FXニュース:中東情勢有事のドル買い
2025年6月23日
東西FXニュース – 2025年06月23日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 週末米イラン核施設攻撃
- 輸送懸念で原油価格急騰
- 原油高で日貿易赤字懸念
- 日経平均株価小幅安引け
今日2025年6月23日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の146円14銭付近から、円の安値でドルの高値の147円40銭付近の値幅約1円26銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円34銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の145円40銭付近の前東京終値比で約1円94銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半から始まった祝日明けの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時145円59銭付近の始値で、前日の米国奴隷解放記念日のジューンティーンス (Juneteenth) の祝日から週末にかけて連休を取る一部の投資家達がいたことから市場の流動性はやや低下していたが、前日には米国ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官が、「ドナルド・トランプ米国大統領は、イラン攻撃について2週間以内に決定する」と発言し、外交余地も示唆したことから、前々日の「米国当局者が今週末にイランの攻撃を示唆」という報道を受けた有事のドル買いの勢いは一時弱まった時間があった。
先行していた欧州市場では、英国とドイツとフランスの外相らがイランのセイエド・アッバス・アラグチ外相とスイスのジュネーブで外相会談を開き、核問題における外交的解決を目指して協議を継続することで合意するなどの武力ではなく外交による中東情勢の緊張緩和への期待感もあった時間には、地政学リスク緩和期待で欧州ユーロが対ドルで買い戻される値動きも入っており、外貨影響が対ドル円相場にも波及していた。
米国市場でも、先週金曜日の夜21時30分に最新米国経済指標の発表があり、6月米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数は、市場予想の−1.0に対し前回と同じ−4.0に下振れし、発表前の先週金曜日の夜21時25分頃には一時4.443%付近と4.4%台に上昇していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、発表後に一時4.3%台に向けた反落を始めたこともドルを下押しし、先週金曜日の夜21時41分頃にドルは円相場で一時145円45銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、世界的に流動性が高いドル需要もあり、市場安値後のドルは円相場で反発し、続いて先週金曜日の夜23時に発表された5月米国景気先行指標総合指数は、前回の−1.0%は前回−1.4%に下方修正されたものの、市場予想通りの−0.1%であったことでは、ドルは円相場で145円台後半に反発上昇を見せていた。
ただし、午前1時からは米国国家安全保障会議 (NSC / National Security Council) にドナルド・トランプ米国大統領などが出席することが報じられており、中東情勢への警戒感も燻っていたことでは、米国ニューヨーク債券市場では午前2時25分頃には安全資産の米国債買いの影響により米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時4.368%付近にまで低下していたことでは、有事のドル買いの影響下でもドルは円相場で145円台後半に留まり、深夜24時54分頃に145円96銭付近に上昇した後は上昇幅を縮め、午前2時19分頃には一時145円77銭付近に下押しした。
とはいえ、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「イランと話をしている」、「イランにはしばらく時間を与えている」、「米国によるイラン攻撃は必要ないかもしれない」などと記者団に対して話していたことが報じられたニュースの影響もあり、米国ニューヨーク債券市場では、安全資産の米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が午前4時55分頃には一時4.384%付近に反発し、午前5時頃にはドルは円相場で一時146円22銭付近と146円台に上抜けし、この日の米国市場におけるドルの高値で円の安値を記録した。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が欧州市場で高まっていた中東情勢の外交交渉への期待感からは揃ってプラス圏から始まったことでは、株価影響を受けた安全資産の米国債券売りに伴う利回り上昇に影響を与えていたが、週末を控えた早期の利益確定や持ち高調整が入ったことでは、米国ダウ工業株 (DJIA) は前営業日比で高値の終値をつけたものの、米国S&P 500種株価指数 (S&P500) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ) は反落して前営業日比で小幅安の終値となったことでは、株価影響による低リスク通貨の円の買い戻しもあったが、中東情勢への警戒感により原油先物価格が上昇を見せた市場終盤には原油輸入の中東依存率の高い日本円買いの勢いは鈍く、抵抗を交えながらもドルは円相場で146円台に留まった。
このため、先週金曜日の夜21時頃から先週土曜日の朝5時55時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の145円45銭付近から、円の安値でドルの高値の146円22銭付近の値幅約77銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円9銭付近と、世界FX市場の前営業同時刻の145円45銭付近のニューヨーク終値相当時間比で約64銭の円安ドル高をつけて、週末を迎えていた。
週末のニュースでは、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、米国現地時間の21日の土曜日の夜 (日本時間では時差で翌日22日の日曜日の朝) に、イラン中部のフォルドゥとナタンズとイスファハンの3つの核施設への攻撃を成功裏に完了した」との声明を発表したことから、イスラエルと交戦中のイランの核放棄を目指す米国軍が直接参戦したことから、中東情勢悪化への警戒感が高まり、週末も開場している中東バーレーン市場で有事のドル買いが再燃した。
米国紙ニューヨーク・タイムズ (New York Times) は、米国当局者筋の情報として、米国南部ミズーリ州の空軍基地から数回の空中給油を経て37時間ほど飛行した6機の米国製ステルス爆撃機B2がフォルドゥの山岳地帯の地下80〜90メートルにあることからイスラエル軍では攻撃が難しかったウラン濃縮施設に、地下200フィート (約61メートル) まで届いて爆撃可能な最新鋭の米国製の地下貫通弾のバンカーバスター (Bunker buster) GBU-57を計12発投下したと報じ、ナタンズとイスファハンの核施設には、米国の潜水艦が計30発の巡航ミサイルで爆撃したと報じた。
特にフォルドゥの地下ウラン濃縮施設は、イランにある他の核施設に比べてイスラエル軍の空爆での破壊は難しく、イスラエルは米国軍の持つバンカーンバスターGBU-57を搭載可能なステルス機のB2の出動を要請していたとされていたが、フォルドゥの詳細を正確に把握できておらず、完全に破壊できていない可能性もあるとの続報もあったが、米国CNNテレビは関係者筋の情報として、「米国は現時点ではイランへの追加攻撃は計画していない」と報じており、「ドナルド・トランプ米国大統領は核施設への攻撃が、イランが米国との核協議に復帰するきっかけになると期待している」としていたが、先日のホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官の「2週間以内に決定」や「外交余地」 の声明が週末の奇襲につながったこともあり、市場では中東情勢への警戒感が高まった。
続報では、報復が警戒される中で、イラン議会の安全保障委員会のエスマイル・コサリ委員が、世界の石油とガスのおよそ2割が依存する重要輸送ルートのホルムズ海峡の封鎖を「必要ならいつでも行う」と述べており、イランのプレステレビが、「イラン議会はホルムズ海峡封鎖を承認。実行には国家安全保障最高評議会の決定が必要」と報じたことで、原油先物価格高騰の可能性への警戒感も高まり、今朝早朝の週明けのアジア・オセアニア市場では、中東情勢への米国の軍事介入を受けた警戒感により、世界的に流動性が高いドルが有事のドル買いで高騰して窓開きで始まった。
また、米国金融大手ゴールドマン・サックスがホルムズ海峡の封鎖に伴う世界的なエネルギー供給リスクによる高騰時の予想価格を試算した影響もあり、低リスク通貨の円が貿易赤字リスク増加により下落する中で、有事のドル買いが続き、今朝6時頃にドルは円相場で一時146円68銭付近に上昇の窓開けから始まり、今朝6時5分頃には一時146円69〜70銭付近に上昇し、先週金曜日の夜22時30分頃には一時72.81ドル付近まで低下していた原油先物価格も今朝7時頃には一時78.40ドル付近に急騰した。
週明けの窓開けの後の窓埋めの抵抗が入り始めたことでは、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時146円21銭付近の始値で、今朝の東京株式市場で今日の日経平均株価が前営業日比のマイナス圏から始まった今朝9時3分頃には対ドル円相場は一時146円14銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、日本市場でも、世界ニュースの中東情勢への米国の軍事介入を受けた地政学リスクへの警戒感と、原油高への警戒感などから有事のドル買いで円売りが進み、午後には今朝の一時の大幅下落から日経平均株価に買い戻しが混ざり、午後15時30分に3万8354円9銭の終値をつけ、前営業日比49円14銭安の−0.13%の小幅安に下げ幅を縮小して大引けすると、国内第一安全資産の円売りが有事のドル買いに対して午後からの欧州市場の参入の影響もあって勢いを増し、午後15時31〜32分頃にかけてドルは円相場で一時147円39〜40銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一方、欧州市場では、夕方16時15分から欧州ユーロ圏の最新欧州経済指標の発表が始まり、6月仏製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 速報値は、前回と市場予想の49.8を下回る47.8に低下し、6月仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の48.9と市場予想の49.1に対し48.7と下振れしたが、夕方16時30分のドイツの6月独製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値では前回の48.3を上回る市場予想通りの49.0で、6月独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の47.1と市場予想の48.0を上振れする49.4となり、今夜17時の欧州ユーロ圏総合の6月欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値) は、市場予想の49.8を下回る前回と同じ49.4であったが、6月欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の49.7を上回る市場予想通りの50.0に上昇と、強弱混合となっていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円34銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の145円40銭付近の前東京終値比では約1円94銭の大幅な円安ドル高になった。
なお、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場でも、世界的に流動性が高く基軸通貨でもある有事のドル買いの影響が続いており、今夜19時36分頃にドルは円相場で一時147円99銭付近にも上昇している。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時45分に6月米国製造業購買担当者景気指数(PMI) 速報値と6月米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値と6月米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 速報値が発表され、今夜23時に5月米国中古住宅販売件数と、同じく今夜23時頃から次回のFOMC投票権を有するFRBのミシェル・ボウマン副議長の発言予定と、26時10分頃から同じく次回のFOMC投票権があるFRB高官の米国シカゴ連邦準備銀行 (連銀) のオースタン・グールズビー総裁の発言予定、27時30分頃から同じくFOMC投票権を持つFRBのアドリアナ・クーグラー理事の発言予定と、27時30分:頃から同じくFOMC投票権を持つFRB高官の米国ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定などを控えている。
また、中東情勢の続報の影響や、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、米国との通商交渉なども含めた世界の政治経済の影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円44銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の167円46銭付近の前東京終値比で約1円98銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、中東情勢への米国軍事介入により深刻化が懸念される中で、世界の石油とガスのおよそ2割が依存する重要輸送ルートのホルムズ海峡封鎖への警戒感が高まり、中東産の輸入原油依存率が約95%と高い日本の輸送コスト増加や貿易赤字拡大リスクが意識された円売りが、有事のドル買いだけでなく欧州ユーロや産油国でもある英国のポンドなどの他の主要通貨にも波及していた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は198円2銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の195円96銭付近の前東京終値比で約2円6銭の大幅な円安ポンド高になった。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1500ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.1518ドル付近の前東京終値比で約0.18セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、中東情勢の緊迫化を受けた地政学リスク警戒のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) により、リスク回避市場で売られやすい欧州ユーロに対しても有事のドル買いが優勢であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年6月23日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時44分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時44分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:44の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.90 〜 147.91 | +2.50 (円安) |
ユーロ/円 | 169.61 〜 169.63 | +2.15 (円安)/td> |
ユーロ/ドル | 1.1466 〜 1.1468 | −0.0052 (ドル高) |
英ポンド/円 | 197.96 〜 198.02 | +2.00 (円安) |
スイスフラン/円 | 180.68 〜 180.74 | +2.52 (円安) |
豪ドル/円 | 94.41 〜 94.45 | +0.11 (円安) |
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