FXニュース:米英が2連続の金利据え置き

2023年11月02日
FXニュース:米英が2連続の金利据え置き

 

東西FXニュース – 2023年11月2日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米政策金利5.25〜5.50%維持
  • 米ADPとISMが市場予想以下
  • 米長期金利低下で金利差縮小
  • 米パウエル議長の慎重発言も
  • 日米金利差縮小による円買い
  • 明日の米雇用統計発表を控え
  • 英BoEも5.25%の金利を維持

今日2023年11月2日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の150円59銭前後から円の高値でドルの安値の150円15銭前後の値幅約44銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円37~40銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の151円33~34銭付近の前東京終値比では約96銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因は、日本時間の今朝未明3時に世界が注目していた米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の発表があり、米国政策金利を2会合連続で金利据え置きを決定し、今朝午前3時半からの米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の記者会見での要人発言にも、2%が目標の価格安定のインフレ抑制や追加利上げの可能性を残すという以外には特にタカ派発言がなく、今後の米国追加利上げの可能性は残したものの、リスクを考慮した慎重な姿勢が見られたため、米国追加利上げ予想の後退と来年の利下げ時期の市場予想などから米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢になった。

時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析では、まず昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、昨日の日本市場で日本政府の神田真人財務官が、為替介入準備状況を「スタンバイ」と発言したことなどで、為替介入警戒感が強まり、持ち高調整の円買いが入っていた。

続いて、英国市場の後半から始まった昨夜21時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜21時15分に最新米国重要経済指標の10月の米国ADP (Automatic Data Processingという民間雇用サービス会社が算出) 雇用統計の前月比が発表され、前回の8.9万人と市場予想の15.0万人に対し11.3万人と、前回よりは上昇したものの市場予想を下回ったことではドルが売られたが、前回よりは上昇していたことではやや堅調という見方もあり、その後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 発表を控えた市場予想のドル買い戻しが入ったことや、豪ドルなどに対する欧州ユーロの下落を受けたユーロドル相場でのドル上昇圧の影響が円相場に波及したことなどでは、ドルは円相場で昨夜22時33分頃に一時151円38銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。

一方で、米国財務省が昨夜発表した四半期定例の米国債の入札規模が市場予想を下回り、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.9%台から4.8%台に低下したため、主要通貨に対してドルが売られ始めた。

昨夜22時45分に発表された最新米国経済指標の10月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想通りの50.0であったが、好景気と不景気を分けるボーダーライン (境界線) の50に留まった。

昨夜23時に発表された最新米国重要経済指標の10月の米国サプライマネジメント協会とも呼ばれる全米供給管理協会 (ISM / Institute for Supply Management) 製造業景況指数も、前回と市場予想の49.0に対し46.7と市場予想以下であったことでは、安全資産の米国債買いで米国長期金利は4.8%台から4.77%台付近に一時低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りでドルは円相場で一時150円台後半に下落した。

ただし、昨夜23時に同時発表されていた最新米国経済指標の9月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数は、前回の961.0万件と前回修正の949.7万件と市場予想の925.0万件に対し955.3万件と市場予想を上回ったことでは、米国長期金利が一時4.8%台に反発し、ドルの買い戻しが入り始めたため、ドルは円相場で再び151円台前半に反発した。

日本時間の午前2時59分頃にはドルは円相場で151円16〜17銭付近であったが、午前3時に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) が、2022年3月の連続利上げ開始以来の2会合連続で米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF) レート誘導目標の据え置きを決定し、5.25〜5.50%で現状維持することを発表した。市場予想値のフェドウォッチ (CME FedWatch Tool ) でも98%近い確定値超えの市場予想通りではあったが、約2%の一部の追加利上げ期待もあったことでは、発表時には一瞬150円87銭付近にドルが売られた。

ただし、同時発表のFOMC声明文では、2%の米国インフレ抑制への「目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合には、金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」と米国追加利上げの可能性は残していたことでは、午前3時半前には一時151円17銭付近までドルが買い戻されていた。

午前3時半頃から始まった米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見では、2%の米国インフレ目標への「物価安定化は我々の責任(Price stability is our responsibility)」を主張して始まったものの、「これまでの進展を考慮し、今は慎重に進めている」という発言や、「数回だけのデータではまだ確信は持てないが、ここ数回のデータには米国インフレ鈍化への効果も出てきてはいる」ことなどに言及し、「状況次第では、次回の追加利上げの可能性もあるが、以前のハイピッチなインフレ抑制のための利上げ継続姿勢と比較すると、将来的な利上げサイクルの終了には近づいてきている」ことなども示唆し、「よりリスクバランスを考慮した慎重な姿勢」を示し、「年内の追加利上げの有無については、まだ決定していないし、次回も据え置きの可能性もある」と、次回の決定は状況に応じて次回の会合で決めるという発言などから、市場が期待していたほどのタカ派発言は少なく、データ重視の慎重姿勢の強調や、次回も据え置きのまま利上げ終了の可能性も出てきたことでは、ややハト派寄りとも市場で受け止められ、タカ派の追加利上げ予想が後退する一方で来年の利下げ時期に関する市場予想が出始めたため、米国長期金利は再び4.7%台に低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りによりドルは円相場で再び150円台後半に下落し、午前4時34分頃には一時150円66銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の151円38銭前後から円の高値でドルの安値の150円66銭前後の値動きで、今朝6時前頃のニューヨーク終値を150円95銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約73銭の円高ドル安をつけていた。

今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、米国市場同様に4.7%台に米国長期金利が低下したことを受けた日米金利差縮小による円買いドル売りが入り始めたため、今朝9時5分頃の一時150円59銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、今朝11時半頃には一時150円15銭付近の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で2連続の米国政策金利据え置き後に、日米金利差拡大予想が減退したことも、円買いドル売りを促したが、米国長期金利が4.7%台に低下した一方で、先日に日本銀行 (日銀 / BoJ) が長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) を「±1%を目処」に柔軟化後の日本の長期国債利回りは0.9%台の高利回りを記録しており、今日財務省が実施した10年物国債入札の最高落札利回りは0.915%と約11年半ぶりの高利回りとなっており、入札後にも一時0.925%付近に上昇したため、ドルや他の主要通貨に対しても円が買われていた。

ただし、東京株式市場では、今日の日経平均株価が大幅に続伸したため、日本株高時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りも入ったことは抵抗の一因になっていた。

また、午後からの欧州英国市場の参入では、米国長期金利が4.75%台に反発していたこともあり、円相場でも日米金利差拡大でドルが買い戻される抵抗が入ったが、150円台中盤付近に留まった。

最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表を明日に控えており、データ次第では次回の追加利上げの可能性も残していることなどでは、今日のフェッド・ウォッチ (FedWatch) でも、現在の次回12月の米国政策金利の据え置きの市場予想が約80%に対して次回の追加利上げの可能性が約20%近い数値であるため、重要度の高い米国雇用統計発表前の持ち高調整や様子見の値動きも入り始めていた。

一方で、今夜この後の日本時間21時に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の新政策金利発表も控えているため、対ドルの英国ポンドの持ち高調整なども、対ドルの円相場に影響が波及していた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は150円37~40銭付近で、昨夜17時の151円33~34銭付近の前東京終値比では約96銭の円高ドル安になった。

今夜は最新米国経済指標発表予定があり、日本時間20時半に10月の米国チャレンジャー人員削減数、21時半に7〜9月の第3四半期の米国非農業部門労働生産性と単位労働コスト、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、23時に9月の米国製造業新規受注と、米国株式市場の株引け後にアップル (APPL) の決算報告予定などがある。

また、英国ポンドは、今夜21時に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE /Bank of England) の新政策金利発表と、英中銀金融政策委員会 (MPC) 議事要旨、21時半頃から ベイリー総裁の発言予定などが注目されている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は183円3〜9銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時183円97銭〜184円3銭付近の前東京終値比で約94銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、ドルやユーロなどに対する円買いの影響に加えて、今夜の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の新政策金利と金融政策の発表予定を控えたイベントリスクの持ち高調整が影響を及ぼしていたが、金利据え置きの市場予想が優勢であった。

しかし、今夜21時の英国ロンドン外国為替市場では、市場予想通りに英国新政策金利も米国同様に2会合連続の据え置きが決定され、1票差だった前回と比べて今回は6対3で現行の5.25%の英国政策金利の維持が決定され、発表時の執筆時点では今夜この後のベイリー総裁の発言が注目されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は159円45〜47銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の159円90〜92銭付近の前東京終値比で約45銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、日本の為替介入への警戒が再び高まったことで持ち高調整の円買いユーロ売りが入ったことや、ドルなどの主要通貨に対して円相場が上昇した影響が波及していた。

ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、現地実需のユーロの買い戻しなども入り、今夜21時頃には僅差の円安ユーロ高に市場反転もしている。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0601~1.0603ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0562~1.0565ドル付近の前東京終値比で約0.99セントのユーロ高ドル安だった。

主な要因は、米国政策金利の連続据え置きで米国利上げサイクルの終了予想が出てきたことで、米国長期金利低下時のドル売りユーロ買いが影響を及ぼした。

今夜17時55分には欧州ユーロ圏の最新欧州経済指標のドイツの10月の独失業者の前月比が発表され、前月の1.0万人と前回修正の1.2万人と市場予想の1.5万人に対し3.0万人と市場予想の倍に悪化したが、同時発表だった10月の独失業率は前回の5.7%に対し市場予想通りの5.8%であった。

同じく発表された10月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値は、前回と市場予想の40.7をやや上回る40.8で、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の10月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の43.0に対し43.1とやや市場予想を上回っていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年11月2日の日本時間(JST)21時23分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) 12時23分頃。なお、サマータイム制のある欧州英国市場は先週末の10月最後の日曜日から冬時間になり日本との時差が9時間になったが、米国市場は今週末の11月最初の日曜日にサマータイム終了予定で1週間のずれがあることに留意したい) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 21:23の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 150.21 〜 150.22 -1.12 (円高)
ユーロ/円 160.00 〜 160.01 +0.10 (円安)
ユーロ/ドル 1.0650 〜 1.0652 +0.0088 (ドル安)
英ポンド/円 183.44 〜 183.50 -0.53 (円高)
スイスフラン/円 166.21 〜 166.27 -0.27 (円高)
豪ドル/円 96.72 〜 96.76 +0.83(円安)


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