FXニュース:米FRBパウエル議長証言控え

2023年6月21日
FXニュース:米FRBパウエル議長証言控え

 

東西FXニュース – 2023年06月21日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 安全資産の米国債利回り影響
  • 日銀委員が金融修正時期尚早
  • 日米金利差拡大予想のドル円
  • 日経平均株価上昇時の円売り

今日2023年6月21日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値142円12銭前後から高値141円33銭前後の値幅約79銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円8~9銭付近と、前日同時刻の前東京終値比では約31銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動き要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場の円相場では昨年11月下旬以来の一時142円25銭付近の年内高値を記録後のドルは、昨夜の欧州英国市場では米国長期金利の低下による利益確定や持ち高調整のドル売りで141円29銭付近に反落していたが、続いて始まった昨夜から今朝までの連休明けの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で昨夜21時半に発表された最新米国経済指標の5月の米国住宅着工件数や米国建設許可件数が市場予想以上に大幅に増加したことでは、米国景気好感によるドル買いで一時141円75銭付近に反発した。

5月の米国住宅着工件数は、年率換算件数が前回の140.1万件と前回修正の134.1万件と市場予想の140.0万件に対し163.1万件に増え、前月比では前回の2.2%と前回修正の-2.9%と市場予想の-0.1%に対し21.7%と桁違いの大幅な増加を示した。

5月の米国建設許可件数も、年率換算件数が前回の141.6万件と前回修正の141.7万件と市場予想の142.5万件に対し149.1万件に増加し、前月比でも前回の-1.5%と前回修正の-1.4%と市場予想の0.6%に対し5.2%とマイナスからプラス圏に転換の大幅上昇だった。

しかし、前回の東西FXニュースでも予告していた通り、今夜この後には市場での注目度の高い米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の米国議会証言での発言予定があり、米国現地時間で本日6月21日に1日目の米国下院議会証言予定、明日6月22日の2日目には米国上院議会証言予定がある。

先週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では、今月の米国政策金利の利上げは見送りになった一方で、今年末時点の米国政策金利の見通しでは、あと2回の米国利上げ長期化の可能性を示唆する内容が含まれていたため、祝日連休明けの米国株式市場では、今後の米国金利上昇に関するパウエル議長の米国議会証言のイベント前の警戒感から、先週に高値後の米株の利益確定売りやポジション調整と、米株価低下時のリスク回避の安全資産の米国債買いが起き、米国10年債買いで利回りが指標となる米国長期金利が3.777%付近から3.702%以下に急落したことを受け、米株安時のドルから買える低リスク通貨の円買いのリスクオフに加えて、米国長期金利低下による日米金利差縮小時の円買いドル売りが強まり、今朝未明の午前2時10分頃に、ドルは円相場で141円21銭付近の米国市場での円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、世界FX市場では、今週これまでの米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクリストファー・ウォラー理事や他の高官達のタカ派発言を受けて、パウエル議長も今後の米国インフレ抑制と米国利上げ見通しに関してのタカ派の発言をする可能性もあることなどからは、米国利上げ長期化予想による日米金利差拡大予想もあり、米国市場の安値後のドルには買い戻しが入り始め、米国株式市場の終了後にも開いていた米国ニューヨーク外国為替市場では、ドルは円相場で141円47銭付近に買い戻され、今朝6時頃のニューヨーク終値を迎えていた。

今朝8時50分には、日本銀行 (日銀 / BoJ) 金融政策決定会合議事要旨公表があり、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場では、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の継続が改めて意識され、今夜この後の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の米国議会証言イベントを控え、日米の金融政策の方向性の違いによる日米金利差拡大予想などの円売りドル買いが再開した。このため、今日の日本市場での円の高値でドルの安値は、今日の日本市場の開場時の今朝9時頃の一時141円33銭付近で、その後はドルが上昇を続けた。

今日は午前中に、日本銀行 (日銀 / BoJ) の安達誠司審議委員が鹿児島県で開催された金融経済懇談会で、「まだ金融政策の修正に踏み切るのは、時期尚早と考えられる」と発言したこともニュースになり、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の維持による日米金利差拡大予想の円売りドル買いが継続した。

今朝9時55分の今日の日本市場の仲値決済でも、日本企業の輸入実需による円売りドル買い需要が優勢であった。

さらに、今日は日経平均株価が、今朝の一時下落から大幅な上昇に転じたことで、日本株上昇時の低リスク通貨の円売りも為替相場に影響を与えた。最近は、米国の大手投資家のウォーレン・バフェットなどの海外投資家達も日本株を買っていることがニュースになっており、米国金利上昇への警戒に対し、日本は日銀の金利抑制により企業への貸付ローン金利の上昇による経営悪化への警戒感がないことも、昔の米国が風邪を引けば日本がくしゃみをすると言われていた時代の連動株価からは離れた動きを見せることがあり、海外株価下落時に低リスク通貨の円を買う以外にも、円安を利用して日本株などを買う様な欧米や海外の株式市場特有の大幅上昇などのダイナミックな値動きが最近の日本の株式市場でも見られるようになっている。時間帯の近いアジア市場でも、以前の中国株下落時に日本株が買われて上昇を見せたこともあり、最近は株式市場からの為替相場への影響が増え、今日の日経平均株価が大幅高に転じたことで、今日の日本市場での低リスク通貨の円売りの一因になった。

午後には今日の日経平均株価の上昇幅が前日比で一時200円を超える大幅な日本株高になり、午後15時15分に日経平均株価は3万3千575円14銭の前日比186円23銭高で大引けし、低リスク通貨の円売りドル買いが強まり、続いての午後からの欧州英国市場の参入では米国長期金利が再び上昇傾向を見せ始めたこともあり、ドル円は再び142円台に上昇し、午後16時6分頃には一時142円11銭付近を記録した。

その後にも、今夜のこの後のパウエル議長の議会証言イベントを控えた日米金利差拡大予想の円売りドル買いなどで、今夜17時の終値の頃にも一時142円12銭付近に一瞬でタッチする形で、中央値の今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は142円8~9銭付近の昨夜17時の前東京終値比では約31銭の円安ドル高になった。

その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜17時17分頃にドルは円相場で一時142円16銭付近の円の安値でドルの高値も記録を更新した。

今夜この後には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の発言予定の他にも、クック理事やジェファーソン理事などの発言予定もあり、全員が次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での投票権を持っていることから、市場での注目度が高い。加えて、最新米国経済指標の発表予定と米国20年債の入札予定もある。

日本時間での今夜のスケジュールは、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、23時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の半期に一度の米国議会証言の1日目の米国下院議会証言での発言予定 (明日も米国上院で2日目の予定) 、同時刻から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事とジェファーソン理事の発言予定、25時25分頃から米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定、26時に米国20年債の入札予定となっている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は155円4~5銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約10銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、昨夜の欧米株安時のリスク回避で、高値後のユーロから安値感から低リスク通貨の円が買われた影響が出ていた。また、世界的に流動性が高い安全資産のドルの対しても、ユーロ売りドル買いで他の主要通貨に対してユーロが下げた影響も円相場に波及した。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0911〜1.0912ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比では約0.32セントのユーロ安ドル高だった。

主な原因は、昨夜の欧州市場で、欧米株安時のリスク回避の欧州国債買いにより欧州ユーロ圏主要国のドイツやフランスなどの欧州国債利回りが大幅に低下し、欧米金利差拡大によるユーロ売りドル買いが優勢であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は180円90~97銭付近で、昨夜17時の181円45~51銭付近の前東京終値比では約55銭の円高ポンド安であった。

主な原因は、昨夜の欧米株安時のリスクオフ市場で、欧州ユーロや英国ポンドが売られた影響が出ていた。

ただし、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の5月の英国消費者物価指数 (CPI) は、前年同月比が前回の8.7%と市場予想の8.4%に対し8.7%の高止まりを示し、前月比でも前回の1.2%と市場予想の0.5%に対し0.7%の市場予想以上で、CPIコア指数の前年同月比も前回と市場予想の6.8%に対し7.1%に上昇と、英国のインフレ継続による日英金利差拡大予想は優勢で、同時発表だった5月の英国小売物価指数 (RPI) の前年同月比も、前回の11.4%と市場予想の11.2%に対し11.3%で、前月比でも前回の1.5%と0.5%の市場予想以上の0.7%であった。

しかし、英国の高インフレ継続による景気懸念も出てきていることや、明日6月22日の日本時間の20時には、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の金融政策決定委員会 (MPC) 後の英国新政策金利の発表の大イベントがあり、これまでに英国利上げ継続の日英金利差拡大予想は、市場では既にこれまでに織り込まれてきたために、今日はイベント前のイベントリスクによる持ち高調整が優勢になっている。

なお、明日の6月22日には、日本時間の16時半にスイスの金融政策の発表予定もある。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年6月21日の日本時間(JST)19時30分(チャートの時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時30分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:30の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 141.88 ~ 141.89 +0.11 (円安)
ユーロ/円 154.98 ~ 154.99 -0.16 (円高)
ユーロ/ドル 1.0922 ~ 1.0924 -0.0021 (ドル高)
英ポンド/円 180.33 ~ 180.39 -1.12 (円高)
スイスフラン/円 158.08 ~ 158.14 +0.57 (円安)
豪ドル/円 96.07 ~ 96.11 +0.08 (円安)


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