FXニュース:米英貿易協定合意期待感

2025年5月09日
今日2025年5月9日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の146円19銭付近から、円の高値でドルの安値の145円14銭付近の値幅約1円5銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円19銭付近と、...

 

東西FXニュース – 2025年05月09日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 英利下げに複数の反対票
  • 米新規失業保険申請減少
  • 米中欧関税交渉進展期待
  • 米トランプの株買い時発言
  • 日米英欧主要株価が上昇

今日2025年5月9日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の146円19銭付近から、円の高値でドルの安値の145円14銭付近の値幅約1円5銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円19銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の144円30銭付近の前東京終値比では約89銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、昨夜20時2分頃に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が英国新政策金利を発表し、市場予想で優勢だった通り0.25%の英国追加利下げを決定し、これまでは4.50%だった英国政策金利を4.25%に引き下げたが、投票権を持つ9人の委員のうち2人が反対票を投じたことが明らかになり、市場が想定していたよりも利下げに慎重なタカ派寄りの英国追加利下げであったことから、対ドルや対円で英国ポンドが買い戻された。

欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長も米国利下げに慎重な姿勢を見せていたことから当面の間の日米金利差予想の影響による円売りドル買いや外貨影響の円安の波及などもあり、一時144円65銭付近の始値と、前東京終値よりも円安ドル高で始まっていたが、米国市場では最新米国経済指標の発表が始まり、昨夜21時30分の前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の24.1万件と市場予想の23.0万件よりも堅調な22.8万件に減少し、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の191.6万人と前回修正の190.8万人と市場予想の188.6万人よりも強い187.9万人に改善されたことを受けては、昨夜21時34分頃にドルは円相場で一時144円87銭付近に上昇した。

ただし、昨夜21時30分に同時発表されていた1〜3月第1四半期の米国非農業部門労働生産性の速報値は前回の1.5%と前回上方修正の1.7%と市場予想の−0.7%を下回るマイナス圏の−0.8%に低下していたことではドル売りも入り、同四半期の米国単位労働コストの前期比年率の速報値は前回の2.2%と前回下方修正の2.0%と市場予想の5.1%を上回る5.7%ではあったことはやや抵抗となったものの、昨夜23時には米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「尊敬されている大国との主要な貿易協定について、大きな記者会見を行う」とソーシャル・メディアに投稿していたイベントが予定されていたことから、23時のイベントリスクを前にした利益確定や持ち高調整のドル売りの影響もあって、昨夜22時49分頃にドルは円相場で一時144円43銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

昨夜23時に発表された3月米国卸売売上高の前月比が、前回の2.4%と前回下方修正の2.0%と市場予想の1.9%を下回る0.6%もやや抵抗になったものの、昨夜23時頃から米国と英国の二国間が米英貿易協定を締結することで合意したとの公式発表が始まり、第二次ドナルド・トランプ米国政権が4月に米国相互関税を発動後に初の大国間の貿易協定合意が成立したニュースを受けて、米欧関税交渉や米中関税交渉も始まることへの期待感が市場で高まり、欧米主要株価指数の上昇と共に低リスク通貨の円売りドル買いが入り始めた。

米英貿易協定では、英国の自動車メーカーに対し、昨年の英国から米国への輸出台数とほぼ同数である年間10万台の自動車を10%の関税率で米国に輸出できる割当枠が与えられており、米国が鉄鋼製品に対して課している25%の米国相互関税も英国からの輸入品については撤廃するなどしており、各国の米国関税交渉への期待感に加えて、日米貿易協定への期待感が高まり、ナイトセッションの日経平均株価先物にも株価上昇期待が起き始めた。

米国ニューヨーク債券市場では、前日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) 後の定例記者会見で、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の米国利下げ急がないタカ派寄りの発言をしていた影響により、早期の米国利下げ予想が後退したことでも米国長期金利が上昇していたが、この日の欧米主要株価上昇時の安全資産の米国債売りの影響でも米国債券価格低下に伴う利回り上昇が起きており、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、米国市場終盤の一時4.395%付近に向けて大幅な上昇を見せ始めたことも為替相場に影響を及ぼし、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いも入ったことで、ドルは円相場で145円台を上抜けて146円台に向け始めた。

さらに、ドナルド・トランプ米国大統領が、「米国利下げがなくても、米国経済は好調に推移している」が、「ジェローム・パウエル議長が米国追加利下げすればジェット燃料のようになる」、「株式は今が買い時だ」などの発言したことも市場で話題となり、米国株式とドルが買われたため、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って上昇して前日比で高値の終値に向けたことでも、米国主要株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円売りドル買いが続き、同時に安全資産の米国債売りの影響による米国長期金利上昇時の円売りドル買いも続いたため、午前4時29分頃にドルは円相場で一時146円18銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、昨年の英国から米国への輸出台数とほぼ同数の年間10万台の自動車を10%の関税率で米国に輸出できる割当枠が与えられる米英貿易協定については、米国自動車メーカー大手3社の通称「ビッグスリー (Big 3) 」のゼネラルモーターズとフォードとステランティス社 (旧クライスラー) などが代表する米国自動車政策評議会 (AAPC / American Automotive Policy Council) が、ドナルド・トランプ米国大統領が発表した米英貿易協定に対し、「米国の自動車メーカーと部品供給業者と自動車労働者に損害を与える」と批判したニュースも入り、米国・メキシコ・カナダ協定 (USMCA / United States-Mexico-Canada Agreement) に基づき米国製部品が約半分を占めるメキシコやカナダで生産した車よりも、米国製部品をほとんど含んでいない英国車の方が米国に安く輸入できる可能性を指摘したことはやや抵抗になったが、歴史上、米国は英国から独立した親戚関係にあることもあり、同様の恩恵が欧州産や日本産の輸入自動車などにも適用できるかどうかはまだ不明であることなどでは、欧州が報復関税を示唆していた欧米関税交渉についてはやや不透明感も燻った。

それらの影響もあり、ドルが円相場で一時146円台の米国市場の高値を記録した後には、米国ニューヨーク外国為替市場終盤の利益確定や持ち高調整の抵抗が入ったことでは、ドルは円相場で一時145円台後半に戻したが、前日比では大幅な円安ドル高が進行していた。

このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の144円43銭付近から、円の安値でドルの高値の146円18銭付近の値幅約1円75銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は145円91銭付近と、前営業日同時刻の143円83銭付近の前ニューヨーク終値比では約2円8銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の午前8時30分には、今日の日本市場に先立って日本の最新経済指標の発表があり、3月の日本全世帯家計調査・消費支出の前年同月比は前回の−0.5%と市場予想の0.2%を上回る2.1%に上昇したが、同時発表の厚生労働省の3月の日本毎月勤労統計調査では現金給与総額の前年同月比は前回の3.1%が前回2.7%に下方修正された上で市場予想2.5%を下回る2.1%に低下し、物価変動の影響を除いた日本の実質賃金が前年同月比で2.1%減少したことに加えて、帰属家賃を含めた国内消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の総合から算出した実質賃金も1.5%減であったことでは、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の賃金上昇を伴う2%のインフレ目標の早期の追加利上げに慎重になる可能性が意識されたことでは円売りドル買いが入った。

今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時145円95銭付近の始値で、米英貿易協定締結合意を受けた各国の米国関税交渉への期待感の高まりにより、今朝早朝に日本企業の取引先を含めた米国主要株価三指数が揃って前日比の高値で引けていた株価影響もあり、今朝の東京株式市場でも日経平均先物から上昇していた今日の日経平均株価が大幅なプラス圏から始まり、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りが入ったことでは、今朝9時22分頃にドルは円相場で一時146円19銭付近と、再び146円台の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けては、今朝の大幅な円安ドル高を受けた国内輸出企業の円買いドル売りが優勢となり、ドルは円相場で反落を始めた。

また、株式市場では期待感が高まる中でも、英国以外の欧州や中国、そして日本への米国相互関税政策についてはまだ交渉段階であり、不透明感も漂う中では、時間外の米国債券取引で世界的な安全資産でもある米国債の買い戻しが入った日本市場時間もあり、一時4.361%付近に米国長期金利が低下した影響もあり、ドルは円相場で145円台に戻した。

とはいえ、米国関税交渉への市場期待感は続いており、今日の日経平均株価は午後15時30分には3万7503円33銭の終値をつけ、前日比574円70銭高の+1.56%の大幅高で大引けしたことでは、一時低下後の米国長期金利が反発し、今夜18時頃の一時4.390%付近に向けた上昇も始めており、ドルは円相場で大幅な上昇幅を縮小しながらも145円台に留まった。

午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入後には、株価リスク選好のリスクオンで買われやすい欧州ユーロや英国ポンドが世界的に流動性の高い安全資産でもあるドルに対して買い戻された外貨影響の対ドル円相場への波及や、日本市場終盤に大幅な円安ドル高進行後の利益確定や持ち高調整の円買いドル売りも入ったため、夕方16時57分頃にドルは円相場で一時145円14銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録し、ドルは円相場で前東京終値比1円超の大幅だった上昇幅を小幅域に縮小した。

このため、今夜17時の東京外国為替市場の今日の対ドル円相場の終値は145円19銭付近で、昨夜17時の144円30銭付近の前東京終値比で約 89銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、発言自粛のブラックアウト期間を終えた次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分頃から米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定と、今夜23時00分頃から米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁の発言予定、深夜24時30分頃からFRBのクリストファー・ウォラー理事の発言予定と、同じく深夜24時30分頃からジョン・ウィリアムズ総裁の再発言予定などを控えている。

また、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、米国関税交渉などを含めた世界経済と政治影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円34銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の163円2銭付近の前東京終値比では約32銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、日米欧英主要株価指数上昇の株価影響により、リスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られやすかったことに対し、リスクオンで欧州ユーロや英国ポンドが買われやすくなり、円相場で上昇していた。

その影響から、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は192円53銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の191円77銭付近の前東京終値比で約76銭の円安ポンド高であった。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1250ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1298ドル付近の前東京終値比で約0.48セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、前日と同様に、早期の米国利下げ予想の後退を受けて米国長期金利が上昇しており、対する欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) には欧州追加利下げ継続予想が依然として優勢であることなどから、欧米金利差予想のユーロ売りドル買いが影響を続けていた。

また、各国との米国関税交渉への株式市場の期待感の中でも、欧米関税交渉への不透明感が燻っていることなどもやや影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月9日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時42分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時42分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。

通貨ペア JST 19:42の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 145.25 〜 145.26 +0.95 (円安)
ユーロ/円 163.37 〜 163.39 +0.35 (円安)
ユーロ/ドル 1.1246 〜 1.1248 −0.0052 (ドル高)
英ポンド/円 192.77 〜 192.83 +1.00 (円安)
スイスフラン/円 174.66 〜 174.72 +0.21 (円安)
豪ドル/円 92.93 〜 92.97 +0.29 (円安)

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