FXニュース:米FOMC議事要旨公開影響
2023年11月22日東西FXニュース – 2023年11月22日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米利下げ転換への言及なし
- 米金融引き締め長期化予想
- 米長期金利上昇時の金利差
- 米中古住宅販売件数は減少
- ロンドンフィキシング調整
- 日米祝日前の持ち高調整も
- 英インフレ圧の根強さ意識
今日2023年11月22日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の148円2銭前後から円の安値でドルの高値の149円5銭前後の値幅約1円3銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円94~96銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円55~56銭付近の前東京終値比で約1円39銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜17時32分頃の英国ロンドン外国為替市場では、前週の米国インフレ鈍化の米国重要経済指標を受けた米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が来月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国政策金利据え置きと米国利上げサイクルの終了予想が優勢で、米国利下げ時期に関する市場予想も浮上していたことから米国長期金利が低下し、日米金利差縮小による円買いドル売りや、日米金利差縮小予想の持ち高調整が進み、ドルは円相場で一時147円15銭付近と今年9月14日以来の日通しの円の高値でドルの安値を記録したが、その後は明日11月23日の米国感謝祭 (Thanksgiving Day) と翌24日の欧米のブラック・フライデー (Black Friday) から週末にかけたホリデー・シーズンを控えていたため、昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場と後半の市場時間が重なる英国ロンドン外国為替市場では、日本時間の午前1時 (英国現地冬時間の16時) のロンドン・フィキシング (London Fixing) の値決め時間に向けた対円や対ユーロなどを含む主要通貨に対する大規模なドルの買い戻しのフロー (Flow / 流れ) が始まった。
このため、昨夜22時からの米国市場では、22時26分頃の一時147円35銭付近が米国市場の円の高値でドルの安値となり、その後にはドルは円相場で下げ幅を縮めて上昇した。
ただし、米国市場で深夜24時に発表された最新米国経済指標の全米リアルター協会 (NAR / National Association of Realtors) 統計の10月の米国中古住宅販売件数は、年率換算件数が前回の396万件と前回下方修正の395万件と市場予想の390万件に対し379万件に低下し、前月比も前回の-2.0%と前回下方修正の-2.2%と市場予想の-1.5%に対し-4.1%と、いずれも前回と市場予想を下回ったことでは、ドル買いにはやや抵抗も混ざった。
また、午前1時頃から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のラガルド総裁の発言があり、欧州利上げ後の最近のインフレ率の鈍化傾向について、「今はまだ勝利宣言をする時期ではない。欧州のインフレ率を目標の2%に戻すことに引き続き注力し、短期的なデータ動向に基づいて時期尚早な結論を急がないようにするべきだ。欧州のインフレが持続するリスクにも、引き続き注意する必要があり、欧州のインフレが持続的に目標の2%に抑制されるための条件が整っているという確実な証拠が得られるまでは、引き続き注意を払う必要がある」と述べていたことで、先日のドイツ連銀のナーゲル総裁の発言に続き、欧州の早期の利下げ時期の市場予想を牽制していた。
しかし、午前4時の米国市場で公表された前回10月31日〜11月1日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨では、「FOMC参加メンバー全員が、米国政策金利について慎重に進めることに同意した」が、「大半のFOMCメンバーは米国インフレの上振れリスクを認識」しており、今後、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のインフレ目標の2%の達成に向けた進展が十分でないことを示す経済データが出てきた場合には、「更なる金融引き締めが適切になる」と、米国追加利上げ検討の可能性についてのタカ派寄りの言及があり、「引き続き十分な期間、金融引き締め的なスタンスを維持することが重要」との意見も出ていた一方で、ハト派の米国利下げ転換時期についての言及は一切なかったことから、市場ではややタカ派寄りの内容と受け止められ、米国政策金利の据え置き後も高金利を長期間維持するという米国金融引き締め長期化予想が再燃し、一時は午前3時の米国10年TIPS (物価連動債) の入札に向けて一時4.39%台に低下していた米国長期金利はTIPS入札結果の低調さも相まって4.44%付近に反発上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いや主要通貨に対する円の利益確定売りとドルの買い戻しが強まり、午前4時9分にドルは円相場で一時148円59〜60銭付近と、米国市場および日通しの円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利上昇警への戒感と企業ローン金利コスト上昇による決算への影響の懸念など高まり、米国主要株価三指数が軒並み低下したため、リスク回避のリスクオフで安全資産の米国債が買われて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時上昇後に再び一時4.39%台付近に戻すという「往って来い」になったことは、低リスク通貨の円買いの抵抗も入っていた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円35銭前後から円の安値でドルの高値の148円60銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値は148円39銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で0銭と同価格の横ばいレンジ圏をつけていた。
その後の今朝9時頃から始まった今日の日本市場と東京外国為替市場でも、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨のタカ派寄りの内容の影響を受けた米国利上げ長期化予想の再燃により、今日は米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF) 金利の市場予想値で有名なフェド・ウォッチ (CME FedWatch) で、次回12月の米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国金利据え置き予想値が以前の確定値超えの100%付近から94.8%付近に低下し、以前に一部でごく僅かに浮上していた早期の米国利下げ予想が0%に後退した一方で、代わりに次回の米国追加利上げの市場予想が5.2%に上昇し始めており、日本市場時間の時間外の米国債券市場でも米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時の4.39%台から再び4.42%台付近に向けた上昇を始めたことで、日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢になった。
ただし、今朝10時過ぎ頃に、日本政府が今月の月例経済報告で、11月の国内景気判断について、前月の「緩やかに回復している」に対し、設備投資などの内需に弱さから「このところ、一部に足踏みも見られるが、緩やかに回復している」に引き下げ、今年1月以来の下方修正となったことを受けては、国内第一安全資産でもある低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗も入ったことでは、今朝10時15分頃には対ドル円相場は一時148円2銭付近の今日の円の高値でドルの安値を記録したが、日本の景気懸念材料は少なかったために一時的な抵抗に留まり、再び日米金利差拡大による円売りドル買いが再開した。
また、今日は東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が上昇し、午後15時15分に3万3451円83銭付近の終値で、前日比97円69銭高で大引けしたことも、低リスク通貨の円売りドル買いを継続させていた。
午後からの欧州市場の参入もあり、日米金利差拡大による円売りドル買いや、米国の金融引き締め長期化予想による日米金利差拡大予想のドルの買い戻しと持ち高調整も進行し、午後15時53分頃には、ドルは円相場で一時149円5銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は148円94~96銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円55~56銭付近の前東京終値比で約1円39銭の大幅な円安ドル高になった。
また、その後の今夜17時55分頃には、英国ロンドン外国為替市場で、ドルは円相場で一時149円35銭付近も記録している。
今夜この後にも、最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA住宅ローン申請指数、22時半に前週分の米国失業保険継続受給者数と米国新規失業保険申請件数、同時刻に10月の米国耐久財受注、深夜24時に11月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値、24時半に週間の米国原油在庫などが発表される予定である。また、米国では明日23日の米国感謝祭の祝日から翌日のブラック・フライデーの金曜日以降の週末にかけてホリデーを取る人が多く、ホリデー前のポジション調整やドルの買い戻しなどが入っていることにも注意が必要である。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は162円61〜62銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の161円64〜65銭付近の前東京終値比で約97銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、基軸通貨で主要通貨のドルに対する今日の円売りの円安圧の影響が、他の主要通貨でもある欧州ユーロにも波及したほか、先述の欧州中央銀行 (ECB) 理事会のラガルド総裁や高官の独連銀総裁の欧州利下げ予想の牽制を受けた日欧金利差による円売りユーロ買いなども影響を及ぼした。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値1.0916〜1.0917ドル付近で、昨夜17時の1.0954〜1.09551ドル付近の前東京終値で約0.38セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、前述の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨を受けて、早期の米国利下げ予想が後退し、タカ派の市場予想も浮上したことや、主要通貨に対するホリデー前のドルの買い戻しなどが影響を与えた。
なお、今夜この後の深夜24時頃には、欧州ユーロ圏の最新欧州経済指標の11月の欧州消費者信頼感の速報値の発表予定もある。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は186円58〜64銭付近で、昨夜17時の184円73〜79銭付近の前東京終値比で約1円85銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、前述のドルや欧州ユーロなどの主要通貨に対する今日の円安の影響が英国ポンドにも波及したほか、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のベイリー総裁達が昨夜の英国議会財政委員会で英国のインフレ圧の根強さに改めて言及したことで、英国政策金利も高金利で長期間据え置きされる市場予想が浮上したことで、日英金利差予想による円売り英ポンド買いなども入っていた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年11月22日の日本時間(JST)20時39分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の午前11時39分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:39の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 148.84 〜 148.85 | +1.29 (円安) |
ユーロ/円 | 162.25 〜 162.26 | +0.61 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0898 〜 1.0900 | -0.0056 (ドル高) |
英ポンド/円 | 186.44 〜 186.50 | +1.71 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.33 〜 168.39 | +1.34 (円安) |
豪ドル/円 | 97.66 〜 97.70 | +0.70 (円安) |
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