FXニュース:日米会談前為替警戒継続
2025年5月20日
東西FXニュース – 2025年05月20日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米信用格下げ後ドル売り
- 米政策金利据え置き予想
- 米長期金利上昇後の反落
- 日財務相発言「為替含め」
- 日米主要株価は小幅高に
- 豪政策金利0.25%利下げ
- G7と日米財務相会談控え
今日2025年5月20日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の145円51銭付近から、円の高値でドルの安値の144円9銭付近の値幅約1円42銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円15銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の144円89銭付近の前東京終値比では約74銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、先週末の米国格付け会社ムーディーズ (Moody’s) の米国信用格下げを受けたドル売り後に、主要取引通貨としての買い戻しもやや入っていたことでは、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円98銭付近の始値であった。
米国市場では、昨夜21時45分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のフィリップ・ジェファーソン副議長の発言があり、米国関税政策などの影響も含めて、「物価水準の上昇が持続的なインフレに繋がらない様に、金融政策がしっかりと対応することが重要」と指摘し、「現在、直面している不確実性の大きさを考慮すると、今後の金融政策の展開やその影響を見極めるために、当面は様子見をするのが適切と考えている」と当面の間の米国政策金利据え置きを示唆し、「米国インフレ期待を安定させる様な金融政策スタンスを維持しつつ、米国関税政策などが最終的にどのような影響を及ぼすかを見極めていく」としており、次回6月のFOMCでのFRBの米国政策金利維持予想が優勢さを保った。
同時刻から同じくFOMC投票権を持つ米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言もあり、全米抵当貸付銀行協会 (MBA / The Mortgage Bankers Association) 主催のイベントで、米国相互関税政策の米国インフレ影響の不確実性などを踏まえて、「我々が何が起きているのかを理解するのは、6月でも7月でもないだろう」と発言し、「データを集め、状況をより良く理解し、動向を注視するプロセスになる」と、長期データ重視の米国政策金利の様子見の据え置きが金利先物市場の動向から市場予想値を算出するフェッドウォッチ (FedWatch) で91.4付近%と70%の市場確定値を超えている6月や、今日の時点でも66.9%付近と市場確定値に近い7月のFOMCよりもより長期化する可能性を示唆していた。
同じく、米国アトランタ連邦準備銀行のラファエル・ボスティック総裁も、米国ブルームバーグテレビのインタビューで、当面の米国政策金利維持を示唆しており、第二次ドナルド・トランプ米国政権による各国との貿易交渉が長引き、「夏よりずっと先まで続く様な状況になれば、実際の影響が明らかになるのはその数カ月後になる」と、長期化の可能性を指摘していた。
米国ニューヨーク債券市場では、米国債の格下げ後に売られた影響でも米国債価格下落時の利回り上昇が起きていたが、米国政策金利据え置きの長期化の可能性もあることが意識されたことでも米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、昨夜22時頃には一時4.564%付近の高利回りになったことでは、昨夜22時2分頃にドルは円相場で一時145円14銭付近と145円台に上昇した。
米国市場では最新米国経済指標の発表があり、昨夜23時の4月米国景気先行指標総合指数は、前回の−0.7%と前回下方修正の−0.8%に対し市場予想通りの−1.0%と想定内に留まったことでは、過度な米国景気減速懸念が緩和されたドルの買い戻しが入ったことでも、昨夜23時3分頃にドルは円相場で一時145円22銭付近と米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
米国ニューヨーク債券市場では、米国債のAAAからAA1への格下げはムーディーズに先行して他の主要格付け会社2社も行っていたことから想定範囲内として、安値後の米国債の買い戻しが入り始めたことでは、米国債券価格上昇時の利回り低下が起き、市場終盤の一時4.450%へ向けて米国長期金利が4.5%台から4.4%台への反落を始めた。
米国ニューヨーク株式市場では、米国長期金利反落による金利警戒感の緩和を受けて、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃ってマイナス圏からプラス圏に向けて上昇し、前日比で高値の終値に向け始めたため、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円売りドル買いが入っていた時間があった。
しかし、今夜5月20日から5月22日にかけて、北米カナダで主要7カ国 (G7 / Group of Seven) 財務相・中央銀行総裁会議が開催されるが、その出席後の5月23日頃に日本政府の加藤勝信財務相と米国政府のスコット・ベッセント財務長官が日米関税会談を行う予定で調整が入っていることなどがメディアなどで報じられており、先日の米韓会談後の観測報道が世界市場で話題になった円安ドル高是正などの為替議題への警戒感が市場で燻っており、米国関税政策を巡る不確実性への懸念もあった影響では、市場安値後の低リスク通貨の円買いドル売りが入り、米国株式市場が終値をつけた後の午前5時12分頃には、対ドル円相場は一時144円78銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
一方、米国政府のドナルド・トランプ大統領は、ロシア政府のウラジーミル・プーチン大統領と電話会談をし、「電話会談は非常にうまくいった」、「ロシアとウクライナは停戦に向け交渉を始める」と発言したことでは、市場終盤には市場安値後のドルの買い戻しの抵抗もやや入った。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の145円22銭付近から、円の高値でドルの安値の144円78銭付近の値幅約44銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は144円86銭付近と、前営業日同時刻の145円70銭付近の前ニューヨーク終値比では約84銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のオセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時144円98銭付近の始値であったが、今朝早朝に日本企業の取引先を含めた米国主要株価三指数が揃って小幅高で引けていた影響では、今朝の東京株式市場でも今日の日経平均株価がプラス圏に上昇して始まり、日経平均株価上昇時のリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円売りドル買いが先行した。
また、今日は20日で5と10が付く日の五十日 (ごとおび / ゴトービ) で日本の貿易企業の決済日が集中しやすかったことから、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要もあり、今朝9時28分頃に対ドル円相場は一時145円51銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、続いては、国内輸出企業の円買いドル売りも入り始めたほか、一時145円台に上昇後の市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整の低リスク通貨の円の買い戻しが今週のG7と日米財務相会談の為替議論警戒などのイベントリスクもあって入りやすかったことでは、ドルは円相場で反落を始めた。
今日の午前中の閣議後の記者会見では、加藤勝信財務相が「本日20日から24日までの海外出張」の予定を公式に発表しており、北米カナダのバンフで開催される主要7カ国 (G7) 財務相・中央銀行総裁会議に出席し、その後に予定している米国政府のスコット・ベッセント財務長官との日米財務相会談について、「為替を含め、二国間の諸課題について議論をしたい」と発言したため、日米財務相会談で円安ドル高是正の議論が含まれることへの警戒感による円買いドル売りが再燃し、ドルは円相場で再び144円台に下落した。
一方、先日の米国NBCテレビのインタビューに出演していた米国政府のスコット・ベッセント財務長官は、「貿易相手国が誠意をもって交渉に応じない場合には、4月2日に発動した米国相互関税率に戻す可能性がある」と発言しており、今回が3回目と長引いている日米関税交渉では、早期に合意点が出てきた英国や中国との交渉よりも進展が遅いこともあり、米国相互関税政策についての日本への関税率の不透明感や不確実性への市場警戒感もあった。
その市場心理の影響もあり、今朝9時40分頃には今日の市場高値を記録していた今日の日経平均株価は、市場警戒感の影響もあって上昇幅を縮小し、午後には上昇幅をほぼ失った市場時間があったため、低リスク通貨の円の買い戻しが続き、午後15時17分頃にドルは円相場で一時144円31銭付近に下落していたが、午後15時30分に日経平均株価が3万7529円49銭の終値をつけて前日比30円86銭高と、+0.08%の小幅高で大引けしたことでは一旦下げ止まった。
しかし、今日の日本市場では、日本国債10年物の利回りが一時1.524%に上昇後に、日本の長期国債30年物の利回りも一時2.999%付近に上昇しており、午後からの欧州市場に続き、夕方から世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場が参入すると、時間外の米国債券取引で今日の日本市場時間に一時4.470%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が安値後の米国債の買い戻しで急落し、夕方16時28分頃に米国長期金利は一時4.431%付近に低下したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが入り、日本市場終盤の円の買い戻しも相まって、夕方16時54分頃にドルは円相場で一時144円9銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
なお、今日のオセアニア市場では、オーストラリアの中央銀行にあたる豪州準備銀行 (RBA / Reserve Bank Of Australia) が豪州政策金利を発表し、市場予想通りの0.25%の利下げを決定したが、声明文では、「豪州インフレ率は目標レンジ内で、国際情勢が経済の重しになることが予想されるため、上振れのリスクは減少している」とし、「豪州インフレ率は大幅に低下している」としたため、豪ドル売りでも円相場が上昇していた日本市場時間があった。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円15銭付近で、昨夜17時の144円89銭付近の前東京終値比で約74銭の円高ドル安になった。
今夜この後にはカナダでG7が始まるほか、米国市場では次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官達の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国ボストン連邦準備銀行のスーザン・コリンズ総裁の発言予定と、26時頃から同じく次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国セントルイス連邦準備銀行のアルベルト・ムサレム総裁の発言予定などを控えている。
また、世界の株式市場と債券市場や商品先物市場などの為替相場への影響と、日米を含め世界各国の米国関税交渉の行方と世界経済と政治影響に加えて、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円54銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の162円80銭付近の前東京終値比で約26銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、今週の日米会合を控えた警戒感とイベントリスクでは低リスク通貨の円が買割れやすかったほか、対ドルなどの円高ドル安の外貨波及が欧州ユーロや英国ポンドの円相場に影響を与えていた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は193円6銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の193円69銭付近の前東京終値比で約63銭の円高ポンド安だった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1276ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1236ドル付近の前東京終値比で約0.40セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、今日の夕方には米国長期金利が一時4.4%台で低下しており、円だけでなく欧州ユーロなどの他の主要通貨に対するドル売りに影響を与えていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月20日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時35分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時35分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:58の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 144.75 〜 144.76 | −0.54 (円高) |
ユーロ/円 | 163.31 〜 163.32 | +0.50 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1280 〜 1.1282 | +0.0073 (ドル安) |
英ポンド/円 | 193.86 〜 193.92 | +0.46 (円安) |
スイスフラン/円 | 173.87 〜 173.93 | −0.37 (円高) |
豪ドル/円 | 93.27 〜 93.31 | −0.11 (円高) |
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