FXニュース:日銀が大規模緩和を現状維持
2023年12月19日東西FXニュース – 2023年12月19日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日銀総裁の修正に慎重な発言
- 米FRB高官達の牽制発言続く
- 日経平均株価が大幅反発上昇
- 欧ECB仏中銀総裁発言の影響
今日2023年12月19日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の142円25銭前後から円の安値でドルの高値の144円25銭前後の値幅約2円0銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円20~21銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の142円38~39銭付近の前東京終値比で約1円82銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の円相場の値動きの主な要因は、今日の日本市場で正午前に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の金融政策決定会合が大規模緩和金融政策を現状維持し、午後の植田和男総裁記者会見の発言で早期のマイナス金利修正に慎重な姿勢を示した影響が大きかった。
今日の為替相場の時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、先週末の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の「時期尚早」という来年3月の早期の米国利下げ予想の牽制や、ハト派の米国アトランタ連銀のボスティック総裁も来年3回のハト派の市場予想に対し「来年の夏以降の2回の米国利下げを想定していた」等の発言に続き、昨夜も米国クリーブランド連銀のメスター総裁が英国経済紙に「市場は少し先走りし過ぎている。次の段階は利下げ時期ではなく、米国のインフレ率を目標の2%にするために金融政策をどの程度の期間維持する必要があるかだ」と発言し、同じく米国シカゴ連銀のグールズビー総裁も米国CNBCテレビの番組で「市場が決めつけていることに私は困惑している」と発言するなど、多数の高官達から先週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) 後の市場予想への牽制発言が相次いだことを受けて、市場では来年早期の米国利下げ予想が後退し、深夜頃に米国長期金利が3.96%台に上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢であった。
深夜24時に発表された最新米国経済指標の12月の米国全米住宅建設業者協会 (NAHB / National Association of Home Builders) 住宅市場指数も、前回の34に対し市場予想通りの37に上昇したこともドル買い要因となり、発表後の深夜23時56分にドルは円相場で一時143円16銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、その一方で、米国の利下げ転換時期よりも欧州中央銀行 (ECB /European Central Bank) の方が利下げにより慎重だった可能性も意識されていたことでは、米国長期金利の上昇の一服もあり、欧州ユーロ買いドル売りの影響が対ドル円相場にも抵抗として波及していたほか、今日の日本市場での日銀金融政策決定会合の発表イベントを控えた円の持ち高調整も進んでいた。
しかし、同時進行の米国ニューヨーク株式市場では、今週末から来週前半にかけたクリスマスのホリデー時期を控えたショッピングシーズンの好景気の影響などもあり、米国主要株価三指数が揃って再上昇を始めたことでも、リスクオン (リスク選好 / Risk-on) で低リスク通貨の円が売られてドルが買い戻される値動きも出ていた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の142円68銭前後から円の安値でドルの高値の143円16銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値は142円78銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約63銭の円安ドル高をつけていた。
その後の今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今日の正午頃の日銀金融政策決定会合の結果発表や午後15時半頃からの日銀の植田和男総裁の記者会見のイベントを控えた持ち高調整の円の買い戻しが先行したことから、今朝9時35分頃に一時142円25銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今日の日本市場の9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要や、前述の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言を受けた来年早期の米国利下げ予想の後退による円売りドル買いも入ったため、ドルは円相場で反発した。
正午前の11時49分頃には、日銀 (BoJ) 金融政策決定会合が金利抑制の大規模緩和金融政策を現状維持することを発表し、マイナス金利政策や長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC /Yield Curve Control)を据え置き、上場投資信託 (ETF / Exchange Traded Fund) 買い入れなども現行維持し、物価と賃上げ動向を更に見極める必要があると判断したことが伝わり、発表前は142円台後半で推移していたドル円は143円台後半に向けて円相場が急落した。
午後15時15分には、今日の日経平均株価が日本の金利上昇警戒感の緩和から大幅に反発上昇して大引けしたことも、リスクオンの低リスク通貨の円売りで欧州ユーロなどが買われていた。
午後15時半頃から始まった日銀の植田和男総裁の記者会見では、15時36分頃に「基調的な物価上昇率は、2%に向け上昇する確度が高まっている」と発言したことでは、来年の日銀の修正期待により円が一時142円47銭付近に急速に買い戻される時間はあったものの、その後には「チャレンジング発言は、仕事の取組み姿勢一般に対するもの」と、先日の「年末から来年にかけてのチャレンジング」発言を日銀のマイナス金利解除時期と誤解した市場の早期の金融修正予想を否定したことなどでは再び主要通貨に対して円が売られ始めて円相場が買い戻し前よりも更に下落し、日銀総裁が金融政策の修正への慎重な姿勢を示したことは午後から参入の欧州英国市場にも国際的に伝わり、円がドルや欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対して売られて、144円台へと大幅な下落を続け、午後16時50分頃にドルは円相場で一時144円25銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は144円20~21銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の142円38~39銭付近の前東京終値比では約1円82銭の大幅な円安ドル高になった。
また、今夜の英国ロンドン外国為替市場でも円売りが続き、主要通貨に対して円相場が一時全面安を記録したほか、今夜19時46分頃にはドル円は一時144円95銭付近の円安ドル高を記録し、同時刻に欧州ユーロや英国ポンドに対しても円相場が大幅安を記録した。
今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定もあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時半に11月の米国住宅着工件数と 11月の米国建設許可件数、23時半頃から米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定、26時半頃から米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言、明朝6時に 10月の対米証券投資と、明朝8時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持っている米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定などを控えている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円58〜59銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の155円47〜49銭付近の前東京終値比で約2円11銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、日銀のマイナス金利政策と金利抑制の大規模緩和金融政策の継続により、日欧金利差が意識されたほか、主要通貨に対して円が売られた影響が波及したことで、円相場が大幅安になった。
今日のユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値1.0926〜1.0928ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0918〜1.0920ドル付近の前東京終値では約0.08セントの小幅なユーロ高ドル安であった。
主な要因は、来年の米国と欧州の利下げ開始時期の違いによる市場予想の影響があったものの、米国の早期の利下げ予想が後退する一方で、今日の夕方には欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのフランス中央銀行のビルロワドガロー仏中銀総裁が、フランスのラジオ番組で、来年2024年中には欧州利下げを開始することを示唆し、「遅くとも2025年までには欧州インフレ率を目標の2%にする。これは予想ではなく、約束だ。インフレはフランス国民にとっての最大の関心事だが、低下し始めている」と発言していた。
ただし、その後の今夜19時には欧州ユーロ圏の最新重要経済指標の発表があり、11月の欧州消費者物価指数 (HICP / Harmonized Index of Consumer Prices) 改定値は、前年同月比が前回と市場予想通りの2.4%の横ばいで、同欧州HICPコア指数も前回と市場予想一致の3.6%の横ばいであった。
英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対英国ポンドの円相場の終値は182円63〜69銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の180円66〜72銭付近の前東京終値比で約1円97銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、欧州ユーロ同様に、今日の日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策継続による日本との金利差が意識されたほか、前回の英国中央銀行イングランド銀行 (BoE / Bank of England) 金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が英国の利下げ転換について言及していなかったことも日英金利差予想による円売りポンド買いに影響を与えており、今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場でも円売りポンド買いが継続し、より大幅な円安ポンド高が進行している。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月19日の日本時間(JST)20時17分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時17分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:17の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 144.75 〜 144.77 | +2.37 (円安) |
ユーロ/円 | 158.28 〜 158.29 | +2.81 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0933 〜 1.0935 | +0.0015 (ドル安) |
英ポンド/円 | 183.81 〜 183.87 | +3.15 (円安) |
スイスフラン/円 | 167.06 〜 167.12 | +3.21 (円安) |
豪ドル/円 | 97.43 〜 97.47 | +1.78 (円安) |
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