FXニュース:パウエル議長のタカ派発言

2023年11月10日
FXニュース:パウエル議長のタカ派発言

 

東西FXニュース – 2023年11月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米利上げ適切なら躊躇せず
  • 米追加利上げの可能性示唆
  • 米長期金利上昇でドル買い
  • 米国債入札の利回り影響も
  • 日米金融政策の違いを意識
  • 米ナズダック10日ぶり反落

今日2023年11月10日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の151円22銭前後から円の安値でドルの高値の151円45銭前後の値幅約23銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円38~39銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円88~89銭付近の前東京終値比で約50銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜22時半に発表された前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の21.7万件と前回修正の22.0万人と市場予想の21.8万件に対し21.7万件と、修正前の前回横ばいで市場予想比ではやや堅調であったものの、同時発表の前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の181.8万人と前回修正の181.2万人と市場予想の182.0万人に対し183.4万人と弱く、昨夜の英国ロンドン外国為替市場で一時151円台前半に上昇後のドル売りが先行したため、昨夜23時59分頃にはドルは円相場で一時150円83銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録していた。

しかし、一時低下後の米国長期金利が反発と上昇を始めたことから、市場安値後のドル買いが始まったほか、午前3時の米国30年債の入札が不調で債券価格低下に伴う利回りの上昇が起きた影響が他の米国債にも波及し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.5%台から4.6%台に向けて上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いが再開し、ドルは円相場で再び151円台前半に上昇した。

さらに、午前4時頃からは、市場が注目していた米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のパウエル議長が、米国のワシントンで開催された国際通貨基金 (IMF / International Monetary Fund) 主催のパネル・ディスカッションの討論会に参加し、米国のインフレ率を目標の2%に抑制することに注力はしているが、目標達成のために十分なスタンスに到達したとはまだ確信しておらず、米国のインフレ率の目標を達成する進展において、総需要の伸びを抑制する金融引き締めの寄与が大きくなる必要があるかもしれないと、「更なる金融引き締め (追加利上げ) が適切となるなら、躊躇せずに実施する」とタカ派寄りの発言をしたことで、市場では米国利上げ終了予想が後退し、米国追加利上げの可能性が再び意識され、米国長期金利が4.64%付近に向けて更に上昇し、円安要因の日米金利差拡大により、ドルは円相場で午前4時36分頃と4時42分頃に一時151円39銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

151円台での市場高値後には日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による為替介入への警戒感もあり、またテクニカル分析的にも売りサインとなるダブルトップの毛抜き天井をチャートに描いていたために、利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入った。

米国ニューヨーク株式市場でも、米国政策金利上昇による企業決算への影響への警戒感が再燃し、リスク回避の米国株売りで反応したため、昨日の米国ダウ工業株30種平均 (DJI / Dow Jones Industrial Average) 反落後の続落に続き、米国ナズダック総合指数 (IXIC / NASDAQ Composite Index / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite Index) も10営業日ぶりに反落したため、リスク回避の安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いも一時抵抗の原因となった。

しかし、前日までに公表されていた日銀の「粘り強く金融緩和を継続していく」という金利抑制姿勢と、「適切であれば、追加利上げを躊躇しない」という米国連邦準備制度理事会 (FRB) との日米の金融政策の方向性が意識されていたことでは、ドルは円相場で再び高値圏の一時151円38銭付近に買い戻された。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の150円83銭前後から円の安値でドルの高値の151円39銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値を151円35銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約37銭の円安ドル高をつけており、4営業日目のドルの続伸となっていた。

今朝9時頃からの今日の日本市場の東京外国為替市場は、一時151円35銭付近から始まり、151円台では日本政府と日銀の為替介入警戒感があることから、為替介入のトリガー (引き金) になると考えられている急激なボラティリティ (価格変動性 / Volatility / 英米の発音の違いでボラティリティーと伸ばす場合もある) に注意をした取引が始まったが、今朝の日本市場時間の時間外の米国債市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が更に上昇しており、今朝9時24分頃には一時4.656%付近を記録していたため、為替介入警戒感による円買いドル売りや買い控えの一方で、円安要因の日米金利差拡大による円売りドル買いも継続していたため、ドルは円相場で151円台前半付近のやや横ばいに近い値動きを見せて始まった。

今朝9時55分の日本市場の仲値決済では、今日は10日で日本の貿易関連企業の決算日が集中しやすい5と10がつく日の「五十日 (ゴトーび / ごとおび) 」であったことから、日本企業の輸入実需の円買いドル売りに続いては日本の輸出企業の円買いドル売りが入ったことなどから、今朝11時2分頃には一時151円22銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、日本市場でも今朝未明の次回の米国公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の発言や他の高官達の米国インフレ警戒のタカ派寄りの発言を受けて、米国の追加利上げの可能性が意識され、日本のマイナス金利政策との日米金利差トレードなどによるドル需要もあり、米国長期金利も4.6%台で推移していたため、ドルは円相場で再びボラティリティに注意した穏やかな上昇を見せた。

また、午後15時15分には今日の日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が3万2568円11銭の終値と、前日比78円35銭安で大引けしたことも、低リスク通貨の円買いによる円相場の抵抗の一因となっていた。

ただし、夕方の欧州英国市場の参入では、再びドル買いが強まり、午後16時5分頃にドルは円相場で一時151円45銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

午後16時31分頃にも再び一時151円45銭付近のドルの高値圏を記録したが、上抜けできなかったことでは、利益確定や持ち高調整の抵抗が入った。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は151円38~39銭付近で、昨夜17時の150円88~89銭付近の前東京終値比で約50銭の円安ドル高になった。

今夜この後にも米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定や最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時半頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ダラス連銀のローガン総裁の発言予定、23時頃から次回FOMCの投票権は持たないがFRB高官の中でもハト派で知られる米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定、深夜24時に11月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値などが発表される予定である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円44〜46銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の161円51〜52銭付近の前東京終値比で約7銭の小幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、昨日に2008年以来の円安ユーロ高を記録した後であったため、高値後のユーロの利益確定売りや、安値の低リスク通貨の円買いの持ち高調整などが影響を与えた。

ただし、東京終値時点でも小幅域であったために、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、日欧金利差が意識され、再び円安ユーロ高に市場反転も見せている。

今夜の英国ロンドン外国為替市場では、日本時間で今夜21時半頃からの欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のラガルド総裁の発言予定も注目されている。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0664〜1.0666ドル付近で、昨夜17時の1.0703〜1.0705ドル付近の前東京終値で約0.39セントのユーロ安ドル高だった。

主な要因は、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の発言を受けて、米国の追加利上げの可能性が再び意識され、米国長期金利上昇による主要通貨に対するドル買いがユーロドルにも影響を与えていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は185円5〜11銭付近で、昨夜17時185円31〜37銭付近の前東京終値比で約26銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、今日の午後に最新英国重要経済指標の7〜9月の第3四半期の英国国内総生産 (GDP) の速報値が発表され、前期比が前回の0.2%と市場予想の-0.1%に対し0.0%と英国景気懸念の市場予想ほどではないものの前回と比較するとゼロ成長に低下しており、前年同期比では市場予想の0.5%に対し前回と同じ横ばいの0.6%で、9月の月次の英国国内総生産 (GDP) の前月比も、市場予想の0.0%は上回ったものの前回と同じ0.2%で、前月は0.1%に下方修正されていた。

同時発表だった最新英国経済指標の9月の英国鉱工業生産は、前月比が前回の-0.7%と前回修正の-0.5%と市場予想の0.1%に対し0.0%と前回よりは改善したものの市場予想を下回り、前年同月比では前回の1.3%と前回修正の1.5%と市場予想の1.1%に対し1.5%と前回修正の横ばいで、同じく発表された9月の英国製造業生産指数の前月比も前回の-0.8%と前回修正の-0.7%と市場予想の0.3%に対し0.1%と前回よりは回復したものの市場予想を下回っていた。

同時刻の英国の9月の英国商品貿易収支は、前回の-159.50億ポンドと前回修正の-155.16億ポンドと市場予想の-153.00億ポンドに対し-142.88億ポンドで、9月の英国貿易収支も前回の-34.15億ポンドと前回修正の-26.97億ポンドと市場予想の-25.00億ポンドに対し-15.74億ポンドと赤字額は改善していたが、英国景気懸念は燻っていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年11月10日の日本時間(JST)20時17分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) 11時17分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も今週から冬時間になり、日本との時差が1時間広がり14時間遅れのJST-14 / GMT-5になった) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:17の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 151.45 〜 151.46 +0.57 (円安)
ユーロ/円 161.81 〜 161.82 +0.30 (円安)
ユーロ/ドル 1.0683 〜 1.0684 -0.0020 (ドル高)
英ポンド/円 184.99 〜 185.05 -0.32 (円高)
スイスフラン/円 167.98 〜 168.04 +0.30 (円安)
豪ドル/円 96.20 〜 96.24 -0.60 (円高)


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