FXニュース:8月1日に米対日関税25%
2025年7月08日
東西FXニュース – 2025年07月08日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米対日関税25%書簡通知
- 米交渉期限8月1日に延期
- 米関税政策のインフレ圧
- 米長期金利上昇4.4%台
- 米対欧条件付10%関税案
- 豪政策金利3.85%を維持
- 今年最大の円安ユーロ高
今日2025年7月8日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の145円83銭付近から、円の安値でドルの高値の146円45銭付近の値幅約62銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円5銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円21銭付近の前東京終値比で約84銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場でも、米国政府のドナルド・トランプ大統領の「BRICS (Brazil, Russia, India, China, South Africa / ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字を組み合わせた造語) の反米政策の同調国に10%の米国追加関税」発言を受けて中国や新興国通貨などへのドル上昇圧が円相場だけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨にも波及し、米国関税引き上げの可能性による米国インフレ圧予想などで、昨夜19時20分頃の時間外の米国債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.360%付近に上昇したため、債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いが入り、昨夜19時32分頃にドルは円相場で一時145円53銭付近に上昇していた。
米国関税政策の不確実性を巡っては、日米間だけでなく欧米通商交渉もまだまとまっていないことでは抵抗が混ざったが、米国関税政策の日本などへの書簡通知では日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が日本経済への米国関税政策の影響の様子見で当面の間の追加利上げに動きにくいのではないかという市場予想と共に、昨朝に発表されていた日本の実質賃金低下の影響もあり、日銀の早期の追加利上げ予想が後退する一方で、米国長期金利上昇を受けて金利先物市場の動向から市場予想値を算出するフェドウオッチ (FedWatch) では米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が今月7月30日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国政策金利を据え置きにする市場予想値が今日の時点でも95.3%付近に上昇しており、それに対する早期の米国利下げ予想値は4.7%付近に後退し、その先の9月17日のFOMCでも以前は市場で確定値と考えられている70%を超えたこともあった0.25%の米国利下げ予想値が59.1%付近に後退したほか、一部の0.5%の大幅利上げ予想値は2.8%付近に減退する傍らで金利据え置き長期化予想が38.1%付近に増加していた。
その影響から、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時145円49銭付近の始値となり、この昨夜21時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録していた一時145円48銭付近が米国市場の円の高値でドルの安値となり、昨夜の米国市場では先週7月4日の米国独立記念日の祝日から週末にかけた米国祝日連休明けのドル実需もあり、ドルは円相場で上昇を続けた。
午前1時台には、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、日本政府の石破茂首相宛に送ったとされる米国関税通知書簡を公開し、「日米貿易関係の強さと相互のコミットメントを示すとともに、日米間に多額の貿易赤字が存在するにもかかわらず、米国は依然として日本との協力を継続する意思を有していることをお伝えしたく、本書簡をお送りいたします。もっとも、今後はより均衡の取れた公正な貿易」を前提としてのみ協力を進める所存です」と米国の対日での多額の貿易赤字に言及し、結論として、「残念ながら、現在の日米貿易関係はもはや互恵的 (Reciprocal / リシプロカル) ではありません。2025年8月1日から、既存の別関税品目を除き、日本から米国に輸出される全ての貨物に一律25%の米国関税を課すことをお知らせします」と一方的に通知し、「第三国経由での再輸出により同関税を回避しようとする貨物についても、より高い税率を適用します」と警告したほか、「もし貴国が何らかの理由で米国製品に対する関税率を引き上げる場合は、その引き上げ幅をそのまま25%に上乗せします」という報復関税への意向も示していた。
また、この対日のトランプ書簡には、「日本企業が米国内に工場を建設し、関連製品を生産する場合には、米国関税措置の対象外となります。許認可の手続きについては、迅速かつ専門的に定型で対応し、数週間以内に完了できる様に最大限努力します」と、日本企業の米国内の投資や雇用産出の誘致による非課税案が提示されていたが、「この25%の米国関税は、日米貿易赤字を解消する上で必要とされる水準には、遠く及ばないことをご理解下さい」と念を押しており、「今回の措置は、対日の関税・非関税措置・貿易障壁により長年に渡り生じてきた持続不可能な米国貿易赤字を是正するためのものであることをご理解下さい」そして、「この米国貿易赤字は、米国経済そして国家安全保障にとってさえ、重大な脅威となります」と、譲歩の余地がない強行姿勢を示唆していた。
以前は今週7月9日が猶予期限であった日米関税交渉が、今月7月20日の日本の参議院選挙の後の来月8月1日まで交渉延期可能になることについては、米国ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官が、「ドナルド・トランプ大統領は、本日午後に各国との交渉期限を7月9日から8月1日に延期するための大統領令に署名する」と明らかにしており、これまでにも二転三転してきた米国関税政策への不透明感や不確実性が燻る中でも、日米関税交渉における強行姿勢が示唆されたことでは、4月2日に日本に対して課すと発表していた米国相互関税率は24%付近であったことから、今回8月1日に発動予定と通知された米国関税通知率は25%に上昇している印象があり、一律25%関税からは除外の「既存の別関税品目」には自動車やアルミニウムと鉄鋼などの分野別関税があるとしても、米国関税率は米国内でのトランプ減税・歳出案による米国財政赤字懸念がある中で、今後も上昇の可能性などがあることから、様々なシナリオが示されてきた米国インフレ影響への警戒感が高まった。
米国ニューヨーク債券市場では、米国関税インフレへの警戒感から米国長期金利が今朝未明の午前3時35分から45分頃にかけて一時4.400%付近と、一時4.4%台方向への上昇を見せ始めており、債券利回りの日米金利差拡大を受けた円売りドル買いが進み、午前3時35〜36分頃と3時47分頃にドルは円相場で一時146円24銭付近と146円台で上昇し、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が、米国長期金利の上昇を受けた金利警戒感や米国関税政策の経済や景気への影響懸念などから揃って下落しており、前営業日比で安値の終値に向けたことでは、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では低リスク通貨の円買いの抵抗も混ざったが、安全資産の米国債買いの中でも米国長期金利は今朝早朝のニューヨーク終値の頃にも一時4.385%付近に留まっており、再び上昇の可能性も高いことでは大幅な円安ドル高が進行していた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の145円48銭付近から、円の安値でドルの高値の146円24銭付近の値幅約76銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円5銭付近と、世界FX市場の前営業同時刻の144円47銭付近のニューヨーク終値相当時間比で約1円58銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、日本や韓国に25%の米国関税通知が書簡で示されたニュースがあった一方で、米国政治ニュースメディアのポリティコ (Politico) が、「米国政府は、欧州連合 (EU / European Union) には、条件付きではあるが10%の米国関税案を提示した」と報じた期待感から欧州ユーロが買われて円相場で上昇し、ユーロ円が今年最大の円安ユーロ高の更新に向ける中で、対ドルでも欧州ユーロの買い戻しが入った外貨影響の波及では、今朝7時54分頃にドルは円相場で一時145円84銭付近と一時145円台に戻していたため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時145円88銭付近の始値で、今朝9時頃の東京株式市場の開場時には一律25%の対日の米国関税政策への警戒感などからマイナス圏から始まった今日の日経平均株価を受けた株価リスク回避のリスクオフの国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いの影響で今朝9時4分頃の一時145円83銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となった。
なお、日本は対米では多額の貿易黒字とされているが、今朝8時50分に発表された日本の最新経済指標の5月日本国際収支の貿易収支は前回の−328億円と市場予想の−5172億円に対し−5223億円と赤字額が増えていたが、5月日本国際収支の経常収支では、季調前は前回の2兆2580億円と市場予想の2兆9400億円に対し3兆4364億円であったものの、季調済では前回の2兆3068億円と市場予想の2兆5806億円を上回る2兆8181億円に上振れしていた。
今朝9時頃の東京株式市場の開場時にはマイナス圏から始まっていた今日の日経平均株価は、日米関税交渉の猶予期間が今月7月20日の日本の参議院選挙の後の来月8月1日に延長されたことや、日銀の早期の追加利上げ予想後退を受けた国内金利警戒感の緩和の影響などでは日本株の買い戻しが入って反発してプラス圏に転じたため、先ほど買われた低リスク通貨の円が売られて下落し、欧州ユーロに対する今年最大の円安ユーロ高の更新後にも更なる続伸に向けた外貨影響のトレンドの対ドル円相場への波及もあり、今朝9時55分の日本市場の仲値決済では日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢であったことも相まって、今朝10時16分頃にドルは円相場で一時146円45銭付近と再び146円台に上昇し、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
市場高値後のドルには、国内輸出企業の円買いドル売りの影響もあって利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入り始めたほか、今日の昼の13時30分には時間帯が近いオセアニア市場で豪州中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行 (RBA / Reserve Bank of Australia) の豪州政策金利発表があり、市場予想で優勢だった3.60%への0.25%の豪州利下げ予想に反して、これまでと同じ3.85%に豪州政策金利の据え置き維持を決定したニュースがあり、豪ドルが日本円よりも市場流通量が多い基軸通貨のドルに対しても買われた外貨影響が対ドル円相場に波及し、ドルは円相場で市場高値後の上昇幅を縮小した。
午後15時30分には今日の日経平均株価はプラス圏の推移を続けたまま、3万9688円81銭の終値をつけ、前日比101円13銭高の+0.26%で大引けしたことでは低リスク通貨の円売りも混ざったが、午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入では、欧州ユーロが今朝更新した一時171円83銭付近を夕方に上抜ける一時171円84〜85銭付近と今年最大の円安ユーロ高を続伸しており、欧州ユーロと経済圏が近く影響を受けやすい英国ポンドも連れて円安ポンド高となったが、ユーロドルは欧州ユーロの買い戻しでドル売りが入る抵抗もあったものの、時間外の米国債券市場では米国長期金利が今夜17時頃にも一時4.405%付近と再び4.4%台に上昇しており、債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いの影響もあってドルは円相場で146円台の今日の東京終値に向けていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円5銭付近で、昨夜17時の145円21銭付近の前東京終値比で約84銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、米国債の入札予定と最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、26時に米国3年債入札予定と、28時に5月米国消費者信用残高を控えるが、世界市場では引き続き、第二次ドナルド・トランプ政権による米国関税率の通知後の各国との続報などが注目を集めている。
また、世界情勢などのニュースや、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、日本や各国の米国関税政策の影響や世界の政治経済の影響に加えて、要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は171円74銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の170円56銭付近の前東京終値比で約1円18銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、前述の通り、欧州ユーロは円相場で今日の夕方16時57分頃に一時171円84〜85銭付近と今年最大の円安ユーロ高を続伸しており、欧州と経済圏が近い英国ポンドも円相場で連れ高となっていた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円19銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の197円55銭付近の前東京終値比で約1円64銭の大幅な円安ポンド高になっていた。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1759ドル付近となり、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.1746ドル付近の前東京終値比で約0.13セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、米国の対欧関税率が条件付きではあるが経済圏が近い英国並みの10%付近になる可能性への市場期待感などがあり、欧州ユーロが対ドルで買い戻された影響に加えて、日本市場終盤の円相場での欧州ユーロの今年最大の円安ユーロ高の外貨影響の波及などが観測されていた。
また、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標では、5月独貿易収支が前回の146億ユーロと前回修正の145億ユーロと市場予想の155億ユーロを上回る184億ユーロに上振れし、前日の5月独鉱工業生産が市場予想を大きく上振れしたことに続き、先述の米国関税率に加えての今日の欧州ユーロ買いの一因となっていた。
ただし、今夜その後の欧州市場では、今夜19時台に米国長期金利が一時4.424%付近と更なる上昇を見せており、債券利回りの金利差トレードのドル買いが対ユーロでも入ったことなどでは、今夜20時台には前東京終値比のユーロ安ドル高への市場反転も見せている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年7月8日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時1分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時1分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:01の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 146.39 〜 146.40 | +1.18 (円安) |
ユーロ/円 | 171.70 〜 171.72 | +1.14 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1728 〜 1.1730 | −0.0018 (ドル高) |
英ポンド/円 | 198.76 〜 198.82 | +1.21 (円安) |
スイスフラン/円 | 183.52 〜 183.58 | +0.18 (円安) |
豪ドル/円 | 95.74 〜 95.78 | +1.30 (円安) |
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