FXニュース:米関税影響金利維持予想
2025年7月09日
東西FXニュース – 2025年07月09日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米銅と銅製品に50%関税
- 米医薬品200%関税検討
- 米関税輸入インフレ警戒感
- 米長期金利一時4.43%台
- ニュージランドも金利維持
- 欧米関税交渉期待と続報
今日2025年7月9日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円18銭付近から、円の高値でドルの安値の146円68銭付近の値幅約50銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円87銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円5銭付近の前東京終値比で約82銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、日本宛の8月1日発動の一律25%の米関税通知書簡が公開されるなど米国関税政策の影響によるインフレ警戒感と経済への影響の様子見の日米金利維持予想が高まり、時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利上昇が一時4.42%台に上昇し、債権利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いが進んだほか、欧州連合 (EU / European Union) との米国関税交渉への期待感から昨年以来の今年最大の円安ユーロ高の外貨影響などが対ドル円相場に波及しており、昨夜20時54分頃にドルは円相場で一時146円65銭付近に上昇していた。
その影響から、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円59銭付近の始値となり、昨夜21時頃に米国債買いの影響により上昇していた米国長期金利に抵抗が混ざり一時4.41%台に下押ししたことから、昨夜21時8分頃に対ドル円相場にも抵抗が混ざり一時146円45銭付近に下押しした時間が米国市場の円の高値でドルの安値となったが、ドル上昇トレンドの中で抵抗後のドルは円相場で反発し、再び上昇を続けていた。
米国ニューヨーク株式市場が始まると、米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) がマイナス圏から始まりマイナス圏の推移を続ける一方で、米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) は米国輸入関税の経済への影響からマイナス圏に低下した後にも時折反発してプラス圏に戻すなどの値動きを見せており、国際的なハイテク企業比率が高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) も一時反落後にプラス圏の推移を見せていた。
しかし、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、日本や韓国を含む複数国に8月1日から適用される米国相互関税率の通知書簡を送った際の以前の7月9日から8月1日への米国関税の交渉期限について、「8月1日の期限の延長は、認められない」と発言し、今後の延長の可能性はないことを強調し、さらに、米国に輸入される「銅や銅製品に対して50%、医薬品に対しては最大200%の分野別関税を課す」方針を明らかにした。
米国に輸入される銅と銅製品に対する50%の米国関税については、銅線などの電力網や軍事装備と電気自動車 (EV / Electric Vehicle) などの多様な消費財にとって重要な銅の国内生産増強が目的とされていた、項目別の関税発効の時期については明確にしなかったが、半導体と医薬品などに対する米国関税については、「近く発表する」としており、医薬品に対する関税率が200%に達する可能性があると検討していることを示し、プライベート医療が高額な米国において、米国内生産を推進または誘致する可能性を示唆し、医薬品供給や製薬会社が対処できる様に、「1年から1年半程の猶予期間を与え、その後に関税を課す」と発言した。
また、先日にも新興国グループのBRICS (Brazil, Russia, India, China, South Africa / ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字を組み合わせた造語) 関連通貨に対する警戒感によるドル買いで話題になったドナルド・トランプ大統領の「BRICSの反米政策の同調国に10%の米国追加関税」という発言に続き、この日にも、「BRICS加盟国は、かなり近いうちに10%の米国関税を課される」と発動時期が近いことを示し、ドナルド・トランプ大統領は以前からも国際決済における世界的な基軸通貨であるドルへの依存離れのためのBRICS共通通貨案やドル決済回避方法などに対する拒絶感を示していたこともあり、「BRICSは米国と基軸通貨としてのドルの地位を損なうために設立された」と証拠を示さずに主張して「そうした状況は容認しない」、「BRICSはドルの価値を下げ、ドルを奪い、基軸通貨から外すために設立された」と言及し、「世界の基軸通貨としてのドルの地位を失うことは、大規模な世界大戦に負ける様なものだ。我々はもはや同じ国ではなくなる」と、世界的な経済大国としてのアメリカ・ファーストの米国第一主義を貫く姿勢を見せており、再びドルが買われる値動きがあった。
米国関税影響の輸入インフレ予想とデータ様子見により米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が今月7月30日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国政策金利を据え置きにする市場予想値が95.3%付近で高止まりしており、米国長期金利が一時4.436%付近と一時4.43%台に上昇していたため、債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いが進み、同時進行中の世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場で深夜24時のロンドン・フィキシングで主要取引通貨であり世界的な基軸通貨としてのドル買いも外貨に対して入っていたため、深夜24時7分頃にドルは円相場で一時146円98銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、その一方で、ドナルド・トランプ大統領は、「中国と欧州連合 (EU) との米国通商交渉は、順調に進んでいる」としていたももの、「欧州連合 (EU) には数日以内にも米国関税通知のトランプ書簡を送る見通し」であることが明らかになり、昨夕の欧州市場では英国並みの10%の米国関税率を欧州にも条件付きで提示する可能性があるとの観測報道を受けた市場期待感があったが、日本に送ったトランプ書簡の形式の様な一方的な関税率と条件の通知になる場合には、条件付きなどの不透明な部分に加えて、報復関税に対する対抗報復関税による引き上げ率や近隣の低関税地域経由時の追加関税項目などが含まれる可能性があり、さらなる米国関税率の引き上げの可能性もあることなどから、米国トランプ関税政策の不確実性と世界経済への影響に警戒感が燻ったことでは、安全資産の米国債の買い戻しで一時4.42%台に戻す抵抗が入り、市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入ったことでは、ドルは円相場で上昇幅をやや縮小した。
米国ニューヨーク債券市場では午前2時に米国3年債の入札があり、他の年度の米国債券にも売買の影響を及ぼしたことでは、午前1時台には一時4.420%付近と4.2%台に下押ししていた米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が反発し、午前2時台には一時4.433%付近と4.3%台に戻した時間があったが、午前4時に発表された最新米国経済指標の5月米国消費者信用残高の前月比は前回の178.7億ドルと前回下方修正の168.7億ドルと市場予想の110.0億ドルを大幅に下回る51.0億ドルに下振れしており、米国トランプ関税の経済の影響や高金利長期化などへの消費者の警戒感も意識されており、その一方でドナルド・トランプ大統領は米国利下げ要求の政治圧発言を続けており、関税インフレもないと根拠のない主張をしていたがこの日の市場の反応は薄かった。
米国ニューヨーク株式市場では、米国関税政策の経済への影響の懸念や不透明感による様子見の米国金利据え置き予想などが意識され、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500) が前日比で安値の終値をつけ、国際的なハイテク企業比率が高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ) だけが前日比で小幅高となった株価影響のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) による安全資産の米国債買いの影響では、債券価格上昇に伴う利回り低下が抵抗要因となり、米国株式市場が終値をつけていた午前5時頃には米国長期金利は一時4.410%付近と4.41%台に反落しており、低リスク通貨の円買いと共に債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りが抵抗になった影響では、ドルは円相場で146円台中盤付近に向けて上昇幅を縮小していた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の146円45銭付近から、円の安値でドルの高値の146円98銭付近の値幅約53銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円58銭付近と、前営業同時刻の146円5銭付近のニューヨーク終値比で約53銭の円安ドル高をつけた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時146円89銭付近の始値で、米国関税引き上げによるインフレ警戒による米国長期金利の4.4%台への上昇による債券利回りの日米金利差拡大と共に、トランプ関税の日本経済への影響の様子見により日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の追加利上げ予想が後退しており、当面の間の日米金利差予想でも円売りドル買いが入ったほか、午前11時に時間帯が近いオセアニア市場で ニュージーランドの中央銀行にあたるニュージーランド準備銀行 (RBNZ / Reserve Bank of New Zealand ) が3.25%の政策金利の据え置きを発表すると、前日のオーストラリアに続き金利維持トレンドが改めて意識されて日銀金利維持長期化予想が再燃した円売りドル買いが起き、時間外の米国債券取引で米国長期金利が午後14時台の一時4.421%付近に向けた再上昇を見せ始めていた昼の12時6分頃にドルは円相場で一時147円18銭付近に上昇し、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、今朝は一時反落していた今日の日経平均株価が、円安を背景にした追い風もあって反発上昇していたことも、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りに影響を及ぼしていた。
一時147円台の市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入ったが、午後15時30分には今日の日経平均株価は3万9821円28銭の終値をつけ、前日比132円47銭高の+0.33%で大引けしており、ドルは円相場で146円台後半で下げ渋っていた。
午後からの欧州市場の参入では、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「貿易に関して、少なくとも7カ国への発表を、米国現地時間9日午前 (日本時間では時差で今夜この後にあたる) に行い、午後には追加の国も発表する」と、SNS (Social Notworking Service / ソーシャル・ネットワーキング・サービス) で発言し、貿易交渉進展についてなのか米国関税通知のトランプ書簡の更なる写真公開なのかが話題になり、英国経済紙のフィナンシャル・タイムズ (FT / Financial Times) は、「欧州連合 (EU) と米国の貿易交渉で、米国が英国に認めた水準より高い関税率をEUに課す内容で合意に近づいている」と報じたが、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、欧米貿易交渉について、「合意に向けて緊密に協力する」としたものの、「あらゆるシナリオに備えている」という欧州連合 (EU) 側の交渉姿勢を示したことではまだ合意に至っていない可能性から、昨夕の欧州市場での期待感の巻き戻しのドルの利益確定売りで欧州ユーロが買い戻されたため、外貨影響の波及もあってドルは円相場でも上昇幅を縮小し、世界的な安全資産の米国債買いで米国長期金利が反落した。
夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入で、欧州市場から始まっていた安全資産の米国債買いの影響が強まり、夕方16時10分頃に米国長期金利は一時4.395%付近にまで急落したため、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りが起き、夕方16時18分頃にドルは円相場で一時146円68銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
低下後の米国長期金利は反発して下げ幅を縮小し、夕方16時57分頃には一時4.406%付近と再び4.4%台を回復したことでは、ドルも円相場で反発したが、今夜この後には6月17〜18日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨の発表予定や前述のトランプ関税発表予定のイベントを控えているイベントリスクなどもあり、昨夕の様な積極的なドル買いにはならずにドルは円相場で146円台後半に留まった。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円87銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の146円5銭付近の前東京終値比では約82銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標などの発表予定や米国債入札予定と米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨公開予定とトランプ大統領領の関税についての発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜23時に5月米国卸売売上高、26時に10年債入札、27時に6月17〜18日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨、そして時間未定であるが市場の前半と後半に第二次ドナルド・トランプ政権による米国関税政策について発表予定があることなどが市場の注目を集めている。
また、世界情勢などのニュースや、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、米国関税政策の先行きや世界の政治経済の影響に加え、要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は171円94銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の171円74銭付近の前東京終値比で約20銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今朝10時10分頃に欧州ユーロは円相場で一時172円27〜28銭付近に上昇し、今年最大の円安ユーロ高を続伸しており、市場高値後には利益確定売りなどで反落を始めていたものの東京終値時には小幅なプラス圏で、欧州と経済圏が近い英国ポンドも円相場で連れ高の東京終値となっていた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円49銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の199円19銭付近の前東京終値比で約30銭の円安ポンド高だった。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1708ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1759ドル付近の前東京終値比で約0.51セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、前述の米国長期金利の4.4%台への上昇による主要通貨に対するドル買いの影響があり、円相場だけでなく欧州ユーロなどに対してもドルが上昇していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年7月9日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時0分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時0分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:00の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 146.64 〜 146.66 | +0.59 (円安) |
ユーロ/円 | 171.61 〜 171.62 | −0.13 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1701 〜 1.1703 | −0.0058 (ドル高) |
英ポンド/円 | 199.17 〜 199.23 | ±0.00 (レンジ) |
スイスフラン/円 | 184.13 〜 184.19 | +0.67 (円安) |
豪ドル/円 | 95.74 〜 95.78 | +1.30 (円安) |
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