FXニュース:米関税差し止め一時停止

2025年5月30日
今日2025年5月30日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円44銭付近から、円の安値でドルの高値の144円16銭付近の値幅約72銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円6銭付近と、...

 

東西FXニュース – 2025年05月30日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米GDP個人消費下方修正
  • 米新規失業保険申請増加
  • 米長期金利低下時金利差
  • 東京都コアCPI3.6%上昇
  • 月末五十日輸出系円買い
  • 日経平均株価が大幅下落
  • 米PCEデフレーターを控え

今日2025年5月30日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円44銭付近から、円の安値でドルの高値の144円16銭付近の値幅約72銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円6銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円26銭付近の前東京終値比では約1円20銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場ではドナルド・トランプ米国大統領が国際緊急経済権限法 (IEEPA / International Emergency Economic Powers Act) を適用した一部の米国関税を米国内の中小企業などが違法として訴訟し米国国際貿易裁判所が違法と認めて差し止め判断を下したことに対し、第二次ドナルド・トランプ米国政権が控訴し、一時高まった貿易摩擦懸念緩和への市場期待感の後退と、米国関税政策の先行き不透明感が漂う中で、昨日の日本市場で一時146 円台の高値を記録後のドルの利益確定売りや持ち高調整が進み、低リスク通貨の円や欧州ユーロなどの主要通貨が対ドルで買い戻されて反発していた。

その影響から、昨夜20時32分頃にはドルは円相場で一時144円88銭付近に反落しており、米国市場に向けたドル実需の一時買い戻しは入ったものの、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時145円8銭付近の始値で、この時間が米国市場の円の安値でドルの高値となり、ドルに対して低リスク通貨の円が上昇した。

米国市場では、昨夜21時30分に最新米国重要経済指標の1〜3月第1四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 改定値の発表があり、前期比年率は前回と市場予想の−0.3%をやや上回る−0.2%に上昇修正されたがマイナス圏に留まり、同四半期の米国GDP個人消費の改定値では前期比年率が前回の1.8%と市場予想の1.7%を下回る1.2%に下振れの下方修正がされたほか、同四半期の米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures) 改定値も、前期比年率が前回と市場予想の3.5%を下回る3.4%に下方修正されたことから、米国景気減速懸念が浮上した。

昨夜21時30分に同時発表された米国雇用関連の最新経済指標の前週分米国新規失業保険申請件数も、前回の22.7万件と前回修正の22.6万件と市場予想の23.0万件よりも弱い24.0万件に悪化し、前週分米国失業保険継続受給者数も前回の190.3万人と前回修正の189.3万人と市場予想の189.4万人よりも軟調な191.9万人であったことから、安全資産の米国債が買われて債券価格上昇時の利回り低下が起き、これらの最新経済指標の発表前の昨夜21時頃の米国市場開場時には一時4.507%付近と4.5%台だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.4%台に急落し、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りや主要通貨に対するドル売りの外貨影響が波及した。

続いて、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の4月米国住宅販売保留指数も、前月比が前回の6.1%から前回5.5%に下方修正された上で市場予想の−1.0%を大幅に下回る−6.3%のマイナス圏で下振れしており、前年同月比も前回の−0.1%が前回−0.7%に下方修正されたほか、市場予想の2.6%を大きく下振れするマイナス圏の−3.5%に下振れするなど、米国景気減速懸念による安全資産の米国債買いと低リスク通貨の円買いドル売りが続いた。

米国関税政策の経済への影響の様子見予想の当面の間の米国政策金利の先高観もこれまでの米国長期金利上昇の一因であったが、昨夜23時40分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁の発言の影響もあり、「問題の最終局面で、関税が導入されないか、あるいは関税導入を回避できる何らかの合意に達すれば、4月2日以前の状況に戻ることが可能だ」と述べた影響もあり、「安定的な完全雇用が実現し、インフレが目標に向かって進んでいる場合、金利は最終的に安定した水準まで低下するだろう」と、不透明感が燻る中でも米国関税政策の方向性によっては、米国追加利下げ方向に戻れる可能性を示唆していた。

午前2時には、米国ニューヨーク債券市場で米国7年債の入札もあったため、他の年度の米国債にも買いが波及し、午前2時35分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.424%付近にまで大幅な下落を見せており、債券利回りを受けた金利差トレードで日米金利差縮小時の円買いドル売りや他の主要通貨に対するドル売りの外貨影響も波及したことなどから、午前3時19分頃に対ドル円相場は一時143円96銭付近と143円台に下落し、昨夜から今朝までの米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、米国市場の現地午後にあたる市場後半のニュースでは、米国際貿易裁判所によるトランプ関税の一部差し止め命令に対する第二次ドナルド・トランプ米国政権による即日の控訴を受けて、米国連邦巡回控訴裁判所が控訴申請により米国際貿易裁判所による関税差し止め命令を一時停止する判断を即日で下したことも話題となり、市場では第二次ドナルド・トランプ米国政権は国際緊急経済権限法 (IEEPA) 以外の別の方法を駆使してでも米国相互関税政策を正当化しようとする可能性が意識され、米国関税政策への警戒感が再燃した。

さらに、米国ブルームバーグ (Bloomberg) や英国ロイター通信 (Reuters) などが、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長とドナルド・トランプ米国大統領が会談し、スコット・ベッセント米国財務長官、ハワード・ラトニック米国商務長官、ケビン・ハセット米国国家経済会議 (NEC / National Economic Council) 委員長も同席して経済成長や雇用、インフレなどの経済情勢について意見を交わしたとしており、ジェローム・パウエル議長が「米国金融政策は最新データと見通し次第」と説明したことに対し、ドナルド・トランプ米国大統領は「利下げしないのは間違い」という主張を繰り返した模様であるとの観測報道もあり、中央銀行の独立性への政治圧は以前にもドル不信任感によるドル売りの一因となったことへの警戒感も燻った。

午前3時頃から、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のアドリアナ・クーグラー理事の発言もあり、二転三転している米国関税政策の不確実性や、ドル資産保有に対する世界の投資家達の信任低下の可能性などが懸念される中で、市場を注視し、「企業の財務上の脆弱性と、国際貿易へのエクスポージャー (Exposure) の相互作用の可能性に注目してきた。サプライチェーンが進化するにつれて世界的な経済緊張が高まり、企業の財務状況が国際貿易へのエクスポージャーとどのような相互作用を持つかを理解することへの重要性が一層と高まっている」とし、「安全資産への逃避が起きた際に、米国金融資産の魅力低下の可能性が、金融の安定性に及ぼす影響を注視している」と指摘していたが、今後の金融政策や見通しについての発言は避けていた。

一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国長期金利低下を受けた金利警戒感緩和の影響などでは、前日には揃って下落していた米国主要株価三指数が買い戻されて反発しており、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って前営業日比で小幅高の終値に向けたことでは、株価影響では市場高値を記録後の低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整でドルの買い戻しも入ったことでは、一時143円台に下落後のドルは円相場で144円台に反発した。

このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の145円8銭付近から、円の高値でドルの安値の143円96銭付近までの値幅約1円12銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は144円21銭付近と、前営業日同時刻の144円84銭付近の前ニューヨーク終値相当時間比では約63銭の円高ドル安をつけていた。

早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時30分には、今日の日本市場に先行して日本の最新経済指標の発表があり、4月日本失業率は前回と市場予想通りの2.5%の横ばいで、4月日本有効求人倍率も前回と市場予想通りの1.26と、完全雇用と人手不足に近い状態が続いていたが、5月日本東京都区部消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) は生鮮食料品を除くコアCPIの前年同月比が前回の3.4%と市場予想の3.5%を上回る3.6%に上振れしており、東京都区部CPIは全国のインフレの先行指標とも考えられているため、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による追加利上げ予想が高まったことでも、円相場が上昇した。

続いて、今朝8時50分に発表された日本の景気指標の4月日本鉱工業生産の速報値は、前月比が前回の0.2%と市場予想の−1.4%に対し−0.9%と前回よりは低下したものの市場予想よりは堅調であったことや、前年同月比も同様に前回の1.0%と市場予想の0.1%に対し0.7%と市場予想を上回っていたこともあり、対ドルの円相場は143円台に上昇した。

今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円75銭付近の始値で、今朝9時55分の日本市場の仲値決済は月末を前にした日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の五十日 (ごとおび / ゴトービ) であったことから、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入っていた今朝9時53分頃にはドルは円相場で一時144円4銭付近に買われたが、続いては月末を控えた国内輸出企業の円買いドル売りが優勢になったため再び143円台にドルは円相場で反落し、今朝10時20分頃に対ドル円相場は一時143円44銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、今日の東京株式市場では、昨日の日本市場でドル買い要因となっていた米国関税差し止め命令が今朝未明には控訴により一時停止されたため、米国関税懸念が再び燻り、月末を控えた利益確定や持ち高調整の株売りの影響もあって、今日の日経平均株価が前日比で大幅安のマイナス圏の推移を見せたことでも、日経平均株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われていた影響があり、今朝10時20分頃に一時3万7784円29銭付近の大幅安の底値を記録していた。

しかし、今朝10時20分頃に市場安値を記録後の日経平均株価はその後には下げ幅を縮小し、午後15時30分に3万7965円10銭の終値をつけて前日比467円88銭安の-1.22%の大幅安で大引けしたが、今朝のより大幅な下げ幅を縮小したことでは、市場高値後の円の利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入っており、午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入の影響によるドルの買い戻しもあって、ドルは円相場で反発した。

今日の時間外の米国債券取引では、午後16時15分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が米国長期金利は一時4.410%付近にまで低下していたが、月末を控えた持ち高調整と、夕方の欧州主要株価指数の上昇や米国ダウ先物の下落幅縮小などの影響などもあって、市場終盤の夕方17時頃の一時4.430%付近に向けて反発し、更なる上昇に向けたことでは、債券利回りを受けた金利差トレードのドルの買い戻しの影響などで夕方16時23分頃にドルは円相場で一時144円16銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、今朝のより大幅な下落幅を縮小した。

このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円6銭付近で、昨夜17時の145円26銭付近の前東京終値比で約1円20銭の円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標などの発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に4月米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) と4月米国PCEデフレーターと4月米国PCEコア・デフレーターなどの重要インフレ指標の発表があり、同時刻に4月米国個人所得と、4月米国卸売在庫、今夜22時45分に5月米国シカゴ購買部協会景気指数、今夜23時に5月米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値の発表などを控えている。

さらに、日本政府の赤沢亮正経済再生相と米国政府のスコット・ベッセント米国財務長官が4回日となる日米通商交渉を予定して調整しているほか、米国政府効率化省を退任するイーロン・マスク氏とドナルド・トランプ米国大統領の共同記者会見なども予定されている。

なお、月末要因もあり、世界の株式市場や債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、世界経済と欧州や各国との米国関税政策の先行きなども含めた政治などの影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円35銭付近で、昨日17時の163円80銭付近の前東京終値比で約45銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、昨日は一時後退していた米国関税政策への懸念が今日は再び高まったほか、今日の日経平均株価の大幅安を受けた株価リスク回避のリスクオフにより、低リスク通貨の円が欧州ユーロや英国ポンドなどに対して買われやすかった。

そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円18銭付近と、昨日の夜17時の195円60銭付近の前東京終値比で約1円42銭の大幅な円高ポンド安だった。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1340ドル付近と、昨日の夜17時の1.1276ドル付近の前東京終値比では約0.64セントのユーロ高ドル安だった。

主な要因は、前述の米国景気減速懸念を受けた米国長期金利の低下により、昨日は4.5%台だった米国長期金利が今日は4.4%台の推移を続けていたことで、金利差トレードによる主要通貨のドル売りが影響を及ぼし、ドル円における東京終値時点の前東京終値比での大幅な円高ドル安の外貨影響はユーロドル相場にもドル下落圧として波及していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月30日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時34分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時34分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。

通貨ペア JST 19:34の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 143.89 〜 143.90 −1.37 (円高)
ユーロ/円 163.02 〜 163.03 −0.78 (円高)
ユーロ/ドル 1.1328 〜 1.1330 +0.0052 (ドル安)
英ポンド/円 193.89 〜 193.95 −1.71 (円高)
スイスフラン/円 174.55 〜 174.61 −0.50 (円高)
豪ドル/円 92.43 〜 92.47 −1.25 (円高)

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