FXニュース:米政治圧と長期金利低下
2025年7月22日
東西FXニュース – 2025年07月22日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米欧関税交渉進展前向き
- 米景気先行指標は下振れ
- 米S&P・ナスダック最高値
- 日与党過半数割れ想定内
- 日経平均株価は小幅下落
- 来週FOMC前のFRB発言
今日2025年7月22日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の147円39銭付近から、円の安値でドルの高値の147円95銭付近の値幅約56銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円65銭付近と、世界FX市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の148円8銭付近の前日比では約43銭の円高ドル安で、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の148円73銭付近の前東京終値比では約1円8銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場は祝日休場であったが、昨夜20時台の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、経済ニュース専門局の米国CNBCテレビの番組に米国政府のスコット・ベッセント財務長官が出演し、第二次ドナルド・トランプ米国政権の関税政策の米国内でのインフレへの影響はこれまでのところは限られていることに言及し、「もしインフレ率が低ければ、米国政策金利を引き下げるべき」と発言し、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 全体を検証する必要があるとの認識なども示したことから、時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜21時頃の一時4.370%付近に向けて低下し、債券利回りの金利差トレードのドル売りの影響により昨夜20時47分頃にドルは円相場で一時147円51銭付近に下落し、昨夜21時から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円55銭付近の始値であった。
ただし、スコット・ベッセント米国財務長官は、「欧米関税交渉は進展している」と前向きな発言もしており、「欧米通商交渉では、合意成立そのものは急がずに質の高い内容を望んでいる」とし、「欧州連合 (EU / European Union) と米国は険悪な関係ではない」とポジティブな見解であったことを受けては、世界的な安全資産の米国債売りの抵抗も入り、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利が、昨夜22時40分頃の一時4.380%付近に向けて反発したため、債券利回りの金利差を受けたドルの買い戻しも入り、昨夜22時39分頃にドルは円相場で一時147円72銭付近と昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、昨夜22時55分頃には米国長期金利は一時4.366%付近と再び低下を始めたことから市場高値後のドルは円相場で反落し、さらに昨夜23時に発表された最新米国経済指標の6月米国景気先行指標総合指数が前回の−0.1%と前回上方修正の0.0%と市場予想の−0.2%を下回る−0.3%に下振れしたことを受けた安全資産の米国債買いも入ったことから、深夜24時45分頃には米国長期金利は一時4.356%付近と更なる低下を見せており、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りが、先週末の日本の参議院選挙における与党の過半数割れが市場の想定内の範囲に留まり、8月1日の日米関税交渉の期限に向けて自民党の石破茂首相が続役を正式に表明後であったこともあり、当面の間は給付金や減税などによる財政悪化は回避可能な市場予想が優勢で、世界市場の昨日の週明けにはイベント後の円の買い戻しが進んだ影響もあり、午前1時27分頃に対ドル円相場は一時147円8銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、米国主要企業の決算報告シーズンの米国ニューヨーク株式市場では、米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) がプラス圏から始まり、ダウ工業株 (DJIA) は終盤には利益確定売りや持ち高調整で小反落したものの、米国S&P500種株価指数 (S&P500) は史上最高値更新に向けており、米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) もマイナス圏から始まったものの、反発上昇して史上最高値を更新し、米国主要株価三指数中の二指数が史上最高値を更新後に前営業日比で高値の終値をつけた株価影響のリスク選好のリスクオン (Risk-on) では、市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入り、午前5時15分頃にはドルは円相場で一時147円44銭付近に下げ幅を縮小していた。
とはいえ、今週の決算報告を控えた市場予想による株買いも入っていたこともあり、米国ニューヨーク債券市場では、安全資産の米国債買いの影響は残り、米国長期金利は一時の下げ幅を縮小したものの、今朝6時頃のニューヨーク終値時には一時4.384%付近と4.3%台に留まっており、先週に一時4.4%台であった頃と比較すると大幅な円高ドル安が進行していた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円72銭付近から、円の安値でドルの高値の147円8銭付近の値幅約64銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円38銭付近と、前営業同時刻の148円81銭付近のニューヨーク終値比で約1円43銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも、昨夜のニュースを受けてドルは円相場で一時147円19銭付近に再び下落したが、今朝8時46分頃には一時147円50銭付近に買い戻されて反発しており、今朝9時頃の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円40銭付近の始値となった。
日本市場では、今朝は祝日連休明けの日本企業の輸入実需などの円売りドル買いが先行した影響では、今朝9時18分頃にドルは円相場で一時147円71銭付近に上昇したが、続いては国内輸出企業や投資系などの円買いドル売りの抵抗も入り、今朝9時43分頃にドルは円相場で一時147円39銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
市場高値後の円には利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めて反発したが、今日の東京株式市場では、今朝早朝に米国S&P500種株価指数 (S&P500) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ) が史上最高値を更新して高値引けしていた影響からは、今朝は日経平均株価も前営業日比のプラス圏から上昇して始まったが、今朝9時20分頃の市場高値をピークに株価がピークアウトして反落し、ランチブレイク後の株式市場の午後の部は前営業日比のマイナス圏となった株価影響も為替相場に影響を与えたが、午後15時30分に今日の日経平均株価は3万9774円92銭の終値をつけ、前営業日比44円19銭安の-0.11%の小幅安で大引けし、ドルは円相場で147円台後半へと反発上昇していた。
午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入では、時間外の米国債券市場で安全資産の米国債売りが入り、米国債券価格反落に伴う利回りの反発上昇が起き、夕方16時13分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.393%付近になったため、債券利回りの金利差トレードの円売りドル買いが入り、夕方16時14分頃にドルは円相場で一時147円95銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、日本市場終盤で148円台を前にした利益確定や持ち高調整の抵抗が入り始めたほか、欧州市場でも欧州ユーロが米国政治圧でドル信任懸念が燻るドル売りで買い戻されるなどの外貨影響が波及する中でドルは円相場で反落し、来週7月29〜30日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官達の中でも市場への影響力が大きいジェローム・パウエル議長の要人発言予定が、イベント前週のブラックアウト期間中にも関わらず今夜この後に控えていることへの様子見やイベントリスクの買い控えの抵抗などもあり、世界FX市場でも昨日から続いていた円高ドル安の今日の東京終値に向けていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円65銭付近で、世界FX市場の前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の148円8銭付近の前日比で約43銭の円高ドル安となり、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の148円73銭付近の前東京終値比では約1円8銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の要人発言予定と最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜21時30分にFRBのジェローム・パウエル議長の要人発言予定があり、FOMCイベント前のブラックアウト期間につき金融政策に関する発言はない予定とされているが、今夜23時の7月米国リッチモンド連銀製造業指数の後の26時にも同じくFRBのミシェル・ボウマン副議長の発言予定なども控えている。
また、今週は米国主要企業の決算報告シーズンが続くこともあり、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、日米関税交渉や欧米関税交渉などの各国との通商交渉の続報に加え、世界情勢などのニュースではロシアとウクライナ情勢を含めた世界の政治経済の影響や、第二次ドナルド・トランプ米国政権の要人発言や参議院選挙で与党が過半数割れとなった日本の政治の先行きの続報などのファンダメンタルズ分析のニュースは、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は172円51銭付近で、世界FX市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の172円42銭付近の前日比では約9銭の円安ユーロ高で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の172円99銭付近の前東京終値比では約48銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、昨日の世界市場では先週末の日本の参議院選挙 (参院選) で与党 の過半数割れが3議席差に留まり、8月1日が期限の日米関税交渉に向けて石破茂首相が継続を正式に表明したことから当面の間の日本政権の継続観測の円の買い戻しが入っていたが、今日は参院選における与党敗北による政治の先行き不透明感から日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が当面の間の追加利上げを決定しにくくなるという市場予想が浮上し、国内債券市場では新発10年物の利回りが指標となる国内長期金利が低下した影響があり、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の利下げサイクル終了が近いという市場予想が優勢な欧州ユーロの買い戻しが入った。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1685ドル付近で、世界FX市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1644ドル付近の前日比では約0.41セントのユーロ高ドル安で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.1631ドル付近の前東京終値比で約0.54セントのユーロ高ドル安だった。
主な要因は、前述の米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りに加えて、FRBへの米国政治圧によるドル信任懸念のドル売りなどでも欧州ユーロが買われていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は198円80銭付近で、世界FX市場の営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の199円10銭付近の前日比で約30銭の円高ポンド安で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の199円79銭付近の前東京終値比では約99銭の円高ポンド安だった。
主な要因は、日本の参院選での与党の過半数割れは先日の世論調査を受けた市場予想でも優勢であったが、過半数への不足議席数が限定的であったことでは、8月1日の日米関税交渉の期限までは石破茂首相が続役を正式に表明したことから、日本の財源不明の現金給付金や消費税減税など財政悪化がすぐに起きることはないとの世界市場の受け止めから、世界最大規模の英国ロンドン市場でも円の買い戻しが入った影響があったほか、英国市場では今夜18時15分頃からの英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のアンドリュー・ベイリー総裁の議会証言の発言予定を控え、最近の英国雇用統計軟化を受けたハト派発言への警戒感が高まっていた時間であったことも為替相場に影響を及ぼしていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年7月22日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時31分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時31分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:31の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.45 〜 147.47 | −1.28 (円高) |
ユーロ/円 | 172.59 〜 172.60 | −0.40 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1703 〜 1.1705 | +0.0072 (ドル安) |
英ポンド/円 | 198.92 〜 198.98 | −0.87 (円高) |
スイスフラン/円 | 184.93 〜 184.99 | −0.47 (円高) |
豪ドル/円 | 96.07 〜 96.11 | −0.81 (円高) |
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