FXニュース:日米関税合意25→15%に
2025年7月23日
東西FXニュース – 2025年07月23日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米製造業景況指数が悪化
- 安全資産欧米英国債買い
- 日経平均株価が大幅上昇
- 石破首相退陣観測と否定
- 明日欧ECB理事会を控え
今日2025年7月23日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の146円20銭付近から、円の安値でドルの高値の147円21銭付近の値幅約1円1銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円74銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円65銭付近の前東京終値比では約91銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州連合 (EU / European Union) の欧米通商交渉の期待感などから欧州ユーロの買い戻しが対ドルで入っていた外貨影響の波及や、昨夜20時6分頃の時間外の米国債券取引では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.400%付近と4.4%台に上昇後には、米国関税政策の景気影響への警戒感もあり、世界的な安全資産の米国債の安値後の買い入れが入り始めて、米国債券価格上昇に伴う利回り低下で4.3%台の反落を始めたため、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りも入り、昨夜20時57〜59分頃にドルは円相場で一時147円16銭付近に下落していたため、昨夜21時から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円20銭付近の始値であった。
米国市場では、昨夜21時11分頃に一時4.375%付近に低下を続けていた米国長期金利が、昨夜21時28分頃に一時4.379%付近への小反発を見せた時間があったため、昨夜21時21分頃に一時147円26銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、昨夜21時30分頃から来週7月29〜30日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官達の中でも市場への影響力が大きいジェローム・パウエル議長の要人発言が始まったものの、イベント前週の発言自粛のブラックアウト期間中ということもあって、米国ワシントンD.C.におけるFRBの大規模銀行資本枠組みの総合的見直しの会議の冒頭挨拶程度に留まったため、「物価安定と雇用最大化の二大責務」はやや意識されたものの市場への影響は限定的となり、それまでの欧米市場で続いていた米国関税政策の景気影響への警戒感などによる欧米国債の買い入れが続き、米国債券価格上昇に伴う利回り低下を受けて、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は昨夜22時57分頃には一時4.352%付近へと低下を続けていた。
同時進行していた欧州市場でも、明日の夜には欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会のイベントを控えたイベントリスクがあって安全資産の欧米国債が買われていたが、米国政府のスコット・ベッセント財務長官が、「8月1日の期限の後も交渉継続が可能」と発言したニュースが話題となり、期限までに欧米関税交渉がまとまらないことへの警戒感が高まったことも安全資産の欧米国債買いを強めたほか、先週末の参議院選挙のイベント経過後の低リスク通貨の円の買い戻しなども入っていた。
米国市場では、昨夜23時に米国市場で最新米国経済指標の7月米国リッチモンド連銀製造業指数が発表されると、前回の−7と前回下方修正の−8と市場予想の−2を桁違いに下回る−20に大幅に下振れして悪化していたため、米国関税政策による米国景気下振れリスクへの警戒感が高まって米国長期金利が更なる下落を見せ、深夜24時55分頃には米国長期金利は一時4.336%付近に急落していたほか、午前1時25分頃の一時4.334%付近に向けた下落を続けていたため、午前1時8分頃にドルは円相場で一時146円31銭付近と146円台に下落し、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
米国主要企業の決算報告シーズンの米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) は米国長期金利低下を受けて上昇して前日比で高値の終値に向け、米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) 一時反落後に連れて反発上昇して小幅高の終値に向けたが、世界的なハイテク企業比率が高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) は反落後にマイナス圏の推移を続けて安値の終値に向けたことでは、米国債券価格上昇後の利益確定や持ち高調整は限定的となり、今朝6時頃のニューヨーク終値時点の米国長期金利は一時4.350%付近と、4.3%台中盤付近に留まっており、債券利回りの日米金利差が前日同時刻の一時4.384%付近よりも縮小していた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の147円26銭付近から、円の高値でドルの安値の146円31銭付近の値幅約95銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円63銭付近と、前営業同時刻の147円38銭付近のニューヨーク終値比で約75銭の円高ドル安をつけていた。
なお、読売新聞によれば、「石破茂首相は昨日7月22日に、米国関税措置を巡る日米協議の進展状況を見極め、近く進退を判断する意向を固め、周辺に伝えた」との観測報道があり、理由としては、先週末の日本の参議院選挙で自民党と公明党が敗退して過半数割れの議席になったにも関わらず、石破茂首相が続投を正式に表明したことへの反発が自民党内で広がっていることを考慮したことが指摘されたため、日米関税交渉の合意後には石破茂首相が退陣する可能性についての観測が市場にあった。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝7時32分頃にドルは円相場で一時146円78銭付近に買い戻されていたが、今朝8時過ぎには、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「日本と関税交渉で合意した」、「これまでの中で最も大きな合意だ」と、自己運営のソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS / Social Networking Service) のトゥルースソーシャル (Truth Social) への投稿で発表する発言をしたことが話題になった。
ドナルド・トランプ米国大統領の発言は、「我々は、日本との大規模なディール (Deal / 取引) を完了した。恐らく史上最大のディールとなる。日本は、私の指示のもと、米国に5500億ドル (約80兆円) を投資し、米国が利益の90%を受け取ることになる。この取引により、数十万もの雇用が創出されるだろう。このようなことは、これまでになかったのではないだろうか。恐らく最も重要なことは、日本は自動車やトラック、米や他の農産物などの貿易を開放することだ。日本は米国に15%の相互関税を支払う。これは米国にとって非常にエキサイティングな瞬間であり、そして特に、日本と素晴らしい関係を持ち続けられるという事実にとってもだ。」
日本政府によると、米国に輸入される日本産の自動車にかかる米国関税は合計15% で日米相互関税も15%となり、日本企業の米国への投資を促すために5500億ドル(約80兆円)の出資・融資などの枠を設ける一方で、米は既存の輸入枠の中で米国産の調達の割合を増やすとのことから、以前の7月7日の石破茂総理大臣宛のトランプ書簡で通知されていた「日本からの輸入品に対して来月1日から25%の関税を課す」の25%からは15%への対日の米国関税の引き下げにあたるため、今朝8時14分頃に対ドルで円が買われて対ドルの円相場は一時146円25銭付近に上昇したが、日米関税政策への不透明感の払拭や日米関税交渉合意後の政権交代の可能性などからは円の利益確定とドルの買い戻しの抵抗も入り、今朝8時47分頃にドルは円相場で一時146円95銭付近に反発し、今朝9時頃から始まった東京外国為替市場の対ドル円相場は一時146円77銭付近の始値となった。
今朝10時30分頃からの日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の内田眞一副総裁の発言予定を控え、日米関税政策の様子見などで日銀の金利維持が続けられてきた日銀の追加利上げ予想が日米関税交渉合意後に再燃する可能性に警戒した円買いドル売りが今朝までの米国長期金利低下の影響もあって入りやすかったため、日銀追加利上げ予想を受けて今朝の国内債券市場では新発2年債の利回りが今年4月以来の高水準をつけて債券利回りの日米金利差縮小が意識された今朝9時29分頃にはドルは円相場で一時146円20銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、日銀の内田眞一副総裁の発言は、高知県金融経済懇談会の講演で、「経済・物価のメインシナリオが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と、これまでと同内容の範囲内に留まっていたことでは、日米関税交渉の合意の影響で日経平均株価が大幅に上昇する中では、市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整などの抵抗も起き始めていた。
今朝は日本政府の石破茂首相が日米関税交渉に関する合意内容を公式に発表し、自動車と関連部品の米国関税率は既存税率を含めて15%にできたことを強調し、「関税より投資と、一貫して米国に主張し働きかけを続けてきた結果だ」と述べ、農産品については、米の輸入関税がゼロのミニマムアクセス米の年77万トンの総量は変えずに米国からの調達の割合を増やすと説明し、「農産品などへの日本の関税を引き下げることは、合意内容に含まれていない」としており、「守るべきものは守った上で、日米の両国の国益に一致する形の合意を目指してきた。トランプ大統領との間で、そのような合意が実現することになった」としており、トランプ書簡で7月7日に日本の相互関税率を25%に引き上げると通知してきたことに対して、「交渉により関税率を15%にとどめることができた」と改めて強調し、「対米貿易黒字を抱える国の中では、最も低い数字だ」と発言していた。
一方、国内ニュースでは、「日米関税交渉合意後の石破茂首相の退陣が不可避な情勢になった」などの観測報道が続き、「自民党内で参議院選挙の大敗を受けて首相の退陣を求める声が強まっているため」と報じられたほか、「石破茂首相は本日7月23日午後、自民党本部で麻生太郎最高顧問と菅義偉副総裁と岸田文雄前首相と会談する。自身の進退を含めて協議する。自民党幹部は参院選の総括を8月中に済ませ、結果を踏まえて、首相が進退を最終判断すると明らかにした」などの報道の影響もあり、日本政治の先行き不透明感の影響もあり、自動車株の買い戻しなどで今日の日経平均株価が大幅高の終値に向ける中で株価影響の低リスク通貨の円売りと市場高値後の円の利益確定売りや持ち高調整が進み、午後15時頃には対ドル円相場は一時147円21銭付近と今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
午後15時30分頃には、東京株式市場で今日の日経平均株価は4万1171円32銭の終値をつけ、前日比1396円40銭高と+3.51%の大幅高で大引けしたが、午後のニュースでは、「石破茂首相が8月までに退陣を表明する意向を固めた」などの一部の観測報道まで出ていたが、自身の辞任観測報道に対して、石破茂首相本人は自民党本部での会談後に記者団に対し、「私がそのような発言をしたことはない」、「そういった事実は全くない」と退陣を否定したとのニュースがあり、円の買い戻しが入って一時147円台だったドルは円相場で146円台に反落し、夕方16時30分頃には一時146円59銭付近に下落したが、市場では「石破首相の退陣は避けられない」との見方が根強く燻っており、自民党内ではなく野党などからの退陣要求の可能性は否定できないことでは、午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場参入後に米国長期金利が今夜17時には一時4.381%付近へと下げ幅を縮小していた影響もあり、ドルは円相場で146円台後半に下げ幅を縮小した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円74銭付近で、昨夜17時の147円65銭付近の前東京終値比で約91銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜23時に6月米国中古住宅販売件数、今夜23時30分に米国週間原油在庫、26時に米国20年債入札予定を控えている。
米国株式市場の株引け後に米国テスラ (Tesla) や、グーグル (Google) の持ち株会社の米国アルファベット (Alphabet Inc.) の決算報告などが予定されており、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、欧米関税交渉などの各国との通商交渉の続報に加え、世界情勢などのニュースではロシアとウクライナ情勢を含めた世界の政治経済の影響や、第二次ドナルド・トランプ米国政権の要人発言や参議院選挙で与党が過半数割れとなった日本の政治の先行きの続報などのファンダメンタルズ分析のニュースは、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は172円27銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の172円51銭付近の前東京終値比では約24銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、明日の夜の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のイベントリスクが意識される中で、昨夜の欧米国債買い入れでは欧州長期金利の指標となる独10年債の利回りも低下したことなどが為替相場に影響を及ぼしていた。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1740ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1685ドル付近の前東京終値比で約0.55セントのユーロ高ドル安だった。
主な要因は、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りの影響の波及があったほか、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) への米国政治圧が続く中で、ドル信任懸念のドル売りでは欧州ユーロの買い戻しは優勢だった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は198円74銭付近で、営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の198円80銭付近の前東京終値比では約6銭の円高ポンド安だった。
主な要因は、昨夜に英国統計局が発表した6月の英国公的部門の純借入額が、財政監督の英国予算責任局(OBR)が示していた見通しを超えた水準となり、英国財政悪化へに警戒感が意識され、英国債も買われて利回りが低下し、英国ポンド売りが入った影響などがあった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年7月23日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時1分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時1分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:01の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 146.37 〜 146.38 | −1.28 (円高) |
ユーロ/円 | 171.61 〜 171.63 | −0.90 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1724 〜 1.1725 | +0.0039 (ドル安) |
英ポンド/円 | 198.10 〜 198.16 | −0.70 (円高) |
スイスフラン/円 | 184.58 〜 184.64 | −0.57 (円高) |
豪ドル/円 | 96.47 〜 96.51 | +0.43 (円安) |
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