FXニュース:中東情勢警戒に猶予期間
2025年6月20日
東西FXニュース – 2025年06月20日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧地政学リスクと独DAX
- 日全国CPIコア3.7%上昇
- 欧州英国通貨の買い戻し
- 日米関税交渉先行き懸念
- 日銀総裁利上げ方向維持
- 日経平均株価続落小幅安
- 米国家安全保障会議控え
今日2025年6月20日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の145円12銭付近から、円の安値でドルの高値の145円49銭付近の値幅約37銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円40銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円35銭付近の前東京終値比で約5銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、中東情勢緊迫化への地政学リスクと米国の軍事介入の可能性への警戒感などによる有事のドル買いが続き、昨夜20時11分頃にドルは円相場で一時145円77銭付近に上昇していたため、昨夜21時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場は米国奴隷解放記念日のジューンティーンス (Juneteenth) の祝日休場であったが、時間帯が近い世界FX市場では昨夜21時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の始値相当時間の対ドル円相場は一時145円67銭付近であった。
世界三大市場の一つである米国ニューヨーク外国為替市場が祝日休場であったことでは世界市場全体の流動性が低下していたが、同時進行中の欧州株式市場では欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktienindex) が地政学リスク回避の株売りで大幅下落の終値に向ける中で、同時に中東情勢周辺の産油国の供給への影響の懸念などからコモディティ市場では原油先物価格が上昇していたことから、島国である日本の輸送コスト増加リスクから円が低リスク通貨として買われにくくなり、世界的に流動性が高いドルやスイスフランが安全資産として買われた影響が対ドル円相場に波及し、深夜24時29分頃にはドルは円相場で一時145円76銭付近と、米国市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、欧州株式市場は現在現地のサマータイム (Summer Time) にあたるため、日本時間の午前1時30頃に終了したことでは、ドルは円相場で英国ロンドン外国為替市場の高値の一時145円77銭付近を上抜けせずに、英国ロンドン外国為替市場の終盤の利益確定売りや持ち高調整の影響などで上昇幅を縮小し始めた。
さらに、今朝未明の午前2時台には、米国ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官が、「ドナルド・トランプ米国大統領は、イラン攻撃について2週間以内に決定する」と発言し、「ドナルド・トランプ米国大統領は、イランとの外交が依然として選択肢であると信じている」、と述べた影響があり、昨日の朝の報道では「米国当局者が今週末に米国がイランの攻撃を示唆」や「米国当局は近日中にイランを攻撃する可能性に備えている」とされていた「今週末」や「近日中」よりも猶予期間が長い「2週間以内」であることが意識され、即時の米国の軍事介入でなく外交による交渉の可能性による猶予期間を受けて中東情勢への警戒感がやや後退し、有事のドル買いの巻き戻しが起きて主要通貨に対するドル売りが起きたほか、原油先物価格が上昇幅を縮小したことから低リスク通貨の円の買い戻しも起き、午前4時42分頃にドルは円相場で一時145円35銭付近と、米国市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。
市場安値後のドルには再び買い戻しも起きたが、米国市場が祝日休場であったためドル実需が減っていたことでは、外貨影響の波及もあったが、ドルは円相場で145円台に留まった。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場相当時間の世界FX市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の145円76銭付近から、円の高値でドルの安値の145円35銭付近の値幅約41銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値相当時間は145円45銭付近と、前営業日同時刻の145円13銭付近のニューヨーク終値比で約32銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間にあたる午前8時30分には、今日の日本市場に先行して日本の最新重要経済指標でインフレ指標である5月日本全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表があり、前年同月比は前回の3.6%に対し市場予想通りの3.5%であったが、生鮮食料品を除く総合のコアCPIの前年同月比は前回の3.5%と市場予想の3.6%を上回る3.7%に上昇し、上昇幅は2023年1月以来の大きさとなり、2%を上回るのは38カ月連続で、生鮮食料品とエネルギーを除くコアコアCPIも前回の3.0%と市場予想の3.2%を上回る3.3%に上振れしていた影響では、日銀が目標とする2%を超えた国内インフレ圧により、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げ方向の維持が意識された円買いが入ったが、米価格上昇幅が101.7%と物価を押し上げたことが指摘された。
今朝8時50分には、2025年4月30日〜5月1日開催分の日銀金融政策決定会合議事要旨が公表され、今日は午後15時40分に日銀の植田和男総裁の全国信用金庫大会の挨拶における発言予定があったことが注目されていた。
今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時145円24銭付近の始値で、日本市場でも米国の中東情勢への介入への猶予期間と外交による交渉余地の可能性のニュースを受けた円買いドル売りが先行したことでは、今朝9時4分頃に対ドル円相場は一時145円12銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、日本市場では、本日は20日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日」 (ごとおび / ゴトーび) であったことから、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢になり、市場安値後のドルは買われやすく、円相場で反発上昇を始めた。
また、今朝10時台には、日本政府の赤沢亮正再生相の「米国は日米間の協議に時間を割く余裕がないのは事実」という発言も話題になり、日米関税交渉の先行き懸念による円売りドル買いが入った。
今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引では、中東情勢の猶予期間を受けて安全資産の米国債が売られていた影響から米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.4%台に向けて上昇しており、午後14時21分頃に一時4.402%付近になったため、債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いも入り、午後14時46〜47分頃にかけてドルは円相場で一時145円49銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一方で、「ドナルド・トランプ米国大統領が、米国東部時間午前11時 (日本時間の25時) から、米国国家安全保障会議 (NSC / National Security Council) に出席予定」と報じられたニュースの影響があり、有事のドル買いも起きていたが、同時に世界的な安全資産の米国債も買われた影響では、一時4.4%台だった米国長期金利が一時4.3%台に反落し、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが起き、対ドルの円相場が反発した。
午後からの欧州市場の参入では、午後15時に発表された英国の最新経済指標の5月英国小売売上高が、前月比は前回の1.2%と前回上方修正の1.3%と市場予想の−0.5%を下回る−2.7%に下振れし、前年同月比も前回はプラス圏だった5.0%と市場予想の1.7%を下回るマイナス圏の−1.3%に低下し、自動車を除くコアの前月比も前回の1.3%と前回上方修正の1.4%と市場予想の−0.7%を下回る−2.8%で、前年同月比も前回の5.3%と前回下方修正の5.2%と市場予想の1.8%を下回る−1.3%に下振れしたことを受けた英国景気懸念で英国ポンドが円相場で急落した外貨影響も、対ドル円相場に上昇圧が波及した。
また、今日の東京株式市場では、一時はプラス圏に反発していた日経平均株価が反落し、午後15時30分に3万8403円23銭の終値をつけ、前日比85円11銭安の-0.22%の安値で大引けし、原油先物価格が上昇幅を縮小していたことから、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円の買い戻しが入ったことでは、対ドルの円相場は市場安値後の下げ幅を縮小した。
午後15時40分から、日銀の植田和男総裁の全国信用金庫大会の挨拶における発言が始まり、「現在の実質金利は極めて低い水準にある」とし、「見通し実現していけば、経済・物価改善に応じて、引き続き利上げ」と発言したことが報じられ、「見通しが実現していくか、予断持たず判断していくことが重要」で、「2%目標の下で、経済・物価・金融情勢に応じ、適切に政策運営」していくと、日銀の追加利上げ方向の維持を改めて示したことも、今朝の2%を超え続ける国内インフレ率を受けた円の買い戻しにやや影響を与えたが、これまでと同じ内容であったことでは、為替相場への影響は限定的であった。
午後からの欧州市場に続き、夕方から英国ロンドン外国為替市場が参入すると、午後15時の5月英国小売売上高の発表後に円相場で急落していた英国ポンドの買い戻しが、欧州主要株価指数の独DAXの反発の影響もあって、夕方16時5分頃から入り始めた外貨影響の波及などでドル円はやや揉み合う時間もあったが、対ドルの円相場は前東京終値比で小幅安の終値に向けていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円40銭付近で、昨夜17時の145円35銭付近の前東京終値比では約5銭の小幅な円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に6月米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数、今夜23時に5月米国景気先行指標総合指数、25時からの米国国家安全保障会議 (NSC / National Security Council) などを控えている。
また、中東情勢の続報の影響や、世界の株式市場や債券市場とコモディティ市場などの為替相場への影響と、各国との米国通商交渉なども含めた世界の政治経済の影響に加えて、世界情勢と要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は167円46銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の166円55銭付近の前東京終値比で約91銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、中東情勢への米国軍事介入への猶予期間と外交余地の可能性から、地政学リスクで売られた欧州ユーロの買い戻しが対ドルで入っていたほか、今日の夕方には欧州株式市場で欧州主要株価指数の独DAXが反発上昇してプラス圏になったことでも欧州ユーロが低リスク通貨の円に対して買われた。
そのため、ユーロドルも、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1518ドル付近と、前営 業日同時刻にあたる昨日17時の1.1459ドル付近の前東京終値比で約0.59セントのユーロ高ドル安であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は195円96銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の194円70銭付近の前東京終値比で約1円26銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、昨夜20時の英国中央銀行イングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が4.25%の英国政策金利の据え置きを決定しており、MPCで投票権を持つ委員9人のうち3人は英国追加利下げ支持の反対票を入れたものの、現在3.4%の英国インフレ率を受けて、イベントリスク経過後の高金利通貨の英国ポンドは低金利通貨の円に対して大幅な上昇を見せており、今日は経済圏が近く連動しやすい欧州ユーロの主要通貨への買い戻しの影響もあったことから、今日の午後14時52分頃にはポンド円は一時196円33銭付近と196円台に大幅上昇し、今日の午後の5月英国小売売上高の下振れを受けて一時急落して上昇幅を縮小したものの、前東京終値比では大幅な円安ポンド高となった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年6月20日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時36分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時36分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:36の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 145.36 〜 145.38 | +0.01 (円安) |
ユーロ/円 | 167.52 〜 167.54 | +0.97 (円安)/td> |
ユーロ/ドル | 1.1523 〜 1.1525 | +0.0064 (ドル安) |
英ポンド/円 | 196.09 〜 196.15 | +1.33 (円安) |
スイスフラン/円 | 178.04 〜 178.10 | +0.56 (円安) |
豪ドル/円 | 94.29 〜 94.33 | +0.34 (円安) |
注意:
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