FXニュース:国債発行計画見直し検討
2025年5月27日
東西FXニュース – 2025年05月27日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧米関税交渉敏速化期待
- 独DAX株価指数大幅高
- 欧ラガルド総裁通貨発言
- 日銀植田総裁タカ派発言
- 債券利回り受けた円売り
今日2025年5月27日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の142円11銭付近から、円の安値でドルの高値の143円86銭付近の値幅約1円75銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円71銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の142円88銭付近の前東京終値比で約83銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜の欧州市場では、時間帯が近い世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場が祝日休場で米国ニューヨーク外国為替市場も祝日休場であることから市場流動性が減少していたが、昨日早朝に米国政府のドナルド・トランプ大統領が欧州連合 (EU / European Union) のウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長と電話会談後に、「EUへの50%の米国関税の期限を7月9日まで延長することに同意した」と発言し、米欧貿易摩擦警戒感の緩和を受けて欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-indeX) が上昇し、また、「EUは米国との欧米貿易交渉を迅速化する方針」であるとの続報の影響もあり、リスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りで欧州ユーロや世界的に流動性が高いドルが買われて上昇していた。
その影響から、昨夜の米国市場はメモリアル・デー (Memorial Day / 戦没将兵追悼記念日) の祝日休場であったが、同時進行していた欧州市場や世界市場では昨夜21時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場相当時間の対ドル円相場は一時142円93銭付近の始値となり、昨夜21時50分頃には対ドル円相場は一時143円4銭付近と、一時143円台の米国市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録していたが、143円台からはドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入りやすかった。
また、昨夜23時30分頃から、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の要人発言があり、二転三転するドナルド・トランプ米国大統領の米国関税政策による混乱や不確実性は、欧州ユーロの国際的な役割を強化する「絶好の機会」であり、これまでの世界的な基軸通貨としての米国ドルの特権を、欧州ユーロも享受できる可能性を示唆し、「欧州が自らの運命を、より主体的に握るための絶好の機会である。ただし、これは単に与えられる特権ではなく、自らの努力で得る必要がある」と発言し、最近の米国売りやドル不信任感などで欧州ユーロが対ドルで上昇していることについて、ドルが世界の基軸通貨としての地位を脅かされる可能性があった歴史的な事例として、1971年のリチャード・ニクソン元米国大統領の金本位制廃止のニクソン・ショックを挙げ、「当時は強力な代替通貨がなかったが、今はドルと並ぶもう一つの国際通貨の欧州ユーロがある」と言及し、欧州ユーロは円やドルに対して前営業日比で高値のニューヨーク終値相当時間に向けていた。
欧州株式市場でも、以前にもウクライナ情勢を受けた欧州防衛費などの財政拡張案を受けた投資ブームが起きて欧州主要株価指数の独DAXが上昇したことがあったが、この日の独DAXも欧米貿易摩擦懸念の後退を受けて+1.68%の大幅高の終値をつけており、欧州株価上昇時のリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円だけでなく世界的に流動性が高い安全資産でもあったドルに対しても欧州ユーロが前日比で高値になっており、欧州市場終盤の利益確定や持ち高調整の外貨影響の波及などもあって、午前2時7分頃に対ドル円相場は一時142円71銭付近と、米国市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録していた。
欧州市場終了後の米国市場相当時時間の終盤は、世界三大市場の英国市場と米国市場の休場により市場参加者減少で小動きになっていたが、市場高値後の円の利益確定売りや本高調整では世界的に流通量が多いドルの買い戻しも再び入り、ドルは円相場で反発した。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市相当時間の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の143円4銭付近から、円の高値でドルの安値の142円71銭付近の値幅約33銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値相当時間には142円83銭付近と、前営業日同時刻の142円56銭付近の前ニューヨーク終値比では約27銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間に並行して、今朝8時50分には日本の最新経済指標の発表があり、4月日本企業向けサービス価格指数の前年同月比は、前回3.1%が前回3.3%に上方修正されたほか、市場予想の3.0%を上回る3.1%で円の買い戻しも混ざり、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時142円62銭付近の始値となった。
今朝9時頃から日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁の発言があり、日本銀行金融研究所主催2025年国際コンファランスにおける開会挨拶において、物価上昇率、政策金利、予想物価上昇率などに言及し、今後の道のりとして、「高まる不確実性、とりわけ通商政策に関連する不確実性の高まりをうけて、私どもはこの4月に経済と物価の見通しを下方修正しました。しかしながら、私どもの中心的な見通しでは、基調的な物価上昇率は、見通し期間の後半に2%に徐々に収束していくと見込んでいます。展望レポートで議論したとおり、中心的な見通しを巡るリスクは、上下両方向で大きく、2025年度と2026年度は経済、物価ともに下振れリスクが大きいと考えています。先行き、中心的な見通しが実現していくとすれば、2%の物価安定の目標の持続的な達成を確かなものにするために、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、見通しが実現していくかについては、通商政策等の不確実性がきわめて高い状況にあることを踏まえ、予断を持たずに判断していく方針」としており、追加利上げを示唆するタカ派発言があった影響では円買いドル売りが入り、今朝10時19分頃に対ドル円相場は一時142円11銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、市場安値後のドルの買い戻しや市場高値後の円の利益確定売りと持ち高調整が入り始めたことに続き、昼のニュースでは、最近の国内債券市場で超長期債の利回りが歴史的な上昇を見せたことを受けて、「財務省が2025年度国債発行計画の年限構成を近く見直し再検討すると複数の関係筋が明らかにした」という観測報道が話題になり、投資家の需要減が予想以上であれば超長期債の減額も視野に入れることが報じられて国債が買われたほか、「財務省が6月20日に国債市場特別参加者 (PD / Primary Dealers / プライマリー・ディーラー) 会合を開く」、「需給の悪化を踏まえ、超長期債の発行計画を修正するとの観測も浮上している」などの報道を受けた国債買いが起きたため、明日の40年債入札前に超長期国債の需給懸念の後退で、国債価格上昇に伴う利回り低下が起き、国内長期金利低下時の日米金利差拡大を受けたドルや主要通貨への円売りが起きて、円相場が反落した。
国内長期金利低下を受けては、今朝の日銀の植田総裁の発言を受けた追加利上げ方向維持への金利警戒感では円が買われた一方で、一時はマイナス圏に下落していた日経平均株価が反発上昇してプラス圏に転じ、午後15時30分に3万7724円11銭の終値をつけて前日比192円58銭高の+0.51%の高値で大引けし、株価上昇時の低リスク通貨の円売りの影響もあった。
ただし、今日は日銀の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」も公表され、4月日本全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の基調的インフレ率を捕捉するための指標では、刈込平均値が前回の2.2%から2.4%に上昇し、加重平均値も前回の1.4%から1.7%の上昇率で、最頻値も前回の1.4%から1.8%への上昇率と基調的なインフレ高が見られており、日銀の追加利上げ方向のタカ派発言が意識されたことはやや抵抗になっていた。
しかし、午後からの欧州市場の参入に続き、連休明けの英国ロンドン外国為替市場が参入すると、債券利回りの国内長期金利低下時の日米金利差拡大時の円売りドル買いや、欧州ユーロや高金利通貨の英国ポンドに対しても債券利回りを受けた金利差による円売りが入った外貨影響の波及があり、世界的に流動性が高いドルは今夜の連休明けのドル実需もあって円相場で143円台に上昇しており、夕方16時52分頃に対ドル円相場は一時143円86銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円71銭付近と、昨夜17時の142円88銭付近の前東京終値比で約83銭の円安ドル高になった。
その後の英国ロンドン外国為替市場でも、債券利回りを受けた円売りの影響が続き、今夜19時15分頃には対ドル円相場は一時144円5銭付近と144円台に達している。
今夜この後には連休明けの米国市場も開場するため、最新米国経済指標の発表予定や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に4月米国耐久財受注、今夜22時に3月米国S&P/ケース・シラー住宅価格指数と3月米国住宅価格指数と1〜3月四半期米国住宅価格指数が同時発表され、今夜23時に5月米国消費者信頼感指数と、26時に米国2年債の入札などを控えている。
また、世界の株式市場や債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、世界経済と米国関税政策なども含めた政治などの影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円2銭付近で、昨日17時の162円76銭付近の前東京終値比で約26銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の東京株式市場で日経平均株価が反発して続伸し、今日の夕方には欧州市場でも欧州主要株価指数の独DAXが続伸中であった株価リスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りに加えて、先述のニュースの影響で国内債券価格上昇に伴う利回り低下がおきた円売りが為替相場に影響を与えていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1344ドル付近と、昨日の夜17時の1.1392ドル付近の前東京終値比で約0.48セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、欧州ユーロの対ドルでの上昇後の利益確定売りや持ち高調整が入り反落を見せたほか、今日の連休明けの米国市場に向けたドル需要でドルの買い戻しが入り反発した。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円42銭付近と、昨日の夜17時の193円86銭付近の前東京終値比で約56銭の円安ポンド高だった。
主な要因は、日本国債発行計画見直し検討の観測報道を受けた日本国際価格上昇に伴う利回り低下により、今日の夕方に欧米の主要通貨に対する円売りが入った外貨影響の波及に加えて、先日の英国利下げに反対票が複数入っていた高金利通貨の英国ポンドも円相場で買われて上昇していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月27日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時17分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時17分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:17の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 144.02 〜 144.03 | +1.14 (円安) |
ユーロ/円 | 163.37 〜 163.38 | +0.61 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1342 〜 1.1344 | −0.0050 (ドル高) |
英ポンド/円 | 194.94 〜 195.00 | +1.08 (円安) |
スイスフラン/円 | 174.19 〜 174.25 | +0.22 (円安) |
豪ドル/円 | 92.81 〜 92.85 | −0.24 (円高) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。