FXニュース:明日未明3時の米政策金利発表を控え

2023年6月14日
FXニュース:明日未明3時の米政策金利発表を控え

 

東西FXニュース – 2023年06月14日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米国消費者物価指数鈍化とコア指数
  • 今月の米国利上げスキップ予想優勢
  • 今週の日米欧金融政策発表前の調整
  • 日米株高時の低リスク通貨の円売り
  • 英ポンド円が一時177円台の円安に

今日2023年6月14日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値140円20銭前後から高値139円88銭前後の値幅約32銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は139円96~97銭付近と、前日同時刻の前東京終値比で約48銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動き要因と世界FX市場のトレンド動向はまず、日本時間で昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で昨夜21時半に発表された最新米国重要経済指標の5月の米国消費者物価指数 (CPI) の前年同月比が、前回の4.9%と市場予想の4.1%に対して4.0%と2021年3月以来の低水準を記録し、前月比も前回の0.4%と市場予想の0.2%に対し0.1%の米国インフレ鈍化を示したため、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国現地時間で本日14日まで (日本時間では時差で今夜この後の午前3時頃まで) 開催中の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で、今月の米国利上げ見送りの市場予想が高まり、発表直後には米国長期金利が一時低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りで昨夜22時過ぎにはドルは円相場で一時139円1銭付近の米国市場および日通しでの円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、同じく発表された5月の米国消費者物価指数 (CPI) のコア指数では、前年同月比が前回の5.5%に対し市場予想通りの5.3%で、前月比では前回と市場予想一致の0.4%の横ばいで、米国消費者物価指数 (CPI) の総合指数から天候などに左右されやすい生鮮食品を除いた物価変動基調の指標であるコア指数では、まだ米国インフレの基調的な高止まりを示していることが意識され始め、市場では今月に米国利上げ見送りがされたとしても、来月7月には米国利上げ再開の可能性から、米国利上げスキップの市場予想が強まり、139円付近にあったテクニカル分析的なサポートラインの手前からは、金利抑制の日本銀行 (日銀 / BoJ) との日米金利差拡大予想も意識された利益確定の高値の円売りと安値のドルの買い戻しが優勢に転じた。

米国シカゴのマーカンタイル取引所 (CME) グループが、米国フェデラルファンド (FF) 金利先物動向に基づき市場予測値を算出している米国政策金利の市場予想ツールとして有名なフェドウォッチ (CME FedWatch Tool) では、今日の時点での今月の米国利上げ見送りの予想値は95.3%の確定値 (70%) 超えの大優勢である一方で、来月7月の米国利上げの予想値は0.25%の利上げ幅での利上げ再開の予測値が63.1%で、0.5%の大幅利上げ予想値の可能性もゼロではなく3%になっている。

また、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、今月の企業などへの貸付ローン金利上昇への警戒感の緩和などから、米国株上昇や続伸による強気市場 (ブル・マーケット) になり、リスク選好 (リスクオン) の安全資産の米国債売りにより利回りが上昇したことも相まって、一時は3.67%台に低下していた米国10年債の利回りが3.84%台に上昇し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の上昇に伴い、日米金利差拡大時の円売りドル買いも起きたため、ドルは円相場で反発後に大きく上昇し、今朝未明の午前4時過ぎに一時140円31銭付近の米国市場および日通しでの円の安値でドルの高値を記録した。

米国ニューヨーク債券市場では、その後も米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りは3.81%の前日比で0.08%の上昇のまま終値をつけたほか、米国の金融政策の影響を受けやすいと考えられている米国2年債の利回りも、一時は今年3月上旬以来の高利回りを記録しており、日米の金融政策の方向性の違いも意識されていた。

世界のFX市場でも、今週は日米欧の新政策金利や金融政策の発表イベントでイベントリスクがあるために、持ち高調整や短期での利益確定売りと買い控えや様子見の値動きがある一方で、投資家達の中には日本円の様な低金利通貨を売り高金利通貨を買い保有することによって発生する金利調整分のスワップポイントで自動的に収益を得るポジティブ・キャリートレードも行われており、特に様子見の市場では価格変動に乏しい日でも自動で収益が得られることから、日米株式市場での株高時の低リスク通貨の円売りに加えて、世界FX市場でも低金利通貨の日本円が売られたことも円安の一因になったことが専門家に指摘されていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値139円1銭前後から安値140円31銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は140円22銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約62銭の円安ドル高をつけていた。

その後に早朝のオセアニア市場が始まり、続いて、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、昨夜の5月の米国消費者物価指数 (CPI) を受けて、今夜この後 (日本時間では明日未明3時頃) まで開催される今月6月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利上げ見送り市場予想が強まったことや、今夜この後のドルのイベントリスクから、今朝9時の140円14銭付近の始値からのドルの利益確定売りと円の買い戻しが先行した。

今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けても、昨日までのドル円の139円台と比較すると今朝の140円台にはドルの高値感があり、国内輸出企業の円買いドル売りが入り、今朝10時18分頃には139円93銭付近まで対ドルの円相場が上昇した。

しかし、今日も日本の株式市場では日経平均株価が大幅高の株価上昇が続き、リスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が高値から売られる動きがあったほか、139円台のドルの安値感からは、米国市場で起きたのと同じく、米国コアインフレの高止まり傾向などで今月の米国利上げ見送り後の来月の米国利上げ再開のスキップ予想があることに対して、今週金曜の日本銀行 (日銀 / BoJ) 金融政策決定会合の発表前の市場予想では、日銀が金利抑制の大規模緩和金融政策の継続が優勢であることが意識され、日米の金融政策の方向性の違いと日米金利差拡大予想による円売りドル買いも入り、ドルは円相場で再び140円台に反発上昇した。

午後15時15分には今日の日経平均株価は大幅続伸の終値3万3502円42銭の前日比483円77銭高の1.47%の上昇率で大引けし、日本市場での日本株高時の低リスク通貨の円売りの値動きに加えて、午後からの欧州市場の参入による欧州利上げ予想に対する円売りや持ち高調整なども加わり、午後16時13分頃には一時140円19〜20銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、夕方からの英国ロンドン外国為替市場の本格参入では、今夜の米国のイベントリスクによる今日の日本市場でのドルの市場高値からのドルの利益確定売りが主要通貨に対して強まり、日本市場での高値後のドルは円相場で市場安値に向かって下落し、午後16時53分頃に一時139円88銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、日本市場での前日同時刻比では、昨日の前東京終値は139円50~51銭付近であったために、円安ドル高の範囲内に留まり、英国市場では市場高値後の円の利益確定売りや低金利通貨としての円売りなども入った。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は139円96~97銭付近で、昨夜17時の昨日の前東京終値比で約48銭の円安ドル高になった。

今夜この後には、最新の米国経済指標の発表と米国政策金利発表などの米ドルの大イベント予定があり、世界の投資家達の注目が集まっている。

日本時間の今夜のスケジュールは、20時に米国MBA住宅ローン申請指数、21時半により重要度の高い5月の米国生産者物価数とも呼ばれる米国卸売物価指数 (PPI) 、23時半に週間の米国原油在庫、そして27時から米ドルのビッグイベントの米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の米国新政策金利と声明の発表、加えての経済・金利の見通しと、さらに27時半頃から、世界市場の注目を集める米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見が予定されており、イベント時の値動きには注意が必要である。パウエル議長のFOMC記者会見は、毎回YouTubeなどでもライブ中継が公式やテレビ局経由などで配信されており、発言中によく値動きが起きることでも有名である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は150円97~98銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約34銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、明日の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の欧州利上げ継続予想による日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買いが優勢だったほか、日本株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りも影響を及ぼした。

また、今朝までの米国ニューヨーク市場では、日欧金利差拡大予想に加えて、今週の日米欧のイベント前のドル円の持ち高調整や、欧米株高時のリスクオンの円売りユーロ買いも優勢で、一時151円38銭付近の今年5月2日以来の円安ユーロ高も記録した後であった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0785~1.0787ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.14セントのユーロ安ドル高であった。

主な原因は、今月の米国利上げ見送りに対する欧州利上げ継続予想でこれまでにユーロ高ドス安をつけていた後であったため、今日はユーロの利益確定売りによるドルの買い戻しの反発の影響が東京終値の時間には前日比では出ていた。

今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの5月の独卸売物価指数 (WPI) の前月比では、前回の-0.4%に対し-1.1%と欧州インフレ鈍化傾向も見られたことも影響していた。

しかし、今夜の東京市場終了後の欧州英国市場では、イベント前のドルの持ち高調整によるユーロの買い戻しとドル売りの再反発もあり、19時台には前日比でユーロ高ドル安に転じる時間も観測されている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は176円57~63銭付近で、昨夜17時の175円25~31銭付近の前東京終値比で約1円32銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な原因は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、英国雇用指標の失業率の低下に加えて、英統計局が発表した4月の平均賃金の3カ月移動平均の上昇率が5カ月ぶりの高さに拡大して市場予想を超えており、英国の賃金上昇率の加速と英国インフレの根強さから、来週の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の英国利上げ継続予想が強まり、日英金利差拡大予想の円売りポンド買いが優勢だった。

今夜この後のイベントリスクの近い対ドルでも、来週までの英国新政策金利イベントまでの時間のある英国ポンドが買われて上昇し、昨夜の英国ロンドン外国為替市場ではポンドドルが一時1.2614ドル付近のおよそ1カ月ぶりのポンド高ドル安を記録していたことも、他の主要通貨である円相場にもポンド高として波及したことが今日の大幅高の一因になっていおり、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場ではポンド円も一時176円87銭付近の2016年1月以来のおよそ7年5カ月ぶりの円安ポンド高を記録していた。

また、今日の日本市場で午後15時に発表された最新の英国重要経済指標の4月の月次英国国内総生産 (GDP) の前月比も、前回の-0.3%から上昇した0.2%で、市場予想との一致を示したことで、英国ポンド高が継続し、今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場ではさらにポンド円が177円台にシフトしている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年6月14日の日本時間(JST)19時38分(チャートの時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時38分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:38の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 140.01 ~ 140.03 +0.53 (円安)
ユーロ/円 151.30 ~ 151.32 +0.67(円安)
ユーロ/ドル 1.0805 ~ 1.0807 +0.0006(ドル安)
英ポンド/円 177.10 ~ 177.16 +1.85(円安)
スイスフラン/円 155.08 ~ 155.14 +0.20(円安)
豪ドル/円 95.09 ~ 95.13 +0.23(円安)


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