FXニュース:米政治圧FRB独立性懸念
2025年6月26日
東西FXニュース – 2025年06月26日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米新築住宅販売件数減少
- 米FOMC年内利下げ予想
- 米次期議長早期指名報道
- 日経平均株価が大幅続伸
- 米長期金利低下ドル売り
- 米重要経済指標発表控え
今日2025年6月26日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の144円97銭付近から、円の高値でドルの安値の143円93銭付近の値幅約1円4銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円7銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円29銭付近の前東京終値比で約1円22銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場でも、昨日公開された日本銀行 (日銀) の6月16〜17日開催分の日銀金融政策決定会合における主な意見で、「先行きの不確実性が非常に高く、経済情勢等を見極める必要があり、政策金利は当面現状維持が適当」などの追加利上げに慎重な意見が目立ち、昨日の朝にはタカ派発言をしていた田村直樹日銀審議委員も午後の記者会見では、「基調的な物価上昇率が2%に達したと言うには、もう少し情報を見たい」と慎重なハト派寄りの発言をしたことから、日銀は利上げ方向を維持しながらも時期は急いでいないと市場で受け止められ、日銀の早期の追加利上げ予想が後退して円が売られた一方で、時間外の米国債券市場では中東情勢停戦を受けた安全資産の米国債売りにより債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜19時45分頃に一時4.308%付近に上昇した債券利回りを受けた円売りドル買いの影響で、昨夜20時30分頃にドルは円相場で一時145円80銭付近に上昇していた。
その影響から、昨夜21時から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時145円75銭付近の始値で、昨夜22時10分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.327%付近と更なる上昇に向けたため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いで、昨夜22時8分頃にドルは円相場で一時145円95銭付近と、昨夜の米国市場における円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、昨夜23時には最新米国経済指標の発表があり、5月米国新築住宅販売件数は、年率換算件数が前回の74.3万件と前回下方修正の72.2万件と市場予想の69.4万件を下回る62.3万件に下振れして2024年10月以来の低水準となったほか、前月比も前回プラス圏だった10.9%と前回下方修正の9.6%と市場予想の−6.7%を大きく下回るマイナス圏の−13.7%に下振れしたことから、米国住宅市場懸念のドル売りが入り、円相場で市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整も相まって、昨夜23時11分頃にはドルは円相場で一時145円58銭付近と反落を始めた。
また、昨夜23時頃から、前日の米国下院金融サービス委員会に続き、米国上院銀行委員会における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の半期に1度の議会証言が始まっており、「米国関税政策の物価押し上げ効果を事前に予測するのは難しい」、「関税影響の値上げのプロセスが数年に渡る場合もある」と慎重な姿勢を見せる一方で、「米国経済は良好で、インフレも良い状態にある」とし、前日に続き、「米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) メンバーの大多数は、今年の年末までに利下げすると予想している」と再発言したことも、今年年内の米国利下げ予想に影響を与え、昨夜23時15分頃には一時4.338%付近にまで上昇していた米国長期金利が反落を始めた。
ただし、FRBのジェローム・パウエル議長は、最近のドル安については、「市場は異例の厳しい状況を消化している」としていたが、「ドルは依然として、世界の準備通貨」と発言していたことでは、ドルは円相場で145円台の堅調な値動きも見せていた。
しかし、イスラエルとイランの中東情勢停戦継続の影響から、コモディティ市場で原油先物価格が落ち着いた値動きを見せてきた影響もあり、原油影響のインフレ圧への警戒感が緩和された市場では、今年年内2回の米国利下げ予想を受けて、金利先物市場の動向から米国政策金利の市場予想値を算出するフェドウオッチ (FedWatch) で、次回7月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国政策金利の据え置き予想値が今日の時点で一時75.2%付近と、市場で確定値と考えられている70%は超え続けているものの前週の一時87.2%付近から大きく低下した一方で、早期の米国利下げ予想値が24.8%付近に上昇しており、更にその先の9月のFOMCの米国政策金利の0.25%の小幅利下げ予想値が一時69.0%付近に上昇し、今年年内の米国利下げ予想を受けて反落後の米国長期金利がさらに低下し、午前4時頃には一時4.294%付近と4.3%台から4.2%台への低下を見せた債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響があり、午前4時4分頃にドルは円相場で一時145円11銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
米国ニューヨーク債券市場では、午前2時に行われた米国5年債入札の米国債買いの影響の波及があったほか、米国ニューヨーク株式市場では、前日は中東情勢停戦の影響から揃って大幅高で終えていた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) が利益確定や持ち高調整の影響もあって反落の終値に向けたほか、米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) も史上最高値更新を前に小幅ながらも反落した米国株価影響のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) でも安全資産の米国債買いが入り、午前4時25分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.287%付近にまで低下していた。
しかし、米国主要株価三指数の中でも世界的なハイテク企業の比率が多い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) は、米国AI (Artificial intelligence / 人工知能) 半導体大手のエヌビディア (NVIDIA) が過去最高値を更新し、時価総額が3兆7500億ドルに達した世界で最も価値のある企業となった牽引もあり続伸の終値をつけたことでは、中東情勢でイスラエルとイランの停戦が不安定ながらも維持される中で、安全資産の米国債の債券価格上昇後の利益確定売りや持ち高調整も入ったことでは、午前5時25分頃には米国長期金利は一時4.297%付近に反発した。
また、先日の米国の軍事介入でイランの地下ウラン濃縮施設を攻撃した際の実際の損害レベルが明確になっていないにも関わらず、ドナルド・トランプ米国大統領が勝利宣言し、米国の今後の中東情勢への軍事介入の可能性が後退する中で、安全資産の米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は今朝早朝のニューヨーク終値の頃にも一時4.292%付近に留まっていたことでは、午前5時39分頃にはドルは円相場で一時145円34銭付近に買い戻されていた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の145円95銭付近から、円の高値でドルの安値の145円11銭付近の値幅約84銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は145円24銭付近と、前営業同時刻の144円94銭付近のニューヨーク終値相当時間比で約30銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、米国経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ / Wall Street Journal) が、先日にも米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長に対し、「少なくとも2〜3%の米国利下げをするべきだ」などの政治圧発言を続けていた米国政府のドナルド・トランプ大統領について、「ドナルド・トランプ大統領は、次期FRB議長の早期指名を検討している」、「新しいFRB議長を9月か10月までに発表する方向」などと報じたことが話題になり、本来なら政治から独立している独立系機関のはずの米国中央銀行のFRBに対する第二次ドナルド・トランプ米国政権の政治圧で中銀独立性への懸念が高まり、ドル信任低下によるドル売りと、米国利下げ要求から意図的にハト派議長が選出される可能性への警戒感による主要通貨に対するドル売りが入り始めた。
また、今夜の米国市場では、最新米国重要経済指標の1〜3月四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 確定値などの発表イベントを控えているが、昨夜の5月米国新築住宅販売件数の大幅な下振れを受けた警戒感によるドルのイベントリスク売りもあり、今朝8時53分頃にはドルは円相場で一時144円87銭付近と、144円台に下落していたため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時144円91銭付近の始値になった。
今日の東京株式市場では、中東情勢への警戒感緩和から原油先物価格が落ち着いてきたことから原油輸入の約95%を中東産に依存していたことへの経済への影響の懸念が緩和されており、日経平均株価がプラス圏から始まって続伸し、前日比で大幅高の終値に向けた上昇を見せていた日本株価影響では、日経平均株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) による低リスク通貨の円売りの抵抗も入ったことでは、昼の13時12分頃にドルは円相場で一時144円97銭付近に反発し、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
なお、午後15時30分には、今日の日経平均株価は3万9584円58銭の終値をつけ、前日比642円51銭高の+1.65%の大幅高で大引けした。
しかし、日本市場では、抵抗を交えながらも今朝からのドル先安観への警戒感から、国内輸出企業や投資系による円買いドル売りが続いたことに加え、今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下を続けており、午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入でも米国政治圧により米国連邦準備制度理事会 (FRB) がハト派に傾く可能性などの独立性懸念と警戒感がドル売りに影響を及ぼし、夕方16時35分頃には米国長期金利は一時4.268%付近と今年5月以来の低利回りになったため、債券利回りの日米金利差縮小を受けた円買いドル売りと、主要通貨に対するドル売りの影響で、夕方16時53分頃に対ドル円相場は一時143円93銭付近と、143円台の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録し、前東京終値比で大幅な円高ドル安が進行した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円7銭付近で、昨夜17時の145円29銭付近の前東京終値比では約1円22銭の大幅な円高ドル安になった。
また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜17時34分頃にドルは円相場で一時143円75銭付近にまで売られたが、時間外の米国債券市場では今夜18時9分頃には米国債券価格上昇後の米国債売りが入り始めて利回りが一時4.290%付近に反発した影響では、今夜の米国重要経済指標発表前のイベントリスクの中でもドルは円相場でその後には下げ幅の縮小も見せている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表イベント予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定と米国債入札などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に1〜3月四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 確報値と同四半期の米国GDP個人消費の確報値と同四半期の米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures /個人消費支出) 確報値と、前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数と5月米国卸売在庫と5月米国耐久財受注が同時発表され、今夜23時に5月米国住宅販売保留指数と、26時に米国7年債の入札予定、26時15分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのマイケル・バーFRB理事の発言予定などを控えている。
また、世界情勢などのニュース続報の影響や、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、米国通商交渉などを含めた世界の政治経済の影響に加えて、要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は168円67銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の168円53銭付近の前東京終値比で約14銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日経平均株価上昇を受けたリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円売りで欧州ユーロ買いが入ったほか、米国政治圧で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の早期の時期議長選出報道による中銀独立性懸念と米国長期金利低下時のドル売りでも欧州ユーロが上昇した外貨影響が波及しており、今日の日本市場ではユーロドルも欧州ユーロが対ドルで2021年9月以来の今年の高値を更新していた。
そのため、ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1708ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1600ドル付近の前東京終値比で約1.08セントの大幅なユーロ高ドル安であった。
また、主要通貨全般に対するドルインデックスも低下していた影響が英国ポンドにも波及し、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は197円88銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の197円84銭付近の前東京終値比で約4銭の円安ポンド高となっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年6月26日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時33分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時33分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:33の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 144.06 〜 144.07 | −1.23 (円高) |
ユーロ/円 | 168.91 〜 168.93 | +0.38 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1724 〜 1.1726 | +0.0124 (ドル安) |
英ポンド/円 | 198.04 〜 198.10 | +0.20 (円安) |
スイスフラン/円 | 180.01 〜 180.07 | −0.40 (円高) |
豪ドル/円 | 94.24 〜 94.28 | −0.15 (円高) |
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