FXニュース:米関税違法差し止め報道
2025年5月29日
東西FXニュース – 2025年05月29日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米FOMC議事要旨タカ派
- 米長期金利上昇時金利差
- 米トランプ政権裁判控訴
- 日経平均株価が大幅高に
- 日米通商交渉4回目控え
今日2025年5月29日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の146円29銭付近から、円の高値でドルの安値の145円20銭付近の値幅約1円9銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円26銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の144円16銭付近の前東京終値比で約1円10銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨夜17時56分頃に一時144円0銭付近まで下押し後のドルは、時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利上昇に伴う買い戻しが優勢になり、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円42銭付近の始値であった。
その一因として、昨日の朝に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の氷見野良三副総裁と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の対談があり、ジョン・ウィリアムズ総裁が、「インフレが目標から乖離し始めた際には、中央銀行は比較的強力に対応をしなければならない」と発言していたことが世界市場のニュースでも話題になり、米国市場では日本時間で今朝未明の午前3時に前回2025年5月6〜7日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨公表のイベントを控えていたため、昨日の日本市場の時間外の米国債券取引では市場予想の影響などもあり米国長期金利が一時4.480%付近に上昇していた。
昨夜19時45分頃の英国ロンドン外国為替市場でも米国長期金利は一時4.478%付近の推移を見せていたが、米国債券価格低下に伴う利回り上昇であったことから、米国市場ではイベントリスクもあり、安値からの米国債の買い戻しが入った影響では、昨夜21時20分頃に米国長期金利は一時4.440%付近に一時反落し、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りの抵抗が入り、昨夜21時20分頃にドルは円相場で一時144円31銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国債券価格上昇後の利益確定や持ち高調整も入り、米国長期金利は昨夜22時50分頃には一時4.480%付近に再上昇したほか、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の5月米国リッチモンド連銀製造業指数が前回の−13から下げ幅を縮小した市場予想通りの−9に改善され、前日の欧米関税交渉の期限延期や米国経済指標の上振れ後で過度の米国景気減速懸念が後退していたことから安全資産としての米国債売りも入り、また米国関税政策のインフレへの影響の様子見と警戒感もあり、当面の間の米国政策金利の先高観が続き、米国ニューヨーク債券市場では、深夜24時55分頃に米国長期金利が一時4.502%付近と4.5%台に上昇したため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いが起きてドルは円相場で反発上昇し、深夜24時57分頃に対ドル円相場は一時145円8銭付近と145円台の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
午前2時には、米国5年債の入札があり、他の種類の米国債にも買われた影響が波及していた午前2時20分頃には米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時4.483%付近に一時反落したが、午前2時55分頃には米国政策金利の先高観の影響などから一時4.499%付近と、再び4.5%近くに反発していた。
午前3時には、前回の5月6〜7日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨が公表され、米国関税政策の経済やインフレへの影響や見通しの不確実性のリスクを理由に、FOMC参加メンバー達が米国インフレについて、「幾分か高止まりした」とまとめており、米国インフレの見通しについて、「高関税の影響で上昇する可能性がある」と警戒感を示し、「インフレと経済活動の見通しが、より明確になるまで待つのが適切」と、慎重な様子見の姿勢を見せ、市場予想で高まっていた通り、当面の間の米国政策金利の先高観が意識されたことから、今後の米国追加利下げに慎重なややタカ派的な内容と市場で受け止められ、市場高値後の利益確定売りや持ち高調整で一時144円台後半に戻していたドルは円相場で、午前3時31分頃に一時145円1銭付近と、再び145円台にタッチした。
ただし、当面の間の米国政策金利の先高観を受けては、米国ニューヨーク株式市場では金利警戒感などから米国主要株価三指数が下落し、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って前営業日比で安値の終値に向けると、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円買いと安全資産の米国債買いが入った影響では、ドルは円相場で再び144円台後半へと上昇幅を縮小し、米国長期金利も今朝6時頃のニューヨーク終値の頃には一時4.483%付近と4.4%台に留まっていた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の144円31銭付近から、円の安値でドルの高値の145円8銭付近までの値幅約77銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は144円84銭付近で、前営業日同時刻の144円33銭付近の前ニューヨーク終値相当時間比で約51銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間には、米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) や英国ロイター通信 (Reuters) などの欧米主要メディアが、米国ニューヨークの米国国際貿易裁判所が、ドナルド・トランプ米国大統領が輸入品に全面的に課税することは大統領の権限を逸脱しているとして、1月以降にドナルド・トランプ米国大統領が国際緊急経済権限法 (IEEPA / International Emergency Economic Powers Act) を適用して発動した一部の米国関税を違法として差し止め判断の決定を下し、10日以内に今回の恒久的差し止めを反映した新たな行政命令を出すよう命じたと報じた世界ニュースが市場で話題になり、米国関税の経済影響への懸念が一時後退し、ドルが円相場で買われて大幅に上昇し、今朝8時45分頃にドルは円相場で一時146円3銭付近と、一時146円台に上昇していた。
しかし、続報では、第二次ドナルド・トランプ米国政権が直ちに控訴したニュースが報じられ他ほか、IEEPA適用以外の関税などの不透明感が燻る中では、一時146円台に上昇後のドルには利益確定売りや持ち高調整などの抵抗も混じり、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時145円73銭付近と、145円台の始値であった。
国内ニュースでは、日本政府の赤沢亮正経済再生相が、今回で4回目となる米国通商交渉を控え、「日米双方の利益となる合意実現に向けて協議する。引き続き、米国関税措置の見直しを求める。米国国際貿易裁判所の判断の協議への影響は、予断を持って答えることは控える」などと発言していた。
一方、今朝早朝の米国株式市場終了後には、米国AI (Artificial intelligence) 半導体大手のエヌビディア (NVIDIA) の2〜4月期の決算報告があり、売上高は前年同期比+69%の440億6200万ドル (約6兆3900億円)と市場予想を上回り、純利益も+26%の187億7500万ドルと市場予想以上であった。米国政府の対中輸出規制などの影響では8四半期ぶりに過去最高益は更新できなかったものの、純利益は四半期ベースでは過去最高となり、時間外取引で株価が上昇していた影響では、今朝の東京株式市場でも今朝のニュースを受けた米国関税懸念の一時緩和の影響もあり、今日の日経平均株価が前日比の高値で始まり、プラス圏の大幅高に向け始めたことなどから、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りが起き、今朝10時1分頃にドルは円相場で一時146円29銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、この時間には、今朝9時55分の日本市場の仲値決済で、日本企業の輸入実需に加えて、月末を控えたドル資金需要による円売りドル買いもあり、為替相場に影響を与えていた。
続いては、月末を控えた国内輸出企業の円買いドル売りも入り、一時146円台に再上昇後の市場高値圏のドルには利益確定売りや持ち高調整の円の買い戻しの抵抗も入りやすかったことでは、午前11時43分頃にはドルは円相場で一時145円60銭付近と145円台に戻した。
しかし、今日の日経平均株価はプラス圏の推移を続けたまま、午後15時30分の3万8432円98銭の終値に向けており、前日比で710円58銭高の+1.88%の大幅高となった株価影響のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りでは、東京株式市場が終盤に向ける午後14時50分頃にもドルは円相場で一時146円9銭付近と、一時146円台に反発していた市場時間もあった。
また、今日の日本市場時間には、時間外の米国債券取引でも日経平均株価上昇時のリスク選好のリスクオンで安全資産の米国債売りの影響があり、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が午後15時23分頃に一時4.537%付近に上昇し、しばらく高止まりしており、債券利回りを受けた日米金利差拡大による円売りドル買いも円相場に影響を与えていた。
とはいえ、午後からの欧州市場の参入では、一時146円台に大幅上昇後のドルには利益確定売りや持ち高調整が入りやすく、日経平均株価の大幅高を受けたリスクオンムードの中で買われやすい欧州ユーロが世界的に流動性の高い安全資産でもあるドルに対して買われて上昇すると、外貨影響波及や月末前の日本市場終盤の利益確定や持ち高調整の対ドルの円の買い戻しも入り、夕方からの英国ロンドン外国為替市場参入後の午後16時59分頃にドルは円相場で一時145円20銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録し、対ドルの円相場は今朝の一時146円台の大幅下落後の下げ幅を大幅域ながらも縮小した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円26銭付近で、昨夜17時の144円16銭付近の前東京終値比で約1円10銭の円安ドル高になった。
なお、夕方のニュースでは、政府関係者の上昇として赤沢経済再生担当大臣が米国ワシントンを訪問し、現地時間の5月30日に4回目となる日米関税交渉を控え、石破茂総理がドナルド・トランプ米国大統領に今夜にでもと電話会談を申し入れ、日米関税交渉を打開するにはトップ同士の話し合いが必要と談判する方向で調整していると一部の国内メディアが報じたニュースの影響があり、イベントリスクで低リスク通貨の円の買い戻しも入りやすかった。
また、米国トランプ関税が違法差し止めになる場合には、米国トランプ減税による米国財政懸念も再燃する可能性があり、今夜19時28分頃の英国ロンドン外国為替市場では、対ドルの円相場は一時144円93銭付近に下げ幅を縮小し続けている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定と米国債入札予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に重要経済指標の1〜3月第1四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) と米国GDP個人消費と米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures) の改定値の発表イベントと、前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数の同時発表、続いて今夜23時に4月米国住宅販売保留指数、今夜23時40分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁の発言予定と、26時に米国7年債入札予定、27時頃から同じく次回のFOMC投票権を持つFRBのアドリアナ・クーグラー理事の発言予定などを控えている。
なお、世界の株式市場や債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、世界経済と欧州や各国との米国関税政策なども含めた政治などの影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に引き続き世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円80銭付近で、昨日17時の163円29銭付近の前東京終値比で約51銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今朝の米国関税の違法性から経済への影響懸念の一時後退と日米関税交渉への期待感などの影響もあり、今日の日経平均株価が大幅高になり、日経平均株価上昇時のリスク選好のリスクオン市場では、低リスク通貨の円売りで欧州ユーロや英国ポンドなどが買われやすい時間があり、またドル円など他の主要通貨の外貨影響も波及していた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は195円60銭付近と、昨日の夜17時の194円59銭付近の前東京終値比で約1円1銭の大幅な円安ポンド高だった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1276ドル付近と、昨日の夜17時の1.1328ドル付近の前東京終値比では約0.52セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、前述の米国政策金利の先高観などを受けて、米国長期金利上昇時には金利差トレードでドルが買われやすったことやドル円における円安ドル高などの外貨影響が、ユーロドル相場に影響を及ぼしていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月29日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時53分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時53分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:53の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 144.96 〜 144.97 | +0.80 (円安) |
ユーロ/円 | 163.61 〜 163.62 | +0.32 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1285 〜 1.1287 | −0.0043 (ドル高) |
英ポンド/円 | 195.29 〜 195.35 | +0.70 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.07 〜 175.13 | +0.61 (円安) |
豪ドル/円 | 93.36 〜 93.40 | +0.52 (円安) |
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