FXニュース:米JOLTS求人件数上振れ
2025年6月04日
東西FXニュース – 2025年06月04日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧HICP下振れ利下げ予想
- 米金利据え置き予想優勢
- 週内米中首脳交渉期待感
- 米主要株価三指数が上昇
- 米鉄アルミ50%関税発動
- 日経平均株価上昇時の円
- 今週の米雇用統計を控え
今日2025年6月4日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円67銭付近から、円の安値でドルの高値の144円40銭付近の値幅約73銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円10銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の142円83銭付近の前東京終値比では約1円27銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨夕の欧州ユーロ圏のオランダの連立政権崩壊のニュースに続き、昨夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新重要インフレ指標の5月欧州消費者物価指数 (HICP / 英語 : Harmonised Index of Consumer Prices / 米語 : Harmonized Index of Consumer Prices) の速報値が、前年同月比は前回の2.2%と市場予想の2.0%を下回る1.9%に下振れし、物価基調の5月欧州HICPコア指数の速報値の前年同月比も前回の2.7%と市場予想の2.4%を下回る2.3%に鈍化し、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の追加利下げ予想が世界市場で高まり、欧州ユーロ売りで世界的に流通量の多いドルが買われた外貨影響が対ドル円相場に波及し、昨夜20時23分頃にドルは円相場で一時143円16銭付近と143円台に上昇していた。
また、今週中の米中首脳会談への期待感もあり、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場も一時143円8銭付近の始値で、昨夜21時3〜4分頃にかけての下押しも一時143円5銭付近と143円台に留まり、この時間が昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値となり、ドルが円相場で上昇を続けた。
その要因として、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の二大責務には価格安定化と雇用最大化があることから、今週金曜日の夜の最新米国重要経済指標の5月米国雇用統計発表前の先行指標の一つとして市場で意識されていた米国雇用関連の最新米国経済指標の4月米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数の発表が昨夜23時にあり、前回の719.2万件が720.0万件に上方修正されたほか、市場予想の710.0万件を上回る739.1万件に上振れし、米国関税影響などで減少が見込まれていた市場予想に反し、前回を上回る堅調な米国雇用を示したことで、米国政策金利据え置き予想が高まった。
このことを受けて、米国ニューヨーク債券市場では、安全資産の米国債が売られて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、発表前の昨夜21時頃には一時4.413%付近だった米国長期金利が、発表後に大幅な上昇を始めて午前1時55分頃の一時4.474%付近に向けたため、午前1時37〜38分頃にかけてドルは円相場で一時144円11銭付近と144円台に乗せ、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、同時刻の昨夜23時に発表されていた4月米国製造業新規受注の前月比は、前回の4.3%が3.4%に下方修正された上で、市場予想の−3.2%を下回る−3.7%とマイナス圏に転じたことでは、市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整の一時抵抗も入った。
しかし、午前1時45分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁の発言があり、「企業のトップが米国関税政策によるコスト増の一部または全てを消費者価格に転嫁する意向を示していることを踏まえると、米国の物価上昇は1カ月以内にインフレ指標に反映される可能性がある」と述べたほか、「関税による米国インフレ上昇は速やかに顕在化する可能性がある一方で、関税に起因する米国景気減速の影響が表れるには時間がかかる」との見方を示し、米国政策金利の先高観が意識され、米国長期金利が一時反落後に反発し、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いの影響などによりドルは円相場で一時143円84銭付近まで反落後には底堅さを見せて、再び144円台に向けて反発した。
午前2時頃から、同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のリサ・クック理事の発言があり、米国政策金利の見通しについて、「米国関税政策がどのように作用するか分からないため、あらゆるシナリオが考えられる」と不確実性を指摘した上で、「米国経済はなお堅調と見なしているが、不確実性の高まりが、物価安定と雇用最大化に対するリスクになっている」と警戒感を示し、「米国関税政策の変更により、経済に影響が出始めている兆候が見られ、経済活動の拡大ペースは昨年から鈍化する可能性がある」が、「現在のFRBの米国金融政策は様々な展開に対応するのに十分な状態にある」と当面の間の米国政策金利の現状据え置き維持を示唆したが、「金融政策に関しては、あらゆる可能性にオープンでなければならない」として、「関税がインフレ率上昇と労働市場鈍化の双方のリスクを高めるように見える」ことから、「堅調な米国労働市場を長期的に達成する上では、物価安定が不可欠である」と、物価安定の重要性を強調し、場合によっては米国利上げの可能性も排除することはできないことを示唆したタカ派寄りの発言があった。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、今週中にも米国政府のドナルド・トランプ大統領と中国政府の習近平中国国家主席が米中首脳通商会談をすることへの市場期待感が高まっており、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って上昇しており、前日比で高値の終値に向けていた株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも低リスク通貨の円売りドル買いが入っていたため、午前4時58分頃にもドルは円相場で一時144円11銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を再記録した。
ただし、米国長期金利上昇を受けた金利警戒感では市場終盤の株価がやや上昇幅を縮小していたため、ドルが円相場で二度目の高値を上抜けできなかったことではテクニカル分析的なダブルトップ (Double Top) の売りサインとなり、高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整により、ドルは円相場で上昇幅を一時143円台後半へと縮小したが、今朝早朝のニューヨーク終値時にも米国長期金利は一時4.470%付近と高止まりしていた債券利回りの日米金利差の影響もあり、前ニューヨーク終値比では大幅な円安ドル高が進行していた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の143円5銭付近から、円の安値でドルの高値の144円11銭付近までの値幅約1円6銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は143円97銭付近と、前営業日同時刻の142円71銭付近の前ニューヨーク終値比で約1円26銭の大幅な円安ドル高をつけた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、米国政府のドナルド・トランプ大統領が米国に輸入される鉄鋼とアルミニウムへの米国追加関税を25%から50%に引き上げる大統領令に正式に署名し、日本時間では時差で本日6日4日の午後13時1分にあたる米国東部時間の同日6月4日の午前0時1分からの税率引き上げのニュースが話題になり、「各国に対しても、最終提案を明日までに提出を要請した」とも報じられたことから、二転三転する米国関税政策への警戒感が意識されたことでは、今朝6時1分頃にドルは円相場で一時143円79銭付近に下落しており、その後の今朝7時27分頃には昨夜の最新米国経済指標の上振れを受けた米国景気減速懸念後退の影響ではドルは円相場で一時144円5銭付近に反発したが、144円台からの利益確定や持ち高調整では今朝8時50分頃には一時143円80銭付近に反落するなど二転三転する値動きを見せていた。
今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円82銭付近の始値であったが、今朝の東京株式市場では、今朝早朝までの米国主要株価三指数の上昇の影響などで今日の日経平均株価がプラス圏で始まり、今朝9時10分頃に市場高値圏に達していた株価上昇時のリスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られた株価影響により、ドルは円相場で144円台に向けた。
また、昨夜の最新米国経済指標を受けた今朝までの大幅な円安ドル高を受けて、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢になり、今朝10時頃にはドルは円相場で一時144円29銭付近に上昇し、今朝未明の米国市場での144円台のドルの高値を円相場で上抜けていた。
ただし、一時144円台からは続いて国内輸出企業の円買いドル売りが入りやすくなったほか、石破茂首相が内閣不信任決議案が提出された場合は衆院を解散する方向で検討に入ったという観測報道があった影響や、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の公開市場操作の国債買い入れオペの需給の緩みが意識され、明日6月5日に財務省が実施予定の30年物の日本国債入札前の持ち高調整の波及があり、新発10年物日本国債売りの影響による債券価格低下時の利回り上昇時の国内長期金利上昇に伴う円の買い戻しがあった一方で、今朝10時18〜23分頃にかけて時間外の米国債券取引では米国長期金利が一時4.444%付近に低下したドル売りがあったため、今朝10時37分頃と10時53分頃に対ドル円相場は一時143円67銭付近に円相場が反発し、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、今朝のドナルド・トランプ米国大統領のニュースを受けて、日本政府の林芳正官房長官は、米国通商代表部 (USTR / United States Trade Representative) が貿易相手国に対し最善の貿易交渉案を提出する様に求めた書簡を送ったという米国大統領報道官の発言について、「現時点でそのような書簡は受け取っていない」と発言し、第二次ドナルド・トランプ米国政権と日本政府との日米関税交渉については、「日米間でなお協議中で、日本政府一丸となって取り組む姿勢に変わりはない」と述べていたが、日本時間で本日午後13時1分から米国へ輸入される鉄鋼とアルミニウムへの米国関税率が25%から50%に引き上げられるが、「日米交渉に与える影響については、予断を持って答えることは控える」としていたことから、米国関税への警戒感の燻りによる低リスク通貨の円の買い戻しも入った時間であった。
しかし、今日の日経平均株価は日通しでプラス圏の堅調な推移を続けており、二度目の円の市場高値を対ドルで上抜けできなかったことでは円相場が反落し、今日の東京株式市場が終盤に向かう中で前日比の高値引けが予想されたことでは、株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りの影響が再燃し、市場安値後のドルの買い戻し影響もあってドルは円相場で反発上昇し、午後14時34分頃にドルは円相場で一時144円39〜40銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
今日の日経平均株価は、市場終盤には利益確定や持ち高調整の抵抗もややあったものの、予想通りプラス圏の推移を続け、午後15時30分に3万7747円45銭の終値をつけて前日比300円64銭高の+0.80%で大引けした。
午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入では、ドナルド・トランプ米国大統領が、「習近平中国国家主席のことは好きだが、彼は非常にタフでディールは非常に困難」と発言した影響があり、時間外の米国債券取引で夕方16時13分頃に安全資産の米国債買いの影響でなど米国長期金利が一時4.449%付近と戻りが弱く、一時144円台に上昇後のドルの利益確定売りや持ち高調整の円の買い戻しが入り、ドルは円相場で夕方16時35分頃に一時143円79銭付近に下押ししたが、その後には夕方の欧州主要株価指数の上昇を受けた安全資産の米国債売りなどがあり、米国長期金利が今夜17時頃の一時4.466%付近に向けて戻したことでは、ドルは円相場で再び144円台に買い戻された。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円10銭付近で、昨夜17時の142円83銭付近の前東京終値比で約1円27銭の大幅な円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時15分に米国雇用関連の重要指標である5月米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計と、今夜21時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのリサ・クック理事の発言予定と、今夜22時45分に5月米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と5月米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の改定値、今夜23時に5月米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) 非製造業景況指数、27時に米国地区連銀経済報告のベージュブック (Beige Book) 公表などを控えている。
また、今夜22時45分には、北米カナダの中央銀行にあたるカナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) の政策金利と声明の発表予定もあり、今夜23時30分頃からBoCのティフ・マックレム総裁の記者会見での発言も控えている。
なお、世界の株式市場や債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、各国の米国関税政策の交渉先行きなども含めた政治経済の影響に加えて、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円6銭付近で、昨夜17時の163円0銭付近の前東京終値比で約1円6銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日経平均株価がプラス圏の推移を続けた株価上昇時のリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円売りで欧州ユーロや英国ポンドなどが買われやすかったほか、ドルなどの他の主要通貨に対する円安の外貨影響もクロス円に波及していた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円93銭付近と、昨日の夜17時の193円6銭付近の前東京終値比で約1円87銭の大幅な円安ポンド高だった。
また、今日の午後に鉄鋼とアルミニウムへの米国関税の増税が起きたが、英国は主要国の中でも米国関税影響が少ないことでも知られていることなどもあり、上昇幅が拡大していた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1386ドル付近と、昨夜17時の1.1413ドル付近の前東京終値比では約0.27セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、昨夜の最新欧米経済指標を受けた欧米金利差予想が影響を及ぼしており、欧州追加利下げ予想に対し、当面の間の米国政策金利の据え置き予想が優勢であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年6月4日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時58分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時58分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:58の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 144.27 〜 144.28 | +1.44 (円安) |
ユーロ/円 | 164.20 〜 164.21 | +1.20 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1380 〜 1.1382 | −0.0033 (ドル高) |
英ポンド/円 | 195.08 〜 195.14 | +2.02 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.08 〜 175.14 | +0.46 (円安) |
豪ドル/円 | 93.42 〜 93.46 | +1.19 (円安) |
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