FXニュース:米インフレ指標発表控え
2025年9月10日
東西FXニュース – 2025年09月10日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米雇用統計改定下方推計
- 米主要株価三指数が続伸
- 米長期金利が下げ幅縮小
- 日経平均株価最高値更新
- 仏首相後任に国防相指名
- 欧ロシア機地政学リスク
今日2025年9月10日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円27銭付近から、円の高値でドルの安値の147円59銭付近の値幅約32銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円49銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円23銭付近の前東京終値比で約26銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了直後の昨夜17時15分頃の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場時間に、米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) の「日銀 (日本銀行 / BoJ / Bank of Japan) は政治混迷でも年内利上げ排除せず、今月は政策維持へ-関係者」というニュース記事が市場で話題になり、自民党の石破茂首相の辞任表明後に来月10月4日の総裁選を控えた日本政治の先行き不透明感により一時は後退していた日銀の今年年内追加利上げ予想が再び意識されたことで円が主要通貨に買われて上昇し、昨夜18時55分頃に対ドルの円相場は一時146円31銭付近に上昇したが、時間外の米国債券市場では米国債券価格上昇後の売り影響などで米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が下げ幅を縮小しており、昨夜20時54分頃にドルも円相場で一時146円77銭付近に反発して下げ幅を縮小し始めていた。
欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円73銭付近の始値で、昨夜21時台に米国長期金利は一時4.077%付近と、前日の米国債券市場終了時の一時4.041%付近からの下げ幅を縮小していたため、債券利回りの金利差トレードの影響によりドルは円相場で昨夜21時40分頃には一時147円4銭付近と147円台に戻し始めていたが、昨夜23時には最近修正が相次いでいたことから市場で警戒感のあった米国労働統計局 (BLS / Bureau of Labor Statistics) の米国雇用統計の2026年2月の正式公表前の年次改定暫定値の発表を控えていた時間であったことはドルの上値を抑えて円相場で再び146円台後半に戻し、発表1分前の昨夜22時59分頃のドルは円相場で一時146円87銭付近の推移を見せていた。
米国労働統計局 (BLS) は年に1度、3月時点の米国雇用者数を見直すが、昨夜23時に発表された米国雇用統計の年次ベンチマーク (Benchmark / 基準) 改定暫定値では、現時点での推計値で今年2025年3月時点の米国就業者数が91万1000人程度の下方修正になる可能性が高いことが示唆され、ベンチマーク改定は速報性には欠けるものの四半期米国雇用賃金調査 (QCEW / Quarterly Census of Employment and Wages) を基に算出されるため正確性は高いと考えられており、確報値の正式発表は来年2月に予定されているが、事前の金融機関のエコノミスト達の市場予想には幅があったが、米国ウェルズ・ファーゴと米国コメリカ銀行と英国パンテオン・マクロエコノミクスなどは約80万人付近の下方修正の予想値を出しており、その一方で米国バンク・オブ・アメリカと加ロイヤル・バンク・オブ・カナダと日本の野村証券などは100万人近くにも達する可能性もあるとの警戒感を示していたため、一部の80万人予想よりも悪化したことでは主要通貨に対するドル売りが先行し、昨夜23時の発表時にドルは円相場で一時146円62銭付近と、昨夜の米国市場における円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、一部で警戒されていた100万人近くの下方修正の予想ほどの悪化は見せなかったことでは、すぐにドルの買い戻しが入り始めてドルは円相場で反発上昇し、発表の数分後の昨夜23時3分頃には一時147円7銭付近と、再び147円台に乗せ始めた。
同時進行中の世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場では、深夜24時の金価格値決めなどのロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けた主要取引通貨でもあるドル買いが入ったほか、米国ニューヨーク債券市場でも、午前2時の米国3年債入札を前にした持ち高調整もあって世界的な安全資産の米国債売りの影響などにより、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が深夜24時台の一時4.091%付近に向けて上昇した債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いも入ったため、深夜24時16分頃にドルは円相場で一時147円35銭付近と、昨夜17時の一時147円23銭付近の前東京終値比で小幅な円安ドル高への市場反転を見せ始めていた。
また、米国雇用統計年次改定暫定値の下方修正を受けては、来週9月16~17日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ予想が優勢で、米国政策金利への警戒感緩和により、米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が一時の下押し後に揃って反発上昇して続伸の終値に向けたほか、米国S&P500種株価指数 (S&P500) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ) が史上最高値を更新した株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) による低リスク通貨の円売りも入った株価影響により、米国株式市場で米国主要株価三指数が揃って高値引けした後の午前5時11分頃にはドルは円相場で一時147円47銭付近と、昨夜から今朝までの米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。
なお、欧州ユーロ圏のフランスでは、先日の仏内閣不信任票を受けて、フランソワ・バイル元仏首相がすでに辞表を提出しており、エマニュエル・マクロン仏大統領が、仏中道右派重鎮のセバスチャン・ルコルニュ国防相を新たな仏新首相に指名したニュースがあったが、仏与党連合が主導権を失った仏議会での予算案成立が難航する可能性などの仏政治の先行き懸念による欧州ユーロ売りで世界的に流動性が高い対ユーロの安全資産でもあるドルが買われた外貨影響も円相場に波及していたが、世界的な安全資産でもある米国債の買い戻しも入っていた影響では、今朝6時頃のニューヨーク終値時点の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.087%付近に留まっており、前東京終値比では小幅な円安ドル高に転じていたが、前ニューヨーク終値比ではこの時点ではドルは円相場で小幅な円高ドル安の範囲に留まっていた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の146円62銭付近から、円の安値でドルの高値の147円47銭付近の値幅約85銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円41銭付近と、前営業日同時刻の147円50銭付近の前ニューヨーク終値比では約9銭の小幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、米国雇用統計の年次改定の下方修正観測を受けて、一時10%前後の一部の米国大幅利下げ予想が市場で燻っていたほか、90%前後の米国小幅利下げ予想でも次回以降の段階的な米国追加利下げ予想が2回から3回へと市場で確定値と考えられている70%を超えた織り込み度に高まってきたことを受けて、今朝6時9〜10分頃にドルは円相場で一時147円28銭付近に売られたが、今夜この後と明日に最新米国インフレ指標の発表を控えていることでは、米国の雇用最大化と物価安定の二大責務を掲げる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国関税政策の影響などのインフレへの警戒感を示す可能性もあることからドルの買い戻しが入ったほか、時間外の米国債券取引で今朝8時44分頃の一時4.092%付近に向けて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、昨夜から今朝までの米国市場よりも上昇に向けたため、債券利回りの金利差トレードでもドルが買い戻されて、今朝8時35分頃にドルは円相場で一時147円46銭付近に反発していた。
今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円40銭付近の始値であったが、日本市場では本日10日は日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く五十日 (ごとおび / ゴトーび) にあたるため、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入り、仲値後の今朝10時29分頃にはドルは円相場で一時147円58銭付近に上昇した。
また、今日の東京株式市場では、今朝までの米国主要株価三指数続伸とうち二指数にあたる米国ダウと米国ナズダックが史上最高値を更新していたブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) の影響があり、今日の日経平均株価が上昇して始まり、プラス圏の推移を見せて日経平均株価も史上最高値更新に向けた日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンによる国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りの影響もあった。
日本政治の先行き不透明感への警戒感も燻っていたが、自民党は今日の午前中の臨時総務会において、先週末に辞任を表明していた石破茂首相の後任選出の総裁選について、昨日の朝の観測報道にあった通りのフルスペック方式の9月22日告示で10月4日投開票の日程を正式に確定して昼のニュースになったことでは、正午12時45分頃に時間外の米国債券市場で米国長期金利が一時4.088%付近にやや下押ししていた時間でもあったことなどから、正午12時46分頃にドルも円相場で一時147円27銭付近に下押しし、今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今日の日経平均株価はプラス圏で上昇を続けており、午後に上昇幅を拡大して終値ベースの史上最高値を更新した株価上昇時のリスク選好のリスクオンでは、低リスク通貨の円売りが勢いを増して円相場が反落したため、ドルは円相場で反発上昇しており、午後15時30分頃に今日の日経平均株価が4万3837円67銭の終値をつけ、前日比378円38銭高の+0.87%で大引けし、午後15時59分頃に対ドル円相場は一時147円59銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
午後からの欧州市場に続き、夕方から英国ロンドン外国為替市場が参入すると、午後15時33分頃に一時4.094%付近に上昇していた米国長期金利が、世界的な安全資産の米国債買いの影響で上昇幅を縮小し、今夜17時頃の一時4.085%付近に向けた債券利回りの金利差トレードの影響では、市場高値後のドルは上昇幅を縮小したが、前日よりは上昇していたことではドルは円相場で前東京終値比の今日の円安ドル高の東京終値に向けていた。
この一因には、現地ニュースでロシアのドローン(Drone / 無人機)がウクライナと隣接する地域のある欧州連合 (EU / European Union) 加盟国のポーランドの上空へ侵入したニュースが報じられたことを受けた地政学リスク警戒による安全資産の欧米国債買いの影響があり、これに先立ち、昨日も米国政府のドナルド・トランプ大統領が、先日にもウクライナの首都キーウで政府主要庁舎が初の被害を受けたことなどに警戒感を示し、ウクライナ各地への空爆の規模を拡大したロシアに対するロシア制裁強化の警告をしており、数日中にロシア政府と話し合いの機会を持つとしながらも、ロシア制裁の同調を欧州にも呼びかけていたことへのロシア側からの警告である可能性などへの警戒感が燻った。
このため、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円49銭付近で、昨日17時の147円23銭付近の前東京終値比では約26銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に米国インフレ関連の最新経済指標の8月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) の発表があり、市場では明日の重要インフレ指標の8月米国消費者物価指数を控えた先行指標的な注目を集めているほか、今夜23時に7月米国卸売売上高と今夜23時30分の米国週間原油在庫が発表され、26時には金利差トレードに影響を与えやすい米国10年債入札予定なども控えている。
また、世界の株式市場と債券市場と金 (ゴールド) や原油先物価格などを含むコモディティ市場などの為替相場への影響と、ウクライナや中東などの世界情勢や日仏を含む世界の政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共にFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
なお、来週9月16~17日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) のビッグイベントを控えて、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官達は、今週は発言自粛期間のブラックアウト入りしているが、米国政府のドナルド・トランプ大統領など政府関係者の要人発言には注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は172円60銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の173円3銭付近の前東京終値比では約43銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、欧州ユーロ圏の仏政治財政の先行き懸念に加えて、今日はウクライナと隣接する地域がある欧州連合 (EU) 加盟国のポーランド上空に、ロシアの無人ドローンが侵入したニュースを受けて、地政学リスクへの警戒感による欧州ユーロ売りがあり、それに対して世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルや低リスク通貨の円買いが入った。
そのため、ユーロドルも、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1703ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1753ドル付近の前東京終値比で約0.50セントのユーロ安ドル高であった。
欧州ユーロ圏と地理的・経済的に近いことから影響を受けやすい英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円60銭付近で、昨日の夜17時の199円73銭付近の前東京終値比で約13銭の円高ポンド安だった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年9月10日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時8分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時8分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:08の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
ドル/円 | 147.50 〜 147.51 | +0.23 (円安) |
ユーロ/円 | 172.54 〜 172.55 | −0.49 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1696 〜 1.1698 | −0.0057 (ドル高) |
英ポンド/円 | 199.66 〜 199.72 | −0.07 (円高) |
スイスフラン/円 | 184.84 〜 184.90 | −0.64 (円高) |
豪ドル/円 | 97.41 〜 97.45 | +0.15 (円安) |
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