FXニュース:米長期金利上昇4.4%台

2024年7月01日
FXニュース:米長期金利上昇4.4%台

 

東西FXニュース – 2024年7月01日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米物価指数予想通り鈍化
  • 米景気指標は想定上振れ
  • 米大統領選の景気刺激策
  • 四半期末の欧米買い戻し
  • 日銀企業景況感改善株高
  • Q1国内実質GDP下方修正
  • 仏総選挙ほぼ想定範囲内

今日2024年7月1日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の160円73銭付近から、円の安値でドルの高値の161円19銭付近の値幅約46銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は161円1〜2銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の160円91〜92銭付近の前東京終値比で約10銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、先週の日本市場で1986年12月以来の一時161円28銭付近の円安ドル高を記録後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、四半期末でもある6月末の利益確定と持ち高調整で欧英通貨の買い戻しが進んだため、欧英市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時160円65銭付近の始値で、先週金曜日の夜21時30分に発表された最新米国経済指標の5月の米国個人所得の前月比は前回の0.3%と市場予想の0.4%を上回る0.5%であったことでは瞬時160円67銭付近に反発したものの、同時発表の5月の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditure) は、前月比が前回の0.2%と前回下方修正の0.1%と市場予想の0.3%に対し0.2%と市場予想を下回り、より重要度が高い5月の米国個人消費支出 (PCE) 物価指数の米国PCEデフレーターの前年同月比が前回の2.7%に対し市場予想通りの2.6%に鈍化し、食品とエネルギーを除いて物価基調を見る米国PCEコア・デフレーターも、前月比が前回の0.2%と前回上方修正の0.3%に対し市場予想通りの0.1%に鈍化し、前年同月比も前回の2.8%に対し市場予想通りの2.6%と、米国重要インフレ指標が鈍化を示したことでは主要通貨に対してドル売られ、ドルは円相場で発表の瞬間に一時160円36銭付近への急落を始め、先週金曜日の夜22時41分頃に一時160円26銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

米国PCEコア・デフレーターは、米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官達が重視している米国重要経済指標の一つであるため、これまでに発表された他の最新米国重要インフレ指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) などの鈍化の確信を高めることになる可能性があることから、今年年内の米国利下げ予想が強まり、発表前の先週金曜日21時25分頃には一時4.305%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、発表後の先週金曜日22時15分頃には一時4,265%付近にまで急落していたため、債券利回りを受けた日米金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル買いなどが影響を与えていた。

しかし、米国ニューヨーク債券市場では、その後の米国長期金利は反発を見せ始めていたことに加えて、先週金曜日22時45分に発表された景気関連の最新米国経済指標の6月の米国シカゴ購買部協会景気指数は、前回の35.4と市場予想の40.0を大きく上回る47.4と堅調で、続いて先週金曜日23時に発表された6月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値も前回の65.6と市場予想の65.8を上振れする68.2と好調であったため、景気要因の米国インフレ圧が意識されて米国長期金利は大幅に反発上昇して深夜過ぎの一時4.338%付近に向かい、日米金利差拡大時の円売りドル買いが起きてドルは円相場で反発上昇を始めた。

また、同時進行していた四半期末の月末決算市場の英国ロンドン市場では、世界最大規模の金価格値決めなどがある深夜のロンドン・フィキシング (London Fixing) に絡む主要取引通貨のドル買いフロー (Flow) が観測されたことも、市場でショートに傾いていたドルのショートカバーも合わせたドル買いが、米国長期金利上昇時の主要通貨に対するドル売りと重なった影響で、深夜24時7分頃にドルは円相場で一時160円96銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、英国市場終了後も同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、四半期末の月末決算に向けた投資系の利益確定の株売りの影響などで、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が揃って下落の終値に向けたことでは、やや低リスク通貨の円買いによる株安リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の抵抗も混ざった。

しかし、先週金曜日の日本時間の朝から世界同時中継されていた米国大統領選のテレビ討論会では、民主党のジョー・バイデン現大統領の健康懸念が深まった一方で、共和党のドナルド・トランプ前大統領がアメリカ・ファーストの景気刺激策や高額の輸入関税を取るなどの米国インフレ再燃を警戒させる発言などをした上で、討論後の世論調査で優勢に立っていたことでは、米国の景気要因と合わせた米国のインフレ再燃への警戒感が強まっていた。

また、長期データを注視することが知られている米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定や、そのパウエル議長が重視している最新米国雇用統計の発表予定のイベントを週明けに今週に控えていることもあり、米国ニューヨーク債券市場の四半期末の米国債売りの影響もあって米国長期金利の上昇は続き、先週土曜日の早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時間には米国10年債の利回りは4.398%と、4.4%台方向への上昇トレンドであったことでは、日米金利差拡大による円安ドル高の影響が継続しており、世界市場でも1999年に欧州ユーロが導入されて以来の史上最大の円安ユーロ高を更新する円売りトレンドの波及や、欧米との日本の現行の政策金利の違いもあって低金利通貨の円が売られていた影響も波及しており、ドルは円相場で利益確定や持ち高調整を交えながらも底堅さを見せていた。

このため、先週金曜日の夜から土曜日の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の160円26銭付近から、円の安値でドルの高値の160円96銭付近の値幅約70銭で、先週土曜日の朝6時頃のニューヨーク終値は160円88銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の160円76銭付近と比べて約12銭の円安ドル高をつけて週末を迎えていた。

週が明けた今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、昨日6月30日の欧州ユーロ圏のフランスの総選挙の第1回投票で、市場予想通りに極右政党の国民連合 (RN) が優勢で、左派連合の新人民戦線(NFP)が続き、エマニュエル・マクロン大統領の中道連合は劣勢の見込みであるというニュースが話題になったが、ほぼ市場予想通りの内容であったことでは、過度な欧州政治懸念が後退し、欧州ユーロが買い戻された影響で、史上最大の円安ユーロ高が進行した影響が、ドルなどの他の主要通貨にも波及していた。

午前8時50分には、今日の日本市場に先立って日本の最新重要経済指標の発表があり、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の4〜6月期の日銀短観・四半期大企業製造業業況判断 (DI) は前回と市場予想の11を上回る13と堅調で、先行きも前回の10と市場予想の11を上回る14と更なる改善が見込まれたが、業種別では繊維や紙・パルプ、石油・石炭などが改善した一方で、鉄鋼や機械と造船・重機、食料品、自動車などは弱かった。

同四半期の日銀短観・四半期大企業非製造業業況判断では、前回の34に対し市場予想通りの33に低下し、先行きも市場予想の28を下回る前回横ばいの27であったことではやや強弱が入り混じり、同四半期の日銀短観・四半期大企業全産業設備投資の前年度比は、前回の4.0%と市場予想の13.8%に対し11.1%と、市場予想に届かなかった。

また、今朝には日本政府の内閣府が1〜3月四半期の日本国内実質総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の再改定値を発表したが、物価変動を除く実質前期比は−0.7%で年率換算も−2.9%減と前改定値から下方修正されたことも、日銀 (BoJ) の早期の追加利上げ予想の後退に繋がっていた。

今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時160円92銭付近の始値と、先述の欧州ユーロに対する円安の影響の波及などもあり、先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の終値時点よりも円安ドル高が進行していたことでは、利益確定と持ち高調整の円の買い戻しの抵抗が入ったことでは、今朝9時22分頃に対ドル円相場は一時160円73銭付近にまで反発した。

ただし、今日の東京株式市場では、今朝の日銀短観・四半期大企業製造業業況判断の前回よりも上昇と好景気予想などの影響があり、今朝の日経平均株価が一時は大幅に上昇したため、リスク選好のリスクオン (Risk-on) では低リスク通貨の円売りで欧米通貨が買われたため、今朝9時台には日本市場の時間外の米国債券取引でも米国長期金利が一時4.423%付近に上昇したことから、日米金利差拡大による円売りドル買いでドルは円相場で反発上昇した。

さらに、今日は新四半期の月始めで、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いや、投資系の新四半期のポジション形成のための投資実需の円売りドル買いなども優勢であったため、今朝9時53分頃にはドルは円相場で一時161円19銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、上昇後の米国長期金利が米国債買いの影響や、先週末の米国個人消費支出(PCE)物価指数の米国PCEデフレーターの市場予想通りの鈍化の国内ニュースの影響もあり、昼過ぎの一時4.390%付近にまで反落した影響では、前営業日の先週金曜日の日本市場で記録した一時161円28銭付近の今年最大の円安ドル高の記録を上抜けできずにドルは円相場でやや反落したが、160円台後半で留まり、ドルの底値は堅かった。

今日の午後15時台には、日経平均株価が3万9631円6銭の終値をつけ、今朝の一時の大幅な上昇幅は縮めたものの、前営業日比47円98銭高で大引けしたことも、今朝ほどではないものの国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りトレンド継続の影響を与えた。

午後からの欧州市場の参入では、過度の欧州政治懸念の緩和による欧州ユーロに対する史上最大の円安ユーロ高進行の影響の波及などが続き、世界的な安全資産である米国債も売られたため、米国長期金利が再び反発上昇し4.4%台に向かった影響の日米金利差拡大もあり、英国ロンドン外国為替市場の本格参入後の夕方16時5分頃には、ドルは円相場で一時161円12銭付近と再び161円台に買い戻されていた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は161円1〜2銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の160円91〜92銭付近の前東京終値比で約10銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時45分に6月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値と、今夜23時に米国景気関連の最新重要経済指標の6月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米供給管理協会) 製造業景況指数と、5月の米国建設支出などの発表を控えている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は173円17〜18銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の172円11〜13銭付近と比較すると約1円6銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の通り、昨日のフランス国民議会の下院選挙の第一回投票では、市場予想通りに極右の国民連合 (RN) の得票率が首位になる見通しになったものの、ほぼ市場予想通りの内容で、過度の欧州政治懸念が緩和されたことでは、主要通貨に対する欧州ユーロの買い戻しが進み、今日は1999年の欧州ユーロ導入以来の一時173円47銭付近の円安ユーロ高が債券市場の日欧金利差拡大もあり進行したほか、日経平均株価上昇時のリスクオンや、欧州市場でも欧州主要株価が一時史上高値圏を記録するなどの円売りユーロ買いなどの影響もあり、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに対しても、今日の日本市場の終値時点では前営業日比でユーロ高ドル安になった影響がユーロ円にも波及した。

そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0753〜1.0755ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0695〜1.0697ドル付近と比べると約0.58セントのユーロ高ドル安であった。

今日の夕方の16時50分から17時かけて発表された欧州ユーロ圏のフランスとドイツと欧州ユーロ圏総合の6月の製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も、景気ボーダーラインの50以下ではあるものの前回と市場予想を上回り改善されたこともやや好感されていたが、今夜この後の21時にはドイツの6月の独消費者物価指数 (CPI)の速報値の発表予定を控えているほか、28時頃からは欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の要人発言予定もあることには、やや注意が必要である。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は203円94銭〜204円0銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の203円45〜51銭付近と比べて約49銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、前営業日に続き、欧州ユーロやドルや豪ドルなどの主要通貨への歴史的な円安進行の影響が英国ポンドにも波及したほか、日英金利差なども意識されていたため、英国ポンドに対しても、2008年以来の204円台の円安ポンド高が進行している。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月1日の日本時間(JST)20時1分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時1分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 20:01の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 161.11 〜 161.13 +0.20 (円安)
ユーロ/円 173.18 〜 173.19 +1.07 (円安)
ユーロ/ドル 1.0747 〜 1.0749 +0.0052 (ドル安)
英ポンド/円 204.18 〜 204.24 +0.73 (円安)
スイスフラン/円 178.73 〜 178.79 -0.11 (円高)
豪ドル/円 107.53 〜 107.57 +0.81 (円安)


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