FXニュース:米雇用統計下振れドル安
2025年8月04日
東西FXニュース – 2025年08月04日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米NFP前回大幅下方修正
- 米ISM製造業景況感悪化
- 米9月利下げ予想値急伸
- 米FRBクグラー理事辞任
- 日米主要株価が大幅下落
- 米英長期金利低下時円高
今日2025年8月4日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の147円27銭付近から、円の安値でドルの高値の148円5銭付近の値幅約78銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円87銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の150円55銭付近の前東京終値比では約2円68銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は米国雇用統計発表のイベントリスクの中でも一時150円52銭付近の始値で、先週金曜日の夜21時20分頃に米国債券市場で米国債が売られた影響などで米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.410%付近に上昇すると、債券利回りの日米金利差拡大を受けた円売りドル買いの影響によりドルは円相場で先週金曜日の夜21時26分頃に一時150円60銭付近と、先週末の米国市場における円の安値でドルの高値を記録していた。
しかし、米国市場では先週金曜日の夜21時30分に雇用最大化と物価安定 (Maximum employment and price stability) の二大責務 (Dual mandate) を掲げる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が重視している雇用関連の最新米国重要経済指標であることから今後の金融政策の市場予想などで世界的な注目を集めていた7月米国雇用統計の発表があったが、7月米国非農業部門雇用者数 (NFP / Non-Farm Payrolls) の前月比は、前回6月分の14.7万人が前回1.4万人に桁違いの大幅な下方修正がされたほか、前々回の5月分も大幅下方修正されて5月と6月分の下方修正幅が合計25.8万人減と新型コロナウイルス禍以来の修正幅になった上で、今回7月の米国NFPの最新指標も市場予想の10.4万人を下回る7.3万人に下振れし、7月米国失業率は前回の4.1%を下回る市場予想通りの4.2%と米国雇用市場の軟化を示し、発表時の先週金曜日の夜21時30分の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時149円80銭付近に急落した。
7月米国平均時給は前月比が前回の0.2%に対し市場予想通りの0.3%で、前年同月比は前回の3.7%と市場予想の3.8%を上回る3.9%に上振れしたことではやや抵抗が混ざったものの、米国労働統計局 (BLS / Bureau of Labor Statistics) による5〜6月の大幅な下方修正を受けて、今年は米国政府効率化省 (DOGE / Department of Government Efficiency) による政府職員の人員削減の影響などもあり集計力低下や季節調整が問題とされたが、ドナルド・トランプ米国大統領は自身の政策の責任を非難されることを回避するためか、「共和党と私の評判を落とすための政治的な不正操作だ」と証拠を示さずに非難し、「前ジョー・バイデン政権の任命者」であることなど理由に、「正確な米国雇用統計が必要だ」と、BLSのエリカ・マクエンタファー局長の解雇を指示し、今後の米国雇用統計の正確性への警戒感が高まったほか、米国雇用データ軟化により米国利下げ予想値が急上昇する中で米国長期金利が急落し、先週金曜日の夜22時32分頃に米国長期金利が一時4.250%付近と大幅に低下したため、債券利回りの金利差トレードでもドル売りが起き、先週金曜日の夜22時36分頃にドルは円相場で一時147円99銭付近と、147円台への大幅下落を見せた。
続いて、先週金曜日の夜22時45分に発表された7月米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値は前回の49.5と市場予想の49.7を上回る49.8に上方修正されたため、ドルは円相場で一時148円台に反発して先週金曜日の夜22時47分頃の対ドル円相場は一時148円33銭付近に下げ幅を一時縮小したが、その後の先週金曜日の夜23時発表のより重要度が高い最新米国重要景気指標の7月米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会 / 全米供給管理協会) 製造業景況指数が前回の49.0と市場予想の49.5を下回る48.0に下振れし、景気ボーダーラインの50以下の不景気な指標となったことでは、米国景気懸念による米株売りも起きており、米国主要株価三指数が揃ってマイナス圏の推移を続ける中で株価リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の安全資産の米国債買いでも米国長期金利が更に低下し、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りに加えて、米国主要株価下落時の低リスク通貨の円買いでも対ドルの円相場が上昇したため、ドルは円相場で147円台前半に向けて米国市場の高値時点から3円以上も大幅に下落した。
先週金曜日の夜23時に同時発表された7月米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値も前回の61.8と市場予想の62.0を下回る61.7に下振れし、先週金曜日の夜23時頃にはドルは円相場で一時147円48銭付近に下落していた。
米国主要企業の決算報告シーズンということもあり、今後の決算予想にも敏感になっていた米国ニューヨーク株式市場では、米国雇用市場の軟化に加えた景気懸念による警戒感の株売りが優勢で、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数(NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って前営業日比で大幅安の終値をつけ、株価下落時のリスク回避のリスクオフで安全資産の米国債買いと低リスク通貨の円買いの影響が続いた。
また、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の政治からの独立性への懸念によるドル売りもあり、先日のタカ派発言後にドナルド・トランプ大統領から来年2026年5月までの任期のジェローム・パウエル議長と同様に米国利下げ要求の政治圧を受けていたアドリアナ・クグラー (英語ではクーグラーとも発音する) 理事が、前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を異例の欠席で非投票であったことは記憶に新しいが、2026年1月の任期終了を待たずに今月8月8日付けで辞任すると突然表明し、それに対してドナルド・トランプ米国大統領が、「FRBに空きのポストが出来たと聞き、とても嬉しく思う」と、理事後任にハト派の時期議長候補を指名する意欲を示したことなどがニュースで話題になった。
米国雇用統計の下振れと大幅下方修正のデータ軟化の影響が続き、金利先物市場のデータを基に米国政策金利の市場予想値を算出するフェドウオッチ (FedWatch) では、前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の後の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長のタカ派発言を受けて一時は後退していた次回9月16〜17日のFOMCにおける米国利下げ予想値が急上昇し、市場で確定値と考えられている70%を一気に上抜けた一時80%付近に急伸した影響もあって、米国債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の低下が続き、先週土曜日の午前5時頃には一時4.206%付近に低下したため、日米金利差縮小時と縮小予想の円買いドル売りなどにより、午前5時35分頃にドルは円相場で一時147円29銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
先週の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合後の植田和男総裁の発言では日銀の早期の追加利上げに慎重なハト派姿勢が意識されていたことでは、米国側からの小幅利下げ幅の縮小幅予想であったことでは、週末を控えた市場終盤には小幅な抵抗も交えたが、米国雇用統計などを受けた大幅な下落幅に対しては限定的であった。
このため、先週金曜日の夜21時頃から先週土曜日の朝5時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の150円60銭付近から、円の高値でドルの安値の147円29銭付近の値幅約3円31銭で、先週土曜日の朝5時55分頃のニューヨーク終値は147円40銭付近と、前営業同時刻の150円75銭付近の前ニューヨーク終値比で約3円35銭の大幅な円高ドル安をつけて、先週末を迎えていた。
週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、先週末のニュースを受けて、今朝6時1分頃にはドルは円相場で一時147円23銭付近と下値を広げた窓開きで始まり、次回の米国利下げ予想を受けた日米金利差縮小予想の円買いドル売りの影響も世界市場に広がり、今朝7時4〜5分頃にかけてドルは円相場で一時147円6銭付近に下落したが、先週末のニューヨーク終値からの窓埋めトレードの安値後のドルの買い戻しや高値の円の利益確定や持ち高調整の抵抗も入ったことでは、今朝8時26分頃にはドルは円相場で一時147円38銭付近と先週末のニューヨーク終値の手前付近にまで窓埋めをしたため、その後には再び円買いドル売りが入ったものの、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円34銭付近の始値となっていた。
日本市場では、先週末の米国主要株価三指数の大幅安の影響があり、先物から連れ安となっていた日経平均株価が、今朝の東京株式市場の開場時にも大幅なマイナス圏から始まり、今朝9時5分頃の一時4万円台割れの3万9850円52銭付近への大幅下落の市場底値に向けていたことから、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフによる国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが先行し、今朝9時1分頃に対ドル円相場は一時147円27銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けては、前営業日には一時150円台の高値だったドルが今日は147円台の安値になっていた割安感からは日本企業の輸入実需や外貨準備金の円売りドル買いが優勢になり、日経平均株価も底値からの買い戻しで今朝10時35分頃からは一時割れていた4万円台を回復して下げ幅を縮小したことから、投資系などからも高値の円の利益確定売りと持ち高調整のドルの買い戻しなどが入ったため、今朝10時40分頃にはドルは円相場で一時147円91銭付近に反発して下げ幅を縮小していた。
今日の日本市場の時間外の米国債券取引では、今朝8時59分頃のアジア・オセアニア市場では一時4.208%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も 昼の正午12時9分頃には一時4.259%付近に反発したが、午後の部で13時頃には一時4万332円25銭付近に反発していた日経平均株価が午後13時30分頃には一時4万119円12銭付近に反落した影響では、世界的な安全資産の米国債買いの影響もあって一時4.247%付近に反落したため、午後13時30分頃にドルは円相場で一時147円55銭付近に下押ししたが、今日の日経平均株価は市場後半には今朝の下落幅は縮小して4万円台は維持していたことでは、午後14時52分頃にはドルは円相場で一時147円87銭付近に反発し、午後15時3分頃には米国長期金利も一時4.260%付近に再反発していた。
午後15時30分頃には、今日の日経平均株価は4万290円70銭の終値をつけ、前営業日比508円90銭安の-1.25%の大幅安で大引けした日米株価大幅下落によるリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いの影響では、午後15時49分頃に対ドルの円相場は一時147円53銭付近になっていたが、午後からの欧州市場に続き、夕方16時頃から世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場が参入すると、金価格の値決めなどで主要取引通貨でもあるドル安を受けた割安感のドルの買い戻しが入ったほか、欧州主要株価と米国主要株価先物の反発を受けた低リスク通貨の円売りも入り、夕方16時41分頃にはドルは円相場で一時148円5銭付近と今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録したが、一時148円台からは日米金利差縮小予想の円買いドル売りも燻ってドルは円相場で再び147円台後半に戻した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円87銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の150円55銭付近の前東京終値比で約2円68銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に6月米国製造業新規受注を控えている。
また、米国関税交渉の各国との続報などを含めた世界ニュースや、米国主要企業の決算報告シーズンの影響の続く世界の株式市場と債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、世界情勢や政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は170円98銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の171円91銭付近の前東京終値比で約93銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、先週には一時150円台だったドルが円相場で今日は147円台への大幅な下落を見せていた外貨影響が波及し、欧州ユーロや英国ポンドなどのクロス円の為替相場にも円高圧として影響を及ぼしていた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は196円32銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の198円62銭付近の前東京終値比では約2円30銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、ユーロドルで欧州ユーロが対ドルで上昇していた外貨影響の波及もあり、欧州ユーロの円相場での下げ幅が小幅域にとどまっていたことと比較すると、先週末の米国長期金利低下に連動する様に英国10年債の利回りが指標となる英国長期金利も先週の米国雇用統計発表前の一時4.6%台から発表後の4.5%台に低下しており、ドル円に連れていた。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1563ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.1419ドル付近の前東京終値比で約1.44セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、 9月16〜17日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での早期の米国利下げ予想の上昇によるドル売りの一方で、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の欧州利下げサイクル終了が近いとの市場予想が優勢で、欧米金利差縮小予想により欧州ユーロも対ドルで前東京終値比の大幅な上昇を見せており、この外貨影響がユーロ円での欧州ユーロの円相場での下落幅をポンド円やスイスフラン円などの他の周辺通貨よりも小さく留めていた要因となっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年8月4日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時12分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時12分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:12の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.54 〜 147.55 | −3.01 (円高) |
ユーロ/円 | 170.85 〜 170.86 | −1.06 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1578 〜 1.1580 | +0.0159 (ドル安) |
英ポンド/円 | 196.31 〜 196.37 | −2.31 (円高) |
スイスフラン/円 | 182.72 〜 182.78 | −2.02 (円高) |
豪ドル/円 | 95.55 〜 95.59 | −1.23 (円高) |
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