FXニュース:米関税政策景気影響警戒
2025年5月06日
東西FXニュース – 2025年05月06日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米中首脳対談予定は未定
- 米ISM非製造業予想以上
- 米主要株価三指数が下落
- 日ゴールデンウィーク休場
- 独首相指名投票半数割れ
- 今日から明日の米FOMC
今日2025年5月6日火曜日の日本の東京外国為替市場はゴールデンウィークで休場であるが、今朝9時頃から今夜17時頃までの日本市場相当時間の世界FX市場の対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の144円28銭付近から、円の高値でドルの安値の143円21銭付近の値幅約1円7銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は143円32銭付近と、世界市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の144円35銭付近と比較すると約1円3銭の大幅な円高ドル安で、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の145円13銭付近の前東京終値比では約1円81銭のより大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場と英国ロンドン外国為替市場は祝日休場であったが、昨日の米国政府のドナルド・トランプ大統領の発言の影響が続き、米国政府と中国政府の関係者達は協議しているものの、ドナルド・トランプ大統領と習近平(シー・ジンピン)国家主席との米中首脳対談の予定がないことが意識され、世界市場で一時高まっていた米中関税交渉進展への期待感が後退し、台湾ドルに対してドル安が進んだ外貨影響の円相場への波及に加えて、米国関税政策の景気影響への懸念などから主要通貨に対してもドルが売られたため、昨夜の欧州市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時143円85銭付近の始値と、一時144円台だった昨夕17時時点よりもドルが円相場で下落していた。
米国市場では、最新米国経済指標の発表が始まり、昨夜22時45分の4月米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値が前回の51.4と市場予想の51.0を下回る50.8に下方修正され、4月米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回の51.2を下回る50.6に下方修正されたことでも低リスク通貨の円に対してドルが売られた影響では、昨夜22時52分頃にドルは円相場で一時143円54銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、続いて昨夜23時に発表された最新米国重要経済指標の4月米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマジネジメント協会) 非製造業景況指数は、前回の50.8と市場予想の50.2を上回る51.6に上振れしたことを受けては、米国景気懸念が緩和し、市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定売りとドルの買い戻しが起き、発表時のドルは円相場で一時144円1銭付近に上昇した。
また、安全資産の米国債売りも起きた影響で、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.370%付近に向けた上昇を始めたため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いも入り、午前1時42〜43分頃と午前1時47〜50分頃と1時55分頃にも対ドル円相場は一時144円23銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国関税政策の先行き不透明感への警戒感や金利警戒感などがあり、一時上昇後の米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) が反落を始めたほか、米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が利益確定後のマイナス圏で推移し、米国主要株価三指数が揃って前日比で安値の終値に向けると、株価リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円買いが入り、ドルは円相場で何度も上抜けをできなかったこともあって天井を打つ形で143円台に向けて反落した。
ただし、米国政府のスコット・ベッセント財務長官は、「ドナルド・トランプ米国大統領の経済計画は、一層の雇用、住宅、経済成長、工場、主要な製造工場、半導体、エネルギー、防衛、経済安全保障、イノベーションなどにつながるだろう」と前向きな発言でフォローしており、金融市場も、「過去の金融危機やコロナ禍を乗り切ってきた」ことを指摘した上で、「米国経済は、打撃を受ける度に以前よりもさらに力強く立ち上がる」と堅調さを強調し、「関税、減税、規制緩和は長期投資を促進する鍵」と述べたほか、中国政府関係者との交渉についても、「今後、数週間で進展が見られる可能性」があるとし、「貿易に関するいくつかの取引成立が非常に近い」などの発言をしたことが報じられたことはやや抵抗になったが、今夜から始まる5月6〜7日の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を控えたイベントリスクの影響による利益確定や持ち高調整のドル売りも入っていたことではドルの対円の抵抗幅は限られていた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の143円54銭付近から、円の安値でドルの高値の144円23銭付近の値幅約69銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は143円70銭付近と、前営業日同時刻の144円96銭付近の前ニューヨーク終値比で約1円26銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝のアジア・オセアニア市場では、ゴールデンウィークの振替休日の日本市場と韓国市場が休場で世界市場全体の流動性が減少していたが、時間帯の近い世界FX市場では、今朝9時頃の今日の東京外国為替市場の始値相当時間の対ドル円相場は一時143円71銭付近であった。
世界市場では、今朝早朝に反落していた米国ダウ先物が買い戻しの影響で一時プラス圏に転じた時間があった影響では、低リスク通貨の円が売られてドルが円相場で反発し、今朝10時31分頃にドルは円相場で一時144円28銭付近と、今日の日本市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録したが、再び反落してマイナス圏に向け始めると、株価下落時のリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が買い戻されてドルも円相場で反落を始めた。
午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入では、ドイツ議会の第1回独首相指名投票で2月の総選挙で第1党になっていた独キリスト教民主・社会同盟 (CDU/CSU) のフリードリヒ・メルツが過半数を獲得できなかった模様と報じられたニュースの影響があり、欧州ユーロ圏主要国ドイツの政治不透明さへの懸念により欧州ユーロに対して低リスク通貨の円相場が上昇した外貨影響が波及したほか、米国ダウ先物が夕方に下落幅を拡大した影響もあって円買いドル売りが勢いを増し、午後16時40分頃と16時45分頃にドルは円相場で一時143円21銭付近と、今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の4月仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値が、前回と市場予想の46.8を上回る47.3に上方修正されたことに続き、午後16時55分のドイツの4月独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回と市場予想の46.8を上回る47.3に上方修正され、今夜17時の4月欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回と市場予想の49.7を上振れし、景気ボーダーラインの50を超えた50.1に上方修正された影響では、欧州ユーロの買い戻しも混ざり、ドルも円相場で一時やや下げ渋る抵抗を見せた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は143円32銭付近で、世界市場の昨夜17時の144円35銭付近と比較すると約1円3銭の円高ドル安で、日本市場の連休前の先週金曜日17時の145円13銭付近の前東京終値比では約1円81銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定と米国債入札予定があり、日本市場の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に3月米国貿易収支と、26時に米国10年債の入札予定を控えている。
なお、今夜5月6日から米国現地時間の明日5月7日 (時差先行の日本時間では翌朝におよぶ) に、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) のイベントを控えているため、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長や高官達は要人発言自粛中のブラックアウト期間となっている。
また、日本はゴールデンウィークであっても海外市場では平日営業中の市場が多いため、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、米国関税交渉などを含む経済と政治影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値相当時間は162円51銭付近と、世界市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の163円33銭付近と比較すると約82銭の円高ユーロ安で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の164円37銭付近の前東京終値比では約1円86銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、今日は米中関税交渉進展への期待感の後退を受けたリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いの影響が波及し、世界的流動性が高いドルに対してだけでなく、欧州ユーロや英国ポンドなどに対しても円相場が上昇していた。
その影響などから、英国ポンドも今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値相当時間は190円91銭付近と、世界市場の前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の191円73銭付近と比較すると約82銭の円高ポンド安で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の192円97銭付近の前東京終値比では約2円6銭の大幅な円高ポンド安であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値相当時間は1.1339ドル付近で、世界市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1315ドル付近と比較すると約0.24セントのユーロ高ドル安で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.1325ドル付近の前東京終値比では約0.14セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、米中関税交渉進展期待後退の影響やイベントリスクも相まって、ドルは円相場だけでなく欧州ユーロなどの他の主要通貨に対しても売られていた。
なお、その後の欧州市場で今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の3月欧州卸売物価指数 (PPI / Producer Price Index) は、前月比は前回の0.2%と市場予想の−1.4%を下回る−1.6%で、前年同月比も前回の3.0%と市場予想の2.5%を下回る1.9%に下振れしたことでは、上昇後の欧州ユーロは対ドルで反落を見せている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月6日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時0分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時0分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:00の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 143.31 〜 143.32 | −1.82 (円高) |
ユーロ/円 | 162.10 〜 162.11 | −2.27 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1309 〜 1.1311 | −0.0016 (ドル高) |
英ポンド/円 | 190.81 〜 190.87 | −2.16 (円高) |
スイスフラン/円 | 173.51 〜 173.57 | −1.92 (円高) |
豪ドル/円 | 92.35 〜 92.39 | −0.74 (円高) |
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