FXニュース:米長期金利低下4.3%台
2025年7月10日
東西FXニュース – 2025年07月10日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 独DAXとナズダック最高値
- 米8カ国に新関税率通知
- 米追加関税ブラジル50%
- 米10年債入札結果が堅調
- 米FOMC年内利下げ予想
- 米財務長官達が万博訪日
今日2025年7月10日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の145円75銭付近から、円の安値でドルの高値の146円47銭付近の値幅約72銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円29銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円87銭付近の前東京終値比で約58銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、前日に買われたドルの利益確定売りや戻り売りに加えて、欧米関税交渉が妥結に近づいているとの観測報道の影響などから、自動車関連株と防衛航空関連や機器システム関連などを中心に欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-index) が今年6月5以来の最高値更新に向けて大幅に上昇し、欧州株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の欧州ユーロ買いドル売りが進んだ外貨影響のドル下落圧の波及により、昨夜18時26分と19時13分頃に対ドル円相場は一時146円54銭付近に下落したが、ドルが円相場で二度目に下抜けしなかったことでは、ダブルボトム (Double Bottom / 二番底) の買い戻しが入り、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円76銭付近の始値となった。
米国市場では、市場後半の午前3時に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が前回6月17〜18日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) 議事要旨を公表するイベントの予定があり、イベントリスクによるドルの持ち高調整や買い控えが入り始めたため、米国市場開場時の昨夜21時0分の1分間の値動きで瞬時に記録していた一時146円77銭付近が昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値となり、対ドルの円相場が反発上昇した。
米国ニューヨーク債券市場でも、午前2時に米国10年債入札を控えており、米国債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で昨夜21時20分頃の一時4.422%付近をピークに米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が急激な反落を始め、昨夜22時10分頃には一時4.399%付近と4.4%台から4.3%台に低下したことも、持ち高調整のドル売りに加えて米国長期金利低下時の債券利回りの日米金利差縮小による円買いドル売りや主要通貨に対するドル売りに影響を与えたため、ドルは円相場で146円台後半から前半に向け始めた。
昨夜23時に発表された最新米国経済指標の5月米国卸売売上高の前月比が、前回の0.1%と前回下方修正の0.0%と市場予想の0.2%を下回るマイナス圏の−0.3%に下振れしたことも米国債券市場での安全資産の米国債買いとドル下落に影響を及ぼし、昨夜23時21分頃にはドルは円相場で一時146円27銭付近に下落した。
また、米国政府のドナルド・トランプ大統領は、ブラジル、フィリピン、スリランカ、ブルネイ、モルドバ、アルジェリア、イラク、リビアの8カ国に対する8月1日から課税する米国関税率通知のトランプ書簡を発表し、新興国グループのBRICS (Brazil, Russia, India, China, South Africa / ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字を組み合わせた造語) 批判と共に、ドナルド・トランプ大統領と親しかったジャイール・ボルソナーロ前ブラジル大統領をブラジル司法当局が起訴したことをソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS /Social Networking Service) で「魔女狩り」と批判したことがあったが、その起訴やブラジル最高裁の米国のSNSプラットフォームに対する裁定結果などを理由に、ブラジルに今回新たに50%の追加関税を通知した。
米国商務省のデータでは、前年度2024年のブラジルに対する米国貿易収支では米国側の68億ドルの貿易黒字であったことから今年2025年4月の米国相互関税の初期設定時には特にブラジルに対する米国追加関税は設定されていなかったが、ドナルド・トランプ米国大統領はブラジルが米国のSNSやデジタル事業に対する攻撃を継続していると主張し、その他にも不公正な貿易慣行が存在するとして米国通商代表部 (USTR / United States Trade Representative) のジェミソン・グリア代表に、外国の貿易や政策や慣行が通商協定規定の米国の権利を侵害する場合や不合理または差別的で米国の商業に負担や制限を与える場合に外国の製品に対する追加関税など輸入制限を講じることや外国のサービスに対して追加料金や制限を課す権限などを認めている米国1974年通商法301条 (Trade Act of 1974) に基づく調査の開始を指示したことも発表した。 今回新たに50%の米国関税通知書間が公開されたブラジルの他にも、フィリピンに対しても2025年4月当時の米国相互関税率の17%を20%に引き上げ、スリランカにも4月の44%から30%に引き下げ、ブルネイにも24%から25%に引き上げたが、モルドバに対しては31%から25%に引き下げ、アルジェリアは30%で増減なし、イラクは39%から30%に引き下げ、リビアは31%から30%に引き下げるなど、8カ国に対する8月1日から適用の米国関税率を記載したトランプ書簡をSNS投稿写真で公開した。
米国関税政策の世界経済への影響に対する警戒感もあって、世界的な安全資産の米国債が買われたことに加えて、先日の米国トランプ減税・歳出案の米国連邦上下院通過後の米国財政懸念に対し、引き上げ後の米国追加関税収入増加をアピールした影響もあり、米国財政拡張に伴う需給不安が緩和されたこともあり、午前2 時の米国10年債入札結果が堅調な結果となり、米国債券価格上昇による利回り低下が続き、入札後の午前2時45分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.353%付近と4.3%台で更なる下落を見せていた。
午前3時には米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が6月17〜18日開催分の前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) 議事要旨を公表するイベントがあり、前回の米国政策金利維持の理由として「米国関税引き上げが物価上昇圧となる可能性が高い」とされており、第二次ドナルド・トランプ政権の米国関税政策に対する不透明感が指摘されていたが、今後の米国利下げ時期や利下げ幅についてはFOMCメンバー達の見方にばらつきがあり、「数名のメンバーはデータが予想通りに推移すれば、次回の会合で早期の政策金利利下げを検討する可能性があると指摘」とハト派の意見もあれば、米国関税政策の経済やインフレへの影響の様子見の慎重な意見もあったが、「FOMCメンバーの大半は米国政策金利の目標レンジを今年幾分か引き下げることが適切である可能性が高いと評価」しており、今年年内の米国利下げ予想が意識された。
金利先物市場の動向から米国政策金利の市場予想値を示すフェドウオッチ (FedWatch) では、FOMC議事要旨公表後の今日の時点でも次回の今月7月30日の米国金利据え置き予想値は93.3%付近と、市場で確定値と考えられている70%を超え続けており、その次の9月17日のFOMCも0.25%の米国小幅利下げ予想値が67.3%付近で米国金利据え置き予想値は28.0%付近で一部の0.5%の米国大幅利下げ予想が4.7%付近の推移を続けているが、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利がさらに低下しており、米国ニューヨーク外国為替市場終盤の一時4.340%付近に向けたことでは、FOMC議事要公表後の午前3時20分頃にドルは円相場で一時146円24銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、米国ニューヨーク株式市場では、時差で先行していた欧州株式市場で大幅な高値引けをして終えていた欧州主要株価指数の独DAXの史上最高値の更新に続き、この日の米国ニューヨーク債券市場での米国長期金利低下を受けた米国金利警戒感の緩和により、米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) が反発上昇し、さらには米国AI (Artificial intelligence / 人工知能) 半導体大手のエヌビディア (NVIDIA) の時価総額が一時史上初の4兆ドル (約590兆円規模) を記録したほか、米国マイクロソフト (Microsoft) が上場来高値を記録するなど、国際的な米国ハイテク企業の多い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) も史上最高値を更新し、米国主要株価三指数が揃って前日比の高値の終値をつけたことでは、米国株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円売りとドル実需の買い戻しが入ったことでは、午前5時16分頃にはドルは円相場で一時146円49銭付近に反発した。
しかし、米国ニューヨーク外国為替市場が終値をつけた今朝6時頃には、米国長期金利は一時4.340%付近にまで低下しており、債券利回りを受けた日米金利差縮小による円買いドル売りと、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りの影響では、前日に高値となっていたドルの利益確定や持ち高調整の戻り売りが入りやすく、外貨影響もあってドルは円相場で再び146円台前半に反落した。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の146円77銭付近から、円の高値でドルの安値の146円26銭付近の値幅約51銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円33銭付近と、前営業同時刻の146円58銭付近のニューヨーク終値比で約25銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも米国長期金利低下を受けたドル売りが続き、今朝8時28分頃にドルは円相場で一時146円7銭付近に下落していたため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時146円10銭付近の始値で、日本市場の始まりには時間外の米国債券取引でも海外市場の流れが先行し、今朝9時38分頃に米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.325%付近に低下したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りと米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りが入り、今朝9時56分頃にドルは円相場で一時145円75銭付近と、一時145円台の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、今朝の東京株式市場では、米国関税政策への警戒感や早期の利益確定と持ち高調整などで日経平均株価が反落を始めており、下落幅を拡大していた時間であったことも日本株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) による国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いの一因となっていたが、米国長期金利が反発して下げ幅を縮小するにつれて、今朝の一時145円台のドルの安値からはドルのショートカバーや買い戻しが入りやすくなり、一時は今朝の下落幅を日経平均株価が午後に向けてやや縮小していた株価影響もあって、昼頃にはドルは円相場で146円台前半を回復した。
なお、今日の日経平均株価は、今朝までの米国エヌビディア (NVIDIA) の最高値達成の一方で、東京エレクトロン (Tokyo Electron) の日本株は大幅に下落しており、午後15時30分頃に今日の日経平均株価は3万9646円36銭の終値をつけ、前日比174円92銭安の-0.44%で大引けしていた。
午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入では、時間外の米国債券市場で米国債券価格上昇後の米国債売りが続き、米国債券価格低下に伴う利回り上昇により、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が夕方16時18分頃には一時4.353%付近に反発して下げ幅を縮小した一方で、今日の日本の国内債券市場で20年物日本国債の入札買いの影響を受けて新発10年物日本国債利回りが指標となる日本の国内長期金利が低下したため、債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いが起き、夕方16時47分頃にドルは円相場で一時146円47銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
日本市場終盤には利益確定と持ち高調整の円の買い戻しと、米国主要株価先物で高値後の利益確定売りなどの抵抗も見られた影響などから低リスク通貨の円買いも入ったため、ドルは円相場で再び146円台前半に戻した影響では、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円29銭付近で、昨夜17時の146円87銭付近の前東京終値比で約58銭の円高ドル安になった。
在日米国大使館の発表によると、米国のドナルド・トランプ大統領令でスコット・ベッセント米国財務長官が率いるジョージ・グラス駐日米国大使、ロリ・チャベスデレマー米国労働長官、クリストファー・ランドー米国国務副長官、ウィリアム・グレイソン大阪・関西万博米国パビリオン代表などの米国代表団が、米国ナショナルデー (National day / 国家の日) の 7月19日に大阪で開催中の関西万博 (2025年日本国際博覧会 / Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan) に派遣される訪日予定が発表され、7月20日投票開票の参議院選挙を前に、先日は日本の閣僚関係者の一部から、「書簡での一方的な米国関税通知は失礼だ」などの意見が出ていた日米関税交渉が訪日時に対人で行われるかどうかなども注目されている。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定と米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分位に前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数、22時頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国セントルイス連邦準備銀行のアルベルト・ムサレム総裁の発言予定、26時に米国30年債入札予定、26時15分頃から同じく次回のFOMC投票権を持ち先日のハト派発言が話題になったことからドナルド・トランプ米国大統領のFRBへの利下げ要求の政治圧が続く中で、次期FRB議長候補の一人と噂されているFRBのクリストファー・ウォラー理事の発言予定などを控えている。
また、世界情勢などのニュースや、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、米国関税政策などの先行きや世界の政治経済の影響に加えて、要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は171円65銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の171円94銭付近の前東京終値比で約29銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、今日の日本市場では、日経平均株価下落を受けたリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いが入り、リスク市場に比較的弱いとされている欧州ユーロや英国ポンドに対して円相場が反発した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円17銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の199円49銭付近の前東京終値比で約32銭の円高ポンド安だった。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1734ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1708ドル付近の前東京終値比で約0.26セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、前述の通り、米国長期金利が昨日の一時4.4%台から今日は一時4.3%台に低下しており、米国長期金利低下時の欧州ユーロなどへの主要通貨に対するドル売りの影響が観測されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年7月10日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時55分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時55分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:55の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 146.11 〜 146.12 | −0.76 (円高) |
ユーロ/円 | 171.37 〜 171.38 | −0.57 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1727 〜 1.1729 | +0.0019 (ドル安) |
英ポンド/円 | 198.68 〜 198.74 | −0.81 (円高) |
スイスフラン/円 | 183.84 〜 183.90 | −0.36 (円高) |
豪ドル/円 | 95.93 〜 95.97 | +0.17 (円安) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。