FXニュース:米長期金利低下4.1%台
2025年7月01日
東西FXニュース – 2025年07月01日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米貿易交渉と利下げ期待
- 米ナスダック最高値更新
- 米シカゴ購買部PMI下振れ
- 日銀短観景況感が上振れ
- 日銀早期利上げ予想上昇
- 金利警戒で日経平均反落
- 米景気指標と要人発言も
今日2025年7月1日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の143円94銭付近から、円の高値でドルの安値の143円2銭付近の値幅約92銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円4銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の144円9銭付近の前東京終値比では約1円5銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨夜の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨日の日本市場の夕方に記録していた一時143円77銭の日通し安値後のドルの買い戻しが入り、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円33銭付近の始値だった。
米国ニューヨーク株式市場では、昨日にカナダ政府が米国関税交渉再開のために対米デジタルサービス税 (DST / Digital Services Taxes) を撤回したニュースを受けて、欧州でも国際的な米国巨大IT (Information Technology) 企業などへのデジタル課税導入が進んでいたが、欧州を中心に日米を含む38ヶ国の先進国が加盟する国際機関の経済協力開発機構 (OECD / Organisation for Economic Co-operation and Development) を中心に進められてきた国際課税ルールにも影響が波及する可能性などから、国際的な米国ハイテク企業株の比率が高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が史上最高値更新に向けた上昇トレンドで始まり、前日に史上最高値を更新した米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) も続伸し、米国関税交渉期待と米国利下げ期待を背景に米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) も上昇するなど、米国主要株価三指数がプラス圏で始まると、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りと投資用などのドル買いが入った影響では、昨夜22時46分頃にドルは円相場で一時144円51銭付近と、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、ほぼ同時刻の昨夜22時45分には最新米国経済指標の発表があり、6月米国シカゴ購買部協会景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) が、前回の40.5と上昇が期待されていた市場予想の42.7に反して40.4に下振れしたことを受けて、今週に米国雇用統計を控える米国市場では、米国雇用市場や米国景気の下振れ時には米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が今年年内の米国利下げ時期を前倒しにする可能性があることなどから、ドルは円相場で反落を始めた。
ただし、同時進行中の世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場では、日本時間で深夜24時の英国夏時間の現地時間の午後15時の6月末の四半期末最終営業日のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けた主要取引通貨のドル買いフロー (Flow / 流れ) が観測されていた時間であったことでは、深夜24時頃には一時144円50銭付近に反発するなど、深夜までのドルは円相場で下げ渋っていた。
一方、米国政府のスコット・ベッセント財務長官が米国ブルームバーグ (Bloomberg) テレビに出演し、米国長期債の発行増額についての質問に対し、「その必要はないだろう」と回答したほか、今年年末までの米国10年債の利回りをどう予想するかの質問に対し、「米国インフレ率の低下に伴い、利回りカーブ全体が平行してシフトダウンする可能性があると考えている」と回答し、「米国関税政策に起因するインフレは見られない」と主張し、「今後数週間から数カ月かけて、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の後任について検討する」とし、「新議長職を新人理事が兼任する可能性も考えた」として、「明確に次期議長候補に検討されている現職理事はいる」と発言したことで、先日に早期の米国利下げに積極的なハト派発言をしたことで注目されたクリストファー・ウォラー理事が次期議長の有力候補者の一人であることが市場で意識されるなど、現在のデータ重視で利下げに慎重な中道派のジェローム・パウエル議長の来年5月の任期終了に伴う次期議長職を巡り、FRBが政治圧で利下げに積極的なハト派に転ずる米国利下げ予想が高まった。
また、米国ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官も、「ドナルド・トランプ大統領は、ジェローム・パウエル議長に、『遅すぎる。大幅に利下げすべき』と伝えた」と発言し、米国政治圧の早期の米国利下げ予想の可能性が、今週の米国雇用統計を控えた市場で高まっていた。
時差で先行する欧州英国市場が終盤に向けうと、前述の6月米国シカゴ購買部協会景気指数 (PMI) の下振れを受けた米国利下げ予想の影響もあり、米国ニューヨーク債券市場では、米国主要株価三指数上昇のブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) では安全資産の米国債売りが入って昨夜23時40分頃には一時4.277%付近に上昇していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利がピークアウトして反落し、ニューヨーク外国為替市場終盤の午前6時頃の一時4.228%付近に向けた低下トレンドを見せたため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りでドルは円相場で下落し、米国主要株価三指数が高値引けをした後で株価リスク選好のリスクオンに低リスク通貨の円売りが弱まっていた午前5時30分頃にドルは円相場で一時143円96銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
再び一時143円台からは市場終盤のドルの買い戻しも混ざったが、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の144円51銭付近から、円の高値でドルの安値の143円96銭付近の値幅約55銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は144円3銭付近と、前営業同時刻の144円65銭付近のニューヨーク終値比で約62銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時50分には、今日の日本市場に先駆けて日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が日本の最新重要経済指標の4〜6月の第2四半期の日銀全国企業短期経済観測調査 (日銀短観) を公表したが、四半期大企業製造業業況判断は前回の12と市場予想の10を上回る13へと想定外の2四半期ぶりの改善を見せて上昇し、四半期大企業製造業先行きも市場予想の9に対し前回同様の12の堅調さを保つなど、米国通商政策の不確実性による下押し懸念に反して、価格転嫁による企業収益の好調さが意識され、日銀の早期の追加利上げ予想が高まった。
一方、同4〜6月第2四半期の日銀短観では、より重要度は低いとされるものの四半期大企業非製造業業況判断は前回の35に対し市場予想通りの34に低下し、四半期大企業非製造業先行きも前回の28と市場予想の29を下振れする27であったが、四半期大企業全産業設備投資の前年度比は前回の3.1%と市場予想の10.0%を上回る11.5%に上昇しており、企業の事業計画の前提となる本年2025年度のドルの想定為替レートは、全規模全産業で145円72銭と、前回の147円6銭から円高方向に修正されたため、円売りドル買いが先行し、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円81銭付近の始値と、対ドルの円相場は再び143円台に上昇していた。
日銀の早期の利上げ予想を受けた国内金利上昇への警戒感では、昨日までは続伸していた今日の日経平均株価が反落して始まり、下げ幅の拡大を受けた株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) による低リスク通貨の円買いの影響もあり、 今朝10時22分頃には対ドル円相場は一時143円44銭付近と、143円台前半に向けていた。
ただし、米国政府のスコット・ベッセント財務長官が米国関税交渉について、「誠意を持って米国と交渉している場合でも、7月9日の猶予期間終了時に大幅な米国関税引き上げに直面する可能性がある」と警告しており、米国関税交渉の猶予期間の延長の可能性については、「ドナルド・トランプ大統領次第」と発言していたが、ドナルド・トランプ大統領も自身のSNS (Social Networking Service / ソーシャルネットワーキングサービス) の発言で、「日本は大規模な米不足に陥っているのに、米国米を買おうとしない」と更なる輸入拡大を求めており、「日本に書簡を送るつもりだ」と日本に一方的に関税を課す強硬姿勢を見せるなど、日米関税交渉の不透明感も燻ったことや、マイナス圏で下げ幅を拡大した日経平均株価が午後13時台にやや下げ幅を縮小した時間があったこと、そして日本の財務省が本日実施の10年物の日本国債入札の投資系の需要増加による日本国債買い入れで国内債券価格上昇に伴う利回り低下が影響を及ぼしたことは円相場の一時抵抗となり、午後13時6分頃にドルは円相場で一時143円94銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、日経平均株価は再び下落し、午後15時30分には4万円台の大台を割った3万9986円33銭の終値をつけて、前営業日比501円6銭安の-1.24%の大幅安で大引けしたことでは、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われたため、主要通貨全般に対する円相場の上昇の外貨波及も相まって、対ドルの円相場は再び143円台前半に向けて上昇した。
午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入では、米国利下げ予想の影響などから、今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引では4.2%台で低下していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、夕方16時45分頃に一時4.194%付近と4.1%台に低下したため、債券利回りの金利差縮小により主要通貨に対するドル売りが加速したため、ドルは円相場で下落幅を拡大し、東京終値に向ける今夜17時0分の1分間の値動きの中で一時143円2銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円4銭付近で、昨夜17時の144円9銭付近の前東京終値比で約1円5銭の大幅な円高ドル安になった。
また、今夜その後の18時34分頃の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロなどの他の主要通貨に対するドル売りの外貨影響の対ドル円相場への波及もあり、ドルは円相場で一時142円82銭付近と一時142円台に安値を更新し、円高ドル安が進行している。
今夜この後の欧米市場では、今夜22時30分頃から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 主催のECBフォーラム討論会で、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁の要人発言予定だけでなく、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の中でも市場への影響力が大きいジェローム・パウエル議長の要人発言予定があるほか、日銀の植田和男総裁の要人発言予定と英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のアンドリュー・ベイリー総裁の要人発言予定もあるイベントが注目を集めている。
また、米国市場でも最新米国重要経済指標などの発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時45分に6月米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値と、23時に米国重要景気指標の6月米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会) 製造業景況指数と、同時刻に5月米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数と5月米国建設支出の同時発表を控えている。
世界情勢などのニュースや、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、各国との米国関税交渉などを含めた世界の政治経済の影響に加え、要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は168円55銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の168円90銭付近の前東京終値比で約35銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、今朝の日銀短観を受けた日銀の利上げ予想が意識されるなかで、日経平均株価の下落を受けた株価影響の低リスク通貨の円買いが入り、円相場は欧州ユーロや英国ポンドに対しても上昇していた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は196円90銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の197円41銭付近の前東京終値比で約51銭の円高ポンド安だった。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1784ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1723ドル付近の前東京終値比で約0.61セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、米国利下げ予想の影響による米国長期金利低下時のドル売りで、地政学リスク緩和を受けて欧州ユーロが買われたほか、今日の夕方16時55分に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの6月独失業者率が市場予想の6.4%に対し前回と同じ6.3%と市場予想よりも堅調であった。
なお、今夜その後に発表された欧州ユーロ圏総合の最新重要インフレ指標の6月欧州消費者物価指数 (HICP / Harmonised Index of Consumer Prices) の速報値は、前年同月比が前回の1.9%に対し市場予想通りの2.0%に上昇したが、6月の欧州HICPコア指数の速報値は前年同月比が前回と市場予想通りの2.3%だった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年7月1日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時46分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時46分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:46の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 142.90 〜 142.91 | −1.19 (円高) |
ユーロ/円 | 168.83 〜 168.85 | −0.02 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1814 〜 1.1815 | +0.0091 (ドル安) |
英ポンド/円 | 196.87 〜 196.93 | −0.54 (円高) |
スイスフラン/円 | 181.22 〜 181.28 | +0.91 (円安) |
豪ドル/円 | 94.12 〜 94.16 | −0.03 (円高) |
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