FXニュース:米トランプ欧関税50%発言
2025年5月26日
東西FXニュース – 2025年05月26日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米トランプ減税財政懸念
- 米主要株価三指数が下落
- 日鉄USスチール買収承認
- 米対EU関税延長7月9日
- 日欧主要株価指数が上昇
- 今夜は英米市場祝日休場
今日2025年5月26日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の142円22銭付近から、円の安値でドルの高値の142円92銭付近の値幅約70銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円88銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の143円34銭付近の前東京終値比で約46銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の先週金曜日の夜の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州主要株価の独DAX (Deutscher Aktien-indeX) が上昇していた先週金曜日の夜20時14分頃には株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られたため、ドルは円相場で一時143円43銭付近に上昇していた。
しかし、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、欧州連合 (EU / European Union) に対する米国貿易赤字の規模と米欧貿易協議の難航への不満などから、「6月1日から、欧州連合 (EU) に対し50%の米国関税を課すことを提案する」と、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ (TMTG / Trump Media & Technology Group ) が運営するソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS / Social Networking Service) のトゥルース・ソーシャル (Truth Social) に投稿発言したことを受けて、米欧貿易摩擦への警戒感が高まり、欧州主要株価指数が反落し、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) に転じて低リスク通貨の円が買い戻されて反発し、先週金曜日の夜20時51分頃には対ドルの円相場は一時142円50銭付近に円相場が上昇していた。
その影響から、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時142円63銭付近の始値となり、安全資産の米国債買いも入っていた影響から、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も先週金曜日の夜21時5分頃には一時4.459%付近に急落していた。
ただし、米国政府のスコット・ベッセント財務長官が米国FOXニュースに出演し、先ほどのドナルド・トランプ米国大統領の発言について、「欧州連合 (EU) への50%の米国関税示唆は、EUとの貿易交渉ペースの遅さに対する反応」であり、「EUをやる気にさせてくれるように願っている」とフォローアップする発言をしたことでは、EUに対する今後の米国相互関税ディール政策の交渉進展のための挑発であったとの一部の受け止めもあり、欧米貿易摩擦への警戒感がやや緩和された時間もあったことではドルの買い戻しも入ったほか、中国との米中貿易交渉にも言及し、「今後数週間で複数の大型合意が発表されるだろう」と、不透明感が高い他国との米国関税交渉の進展に前向きな見通しを示したことでは、先週金曜日の夜22時41分頃に対ドル円相場は一時142円90銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言の影響もあり、先週金曜日の夜22時35分頃から米国セントルイス連邦準備銀行のアルベルト・ムサレム総裁が、米国関税政策の影響などにより、「短期の米国期待インフレ率が高まり、長期期待インフレ率に影響を及ぼし得るほどの水準になることをFRBは望んでいない」と発言し、その様な事態になれば、「物価安定と雇用最大化のFRBの目標達成が一層と困難になるであろう」と米国インフレへの警戒感を示し、先日から他のFRB高官達の発言内容と一致し、米国関税政策の経済への影響についての様子見で、当面の間の米国政策金利据え置きを示唆したことに加えて、「向こう10年間、米国政策金利が新型コロナ禍以前の水準に戻る可能性は低い。その可能性は恐らく、高くても20%程度だろう。」とするタカ派寄りの発言もあったことなどから米国長期金利が反発し、米国ニューヨーク債券市場では先週金曜日の夜22時40分頃に米国長期金利は一時4.509%付近と、一時4.4%台から4.5%台に上昇していた。
先週金曜日の夜23時に発表された最新米国重要経済指標の4月米国新築住宅販売件数が、年率換算件数は前回の72.4万件と前回下方修正の67.0万件と市場予想の69.5万件を上回る74.3万件に上振れし、前月比も前回の7.4%と前回下方修正の2.6%と市場予想の−4.0%に反して10.9%への大幅上昇を見せたことでも、この時間のドルは円相場で市場高値圏に留まっていた。
しかし、ドナルド・トランプ大統領は、「米国アップル社 (Apple Inc.) は、アイフォーン (iPhone) を米国内で製造しなければ、少なくとも25%の関税を支払うことになる」とも発言しており、「米国アップル社に限らず、韓国サムスン電子などの米国外でスマートフォンを製造する全ての企業が該当する」とし、「6月末までに適切な対応ができるだろう」と、電子機器や半導体輸入への米国追加関税の可能性を示唆していたことでは、米国相互関税政策への警戒感が再燃し、米国アップル株 (APPL) を始めとする米国主要株式が売られて下落し、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフにより低リスク通貨の円相場が反発上昇した。
米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃ってマイナス圏の推移を続け、株価リスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いドル売りが続いた。
前日の5月22日に米国連邦議会下院がトランプ減税の恒久化などを含む減税法案を可決したニュースの影響も燻り、米国連邦議会上院では歳出削減案などが一部修正される可能性はあるものの、トリプルレッドの米国財政懸念による米国株式・米国債券・米国ドルの米国トリプル安への警戒感もあり、米国祝日連休前の週末を控えていたこともあって利益確定や持ち高調整の株売りが続いており、米国主要株価三指数が揃って前営業日比で安値の終値に向けたことなどから低リスク通貨の円買いの影響が続き、先週土曜日の午前3時20分頃には対ドル円相場は一時142円42銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
米国ニューヨーク債券市場でも、先日のムーディーズ (Moody’s) の米国信用格下げ後の米国債券安の影響が燻っており、米国債券価格低下に伴う利回り上昇の影響で米国長期金利が深夜24時10分頃に一時4.525%付近に上昇後も4.5%台の推移を続けて、先週土曜日の午前2時55分頃の一時4.518%付近の短縮債券市場の終値になっており、米国トリプル安への市場警戒感が燻っていた。
このため、先週金曜日の夜21時頃から先週土曜日の朝5時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の142円90銭付近から、円の高値でドルの安値の142円42銭付近の値幅約48銭で、先週土曜日の朝5時55分頃のニューヨーク終値は142円56銭付近と、前営業日同時刻の144円1銭付近の前ニューヨーク終値比で約1円45銭の大幅な円高ドル安をつけて、週末を迎えていた。
週末には、第二次ドナルド・トランプ米国政権による日本製鉄 (日鉄 / Nippon Steel) のUSスチール (U.S. Steel / United States Steel Corporation) 買収計画を条件付きで承認するニュースがあり、米国産業と安全保障をリンクさせる米国政権方針に基づき、日鉄の投資資金を利用した部分所有権による米国側のコントロールによるUSスチール再建について、 「計画的なパートナーシップ (Partnership / 提携)」により、「少なくとも7万人の米国雇用が創出される」と主張し、現在のUSスチールの従業員数の約5倍相当で米国経済におよそ140億ドル(約2兆円) 相当の経済効果をもたらし、「鉄鋼は、永遠にアメリカ製になる」と、ドナルド・トランプ米国大統領はトゥルース・ソーシャル (Truth Social) で発言していた。
週明けの今朝早朝のオセアニア市場では、米国財政懸念のトリプル安への警戒感が続いていた今朝6時17分頃にはドルは円相場で一時142円41銭付近に下落していたが、ドナルド・トランプ米国大統領が欧州連合 (EU) のウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長と電話会談後に、「EUへの50%米国関税の期限を7月9日まで延長することに同意した」と記者団に発言したニュースが話題となり、米欧貿易摩擦による世界景気影響への警戒感が一時緩和されたほか、今朝早朝の米国株価指数先物が上昇したことで米国トリプル安への警戒感も緩和されたため、ドルの買い戻しが入り、今朝7時23分頃にドルは円相場で一時143円8銭付近と、一時143円台に上昇した。
ただし、米国トランプ関税には依然として不透明感が根強く、また米国トランプ減税を受けた米国財政懸念も燻っていたことでは、一時143円台に上昇後のドルには早期の利益確定売りや持ち高調整が入りやすく、ドルは低リスク通貨の円に対して142円台に戻したため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時142円82銭付近の始値となった。
週明けの東京株式市場では日本製鉄の株価が続伸したほか、日経平均株価が高値圏で始まりプラス圏の推移を続けたことでは、株価上昇時のリスク選好のリスクオンによる低リスク通貨の円売りも入り、今朝9時9分頃にドルは円相場で一時142円88銭付近に上昇した。
しかし、今日の日本市場の仲値決済に向けては、今日は米国市場のメモリアルデー (Memorial Day / 戦没将兵追悼記念日) の祝日で、英国市場もスプリング・バンク・ホリデー (Spring Bank Holiday / 春のバンクホリデー) の祝日連休で休場予定ということもあり、最近の円高ドル安を受けた国内輸出企業の円買いドル売りの方が貿易先の休業中の日本企業の輸入実需の円売りドル買いよりも優勢であったことなどからドルは円相場で下落し、今朝11時6分頃に対ドル円相場は一時142円22銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
一方、今日の日経平均株価はプラス圏の推移を続け、上昇幅を拡大した株価影響では国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りの抵抗も入ったことでは、市場高値後の円の利益確定売りや持ち高調整でドルの買い戻しも起きており、今日の午後15時30分頃に今日の日経平均株価は3万7531円53銭の終値をつけて前営業日比371円6銭高の+1.00%の大幅高で大引けしたことでは、株価上昇時のリスク選好のリスクオンによる国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りの影響もあって、ドルは円相場で142円台前半から後半に向けて下げ幅を縮小した。
午後からの欧州市場の参入でも、日本時間で今朝早朝の米国の欧州連合 (EU) に対する50%の米国関税発動の延期のニュースを受けた欧州主要株価の買い戻しと低リスク通貨の円売りとドルの買い戻しが入ったため、夕方からの英国ロンドン外国為替市場は祝日休場中ではあったが、夕方16時56分頃にドルは円相場で一時142円92銭付近と今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、先週末の米国市場での下げ幅を縮小した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円88銭付近で、先週金曜日の夜17時の143円34銭付近の前東京終値比では約46銭の円高ドル安になった。
今夜この後の世界最大規模の英国市場と米国市場は祝日休場予定であるため、最新経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定はないものの、欧州市場は開場中のため、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜23時30分頃から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言予定などを控えている。
また、日本市場と並び世界三大市場である英国市場と米国市場が休場中ということもあり世界市場全体の市場流動性減少が予想される中で、開場中の他の世界の株式市場や債券市場などの為替相場への影響と、世界経済と政治などの影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円76銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の162円50銭付近の前東京終値比で約26銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日本市場の日経平均株価続伸に続き、夕方に欧州市場でも欧州主要株価指数の独DAXが上昇したため、日欧株価リスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円売りで欧州ユーロが上昇した。
その影響により、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1392ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.1337ドル付近の前東京終値比で約0.55セントのユーロ高ドル安だった。
欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は193円86銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の193円19銭付近の前東京終値比で約67銭の円安ポンド高だった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月26日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時37分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時37分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:37の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 142.89 〜 142.90 | −0.45 (円高) |
ユーロ/円 | 162.62 〜 162.64 | +0.12 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1379 〜 1.1381 | +0.0042 (ドル安) |
英ポンド/円 | 193.71 〜 193.77 | +0.52 (円安) |
スイスフラン/円 | 173.90 〜 173.96 | +0.38 (円安) |
豪ドル/円 | 93.00 〜 93.04 | +0.52 (円安) |
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