FXニュース:米消費者物価指数発表を控え
2024年3月12日東西FXニュース – 2024年3月12日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米消費者予想インフレ率上昇
- 米長期金利反発で金利差拡大
- 日銀ETF下落時の購入見送り
- 金利警戒で日経平均株価続落
- 日銀総裁は3月修正慎重姿勢
- 今週の春闘第一回答集計予定
今日2024年3月12日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の146円62銭付近から、円の安値でドルの高値の147円60銭付近の値幅約98銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円34~35銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円72~74銭付近の前東京終値比で約62銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夕の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、昨日の東京株式市場で日経平均株価などが大幅に急落したにも関わらず、日本銀行 (日銀 / BoJ /Bank of Japan) が株価指数連動型上場投資信託 (ETF / Exchange Traded Fund) 買い入れによる株価支援をしなかったという異例の対応を指摘した米国ブルームバーグ (Bloomberg) などのニュース報道を受けて、海外市場ではこれまでの一連の観測報道を受けて高まっていた日銀の早期のマイナス金利解除予想や大規模緩和金融政策の修正予想が高まり、日銀のETF買い入れも終了に向かうのではという市場予想が加わったことで低リスク通貨の円が買われ、昨夜18時50分頃の英国ロンドン外国為替市場では対ドルの円相場が一時146円48銭付近にまで上昇し、昨日の日通しの円の高値でドルの安値を記録していた。
今月末の3月31日迄はまだ英国冬時間の英国ロンドン外国為替市場に対し、先週末の日曜日から米国夏時間のサマータイムになり日本との時差が1時間変わり日本時間の昨夜21時から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円64銭付近の始値で、7分後に一時146円62銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したが、米国ニューヨーク債券市場では米国3年債の入札予定を控えていたため、米国債の入札前の全般的な米国債売りの影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.08%台から一時4.11%台方向に向けた上昇トレンドであったため、実質的な日米金利差拡大より、日通し高値を記録後の円の利益確定売りとドルの買い戻しが始まっていた。
また、昨夜には米国ニューヨーク連銀の最新2月の米国消費者調査のニュースがあり、米国消費者予想のインフレ期待率の中央値は、1年先は3%の横ばいであったが、3年先のインフレ期待が2.7%に上昇、5年先は2.9%と半年ぶりの高水準に上昇し、米国インフレの根強さへの警戒感が高まり、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が今後のデータ重視で早期の米国利下げに慎重な姿勢を示していたことが意識され、今夜この後の翌米国市場では米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) が米国新政策金利や金融政策を決める上で重視している最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベント予定を控えているため、イベント前の早期の円の利益確定売りとドルの買い戻しが続き、昨夜23時46分頃にドルは円相場で一時147円15銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値にまで買い戻されていた。
一方で、米国ニューヨーク株式市場では、日経平均株価の大幅急落の影響もあり、米国主要株価三指数のうち、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) は前営業日比小幅高で終えたものの、S&P500種 (Standard and Poor’s 500) とナズダック総合 (NASDAQ Composite) が揃って小幅安となり、ナイトセッションの日経平均先物が続落した警戒感でもリスク回避のリスクオフ (Risk-off) により低リスク通貨の円が買われる値動きも混じったことでは円相場も反発したが、今夜の米国消費者物価指数 (CPI) 発表イベント前の早期の利益確定も混ざったことでは、米国長期金利が4.107%で終値をつけたこともあり、その後の終盤にはやや横ばいに近い様子見の値動きに転じた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の146円64銭付近から、円の安値でドルの高値の147円15銭付近の値幅約51銭で、米国夏時間になり日本時間で今朝6時頃になったニューヨーク終値は146円95銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の147円6銭付近と比べると約11銭の小幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の8時50分には日本の最新経済指標の発表があり、1〜3月の四半期の日本法人企業景気予測調査では、大企業全産業業況判断指数 (BSI / Business Survey Index) が前回の4.8から0.0に低下したほか、大企業製造業業況判断指数 (BSI) では前回プラス圏だった5.7からマイナス圏の-6.7に転じ、2023年1〜3月期以来4四半期ぶりのマイナスとなったが、製造業では自動車の品質不正問題の影響で景況感が落ち込んだことが指摘されており、4月以降はプラスに転じる見通しが出ていた。
同時発表だった2月の日本国内企業物価指数は、前月比が前回の0.0%と市場予想の0.1%に対し0.2%上昇し、前年同月比も前回の0.2%と市場予想の0.5%を上回る0.6%であったことでは、日本銀行 (日銀 / BoJ) の金融修正予想が意識されて円が買われた。
そのため、今朝9時頃の今日の日本の東京外国為替市場の対ドルの円相場の始値は一時146円73銭付近と米国市場の終値よりもやや上昇して始まった。
また、今日の東京株式市場でも、日経平均株価が一時500円以上の大幅な続落から始まったことを受けては、リスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが入り、今朝9時14分頃に対ドルの円相場は一時146円62銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買い注文が入り、ドルは円相場で反発を始めたことに加えて、一時4.09%台に下げた後の米国長期金利が再び一時4.10%台に戻したため、日米金利差トレードによる円売りドル買いも続いた。
今朝11時過ぎには、日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁が今朝の参議院財政金融委員会に出席し、今月3月18~19日開催予定の日銀金融政策決定会合における早期のマイナス金利解除や早期修正に関する連日の推測報道に対し、金融政策修正の可能性について特に肯定する姿勢を示さなかった慎重な姿勢がニュースになり、これまでにもマイナス金利解除後にも緩和的な金融政策が維持されるとの発言があったことなども改めて意識されたことでも、今夜この後の米国イベント前の早期の円の利益確定売りとドルの買い戻しがあり、ドルは円相場で147円台に上昇した。
今週の金曜日に春闘第一回答集計結果の発表予定を控えていることを踏まえて、日銀の植田総裁は、「2%の物価目標の持続的・安定的達成が見通せる状況になってきているかどうか、賃金と物価の好循環がどれくらいうまく回っているかということを中心に点検してきている」と、学者らしいデータ重視の慎重な姿勢を続けていた。
今朝は一時大幅続落だった今日の日経平均株価が、植田総裁の慎重姿勢もあって国内金利上昇警戒感がやや緩和された影響もあり、午後には下げ幅を縮めて一時小幅なプラス圏にも転じたことでも、低リスク通貨の円が売られたため、米国長期金利反発の影響もあって、ドルは円相場で午後14時47分頃に一時147円60銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、一時小幅プラス圏にまで反発した日経平均株価は、利益確定の影響もあり再び反落し、午後15時台に3万8797円51銭の終値と、前日比22円98銭安の小幅安ではあるものの続落となったことでは、再びリスクオフの低リスク通貨の円買いの抵抗も入った。
また、夕方の英国ロンドン外国為替市場の参入でも、今夜の米国重要経済指標の発表イベントを控えた結果が分かるまでの様子見や買い控えの値動きも混ざっていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円34~35銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の146円72~74銭付近の前東京終値比では約62銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や米国債入札予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に重要度の高い2月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントがあり、続いて26時に利回りが米国長期金利の指標となっている米国10年債の入札予定、27時に2月の米国月次財政収支の発表予定がある。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円7~8銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円53~54銭付近の前東京終値比では約54銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨日に一連の観測報道で主要通貨に対して大幅な円高が進んだ後の利益確定の影響が、今日は見られた。また、今日の東京終値の円安ドル高の影響も波及していた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0930〜1.0932ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0940〜1.0942ドル付近の前東京終値比で約0.10セントのユーロ安ドル高に、円相場同様にドルが反発していた。
なお、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の2月の独消費者物価指数 (CPI) 改定値は、前月比0.4%と前年同月比2.5%と揃って前回と市場予想一致の横ばいだった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円50〜56銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の188円45〜51銭付近の前東京終値比で約5銭の小幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、ドルや欧州ユーロ同様に主要通貨に対する高値後の円の利益確定売りの影響では円相場が下げたものの、今日の午後16時に発表された最新英国経済指標の2月の英国失業保険申請件数は前回の1.41万件と前回修正の0.31万件から1.68万件に悪化したほか、1月の英国失業率 (ILO方式) も前回と市場予想の3.8%から3.9%に悪化していたことでは、英国ポンドも売られたために小幅域になった。
なお、別方式で統計された2月の英国失業率は、前回と同じ4.0%であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月12日の日本時間(JST)20時26分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時26分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は今月末の3月31日からであるが、米国市場では先週末に米国冬時間が終了し、今週から米国夏時間 (EDT / JST-13) で日本市場や英国市場との時差が1時間変わったことには注意が必要である。)
通貨ペア | JST 20:26の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.38 〜 147.40 | +0.66 (円安) |
ユーロ/円 | 161.15〜161.16 | +0.62 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0933 〜 1.0934 | -0.0007 (ドル高) |
英ポンド/円 | 188.53 〜 188.59 | +0.08 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.16 〜 168.22 | +0.67 (円安) |
豪ドル/円 | 97.50 〜 97.54 | +0.40 (円安) |
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