FXニュース:米院トリプルレッド警戒
2024年11月11日東西FXニュース – 2024年11月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米国債利回りドル円調整
- 米消費者態度指数が上昇
- 日銀主な意見影響円相場
- 米長期金利の先高観影響
- 日首相再選市場予想通り
- 独政治懸念のユーロ売り
今日2024年11月11日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の152円87銭付近から、円の安値でドルの高値の153円66銭付近の値幅約79銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は153円61〜63銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の152円63〜64銭付近の前東京終値比では約98銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の先週金曜日の夜18時台の英国ロンドン外国為替市場では、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国小幅利下げを発表後に次回12月の米国連続小幅利下げ予想が優勢であった影響や欧州ユーロ圏主要国ドイツの政治懸念の影響などでは、時間外の米国債券市場で世界的な安全資産である米国債が買われて米国債券価格上昇時の利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.295%付近に低下して一時4.3%台を割り込んだため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが入り、先週金曜日の夜19時7分頃と20時頃にドルは円相場で一時152円14銭付近に売られていた影響では、先週金曜日の夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時152円37銭付近の始値で、先週金曜日の夜22時2分頃の一時152円33銭付近が米国市場での円の高値でドルの安値となっていた。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、米国主要株価三指数がプラス圏付近の推移を見せた影響もあり、債券価格上昇後の安全資産の米国債の利益確定売りの抵抗が入り、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反発して再び4.3%台に乗せて推移した日米金利差トレードの影響があり、低リスク通貨の円の利益確定売りで投資実需もあるドルの買い戻しが入った影響では、先週金曜日の夜23時13分頃にドルは円相場で一時152円85銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、先週はトランプ・トレードで一時154円台の円安ドル高進行後に日本政府の円安牽制の口先介入があり、海外市場時間をターゲットにした日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入への警戒感があった影響では、米国市場が祝日連休の週末前ということもあり連休を控えたドルの利益確定や持ち高調整の影響では、この日の米国市場でのドルの買い戻し幅は限られていた。
そのため、先週金曜日の深夜24時には最新米国経済指標の11月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値が発表され、前回の70.5と市場予想の71.0を上回る73.0に上昇したが、利益確定や持ち高調整の抵抗を交えていた中では、発表時のドル買いは一時152円78銭付近と、前述のこの日の米国市場のドルの高値には届かなかった。
また、深夜過ぎまでは米国ニューヨーク株式市場で、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) はプラス圏の上昇トレンドであったが、前営業日に大幅続伸していた米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も利益確定売りの影響で一時反落し、前営業日比で一時マイナス圏に転じていた時間があったことも、一部の米国株式銘柄下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円が買われる値動きに影響を及ぼしていたが、深夜24時35分以降は米国ナズダックもプラス圏の推移に切り替わったことでは、米国主要株価三指数が揃って上昇したことを受けては、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整も入ったことでは、先週土曜日未明の午前2時18分頃と午前3時45分頃にドルは円相場で一時152円81銭付近まで買い戻された。
ただし、米国ニューヨーク債券市場では、先行していた世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場の終了後にも世界的な安全資産の米国債買いの影響が残り、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は4.3%台を回復後にも、先週末のニューヨーク終値時点には一時4.306%付近と、前営業日比-0.022と利回りが低下しており、債券利回りを受けた金利差トレードで、日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響がまだ残っていたことでは、円相場が反発し、ドルは円相場で152円台中盤付近に戻したニューヨーク終値に向けていた。
このため、先週金曜日の夜22時頃から先週土曜日の朝6時55分頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の152円33銭付近から、円の安値でドルの高値の152円85銭付近の値幅約52銭で、先週土曜日の朝6時55分頃のドル円のニューヨーク終値は152円64銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の152円94銭付近と比べると約30銭の円高ドル安をつけて週末を迎えていた。
週が明け、今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時50分には、前回10月30〜31日開催分の日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合における主な意見が公開され、「米国経済確認で一時的に様子見後、追加利上げを」という一部のタカ派の意見があった一方で、具体的な日銀の追加利上げ時期が示されていなかったことでは、次回の早期の日銀追加利上げ予想がやや後退した。
また、同時発表の日本の最新経済指標の9月の日本国際収支では、季調前の経常収支が前回の3兆8036億円と前回上方修正の3兆9331億円と市場予想の3兆4327億円を大幅に下回る1兆7171億円で、季調後の経常収支も前回の3兆165億円と前回上方修正の3兆1459億円と市場予想の2兆9863億円を下回る1兆2717億円に低下していた。
9月の日本国際収支でより重視される貿易収支は、前回の-3779億円から-3152億円に貿易赤字額が前回よりは減少していたものの、市場予想の-662億円を大幅に下回ったことを受けては円売りが入り始めたため、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時152円91銭付近と円売りが先行して始まり、開場直後の今朝9時1分頃の一時152円87銭付近が今日の日本市場での円の高値でドルの安値となり、今日の日本市場では対ドルの円相場が下落を続けた。
また、今日の東京株式市場では、先週末に日本企業の主要取引先の米国主要株価三指数が揃って高値の終値をつけていた影響もあり、一時の反落後にも今日の午後15時30分頃には日経平均株価が3万9533円32銭の終値をつけて前営業日比32円95銭高の小幅高で大引けしたことでも低リスク通貨の円需要が低かった一方で、日本企業からは先週のトランプ・トレードの影響で先高観が出ていたドル需要は高かったことでも円安ドル高に傾いた。
今夜この後の米国市場は、復員軍人の日や退役軍人の日と訳されるベテランズ・デー (Veterans Day) の祝日で休場予定ではあるが、先週の米国大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ前大統領の次期の敗者復活政権が確定後に、大統領と米国上下両院の3つを赤がシンボルカラーの共和党が多数派として独占するトリプルレッド (Triple Red) の可能性を指摘した先週末の観測報道を受けた週明けの世界ニュースの影響から、次期トランプ政権の公約の財政拡張案や関税増税などが両議会を通りやすくなるなどの米国インフレ再燃への警戒感が世界市場で高まり、米国長期金利の先高観から主要通貨に対するドル買いが進んだ。
ただし、欧州市場ではドイツの政治懸念がある一方で、今日の衆院本会議では日本の首相指名の決選投票で市場予想通りに石破茂首相が再選したことでは、やや円の買い戻しの一時抵抗も混ざっていた。
しかし、今日の金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、次回12月17〜18日開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Reserve Board) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時64.9%付近と、市場で確定値と考えられている70%を下回った一方で、次回の米国金利据え置き予想値は一時35.1%付近に上昇した影響があり、主要通貨へのドルの買い戻しが進み、円相場だけでなく欧州ユーロなどに対してもドルが買われた外貨影響の波及ではドルは円相場で153円台に向けて上昇を続け、夕方の欧州市場参入時の対ユーロのドル買いで外貨影響の波及が勢いを増した対ドル円相場は、夕方の16時58分頃にドル円は一時153円66銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
英国冬時間になり、欧州市場よりも時差遅れで東京終値の17時頃から本格参入した英国ロンドン外国為替市場でもドル売りが先行し、今夜その後の17時30分頃の一時153円85銭付近に向けた上昇を見せ始めていたが、それ以前の今夜17時に東京終値を迎えた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は153円61〜63銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の152円63〜64銭付近の前東京終値比では約98銭の円安ドル高になった。
なお、今夜この後の米国市場は祝日連休で休場のため、最新米国経済指標の発表予定などはないが、時間帯の近い世界市場では欧州のポーランドと北米のカナダも休場のため、市場流動性の減少時には少しの値動きでも大きく出やすくなることにはやや注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円22〜24銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の165円50〜51銭付近と比べると約1円28銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、欧州ユーロ圏主要国ドイツの政治的混乱の警戒感から、政治リスク回避で欧州ユーロが世界的に流動性の高いドルや低リスク通貨の円に対して売られた影響があり、円だけでなくドルに対するユーロ安が波及したことで大幅な円高ユーロ安になっていた。
その一方で、今日の午後には日本の衆参両院が本会議で自民党総裁の石破茂首相を第103代日本首相に指名し、与党が過半数議席を持たない衆院での首相指名選挙は30年ぶりとも言われる決選投票となったが、市場予想通りに石茂破首相が立憲民主党の野田佳彦代表を上回ったことで、日欧の政治的安定性の比較もあり、今日の夕方の欧州市場では、ドルに対するユーロ売りに加えての円に対するユーロ売りの為替相場への影響が観測されていた。
先週にも、米国の対中関税強化予想により、欧州連合の主要取引である中国が欧州市場への輸出拡大を増やす懸念もあり欧州景気懸念が出ているが、先週は欧州ユーロ圏主要国のドイツのオラフ・ショルツ首相がクリスティアン・リントナー財務相を解任し、独連立政権崩壊後の選挙時期について3月の総選挙実施を目指す意向を示していたが、世論調査では有権者の3分の2が早期の選挙実施を望み、経済団体も政治的混乱の終結を求めていることなどから1月の選挙実施への圧力が高まっており、「早期総選挙の実施時期について話し合う用意がある」との見解を示したというニュースがあり、欧州ユーロ圏主要国ドイツの政治的混乱への警戒感がユーロ安に繋がった。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0687〜1.0689ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.0776〜1.0778ドル付近と比べると約0.89セントのユーロ安ドル高であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は198円12〜18銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の197円83〜89銭付近と比べると約29銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、先週の英国小幅利下げ発表時に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) が英国物価見通し上昇率を上方修正したことでは次回の英国利下げペース鈍化予想が出ており、米国長期金利の先高観を受けた主要通貨に対するドル買いの影響の中でも欧州ユーロや円と比較すると英国ポンドの下げ幅の方が限られていたことなどがポンド円の為替相場に影響を及ぼしていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年11月11日の日本時間(JST)20時35分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時35分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間が終了し、世界市場では欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間の日本との時差となっている。
通貨ペア | JST 20:35の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 153.73 〜 153.75 | +1.10 (円安) |
ユーロ/円 | 163.82 〜 163.83 | −0.68 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0655 〜 1.0657 | −0.0121 (ドル高) |
英ポンド/円 | 198.03 〜 198.09 | +0.20 (円安) |
スイスフラン/円 | 174.77 〜 174.83 | −0.04 (円高) |
豪ドル/円 | 101.16 〜 101.20 | −0.39 (円高) |
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