FXニュース:米債務上限問題警戒感が緩和

2023年5月18日
FXニュース:米債務上限問題警戒感が緩和

 

東西FXニュース – 2023年05月18日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米国債売りで米長期金利上昇
  • 日米金利差拡大による円売り
  • 日米株価上昇時のリスク選好

今日2023年5月18日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値137円87銭前後から高値137円28銭前後の値幅約59銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は137円82~83銭付近の前日同時刻の前東京終値比で約84銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動き要因と世界FX市場のトレンド動向の分析は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で昨夜21時半に発表された最新米国経済指標で4月の米国住宅着工件数の前月比が前回の-0.8%と前回修正の-4.5%と市場予想の-1.4%に対し2.2%に上昇したこともややドル買い材料になったものも、市場で懸念材料となっていた6月が期限の米国債務上限問題に関する協議への懸念の緩和により、米国株価三指数や米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが今日の円安要因となった。

昨夜、米国のバイデン大統領は、G7 (主要7カ国) 首脳会議の広島サミットへの出発前に、米国連邦債務上限問題の交渉について、米国の共和党と民主党のトップ議員達との「合意が成立すると、確信している」と発言し、「米国は、デフォルト (債務不履行) に陥ることはない。合意に達するまで、議論を続ける」ことを表明した。また、交渉担当者が、債務についての記者会見を21日に行うことも明らかにした。

米国共和党のマッカーシー下院議長も、米国連邦債務上限引き上げに関する合意は、今週末21日までに「合意できる」とし、「最終的に、米国がデフォルトに陥ることはない。今週内の合意は実行可能だ」と、双方からの合意に向けて前向きな発言が相次いだことで、米国債務上限問題への警戒感によるリスク回避が市場で緩和され、米国株価上昇に伴って安全資産の米国債が売られて利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いや、日米株高時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りが起き、ドルが円相場で上昇トレンドを形成した。

同時進行だった米国株式市場でも、米国債務上限引き上げ合意への期待感から、米国金融システム不安後の米国地方銀行の株価などが回復上昇傾向を示し、米国主要株価三指数が上昇し、米国ダウ平均株価が一時460ドル以上も大幅に上昇したことに加えて、ナイト・セッション (夜間立会取引) の日経平均株価の先物が、大証終値比で一時480円上昇の3万540円付近を記録し、日米株価上昇時のリスクオン市場で低リスク通貨の円売りが強まった。

ファンダメンタルズ要因に加えて、テクニカル分析でも、137円台前半のドル円の200日移動平均線を超えたドルの上昇トレンドが続いたことで、ドルが買われやすくなり、今朝5時台後半の米国市場終盤には一時137円71銭付近の米国市場および日通しでの円の安値でドルの高値を記録した。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値136円92銭前後から安値137円71銭前後で、今朝6時頃のニューヨーク終値は137円68銭付近の前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円29銭の大幅な円安ドル高であった。

ただし、今朝8時50分には日本の最新経済指標の4月の貿易統計が発表され、季節調整前の通関ベースで前回の-7545億円と前回改訂値の-7551億円と市場予想の-6138億円に対し-4324億円に貿易赤字額が減少していたことでは、低リスク通貨の円のリスク減少による円買い抵抗要因があった。

今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場でも、米国トレンドを受けた米国連邦債務上限問題解決の期待感もあり、米国長期金利上昇時の日米金利差拡大による円売りドル買いのトレンドが先行し、9時17分頃に今朝までの米国市場でのドルの高値と同じ137円71銭付近を再記録したため、高値のドルの利益確定売りと安値の円買いの抵抗が入り、10時32分頃に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の137円28銭付近を記録した。

しかし、この抵抗では一時ボリンジャーバンドを突き出るほどに円相場でドルが売られ過ぎたため、そこからは再びドルが買われて、再び元の日米金利差拡大による円安ドル高トレンドに戻していった。

今日の日本の東京外国為替市場時間と時間帯の近いアジア市場でも、日米株価上昇の影響もあり、アジア主要株価の上昇時のリスクオン市場になり、以前の株安時にリスク回避で買われていた低リスク通貨の円売りが入り、午後14時台には一時137円74銭付近を記録し、今朝の米国市場での円の安値でドルの高値の記録を更新した。

午後からの欧州市場の参入では、高値のドルの利益確定売りと安値の低リスク通貨の円買いの抵抗が入ったが、その後には再び日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢になり、16時57分頃に今日の日本市場の円の安値でドルの高値の一時137円87銭付近を記録した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は137円82~83銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約84銭の円安ドル高になった。

その後の欧州英国市場でも円相場でドルは続伸し、今夜17時19分頃には一時137円93銭付近の今日の日本市場での円安ドル高記録を更新している。

今夜この後にも米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の要人発言予定などがあり、日本時間の今夜のスケジュールは、21時半に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数と5月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数、22時5分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェファーソン理事の発言予定、22時半頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長の米国上院銀行委員会の米銀破綻関連の議会証言での発言予定、23時頃からは米国ダラス連銀のローガン総裁の発言予定、23時に4月の米国中古住宅販売件数と4月の米国景気先行指標総合指数などが発表される予定である。

なお、前述の今夜発言予定の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達は、いずれも次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での投票権を持っていることから、もしタカ派発言が出た場合には、日米金利差拡大予想にも影響を与える可能性が高いことに注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は149円8~9銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約71銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、先述の米国債務上限問題への懸念緩和により米国長期金利が上昇し、ドルが円やユーロなどの主要通貨に対して買われていたが、対ドルでの円安の影響の方がユーロ安よりも強く、ドルに対する円安の影響がユーロ円にも波及した。

また、日米欧の株価上昇時のリスクオン市場では低リスク通貨の円がユーロに対しても売られたほか、日欧金利差拡大による円売りユーロ買いも影響を及ぼしていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0816~1.0817ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.15セントのユーロ安ドル高であった。

原因は、昨夜の欧州市場と米国市場の重なる取引が活発な時間帯に欧州ユーロ圏のドイツの独長期金利が低下していた一方で、先述の米国債務上限引き上げ合意案への期待から米国長期金利が上昇しており、米欧金利差によるドル買いユーロ売りが優勢で、ユーロドルは昨夜23時台に一時1.0810ドル付近の4月3日以来のユーロ安ドル高を記録していた。

その後には、高値のドルの利益確定売りとユーロの買い戻しも入り、今日のユーロは対ドルで下げ幅を縮めたものの、ドルは円相場など他の主要通貨に対しても上昇していたため、他の主要通貨に対する今日のドル高の影響の波及もあって、前日比のユーロ安ドル高で東京終値を迎えていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は171円56~62銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約33銭の円高ポンド安であった。

昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利の上昇に伴って英ポンドも対ドルで下落しており、影響が円相場にも波及していた。

英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁は、昨夜の英商工会議所 (BCC) の年次会合での発言で、英国の現在の10.1%という記録的な高インフレ水準においても、2%のインフレ目標達成に向けた「揺るぎない決意」を示したが、エネルギーや食料品価格高騰や引き締まった英国労働市場が、生活費高騰を長引かせる恐れがあると警告した。しかし、その一方で、英国のインフレ率は、「今後数カ月で、現在の10.1%という水準からは急低下するはずだ」と発言した一方で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達と比較すると、特に金融政策に関するタカ派の発言は伝わらなかった。なお、今夜18時15分頃からも再びベイリー総裁の発言機会があるが、現時点ではまだタカ派発言の有無などが伝わっておらず、以前の発言で英国利上げ停止時期に言及していた印象が市場には残っている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月18日の日本時間(JST)19時22分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時22分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:22の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 137.71 ~ 137.72 +0.73 (円安)
ユーロ/円 148.87 ~ 148.88 +0.50 (円安)
ユーロ/ドル 1.0808 ~ 1.0810 -0.0023 (ドル高)
英ポンド/円 171.29 ~ 171.35 -0.60 (円高)
スイスフラン/円 152.88 ~ 152.94 -0.25 (円高)
豪ドル/円 91.44 ~ 91.48 -0.23 (円高)


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