FXニュース:米消費者物価指数下振れ
2025年5月14日
東西FXニュース – 2025年05月14日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 独ZEW景気予測指数改善
- 米株ダウ安ナズダック高
- 日米財務相為替協議警戒
- 日銀予想と輸出系円買い
- 米中関税115%引き下げ
- 日経平均株価反落小幅安
今日2025年5月14日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円67銭付近から、円の高値でドルの安値の146円84銭付近の値幅約83銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円98銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円87銭付近の前東京終値比では約89銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夕の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の5月欧州ZEW (独語: Zentrum für Europäische Wirtschaftsforschung / 欧州経済研究センター) 景況感調査が前回マイナス圏だった-18.5からプラス圏の11.6に改善されたほか、主要国ドイツの5月独ZEW景況感調査の期待指数も前回マイナス圏の-14.0から市場予想の11.9を大幅に上回るプラス圏の25.2に改善され、低リスク通貨の円に対して欧州ユーロが買い戻された外貨影響がドルの買い戻しの入っていた対ドル円相場に波及したため、昨夜19時47分頃にドルは円相場で一時148円14銭付近に上昇していた。
また、昨夜の欧州市場では、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の政策メンバーのフランス中央銀行のフランス銀行 (BdF / Banque de France) のフランソワ・ビルロワドガロー総裁が、「米国ではドナルド・トランプ大統領の関税措置の影響でインフレが再燃する可能性が高いが、欧州はこうした影響は免れられる」と、米国と欧州の状況は異なることを指摘し、「夏までに追加利下げが可能になる」との見解を示したというニュースを英国ロイター通信 (Reuters) などが報じて話題になっていた。
同じく、ECBメンバーのオランダ中央銀行のオランダ銀行 (DNB / De Nederlandsche Bank) のクラース・クノット総裁は、「不確実性は短期的にインフレと成長の両方にとってマイナス」とも発言していた。
昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時148円12銭付近の始値で、昨夜21時18分頃には一時148円20銭付近に上昇したが、米国市場では昨夜21時30分に最新米国重要経済指標でインフレ指標の4月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表があり、前月比は前回の−0.1%と市場予想の0.3%を下回る0.2%に鈍化し、前年同月比も前回と市場予想の2.4%を下回る2.3%に下振れしたほか、物価基調である4月米国CPIコア指数の前月比も前回の0.1%と市場予想の0.3%を下回る0.2%であったが、4月米国CPIコア指数は前年同月比では前回と市場予想通りの2.8%であった。
第二次米国ドナルド・トランプ政権の米国相互関税政策が始まった4月頃には、発動前の駆け込み輸入在庫や一時猶予措置などがあったことなどもあり米国消費者物価への影響はまだ限定的で、実際の米国関税の物価や経済への影響が依然として不透明であることもあり、発表時の昨夜21時30分の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時147円85銭付近に売られた後には再び買い戻しが入った影響では、昨夜21時34分頃にドルは円相場で一時148円28銭付近に反発上昇し、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、前日に米中関税協議後の90日間の115%の米中相互関税の引き下げがサプライズ発表され、早ければ日本時間の本日午後13時頃から敏速に米中双方で追加関税引き下げが実施とも伝わり、主要通貨に対する大幅なドル高が進行後であったことから、4月の米国消費者物価指数が市場予想以下であったことをきっかけに、一時148円台への反発後のドルの利益確定売りや持ち高調整が優勢のトレンドに転じ、ドルは円相場で大幅な反落を始めた。
なお、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、自身で運営しているソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS / Social Networking Service) のトゥルース・ソーシャル (Truth Social) に、「インフレはなく、ガソリンやエネルギー、食料品、ほぼすべての価格は低下している。米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) は、欧州や中国の様に利下げをすべきだ」と、再びFRBの政治からの独立性への懸念を高める発言をしていたが、FRBが長期データ重視であることでは、データが示し続ければ米国利下げ再開の可能性はあることでは、昨日は日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げ予想が上昇したほか、日本政府の加藤勝信財務相が、主要国7カ国の国際会議のG7 (Group of Seven) の財務相会談に向けて、「環境が整えば、スコット・ベッセント米国財務長官と会談する」としたほか、「引き続き、為替についての協議を進める」とも発言したと一部で報じられ、為替問題で円安是正議論の可能性を示唆した影響もあり、対ドルで円の買い戻しが入りやすかった。
一方、米国ニューヨーク債券市場では、安全資産の米国債売りの影響が続き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が午前3時20分頃の一時4.508%付近に向けて上昇していたことはドルが円相場で抵抗を見せる要因となっていたが、米国長期金利上昇への警戒感などからは、米国ニューヨーク株式市場で前日には揃って大幅高の終値をつけていた米国主要株価三指数の中でも米国金利に敏感な米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) が反落してマイナス圏の推移に転じ、一部の株価影響を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円が買われる値動きに影響を与えた。
ただし、米国主要株価三指数の中でも、国際的なハイテク企業比率の高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) はプラス圏の推移のままで大幅続伸の終値に向けたが、米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) は前日比で小幅安に留まり、三指数揃って大幅高だった前日と比較すると低リスク通貨の円需要は多く、また安全資産の米国債にも買い戻しが入ったことから市場終盤には米国長期金利がニューヨーク終値の頃の一時4.473%付近に向けて反落したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りもが入り、午前4時55分頃にドルは円相場で一時147円37銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円28銭付近から、円の高値でドルの安値の147円37銭付近の値幅約91銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円48銭付近と、前営業日同時刻の148円46銭付近の前ニューヨーク終値比で約98銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時50分には、日本の最新経済指標の発表があり、4月日本国内企業物価指数は、前月比は前回の0.4%と市場予想の0.3%を下回る0.2%であったが、前年同月比は前回の4.2%が前回4.3%に上方修正された上で、市場予想通りの4.0%であった。
今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円53銭付近の始値となり、日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があった今朝9時20分頃の一時147円67銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、昨日に続き日本企業の多くが想定為替レートとしていた147円付近を超えている間は、国内輸出企業による円買いドル売り意欲が強く、再び円買いドル売りが優勢であった。
東京株式市場でも、昨日は高値で引けていた日経平均株価が今朝はプラス圏から始まった後に、今朝9時20分過ぎから反落してマイナス圏の推移に転じて昼頃に下げ幅を大幅に拡大したことも為替相場に影響を及ぼし、日経平均株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産である低リスク通貨の円がドルや主要通貨に対して買い戻された影響があり、午後14時8分頃にドルは円相場で一時146円84銭付近にまで売られて、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録し、その後には株の買い戻しも入り下げ幅を小幅域にまで縮小したことでは低リスク通貨の円売りの抵抗も交えてドルは円相場で下げ幅を縮小したが、午後15時30分に今日の日経平均株価は3万8128円13銭の終値をつけ、前日比で55円13銭安の-0.14%の小幅安で大引けした。
なお、ドルの下げ幅縮小の一因として、日本時間の今日の午後13時1分頃に、米国政府と中国政府の両政府が米中相互関税の115%の引き下げを実施し、米国の対中関税は145%から30%、中国の対米関税は125%から10%になり、先週末のスイスにおける米中閣僚級協議合意に基づき敏速に実施されており、一部追加関税の90日間の一時停止期間中に米中関税協議を続けるとしたニュースが午後の話題になっていた。
しかし、午後からの欧州市場に続き、夕方からの世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場が参入すると、前日に主要通貨に対する高値を記録後のドルの利益確定売りや持ち高調整が再開した。
また、「米国と韓国の米韓関税交渉で、為替についての議論があったと、韓国企画財政部の報道官が語った」という一部報道のニュースが夕方の世界市場で話題になり、日米関税交渉でも為替について議論されることへの円安是正への警戒感が一段と高まり、日本市場終盤の利益確定売りと持ち高調整の円の買い戻しに続き、夕方には円相場が再び上昇を見せ始めていた頃に、今夜17時の東京終値をつけた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円98銭付近で、昨夜17時の147円87銭付近の前東京終値比では約89銭の円高ドル安になった。
今夜その後の英国ロンドン外国為替市場でも、円安是正などの為替問題の議論への警戒感による円買いと、米国インフレ鈍化をきっかけにした利益確定や持ち高調整のドル売りが続き、今夜18時44分頃にはドルは円相場で一時145円60銭付近と、日通しの円の高値でドルの安値を更新している。
今夜この後の米国市場では、特に重要度が高い最新米国経済指標の発表予定はないものの、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数と、今夜22時10分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のフィリップ・ジェファーソン副議長の発言予定などを控えている。
また、世界の株式市場と債券市場や商品先物市場などの為替相場への影響や、世界各国の米国関税交渉の行方と世界経済と政治影響に加えて、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円76銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の164円37銭付近の前東京終値比では約39銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨夜発表された欧州ユーロ圏の5月欧州ZEW景況感調査が改善され、主要国ドイツの5月独ZEW景況感調査の期待指数も前回マイナス圏から市場予想を大幅に上回る改善を見せたことで、欧州ユーロが低リスク通貨の円やドルに対して買われていた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1216ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1116ドル付近の前東京終値比で約1.00セントの大幅なユーロ高ドル安になった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は195円92銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の195円38銭付近の前東京終値比で約54銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、先週の米英関税合意に続き、前回の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の追加利下げに複数の反対票が入り、次回の追加利下げ継続予想が後退していたことなどから、日本市場時間には英国ポンドが買われやすかった。
しかし、今夜17時の東京終値後の日米為替議論への警戒感による主要通貨への円買いが続いた影響では、今夜19時台にはドルに対して前東京終値比で大幅な円高ドル安になり、外貨影響の波及により、英国ポンドや欧州ユーロなども円高への市場反転を見せている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月14日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時31分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時31分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:31の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 145.88 〜 145.89 | −1.99 (円高) |
ユーロ/円 | 164.01 〜 164.02 | −0.36 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1241 〜 1.1243 | +0.0125 (ドル安) |
英ポンド/円 | 194.66 〜 194.72 | −0.72 (円高) |
スイスフラン/円 | 174.74 〜 174.80 | −1.17 (円高) |
豪ドル/円 | 94.47 〜 94.51 | −0.27 (円高) |
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