだ達成できていない点を強調し、「現在の経済情勢では、インフレ目標を達成できていない」としており、それに対して「米国雇用に関する目標は達成できている」とし、米国労働市場における完全雇用に近い状態を達成できた実績について言及し、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が先週土曜日の午前1時台には一時4.290%付近で高止まりを見せていた。
一方、時差先行の欧州英国市場終了後に、週末を控えていた米国市場では、今週8月12日に最新米国重要経済指標でインフレ指標の7月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えていることへの警戒感による安全資産の米国債の買い戻しに伴うドル売りの抵抗も入り、先週土曜日の午前2時52分頃に米国長期金利が一時4.283%付近に上昇幅を縮小したため、先週土曜日の午前3時34分頃にドルも円相場で一時147円63銭付近に上昇幅を縮小し、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国ニューヨーク株式市場の終盤に米国主要株価三指数が揃って前日比の高値のままで終値を迎える株価影響の中では、米国ニューヨーク債券市場でも安全資産の米国債売りの影響が再び強まり、先週土曜日の午前4時台には米国債券価格低下に伴う利回り上昇で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が再び4.29%台に反発しており、午前4時11分と16分と34分頃にも一時4.291%付近に上昇して高止まりを見せたことでは、米国長期金利上昇時のドルは債券利回りを受けた金利差トレードなどで買い戻された。
このため、先週金曜日の夜21時頃から先週土曜日の朝5時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の147円90銭付近から、円の高値でドルの安値の147円63銭付近の値幅約27銭で、先週土曜日の朝5時55分頃のニューヨーク終値は147円74銭付近と、前営業同時刻の147円14銭付近の前ニューヨーク終値比で約60銭の円安ドル高をつけて、先週末を迎えていた。
先週末のニュースでは、今週金曜日の8月15日の米国アラスカ州でのロシアのウクライナ侵攻の戦争終結を目指す米露首脳会談で、軍事侵攻中にロシアが占拠したウクライナ地域の支配権を既成事実化する取引が進められる可能性への警戒感などが燻り、当事国である筈のウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が米露首脳会談に招かれていない件などについて、英国で欧州とウクライナと米国国家安全保障当局者が協議し、「国境は武力によって変更されるべきではないという原則を守る決意に変わりはない。現在の接触線を交渉の出発点とすべきだ」と、キア・スターマー英国首相とウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長および欧州連合 (EU /European Union) のフランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、フィンランドの首脳達が共同声明を発表していた。
これに対し、米国ホワイトハウスは、ドナルド・トランプ米国大統領が8月15日に、ロシア政府のウラジーミル・プーチン大統領と会談する予定の米国アラスカ州に、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も招待することについて、三者会談を行うことにオープンだと述べて可能性としてはゼロではないとしていたが、現時点ではロシア政府のウラジーミル・プーチン大統領の要請により、米露二国間会談を計画しているとしていた。
また、昨日のニュースでは、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の次期議長候補者が増える中で、前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で有力候補と言われるクリストファー・ウォラー理事と共に早期の米国利下げ支持の反対票を入れていたもう一人のハト派転向のミシェル・ボウマン副議長の発言が話題になり、米国カンザス州銀行協会向けの講演原稿で、「前回のFOMCで行動していれば、労働市場の状況がさらに悪化し、経済活動がさらに弱まるリスクを事前に回避できただろう」と述べ、ミシェル・ボウマン副議長個人の経済と金利見通しでは、「今年年内3回の米国利下げが視野に入っている。これは昨年12月以降の私の予測と一致しており、最新の労働市場統計は私の見解を強めるものでした」とハト派発言をしていた。
週末のニュースを受けて、今朝早朝の週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、ドルは円相場で下落の窓開けから始まり、今朝6時43分頃にドルは円相場で一時147円50銭付近と、先週金曜日の夜の147円32銭付近の前東京終値からは小幅な円安ドル高であったが、先週土曜日の朝5時55分頃の前ニューヨーク終値時点の147円74銭からは、米国政策金利の先高観の後退などにより、ドルは円相場で上昇幅を縮小していた。
ただし、週明けの窓開きからは窓閉めのドルの反発があり、今朝7時頃にはドルは円相場で一時147円79銭付近に買い戻されており、今日の日本市場は祝日休場であったが世界FX市場での今朝9時頃の今日の東京外国為替市場の始値相当時間の対ドル円相場は一時147円65銭付近となり、今朝9時57分頃にはドルは円相場で一時147円74銭付近に再上昇し、今日の日本市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今日は日本休場につき市場相当時間の世界市場では全体的な流動性低下があり、海外市場からの影響の中で同時進行中のアジア市場などで株価上昇時の影響などがあった一方で、日本のお盆休みシーズンを迎える中でも国際的な日本企業の海外経由の円買いドル売りオーダーも入っていたことなどでは円相場も反発し、日本勢不在の中で小動きの中でも正午12時46分頃には対ドルの円相場は一時147円42銭付近に反発していた。
午後からの欧州市場の参入に続き、世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場が参入すると、時間外の米国債券取引で世界的な安全資産でもある米国債の買い戻しが入っており、先週土曜日の早朝には一時4.29%台に上昇していた米国10年債の利回りが反落し、夕方16時34分頃には一時4.259%付近に低下したため、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りも入り、夕方16時56分頃に対ドル円相場は一時147円35銭付近と、今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。
とはいえ、その後の今夜17時頃には米国長期金利は一時4.262%付近に反発したため、ドルも円相場で反発したほか、日本の連休で円実需も減っていたため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は147円40銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の147円32銭付近の前東京終値比では約8銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、特に注目度が高い経済指標の発表予定はないものの、明日8月12日の夜21時30分の最新米国重要インフレ指標の7月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えていることが注目されている。
また、世界の株式市場と債券市場と原油先物価格などを含むコモディティ市場などの為替相場への影響や、世界情勢や政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動きの予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は171円66銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の171円77銭付近の前東京終値比で約11銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、時差で欧州英国市場の現地の朝にあたる今日の夕方には、週末のニュースなどを受けて欧州債が買われていた時間があり、独10年債の利回りが指標となる欧州長期金利が一時2.66%台に低下しており、その後には反発したものの、東京終値相当時間には債券利回りを受けた金利差縮小時の低金利通貨の円買いの影響があった。
ただし、その後に独10年債の利回りが指標となる欧州長期金利が反発したことでは、今夜20時頃の円相場ではユーロ円は円安ユーロ高への市場反転を見せているが、同時に米国長期金利も上昇したことでは、ユーロドルはユーロ安ドル高のままの推移を続けている。
そのため、ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1647ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.1660ドル付近の前東京終値比で約0.13セントのユーロ安ドル高であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は198円24銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の198円5銭付近の前東京終値比では約19銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、先週の英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が賛成5票対反対4票のタカ派寄りの英国小幅利下げの決定であったことから次回の英国金利据え置き予想が上昇し、円安ポンド高になっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年8月11日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時5分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時5分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:05の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.76 〜 147.77 | +0.44 (円安) |
ユーロ/円 | 172.05 〜 172.06 | +0.28 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1643 〜 1.1647 | −0.0017 (ドル高) |
英ポンド/円 | 198.66 〜 198.72 | +0.61 (円安) |
スイスフラン/円 | 182.44 〜 182.50 | ±0.00 (レンジ) |
豪ドル/円 | 96.34 〜 96.38 | +0.14 (円安) |
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