FXニュース:米中関税交渉進展期待感

2025年6月06日
今日2025年6月6日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円53銭付近から、円の安値でドルの高値の144円14銭付近の値幅約61銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円94銭付近と、...

 

東西FXニュース – 2025年06月06日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 欧ECB利下げ終了近づく
  • 米新規失業保険申請増加
  • 米継続失業保険受給減少
  • 米中首脳電話会談後訪問
  • 米長期金利反発4.4%台
  • 今夜米雇用統計発表控え

今日2025年6月6日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円53銭付近から、円の安値でドルの高値の144円14銭付近の値幅約61銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円94銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の143円32銭付近の前東京終値比で約62銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時143円27銭付近の始値であったが、同時進行中の欧州市場で昨夜21時15分頃に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会が欧州政策金利を発表し、市場予想で優勢であった通りに0.25%の欧州追加利下げを発表し、昨夜21時20分頃にドルは円相場で一時143円32銭付近と前東京終値付近に戻していた。

しかし、今夜この後の米国雇用統計が世界的な注目を集める中で、昨夜21時30分の米国市場では米国雇用関連の最新経済指標の発表があり、前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の24.0万件と前回修正の23.9万件と市場予想の23.5万件よりも弱い24.7万件に悪化し、前日の5月米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計の下振れ以来の米国雇用市場軟化の可能性が警戒されたほか、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の年内の追加利下げ予想が意識され、安全資産の米国債買いによる債券価格上昇時の利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜21時35分頃の一時4.327%付近に向けて急落し、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りや米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りの影響で、昨夜21時31分頃にドルは円相場で一時142円78銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、同時発表された前週分の米国失業保険継続受給者数は、前回の191.9万人が前回190.7万人に改善の修正がされたほか、市場予想の191.0万人よりも堅調な190.4万人に改善されていたことは抵抗となり、ドルは円相場で反発を始めたが、同じく発表されていた1〜3月第1四半期の米国非農業部門労働生産性の改定値は前回と市場予想の−-0.8%を下回る−1.5%に低下しており戻りが鈍い時間があったが、同時刻の4月米国貿易収支は前回の−1405億ドルが前回−1383億ドルに上方修正された上で、市場予想の−700億ドルに対し−616億ドルと赤字額が縮小したことでは、ドルの買い戻しが入った。

欧州市場では、昨夜21時45分頃から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の定例記者会見での要人発言が始まり、今回のECB理事会では市場予想通りに欧州政策金利を従来の2.40%から2.15%に0.25%の欧州追加利下げを決定したものの、クリスティーヌ・ラガルド総裁が、「長期的な欧州インフレ期待は、概ね2%付近で推移」しており、「今日の追加利下げで欧州金融緩和サイクルの終了に近づいた」とタカ派寄りの発言をしたため、市場では欧米関税交渉や今後の経済データ次第ではあるが0.25%の欧州追加利下げが年内にまだあるという継続予想があったものが後退したことから、次回の欧州金利維持予想でドルや円などの主要通貨に対する欧州ユーロ買いが起きた。

米国市場では、昨夜21時49分前頃にドルが円相場で143円台後半に向けて大幅に急伸するニュースがあり、米国政府のドナルド・トランプ米国大統領が、「中国政府の習近平国家主席と約1時間半に渡る米中首脳電話会談をし、米中両国にとって非常に前向きな結論に至った」と自己運営のソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS / Social Networking Service) のトゥルース・ソーシャル (Truth Social) で発言し、米中貿易摩擦への警戒感が緩和されたドルの買い戻しが入り、ニュースが話題になり始めた昨夜21時50分頃にドルは円相場で一時143円69銭付近に上昇した。

同時進行中の欧州市場では、欧州ユーロの買い戻しが低金利通貨の円だけでなく世界的に流通量が多いドルに対しても入っていたことは抵抗となったが、ユーロがドルに対して昨夜22時半前に市場高値を記録後には利益確定売りと持ち高調整でもドルが買い戻されたため、続報で中国政府の習近平国家主席も、「中国はジュネーブ合意に履行したと米国のドナルド・トランプ大統領に話した」と、米中首脳電話会談があった事実を認めており、ドナルド・トランプ米国大統領はさらに、「中国を訪問するつもり」と、対面の米中首脳会談にも意欲を示したため、米中関税交渉進展期待が高まり、安全資産の米国債売りの影響で米国長期金利が反発上昇して一時4.3%台から一時4.4%台に向けており、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いや米国長期金利上昇時のドル買いで、深夜24時48分頃と午前1時頃にドルは円相場で一時143円97銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

一方、前述の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の欧州利下げサイクルが終了に近いというタカ派寄りの発言に続き、他のECB理事会関係者も「次回7月のECB理事会では欧州利下げ休止が見込まれる」と発言したとの報道があったことでは、ドルや円などの主要通貨に対するユーロ高の外貨影響の波及は、世界的な流通量が多いドルの上値を円相場で抑えており、ドルは円相場で二度目の市場高値を上抜けできず、上昇幅を縮小し始めた。

ただし、午前1時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のアドリアナ・クーグラー理事の発言が始まり、米国ニューヨーク経済クラブの講演で、「米国のディスインフレは鈍化しており、米国関税引き上げの影響はすでに表れている。2025年を通じて米国インフレ率の上昇が続くと予想している」と米国関税影響のインフレ圧への警戒感を示し、「ドナルド・トランプ大統領による米国関税政策が物価の大幅上昇を招く可能性が高い」との見方を示し、インフレの上振れリスクが継続する場合は米国金利据え置きを支持する姿勢を明らかにした。

その一方で、「現時点ではインフレの上振れリスクが高まっている一方、雇用と生産の伸びには下振れリスクがあると考えている」とも述べており、物価安定と雇用最大化の二大責務のリスクバランスも意識されており、今夜この後の最新米国雇用統計への注目度が増していた。

午前2時30分頃から、同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国カンザスシティ連邦準備銀行のジェフリー・シュミッド総裁の発言があり、物価上昇圧が向こう数カ月で顕在化する可能性を指摘し、米国関税政策によるインフレ再燃への警戒感を示したが、「米国関税政策で物価が押し上げられる可能性が高いものの、どの程度物価が上昇するかは不透明で、全容が明らかになるまで時間がかかる。経済成長と雇用に対する下押し圧力の程度も、同様に不透明だ」と発言し、不確実性の中で物価安定と雇用最大化という二大責務のバランスを取るために、機敏性を維持する必要があると語っていた。

米国ニューヨーク債券市場では、次回の米国政策金利据え置き予想と、米中関税交渉への期待感の安全資産の米国債売りの影響などもあって、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は今朝5時頃の一時4.405%付近に向けて4.4%台に上昇していた。

米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が米中関税交渉進展期待感により一時は揃ってプラス圏に上昇していたが、市場終盤には金利警戒感の影響などで揃ってマイナス圏に反落し、前日比で揃って安値の終値をつけたため、株価反落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円の買い戻しが入ったことは抵抗になった。

このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の142円78銭付近から、円の安値でドルの高値の143円97銭付近までの値幅約1円19銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は143円53銭付近と、前営業日同時刻の142円77銭付近の前ニューヨーク終値比で約76銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間にあたる今朝8時30分には、今日の日本市場を控えて日本の最新経済指標の発表があり、4月日本全世帯家計調査の消費支出の前年同月比は、前回の2.1%と市場予想の1.4%を下回るマイナス圏の−0.1%に低下し、物価上昇後の買い控えが想定以上にあったことが市場で意識されていた。

今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円57銭付近の始値で、今朝9時5分頃の一時143円53銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、今日の日本市場ではドルが円相場で上昇を続けた。

その要因はまず、前述の米中関税交渉進展期待を受けて、今朝の東京株式市場では日経平均株価がプラス圏から始まり上昇したことで、日経平均株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円売りが主要通貨に対して起きやすくなった。

また、今朝9時55分の日本市場の仲値決済でも、日本企業の輸入実需やドル資金調達の円売りドル買いが優勢であったほか、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の「欧州追加利下げサイクルが終わりに近づいている」という発言に続き、ECB理事会メンバーの仏中央銀行のフランス銀行 (BdF / Banque de France) のフランソワ・ビルロワドガロー総裁も、「欧州インフレとの戦いに勝利」と終了に向けた見解を示し、エストニア銀行 (Eesti Pank) のマディス・ミュラー総裁も、「今後の金利政策は経済の進展次第となるが、サイクルはほぼ終わったとするラガルド総裁の見解に同意する」と述べており、日経平均株価上昇時のリスクオンでも低リスク通貨の円に対して買われやすい欧州ユーロの外貨影響の波及もあり、対ドルの円相場が下落した。

午後15時30分には、今日の日経平均株価はプラス圏の推移を続けたまま、3万7741円61銭の終値をつけ、前日比187円12銭高の+0.50%で大引けし、株価影響の低リスク通貨の円売りの影響が対ドル円相場で続き、ドルは円相場で144円台に向けていた。

午後からの欧州市場の参入があり、今日の日本市場の時間外の米国債券取引で正午12時30分頃には一時4.388%付近に低下後の米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が、午後15時31〜38分頃にかけて一時4.400%付近に上昇してしばらく高止まりを見せていたことなどから、債券利回りの金利差もあってドルが円相場で上昇し、午後15時38分頃に一時144円14銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入後の午後16時4分頃にも、ドルは円相場で一時144円14銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を再記録したが、今夜この後の最新米国雇用統計の発表イベントを控えたイベントリスクの日本市場終盤の利益確定や持ち高調整と買い控えなどの様子見はやや抵抗になり、ドルは円相場で144円台から143円台後半へと上昇幅を一時縮小した。

このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円94銭付近で、昨夜17時の143円32銭付近の前東京終値比では約62銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、世界的な注目を集めている最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表イベント予定と、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に5月の米国雇用統計の5月米国非農業部門雇用者数 (NFP / Non-Farm Payrolls) 、5月米国失業率、5月米国製造業雇用者数、5月米国平均時給などが発表され、続いて今夜23時頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのミシェル・ボウマン理事の発言予定と、28時に4月米国消費者信用残高などを控えている。

なお、世界の株式市場や債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、各国の米国関税交渉なども含めた政治経済の影響に加えて、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースも、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。

一方、前述の欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのタカ派寄りの発言や、日経平均株価リスクオンの影響などで、欧州ユーロは円相場で上昇しており、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円44銭付近で、昨夜17時の163円58銭付近の前東京終値比で約86銭の円安ユーロ高であった。

欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円95銭付近と、昨日の夜17時の194円39銭付近の前東京終値比で約56銭の円安ポンド高だった。

ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1425ドル付近と、昨夜17時の1.1414ドル付近の前東京終値比で約0.11セントのユーロ高ドル安であった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年6月6日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時36分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時36分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。

通貨ペア JST 19:36の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 144.02 〜 144.03 +0.70 (円安)
ユーロ/円 164.52 〜 164.53 +0.94 (円安)
ユーロ/ドル 1.1422 〜 1.1424 +0.0011 (ドル安)
英ポンド/円 195.11 〜 195.17 +0.72 (円安)
スイスフラン/円 175.35 〜 175.41 +0.61 (円安)
豪ドル/円 93.50 〜 93.54 +0.32 (円安)

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